H 7901:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
2
H 7901:2005
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 用語の分類 ····················································································································· 1
4. 用語及び定義 ·················································································································· 1
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 7901:2005
海洋生物忌避材料用語
Gossary of terms used in marine attachment inhibition materials
序文 生物忌避材料は海洋環境からの生物付着を阻害・阻止するものである。これはエネルギー効率,メ
ンテナンスなどに非常に有効なもので,広く研究が行われ,その実用化も進みつつある。これら生物忌避
材料に用いられる用語の統一を行うことによって,忌避材料としての普及の円滑化を図るために制定され
た。
1. 適用範囲 この規格は,海洋環境中で工業用に広く使用されている生物忌避材料に関する主な用語及
びその定義について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6801 レーザ安全用語
JIS K 3600 バイオテクノロジー用語
JIS Z 2300 非破壊試験用語
3. 用語の分類 用語の分類は,次による。
a) 一般
b) 微生物
c) 大型付着生物
d) 化学的及び物理的防汚方法
e) 塗料
f)
腐食・腐食対策
g) 大型付着生物試験方法
4. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考のために対応する英語を示す。
備考1. 一つの用語欄に二つ以上の用語が併記してある場合には,記載してある順位に従って優先的
に使用する。
2. 用語の定義欄に太文字で示した用語は,この規格で定義しているものである。
3. 生物の種・属名は学名(主にラテン語)で記載し,イタリック体で統一する。
4. 生物の科名は学名で記載し,頭文字だけ大文字,あとは小文字で統一する。
2
H 7901:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5. 生物の目・綱・門名は学名で記載し,すべての文字を大文字で統一する。
a) 一般
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
1001
汚損生物
産業上有害な付着生物。
付着生物の有用と有害との区別
は経済目的によって判断され,
カキやアコヤガイは水産上有用
であるが,それらが船底,養殖
施設などに付着すると汚損生物
となる。
fouling
organisms
1002
生物損傷
生物によって生じる汚れ及び腐
食。
大型付着生物による海水導水
路,熱交換器,海洋構造物,船
舶などの汚損被害,スライムに
よる汚損被害などがある。
biodeterioration
1003
付着忌避
付着生物が,特定の物質,表面
の性質などを嫌って,その基盤
へ接着をしない状態。
inhibition on
attachment
1004
付着忌避剤
付着生物に接着行動を阻害する
物質。
この物質は,付着行動そのもの
を抑えるものであり,幼生を殺
すことで付着を防ぐ薬剤は付着
忌避剤ではない。
inhibitor on
attachment
1005
付着忌避材料
表面を柔らかくしたり,付着忌
避剤を少量ずつ表面に溶出させ
たりすることによって付着忌避
を生じさせる材料。
幼生を殺すことで付着を防ぐ材
料は付着忌避材料ではない。
inhibition material
on attachment
1006
付着生物
基盤に付着して生活する生物。
極めて多くの種類があり,これ
らは,海水中の基盤に一定の順
序で付着していくことが知られ
ている。細菌,けい(珪)藻な
どの微生物によるスライムの形
成に始まり,海藻類,管棲多毛
類,フジツボ,コケムシ類,ホ
ヤなどが付着し,カイメン,イ
