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H 8603 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS H 8603 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。 

JIS H 8603には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定) 耐摩耗性基準試験片仕様(硬質皮膜用) 

附属書2(規定) 平板回転摩耗試験

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 8603 : 1999 

アルミニウム及びアルミニウム合金の 

硬質陽極酸化皮膜 

Hard anodic oxide coatings on aluminium and its alloys 

序文 この規格は,1994年に第1版として発行された,ISO 10074,Specification for hard anodic oxidation 

coatings on aluminium and its alloysを元に技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,

対応国際規格には規定されていない規定項目(表示)を日本工業規格として追加した。 

なお、側線又は点線の下線を施してある箇所は対応国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金の展伸材,鋳造材などの素地に耐摩耗性

などの目的で施した主として硬質陽極酸化皮膜(以下,皮膜という。)の有効面について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 10074 : 1994 Specification for hard anodic oxidation coatings on aluminium and its alloys 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語 

JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 

JIS H 4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 

JIS H 4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管 

JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金押出形材 

JIS H 4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品 

JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物 

JIS H 5302 アルミニウム合金ダイカスト 

JIS H 8503 めっきの耐磨耗性試験方法 

JIS H 8680-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法 

第1部:顕微鏡断面測定法 

JIS H 8680-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法 

第2部:渦電流式測定法 

JIS H 8682-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法 

第1部:往復運動平面摩耗試験 

JIS H 8682-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法 

第2部:噴射摩耗試験 

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H 8603 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS H 8687 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の絶縁耐力試験方法 

JIS H 8688 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定方法 

JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法 

JIS R 6001 研削といし用研磨材の粒度 

JIS R 6111 人造研削材 

JIS R 6210 ビトリファイド研削といし 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 0201によるほか,次による。 

a) 硬質陽極酸化皮膜 低温の電解浴又は各種の有機酸を添加した特殊な電解浴を用いて処理されたアル

ミニウム材の陽極酸化皮膜。通常の方法で処理された皮膜に比べて硬く,かつ,耐摩耗性に優れるこ

とを特徴とする。通常,封孔処理は行わない。 

なお,耐食性が要求される場合,封孔処理を行うが,この場合,耐摩耗性は低下する傾向にある。 

b) 耐摩耗性基準試験片 各所で実施した耐摩耗性試験の結果に相関性をもたせるため,附属書1(規定)

に示す仕様に従って作成された試験片。 

4. 種類 皮膜の種類(1)は,素地の材質によって表1による。 

表1 種類 

種類 

材質 

1種 

JIS H 4000,JIS H 4040,JIS H 4080,JIS H 4100及びJIS H 4140に規定する展伸材のうち2種に属する
合金を除く展伸材 

2種−(a) 

2000系展伸材 

2種−(b) 

7000系展伸材及びマグネシウムを2%以上含む5000系展伸材 

3種−(a) 

JIS H 5202及びJIS H 5302に規定する鋳造材のうち,銅2%未満又は,けい素8%未満の合金 

3種−(b) 

3種−(a)を除く他の鋳造材 

注(1) 合金成分の関係で表1の適用が好ましくない場合は,受渡当事者間の協定によって対応する種類を変更しても

よい。 

5. 品質 

5.1 

外観 皮膜の外観は,6.1によって試験を行い,表面性状均一で,スポーリング,ふくれ,粉ふきな

ど使用上有害な欠陥があってはならない。ただし,素地と皮膜の膨張係数の違いによって生じる微細な皮

膜割れは,欠陥としない。 

5.2 

皮膜厚さ 皮膜厚さは原則として平均皮膜厚さとする。試験は,6.2によって行い,皮膜厚さ及びそ

の均一性の程度は,受渡当事者間の協定による。 

備考 平均皮膜厚さとは,JIS H 8680-1又はJIS H 8680-2によって測定した測定点皮膜厚さ数か所の

平均値をいう。 

5.3 

皮膜硬さ 皮膜硬さは,6.3によって試験を行い,表2に適合しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 皮膜硬さ 

