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H 8651:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 種類······························································································································· 1 

5 品質······························································································································· 2 

5.1 外観 ···························································································································· 2 

5.2 耐食性 ························································································································· 2 

5.3 化成皮膜の導電性 ·········································································································· 2 

5.4 陽極酸化皮膜厚さ ·········································································································· 2 

6 試験······························································································································· 2 

6.1 試験片の採取方法 ·········································································································· 2 

6.2 試験方法 ······················································································································ 2 

7 検査······························································································································· 3 

8 表示······························································································································· 4 

附属書A(参考)化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例················································ 5 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

マグネシウム協会(JMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格

を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格

である。 

これによって,JIS H 8651:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

H 8651:2011 

マグネシウム及びマグネシウム合金の 

化成皮膜及び陽極酸化皮膜 

Conversion and anodic oxide coatings on magnesium and magnesium alloys 

序文 

この規格は,1958年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1995年に

行われたが,その後の製品に対する要求の変化に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,防食処理として施すマグネシウム及びマグネシウム合金の化成皮膜及び陽極酸化皮膜の品

質及び試験方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 2170 静電気電荷蓄積を防止する固体平面材料の抵抗及び抵抗率試験方法 

JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語 

JIS H 0400 電気めっき及び関連処理用語 

JIS H 8680-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第1部:顕微鏡断

面測定法 

JIS H 8680-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第2部:渦電流式

測定法 

JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 2170,JIS H 0201及びJIS H 0400による。 

種類 

化成皮膜及び陽極酸化皮膜の種類は,耐食性及び要求される項目によって区分し,表1の4種類とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−化成皮膜及び陽極酸化皮膜の種類 