ガイなどがそれらの上に付着す
る。
sessile organisms
1007
防汚剤
海水中における船底又は漁網へ
の生物の付着を防止する働きを
もった薬剤。
これまで多く用いられてきた有
機すず化合物は,環境への影響
から使用が規制され,これに代
わって銅系化合物,有機硫黄系
化合物,ピリジン系化合物など
が用いられるようになってい
る。
anti-fouling
agent,biocide
1008
付着誘引
ある種の生物が,物質を分泌し
て同種の生物を自分の近くに呼
び寄せ,群落を形成して生育す
る現象。
induction on
attachment
3
H 7901:2005
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b) 微生物
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
2001
基質
酵素の作用を受けて反応を起こ
す物質。
1.酵素の作用を受けて化学的変
化を受ける物質。
2.代謝の出発物質(JIS K
3600)。微生物の発育についての
基質は,発育培地を構成してい
る栄養物質を指している。酵素
反応においては,反応の対象と
なる物質をいう。
Substrate
2002
菌数測定法
目に見えない細菌を何らかの方
法で計数する方法。
総菌数測定及び生菌数測定の二
つの方法がある。総菌数測定に
は,蛍光染色後の直接検鏡法と
粒子計数器法とがある。生菌数
測定は,1個の生菌は1個の集
落を作ることを前提とした平板
法による測定。
cell number
counting
2003
最確数
試験水中の細菌数を求める統計
的手法。
試験すべき試料原液を1倍,10
倍,100倍・・・と薄めてその一定
量を数本の試験管(通常は5本)
の液体培地に接種して培養し求
めた確率論的な原液中の菌数。
最確値ともいう。
most probable
number
2004
スライム
水中の微生物が作用してできる
粘泥状物質。
用水と接する物体表面に微生物
が付着し,増殖し,それらが分
泌する粘液に水中の有機物,土
砂などの無機物が付着し,付着
厚さがだんだん増加していった
ものをスライムという。スライ
ムが存在することによって,熱
交換器管の伝熱性能が低下した
り,流量が低下したり,腐食を
誘導したり,他の付着生物の付
着を促進する場合がある。
slime
2005
微小汚損生物
小さくて肉眼では識別できない
付着性の微生物。
熱交換器などに付着してスライ
ムを形成し,熱交換器の伝熱を
阻害したり腐食の原因になる。
microfouling
organisms
2006
付着けい藻
基盤に付着するけい藻。
けい藻類は通常1個の細胞が二
つに分裂する無性生殖によって
増殖する。けい藻類の細胞の殻
には細胞内部から粘性の高い物
質を分泌して,この粘液物質で
分裂した細胞同士がつながり群
体を作ったり基盤に付着したり
する。
attached diatoms
2007
付着細菌
基盤に付着する細菌。
細菌には浮遊生活をするものと
付着生活をするものとがあり,
生態系の食物連鎖,有機物分解
及び物質循環に大きく寄与して
いる。付着した細菌は増殖する。
attached bacteria
4
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c) 大型付着生物
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
3001
アオサ類
緑藻綱−アオサ目−アオサ科−
アオサ属に属する藻類の総称。
葉が厚く食料にならず,もっぱ
ら汚損生物として取り扱われて
いる,浅海の岩礁地帯,海洋構
造物,船底などに着生する一年
生藻類で,ナガアオサ,アナア
オサ,ボタンアオサなどがある。
Ulva
3002
アクチヌラ幼
生
クダウミヒドラ類(ヒドロ虫類)
の幼生。
先端がやや膨らんだ1〜2 mmの
触手(4〜12本)と径0.5 mm前
後のやや丸い体部とからなる形
をしており,遊泳力はない。基
盤に衝突した際,触手先端から
粘着型の刺胞を発射して基盤に
一次付着する。
actinula larvae
3003
イガイ類
軟体動物門−二枚貝綱−翼形亜
綱−イガイ目に属する貝類の総
称。
足から足糸を分泌して基盤に付
着する。イガイ,ムラサキイガ
イ,ミドリイガイ,ムラサキイ
ンコガイ,ホトトギスガイ,カ
ワヒバリガイなどがある。ムラ
サキイガイは食用になるが汚損
生物の代表種としても知られて
いる。
Mytilidae
3004
大型汚損生物