種類 

微小硬さ 

HV0.05 

1種 

400以上 

2種−(a) 

250以上 

2種−(b) 

300以上 

3種−(a) 

250以上 

3種−(b) 

受渡当事者間の協定による。 

5.4 

耐摩耗性 皮膜の耐摩耗性は,6.4a)〜c)のいずれかによって試験を行い,それぞれ表3,表4又は表

5に適合しなければならない。 

また,試験の選択は,受渡当事者間の協定による。 

表3 往復運動平面摩耗試験での耐摩耗性 

単位 % 

種類 

耐摩耗性基準試験片に対する比率 

1種 

80以上 

2種−(a) 

30以上 

2種−(b) 

55以上 

3種−(a) 

受渡当事者間の協定による。 

3種−(b) 

備考 耐摩耗性基準試験片に対する比率は,

次の式によって算出する。 

100

(%)

W

W

W

×

s

WR

t

WR

C

WR

ここに, 

WRWC (%) : 耐摩耗性基準試験片に対する比率 (%)  

WRWt: 試験片の耐摩耗性 (ds/μm)  

WRWs: 耐摩耗性基準試験片の耐摩耗性 (ds/μm)  

表4 噴射摩耗試験での耐摩耗性 

単位 % 

種類 

耐摩耗性基準試験片に対する比率 

1種 

80以上 

2種−(a) 

30以上 

2種−(b) 

55以上 

3種−(a) 

受渡当事者間の協定による。 

3種−(b) 

備考 耐摩耗性基準試験片に対する比率は,

次の式によって算出する。 

100

(%)

J

J

J

×

s

WR

t

WR

C

WR

ここに, WRJC (%) : 耐摩耗性基準試験片に対する耐摩耗性の比率 (%)  
 

WRJt: 試験片の耐摩耗性 (s/μm)  

WRJs: 耐摩耗性基準試験片の耐摩耗性 (s/μm)  

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表5 平板回転摩耗試験での耐摩耗性 

単位 mg 

種類 

最大質量減 

1種 

15.0以下 

2種−(a) 

35.0以下 

2種−(b) 

25.0以下 

3種−(a) 

受渡当事者間の協定による。 

3種−(b) 

5.5 

単位面積当たりの皮膜質量 単位面積当たりの皮膜質量は,6.5によって試験を行い,表6に適合し

なければならない。この試験の実施は,受渡当事者間の協定による。 

表6 単位面積当たりの皮膜質量(2) 

単位 mg/dm2 

種類 

単位面積当たりの皮膜質量 

1種 

1100以上 

2種−(a) 

 950以上 

2種−(b) 

  

3種−(a) 

  

3種−(b) 

受渡当事者間の協定による。 

注(2) 単位面積当たりの質量は,皮膜厚

さ50μmの換算値である。 

5.6 

耐食性 封孔処理を行った皮膜の耐食性は,6.6によって試験を行い,表7に適合しなければならな

い。この試験の実施は,受渡当事者間の協定による。 

表7 耐食性 

種類 

試験時間 

耐食性 

1種 

336h 

接点又は端部から1.5mmの範囲を除き点食があってはならない。 

2種−(a) 

受渡当事者間の協定による。 

2種−(b) 

3種−(a) 

3種−(b) 

