H 8402:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本溶射協会(JTSS)/ 財団法人日本規格協
会(JSA)から,工業標準案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格を容易にするために,ISO14916:1999,Thermal spraying−Determination
of tensile adhesive strengthを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS H 8402には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
H 8402:2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験片 ··························································································································· 1
5. 試験方法 ························································································································ 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 装置 ···························································································································· 2
5.3 材料 ···························································································································· 2
5.4 試験片の作製 ················································································································ 2
5.5 試験の準備 ··················································································································· 3
5.6 操作 ···························································································································· 3
6. 破断面の状態の判定 ········································································································· 3
7. 試験報告書 ····················································································································· 4
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 8402:2004
溶射皮膜の引張密着強さ試験方法
Test methods of tensile adhesive strength for thermal-sprayed coatings
序文 この規格は,1999年に第1版として発行されたISO 14916:1999,Thermal spraying−Determination of
tensile adhesive strengthを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,溶射によって形成された皮膜の引張密着強さ試験方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 14916:1999,Thermal spraying−Determination of tensile adhesive strength (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成
するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最
新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7721 引張試験機−力の検証方法
備考 ISO 7500-1:1999,Metallic materials−Verification of static uniaxial testing machines−Part1:Tensile
testing machinesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS H 8200 溶射用語
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 8200による。
4. 試験片 試験片は,次による。
a) 試験片は,製品のまま又は製品から切り出したものとする。
b) a) による試験片の作製が困難な場合には,別に作製したものを試験片とする。この場合,試験片は,
製品を代表できるものとし,その作製は,製品と同一条件で行われなければならない。
c) 試験片の大きさは,ブラストによって変形が生じないものとする。
d) 試験片は,各試験ごとに別に1個を保存し,比較のために用いる。
5. 試験方法
5.1
要旨 皮膜を素地面に対して垂直方向に引張って素地から皮膜をはく離させ,密着性を調べる。
2
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5.2
装置 装置は,次による。