汚損生物のなかで成体が肉眼に
よって十分に認識できる生物。
微小汚損生物の対語。海藻類及
び無せき椎動物の大部分が含ま
れ,無せき椎動物の主なものに,
海綿動物,こう(腔)腸動物,
環形動物,触手動物,軟体動物,
節足動物,原索動物などがある。
macrofouling
organisms
3005
殻頂期幼生
軟体動物門−二枚貝網に属する
貝類の殻頂部が膨らんだ幼生。
発生段階の一時期であり,D型
幼生の次の時期。殻の頂端部が
この時期に膨らむ。
veliconcha larvae
3006
基盤
その表面が付着生物にさらされ
ている物質。
自然の岩礁のほか,船底,海中
構造物など人工構築物が付着生
物の付着基盤となる。
substratum
3007
キプリス幼生
フジツボ類の付着期幼生。
体長は0.5〜1 mm程度。体の外
側は二枚貝様の透明な背甲から
なる。体の後半部から胸肢を出
し,水を蹴って遊泳する。体の
前半部には付着器官を備えた第
一触角があり,この付着器官か
ら接着セメントを分泌して基盤
に付着する。付着後,背甲を脱
ぎ捨て,幼フジツボへと変態す
る。
cypris larvae
3008
生物検定法
生物の生死及び発育・成長に対
する化学物質の作用を定量的に
測定するために生物自体の反応
を標識として用いる方法。
水生生物では,一般に半数致死
濃度を求める。
bioassay method
5
H 7901:2005
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番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
3009
足糸
二枚貝類において,足のほぼ中
央の足糸孔から出る硬たん白質
の強じんな繊維の束。
主成分はコンキオリンで,これ
によって水中の基盤に貝の体を
固着させる。足糸せん(腺)か
ら分泌された分泌物が海水と触
れ硬化して足糸となる。
byssus
3010
探索行動
付着生物の幼生が付着に適した
基盤を探る行動。
フジツボのキプリス幼生は付着
基盤に到達するとほふく,停止,
探索などの探索行動を繰り返し
行い,到達した場所が定着に適
した場所か否かを調べる。探索
した場所が不適な場合には再び
泳ぎ出て別の場所を捜し求める
が,好適であった場合には基盤
表面をほふくしながら移動し,
方向転換と停止を繰り返し,気
に入った地点で停止した後,付
着・変態する。
exploratory
behavior
3011
D型幼生
軟体動物二枚貝類の初期ベリジ
ャー幼生。
トロコフォアの背部に生じた殻
せん(腺)から分泌される左右
2枚の貝殻がちょうど軟体部を
覆い尽くすころ,幼生の外観が
D字形になるのでこの名があ
る。
D-shaped veliger
larvae
3012
トロコフォア
幼生
環形動物,軟体動物及び星口動
物の原腸胚期に続く浮遊性の幼
生。
体はほぼ球形,こま状,鈴状な
どで,その腹面中央に口があり,
体表全体の繊毛と繊毛環の繊毛
との運動によって水中を遊泳す
る。
trochophore larvae
3013
ノープリウス
幼生
甲殻類の初期幼生。
3対の付属肢をもち,これを振
り動かして浮遊・遊泳及び摂食
を行う。体の前端にノープリウ
ス眼をもつ。脱皮によって成長
し,変態して次の発生段階にな
る。フジツボ類では,ノープリ
ウスⅠ期からⅥ期を経た後,キ
プリス幼生へと変態する。
nauplius larvae
3014
ヒドロ虫類
刺胞動物門−ヒドロ虫綱に属す
る生物の総称。
付着性のポリプ型と浮遊性のク
ラゲ型とがあり,各々ヒドロポ
リプ,ヒドロクラゲと呼ばれる。
ヒドロポリプは一見美しい草花
のような外見を示し,触手をも
ったヒドロ花と呼ばれる部分で
動物プランクトンを捕食し,ヒ
ドロ根で基盤に付着する。幼生
にはプラヌラ型とアクチヌラ型
とがある。
HYDROZOA
6
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番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
3015
フジツボ類
節足動物門―甲殻綱―つる(蔓)
脚亜綱−フジツボ亜目に属する
生物の総称。
円すい形をした石灰質の硬い殻
をもつ。一般に雌雄同体で,通
常は他家受精を行う。殻口から
つる(蔓)脚を出してプランク
トンを摂食する。様々な基盤に
付着し,ムラサキイガイと並ぶ
汚損生物の代表である。
BALANOMORPH
A
3016
ベリジャー幼
生
軟体動物(頭足類を除く。)のト
ロコフォア幼虫に続く幼生。