5.7 

絶縁耐力 皮膜の絶縁耐力は,6.7によって試験を行い,その許容値及びこの試験の実施は,受渡当

事者間の協定による。 

6. 試験 

6.1 

外観試験 外観試験は,通常,拡散昼光(3)の下で行う。人工照明の下で行う場合の照度は600 lx以

上とする。背景は無光沢の黒,灰色など無彩色であることが望ましい。 

注(3) 拡散昼光とは,日の出3時間後から,日の入り3時間前までの日光の直射を避けた北窓からの光

をいう。 

6.2 

皮膜厚さ試験 皮膜厚さ試験は,JIS H 8680-1に規定する顕微鏡断面測定法又はJIS H 8680-2に規

定する渦電流式測定法による。有効面における測定位置及び測定数は,受渡当事者間の協定による。 

6.3 

皮膜硬さ試験 皮膜硬さ試験は,マイクロビッカース試験機を用い,皮膜の断面についてJIS Z 2244

の規定に従って行う。試験荷重は0.490Nとするが,皮膜厚さの薄い場合又は比較的軟質の皮膜では,0.245N

としてもよい。 

なお,皮膜の厚い場合,皮膜断面の中央又は素地側を測定する。試験値は,通常,3回以上の繰り返し

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試験の平均値とする。 

6.4 

耐摩耗性試験 耐摩耗性試験は,次のいずれかによる。 

a) 往復運動平面摩耗試験 往復運動平面摩耗試験は,JIS H 8682-1に規定する方法による。 

なお,試験は,耐摩耗性基準試験片と試験片双方につき同規格の表2に示す硬質皮膜の試験条件に

従って行う。 

b) 噴射摩耗試験 噴射摩耗試験は,JIS H 8682-2に規定する方法による。 

なお,試験は,耐摩耗性基準試験片と試験片双方につき同規格の表2に示す硬質皮膜の試験条件に

従って行う。 

c) 平板回転摩耗試験 平板回転摩耗試験(テーバ式摩耗試験)は,附属書2(規定)に示す試験方法に

従って行う。 

なお,試験条件は,附属書2(規定)の5.又は6.のいずれかによる。その選択は受渡当事者間の協

定による。 

6.5 

皮膜質量試験 皮膜質量試験は,JIS H 8688に規定する方法による。 

6.6 

耐食性試験 耐食性試験は,JIS Z 2371に規定する中性塩水噴霧試験による。 

6.7 

絶縁耐力試験 絶縁耐力試験は,JIS H 8687に規定する方法による。 

7. 検査 皮膜の検査は,6.によって試験を行い,5.の規定に合格しなければならない。対象となる試験片

のサンプリング方法及びロットの大きさは,処理施設の規模,製品の種類,大きさ,数量などを考慮して

受渡当事者間の協定によって定める。 

8. 表示 送り状などに次の事項を表示する。 

a) 皮膜の種類 

b) 製造番号 

c) 加工業者名又はその略号 

9. 発注書又は加工仕様書への記載事項 発注者は,発注書又は加工仕様書に次の事項を記載しなければ

ならない。 

a) 皮膜の種類 

b) 素地の材質(成分,質別) 

c) 有効面の範囲(図面又は実物見本によって指示する。) 

d) 必要な場合,マスキング面の範囲(図面又は実物見本によって指示する。) 

e) 必要な皮膜厚さと許容範囲 

f) 

好ましい接点の位置 

g) 必要な場合,特定の前処理又は後処理 

h) 必要な場合,処理前後の寸法及び許容範囲 

i) 

その他特に必要とする事項 

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附属書1(規定) 耐摩耗性基準試験片仕様(硬質皮膜用) 