皮膜の種類 

耐食性 

導電性 

平均皮膜厚さ 

µm 

試験時間 

表面抵抗 

Ω 

化成皮膜 

A種 

24 

実施せず 

− 

B種 

24 

1.0未満 

− 

陽極酸化 

皮膜 

C種 

96 

− 

5.0以上 

D種 

96 

− 

10.0以上 

品質 

5.1 

外観 

皮膜の外観は,6.2.1によって試験を行い,有効面(受渡当事者間で取り決めた面)上に,きず,表面上

のむら,スマットなど使用上有害な欠点がないものとする。 

なお,合否の判定基準は,受渡当事者間の協定による。 

5.2 

耐食性 

皮膜の耐食性は,6.2.2によって試験を行う。耐食性の等級は,JIS Z 2371の附属書1(レイティングナ

ンバ法)に規定するレイティングナンバによる。 

なお,耐食性の合否判定基準は,受渡当事者間の協定による。 

5.3 

化成皮膜の導電性 

化成皮膜の導電性は,皮膜の表面抵抗(Ω)の測定によって判定し,B種に対して6.2.3によって試験を

行い,その値は1.0 Ω未満とする。 

5.4 

陽極酸化皮膜厚さ 

陽極酸化皮膜厚さは,6.2.4によって試験を行い,5点以上の測定値から求めた平均皮膜厚さ(µm)によ

って表す。その値は,表2による。 

表2−平均皮膜厚さ 

単位 µm 

皮膜の種類 

平均皮膜厚さ 

C種 

5.0以上 

D種 

10.0以上 

試験 

6.1 

試験片の採取方法 

試験片の採取方法は,次による。 

a) 試験片は,製品の有効面から採取する。 

b) 製品から試験片を採取することができない場合は,製品と同一の処理を行った代わりの試験片を用い

てもよい。ただし,その試験片は,製品を代表するものでなければならない。 

6.2 

試験方法 

6.2.1 

外観に関する試験 

皮膜の外観試験は,通常,拡散昼光1)の下で行う。人工照明の下で行う場合の照度は,600 lx以上とす

る。背景は,無光沢の黒,灰色などの無彩色であることが望ましい。また,スマット発生の疑いがある場

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

合は,その面を柔らかな白地木綿の布切れ又はこれと同等品で適切な圧力をかけながら拭き,布切れの顕

著な変色によってスマットの有無を確認する。 

注1) 拡散昼光とは,日の出3時間後から日の入3時間前までの日光の直射を避けた北窓からの光を

いう。 

6.2.2 

耐食性試験 

皮膜の耐食性試験は,JIS Z 2371に規定する中性塩水噴霧試験による。判定に用いるレイティングナン

バの決定は,JIS Z 2371の附属書1に規定するレイティングナンバ法による。 

6.2.3 

化成皮膜の導電性試験 

化成皮膜の導電性は,2探針法によって表面抵抗(Ω)を求める。測定装置は,2端子2探針法の定電流

印加方式(直流)のものを使用する。端子先端は,金めっきが施してあるもので円柱2 mmφ,端子間隔

は10 mm,押付荷重は240 gとする。測定する前に,抵抗が既知の物質によって端子のチェックを行うこ

とが望ましい。測定は,試験片の平滑な面に端子を押し付け数値を読み取る。測定は,5点以上行い,全

て1.0 Ω未満であるものとする。 

なお,化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例を,表A.1に示す。 

6.2.4 

陽極酸化皮膜厚さ試験 

陽極酸化皮膜厚さ試験は,次のいずれかによる。 

a) 顕微鏡断面測定法 JIS H 8680-1による。製品から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さを5か所以上

測定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下第1位に丸めて平均厚さとする。 

b) 渦電流式測定法 JIS H 8680-2による。製品から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さを5か所以上測

定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下第1位に丸めて平均厚さとする。 

検査 

検査は,次による。 

a) 形式検査2)項目 

1) 外観 6.2.1によって試験を行い,5.1に適合しなければならない。 

2) 耐食性 6.2.2によって試験を行い,5.2に適合しなければならない。 

3) 導電性 6.2.3によって試験を行い,5.3に適合しなければならない。 

4) 陽極酸化皮膜厚さ 6.2.4によって試験を行い,5.4に適合しなければならない。 

なお,形式検査の抜取検査方式は,製造条件などの生産に関わる基本的な条件を考慮し,受渡当事

者間の協定による。 

注2) 形式検査とは,設計で示した全ての性能を満足するかどうかを判定するための試験をいう。 

b) 受渡検査3)項目 

1) 外観 6.2.1によって試験を行い,5.1に適合しなければならない。 

2) 耐食性 6.2.2によって試験を行い。5.2に適合しなければならない。 

なお,受渡検査の抜取検査方式は,生産設備の規模,製品の種類・大きさ・数量などを考慮し,受

渡当事者間の協定による。 

注3) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡をする場合,

必要と認める性能が満足するものであるかどうかを判定するための試験をいう。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表示 

化成処理又は陽極酸化処理を施した,マグネシウム及びマグネシウム合金の製品の発送において,送り

状,こん(梱)包などに,適切な方法によって,次の事項を表示する。 

a) 規格番号 

b) 皮膜の種類及びレイティングナンバ 

例1 皮膜の種類がB種でレイティングナンバが7の場合 

B-7 

例2 皮膜の種類がD種でレイティングナンバが9.5の場合 

D-9.5 

c) 製造番号又はロット記号 

d) 加工業者名又はその略号 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例 

A.1 化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例 

化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例を,表A.1に示す。 

表A.1−化成処理及び陽極酸化処理に使用する溶液組成例 

処理方法 

処理液系 

処理液組成(主成分) 

化成処理 

クロム 
フリー 

りん酸塩系 

りん酸マンガン 

Mn(H2PO4)2 

りん酸カルシウム,りん酸マンガン 

Ca(H2PO4)2,Mn(H2PO4)2 

過マンガン酸塩系 過マンガン酸カリウム 

KMnO4 

ふっ素化合物系 

ふっ化水素酸,ふっ化水素アンモニウム 

HF,NH4F・HF 

ジルコンふっ化水素酸 

H2ZrF6 

すず酸塩系 

すず酸カリウム 

K2SnO3 

含クロム 

クロム酸塩系 

重クロム酸ナトリウム,ふっ化カルシウム 

Na2Cr2O7,CaF2 

陽極酸化

処理 

クロム 
フリー 

水酸化物系 

水酸化ナトリウム 

NaOH 

けい酸塩系 

けい酸ナトリウム,水酸化ナトリウム 

Na2SiO3,NaOH 

マンガン化合物系 過マンガン酸カリウム,水酸化カリウム 

KMnO4,KOH 

りん酸塩系 

りん酸アンモニウム 

(NH4)2HPO4 

含クロム 

クロム酸塩系 

重クロム酸ナトリウム,ふっ化アンモニウム Na2Cr2O7,NH4F 

注記 前調整として,脱脂,エッチング及びスマット除去の工程を用いる場合が多い。