a) 引張試験機 JIS B 7721に規定する引張試験機を用いる。
b) 引張用ジグ 引張用ジグにはユニバーサルジョイントを使用する。引張用ジグの例を図1に示す。
図 1 引張用ジグの例
5.3
材料 材料は,次による。
a) 接着剤 試験に用いる接着剤は,引張試験の測定値に影響を及ぼすものであってはならない。
b) 丸棒 JIS G 3101に規定したSS400相当以上で直径が25±0.1 mm又は40±0.1 mm,長さが40〜50 mm
の丸棒を2本用いる。
5.4
試験片の作製 試験片の作製は,次による。
a) 2本の丸棒の[5.2. b)]のそれぞれ一方の端面の中心に,引張用ジグを取り付けるためのねじ穴を設
ける。
b) 一つの丸棒のねじ穴のない端面に製品と同一条件で前処理及び皮膜厚さ(下地溶射皮膜の厚さは除
く。)0.3 mm以上 (1) の溶射を施す(以下,ブロックAという。)。
注(1) 同一端面については,全面にわたり均一な厚さでなければならない。
c) もう一つの丸棒のねじ穴のない端面を粗面化する(以下,ブロックBという。)。
3
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図 2 試験片(ブロックAとブロックBとを接着例した試料)の例
5.5
試験の準備 試験の準備は,次による。
a) ブロックBの粗面に接着剤を薄く均一に塗布する。
b) ブロックAの溶射面にブロックBの接着面を重ねて,接着剤中に気泡が残らないように十分にすりあ
わせる(1)。
c) 余分な接着剤は,ブロックBの周辺にたらし,接着剤が溶射皮膜の周辺に付着しないように,はみ出
した接着剤は,紙,布,へらなどで除去する。
d) A及びBの2個のブロックは,その中心線が同一線となり,一つの円柱を形成するように接着する。
試験片の例を図2に示す。
5.6
操作 5.4で準備した試験片(ブロックAとブロックBとを接着した試料)の両端に引張用ジグを
取り付け,(図1参照)引張試験機にかける。負荷速度約10 kN/min又は引張速度1mm/minで引っ張り,
引張破断荷重を求める。
6. 破断面の状態の判定 この試験でいう引張密着強さは,破断面の状態が次のa) 若しくはb) である場
合,又はa) とb) とが混在する場合の測定値として,これら以外の場合の測定値は除外する。
a) ブロックAの素地又は下地溶射と皮膜との界面における完全なはく離。
b) 皮膜内の完全なはく離。
c) 計算 皮膜の引張密着強さは,次の式によって算出し,3個の試験片について求めた引張密着強さの
平均値を整数に丸める。
T=P/A
ここに, T:引張密着強さ(N/mm2)
P:引張破断荷重(N)
A:試験片断面積(mm2)
単位 mm
4
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7. 試験報告書 試験報告書には,試験片ごとに次の内容を記載する。
a) 検査員及び検査日
b) 素材名
c) 素材のブラスト面の粗さ
d) 溶射皮膜の種類
e) 溶射方法
f)
溶射皮膜の厚さ
g) 接着剤の種類
h) 試験片の形状
i)
試験片の数
j)
引張密着強さT(N/mm2)
k) 破断面の箇所(接着表面,溶射皮膜表面,素地と皮膜の界面)を図に表現し破断箇所のおおよその面
積比
5
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附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS H 8402:2004 溶射皮膜の引張密着強さ試験方法
ISO 14916:1999 溶射−引張密着強さ測定
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本文
表示方法:傍線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの評
価
技術的差異の内容
1.適用範囲 溶射皮膜の引張密着
強さ試験方法につい
て規定
ISO14916
1
JISと同じ
IDT
−
2.引用規格 JISB7721
2
ISO7500-1
MOD/変更
JISからの引用事項は,対応ISO
規格の該当事項と同等である。
JISG3101,JISH8200
−
MOD/追加
材料及び用語を規定するために
追加。
3.定義
JISH8200用語による
3
引張密着強さを
定義
MOD/追加
JIS用語を追加
4.試験片
試験片の素材の要件
−
MOD/追加
5.試験方法 5.1装置
4
JISとほぼ同じ
MOD/変更
JISは,引張用ジグとしてユニバ
ーサルジョイントの使用を規
定。
5.2材料
5.1試料/
形状
JISとほぼ同じ
MOD/変更
JISは,試験に用いる接着剤の要
件を規定し,かつ,試験片の材質
を具体的に規定。
ISO規格の見直し時に,修正提案
を行うことを検討する。
5.3試験片の作製
JISとほぼ同じ
MOD/追加
JISは,試験片の作製方法を具体
的に規定。
ISO規格の見直し時に,修正提案
を行うことを検討する。
5.4試験の準備
5.2試料/
準備
−
IDT
6
H 8402:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本文
表示方法:傍線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの評
価
技術的差異の内容
5.試験方法 5.5操作
6.操作
JISとほぼ同じ
MOD/変更
ISO規格は,毎秒1000±100N以
下で引張ると規定,JISは,負荷
速度約10kN/min又は引張速度
1mm/minと規定。
ISO規格の見直し時に,修正提案
を行うことを検討する
6.破断面の
状態の判
定
5.3試料/試
験片の数
量
7.評価
供試試験片の数
JISとほぼ同じ
IDT
MOD/変更
JISは,密着強さの算出式を規定
7.試験報告
書
8.試験報告
書
9.試験片作
製及び試
験におい
て起こる
間違い
JISとほぼ同じ
“溶射厚さが一
定でない”など
の,起こりうる間
違い5項目を記
載している。
MOD/変更
MOD/削除
JISは,破断の状態を詳しく記録
することを規定。
5.3試験片の作製において“溶射
は全面にわたり均一な厚さでな
ければならない”と規定している
ので,重複記載はしない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。