1. 適用範囲 この附属書は,耐摩耗性基準試験片の仕様について規定する。 

2. 素地材質 素地材質は,A1050 P-H14又はA1050 P-H24とする。 

3. 標準寸法及び形状 標準寸法は,100mm×100mm(1),厚さ2 mmとし,形状は平板とする。 

注(1) 試験片の標準寸法は,表裏の面積が約2dm2であれば,受渡当事者間の協定により,他の寸法の

試験片を用いてもよい。また,試験片の角の部分は,半径2mm程度の円弧に加工するとともに,

端部は面取りをする。 

4. 前処理 前処理は,通常の脱脂,軽度のアルカリエッチング及びスマット除去とする。 

5. 陽極酸化 陽極酸化は,次による。 

a) 浴組成 

遊離硫酸濃度 

180±2g/L 

溶存アルミニウム濃度 

1〜5g/L 

溶媒 

脱イオン水 

b) 電解条件 

浴温 

0±0.5℃ 

電流密度 

3.5±0.35A/dm2 

浴かくはん 

圧縮空気及び/又は液循環 

皮膜厚さ 

50±5μm 

備考 試験片は,浴かくはんの効果があるよう表面が垂直になるようにして陽極酸化する。 

直流電解時のリップル率は5%以下とする。電解槽中の液量は,試験片1枚当たり最低10L

以上必要とし,20枚以上の試験片を同時に電解してはならない。 

6. 後処理 後処理は,冷風で強制乾燥(未封孔)とする。 

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附属書2(規定) 平板回転摩耗試験 

1. 適用範囲 この附属書は,平板回転摩耗試験について規定する。 

2. 試験装置 試験装置は,JIS H 8503の10.3(試験装置)に規定する平板回転摩耗試験機を用いる。 

3. 試験片 試験片は,次による。 

a) 試験片の採取箇所は,製品の有効面とする。ただし,製品について試験できない場合は,製品と同一

の材料(1)及び同一の皮膜の処理条件(2)で作られた試験片を用いてもよい。 

b) 試験片は,直径約120mmの円盤又は100mm×100mmの板状のもので,厚さは原則として1.6〜6mm

とし,中央に直径6.5mmの孔をあけたものとする。試験片の両面は,平行かつ平滑なものでなくては

ならない。 

c) 試験片は,汚れに応じて適切な溶剤(3)を浸した柔らかい布などを用いてあらかじめ清浄にしておく。 

注(1) 材料の種類,質別及び処理前の表面状態は,製品と同じでなければならない。 

(2) 前処理及び皮膜の処理は,製品と同一の浴及び同一条件で,製品と同一の性能が得られるよう

に行わなければならない。 

(3) アセトン,エチルアルコール,エチルエーテル,メチルエチルケトンなどをいい,試験片を腐

食したり,保護皮膜を作るものを用いてはならない。 

4. 試験場所の雰囲気 試験を行う場所は,常温,湿度65%以下の室内であることを原則とするが,変更

を必要とする場合は受渡当事者間の協定による。 

5. 研削といし法 

5.1 

摩擦輪 摩擦輪は,人造研削材の種類がJIS R 6111に規定する緑色炭化けい素質で,その粒度がJIS 

R 6001に規定する150番のものを結合剤(4)と混合し,外径50.6mm,内径15.9mm,厚さ12.7mmに成形し

た研削といし(5)(テーバ社製品番号・CS17相当)を用いる。 

なお,試験の繰り返しによって損耗した使用最小外径は,44mmとする。 

5.2 

試験荷重 試験面にかかる試験荷重は,摩擦面2か所それぞれ9.8Nとする。 

5.3 

回転速度 60±2rpm又は70±2rpmとする。 

5.4 

摩擦回数 予備摩擦回数を1 000回,本試験の摩擦回数を10 000回とする。研削といしは,予備摩

擦前にリフェーシング(6)を行い,本試験終了までそのまま使用する。 

注(4) 結合剤は,陶石,長石及び粘土をそれぞれ50 : 40 : 10の割合で調合したもの又は相当品とする。 

(5) 研削といしの結合度は,JIS R 6210の表3のHとし,組織は,同規格の表6の8に示す46±1.5%

のもの。 

(6) 研削といしは,試験前にあらかじめJIS R 6252に規定された粒度150番のエメリー研磨紙を取

り付けた回転盤上に下ろして50回の摩擦を行う。 

なお,研削といしは,4回の試験ごとに装置に附属されたダイヤモンド研削機によって表面

調整を行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.5 

操作 操作は,次の順序で行う。 

a) 試験片を試験雰囲気中にあらかじめ1時間以上保持する。 

b) 試験片を回転盤に取り付ける。試験片が,試験中に変形するおそれのある場合は,さらに試験片固定

枠を取り付ける。 

c) 摩耗粉吸取りアームを倒し,吸入口と試験面の間が0.8〜1.5mmになるように調整する。 

d) 摩耗粉吸取り装置の吸引する風量が0.5±0.1m3/minとなるよう風量調節ダイヤルで調節する。 

e) 摩擦輪取付軸に規定の摩擦輪を,荷重取付軸に規定のおもりをそれぞれ取り付ける。 

f) 

規定の予備摩擦(1 000回)を行う。 

g) 規定回数の摩擦終了後,試験片を取り外し,清浄な布で粉などの異物を除去し,試験片の質量を0.1mg

の位まで測定する(7)。 

h) 規定の本試験摩擦回数(10 000回)について,b)〜e)及びg)の操作を繰り返す。 

注(7) 摩擦前後の試験片の温度差は,質量測定の誤差の要因である。摩擦熱で温度の上昇した試験後

の試験片は,10分程度室内に放置し,恒温状態になるのをまって質量を測定する。 

5.6 

判定方法 本試験前後の試験片質量を測定し,その差(摩耗量)によって耐摩耗性を判定する。 

6. 研磨紙法 

6.1 

摩擦輪 摩擦輪は,附属書2図1に示すゴム輪(テーバ社製品番号CS-0相当)に6.2の研磨紙をは

り付けたものを用いる。 

6.2 

研磨紙 研磨紙は,JIS R 6252に規定された炭化けい素質240番で,裏面に接着剤を付けたものを

幅12.7mm,長さ159mmに裁断して用いる。 

6.3 

試験荷重 試験荷重は,5.2による。 

6.4 

回転速度 回転速度は,5.3による。 

6.5 

摩擦回数 摩擦回数は,300回とする。 

なお,この方法では,予備摩擦は行わない。 

6.6 

操作 操作は,次の順序で行う。 

a) 試験片を試験雰囲気中にあらかじめ1時間以上保持する。 

b) 試験片の質量を0.1mgの位まで測定する。 

c) 試験片を回転盤に取り付ける。試験片が,試験中に変形のおそれがある場合は,さらに試験片固定枠

を取り付ける。 

d) 摩耗粉吸取りアームを倒し,吸入口と試験面との間が0.8〜1.5mmになるように調整する。 

e) 摩耗粉吸取り装置の吸引する風量が0.5±0.1m3/minとなるよう風量調節ダイヤルで調節する。 

f) 

摩擦輪取付軸に摩擦輪(規定の研磨紙をはり付けたゴム輪)を,荷重取付軸に規定のおもりをそれぞ

れ取り付ける。 

g) 試験終了後,試験片を取り外し,清浄な布で粉などの異物を除去し,試験片の質量を0.1mgの位まで

測定する(7)。 

6.7 

判定方法 試験前後の試験片質量を測定し,その差(摩耗量)によって耐摩耗性を判定する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2図1 摩擦用ゴム輪の形状寸法の一例 

改正原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

馬 場 宣 良 

元東京都立大学工業化学科 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部材料規格課 

後 藤 敬 一 

通商産業省基礎産業局非鉄金属課 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

佐 藤 敏 彦 

芝浦工業大学金属工学科 

田 村 和 男 

東京都立城南地域中小企業振興センター 

福 田 芳 雄 

科学技術庁金属材料技術研究所 

星 野 重 夫 

武蔵工業大学機械工学科 

松 下 静 夫 

元工業技術院製品科学研究所 

三 田 郁 夫 

元東京都立工業技術センター 

新 井 元 彦 

理研アルマイト工業株式会社 

石 黒 明 康 

立山アルミニウム工業株式会社 

菊 地   哲 

軽金属製品協会 

西 沢 和 由 

昭和アルミニウム株式会社 

玉 井 正 和 

トステム株式会社 

大 中   隆 

株式会社日本アルミ 

坂 下 満 雄 

三協アルミニウム工業株式会社 

田 中 義 朗 

日本軽金属株式会社 

西 村 健二郎 

不二サッシ株式会社 

藤 原 憲 彦 

株式会社中金 

山 本 尚 三 

YKK株式会社 

(事務局) 

佐 藤 信 幸 

軽金属製品協会 

小山田   誠 

軽金属製品協会