トロコフォア幼虫の口前繊毛環
の部分が,左右相称的に翼状の
薄い膜,すなわち面盤となって
突出し,その表面の繊毛の運動
によって水中を遊泳する。
veliger larvae
3017
ポリプ
刺胞動物の付着生活期のものの
総称。
単体性のものと群体性のものと
がある。体の基本構造は円筒形,
上端に口,その周辺に触手があ
り,この触手で動物プランクト
ンなどを捕らえて捕食する。群
体性のポリプでは,走根を伸長
して基盤を覆うように付着す
る。
polyp
d) 化学的及び物理的防汚方法
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
4001
亜鉛板法
腐食させることによって藻類,
大型付着生物などの付着を防止
する方法。
ちょう(貼)布法としては,裏
面に塗布した接着剤によるも
の,裏面にはりあわせた磁石に
よるもの,亜鉛溶射によるもの
などがある。
zinc plate method
4002
温水処理法
水の温度を上昇させることによ
って大型付着生物を死滅させる
処理。
定期的に温排水を取水路に再循
環させ系統水を昇温させる方法
が採用されている。系統水に蒸
気を吹き込んだりして昇温させ
る方法もある。
thermal treatment
method
4003
干出法
空気に暴露することによって大
型付着生物を死滅させる処理。
10 ℃以上では温度が高い方が
死に至るまでの時間は短い。加
熱空気を送風して加速する方法
もある。
dry up method
4004
紫外線照射法
紫外線照射によって微生物,幼
生の付着を防止しようとする方
法。
大型付着生物の付着防止には,
幼生を殺すのに必要な照射量よ
りも遥かに少ない照射量で効果
がある。付着されたら困る壁面
を照射する方法と水中の幼生に
対して照射する方法とがある。
ultraviolet light
irradiation
method
4005
磁場処理法
海水を磁場の中で流すことによ
って幼生の付着を防止しようと
する方法。
永久磁石で効果がみられたとの
報告は見当たらない。
magnetic treatment
method
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番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
4006
淡水処理法
淡水に暴露することによって大
型付着生物を死滅させる処理。
この原理を用い,系統水を淡水
にはりかえる方法が考えられる
が,殺すには相当長時間を要す
る。
Freshwater
treatment
method
4007
超音波法
周波数が20 kHz以上の超音波
(JIS Z 2300)の照射によって微
生物,幼生の付着を防止する方
法。
大型付着生物の付着防止には幼
生を殺すのに必要な照射量より
も少ない照射量で効果がある。
付着されたら困る壁面の裏に発
信器を取り付ける方法と水中に
発信器を投入する方法とがあ
る。
ultrasonic wave
method
4008
鉄板法
鉄板を腐食させることによって
幼生の付着を防止する方法。
電流を鉄板に流して腐食量を調
節する。
steel plate method
4009
電気伝導性表
面
電気伝導性塗料などによって電
気伝導性を付与した壁面表面。
伝導性表面に電気を流し,電解
で塩素を発生させる方法によっ
て殺菌,幼生付着防止などに用
いる。
Electrically
conducting
surface
4010
銅及び銅合金
法
銅及び銅合金を用いて微生物,
幼生などの付着を防止する方
法。
銅は海水中で孔食を生じるので
銅合金が用いられ,10 %キュプ
ロニッケルが一般的である。淡水
の藻類対策としては接着剤付き
の銅箔又は銅板も用いられる。
電解で銅イオンを供給する方
法,銅粉を含んだ塗料などもあ
る。
copper &
copper alloy
method
4011
レーザ法
主レーザ(JIS C 6801)の照射に
よって幼生の付着を防止する方
法。
消費電力のレーザのエネルギー
への転換効率を大きくするのが
課題である。
laser method
e) 塗料
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
5001
拡散型塗料
バインダである塩化ゴム及びロ
ジン並びに防汚剤を塗膜の主成
分とする防汚塗料。
ロジンの作用で侵入した海水に
防汚剤が溶け,防汚剤は塗膜中
を拡散しながら海水中に溶出す
る。自己研磨型塗料が出現する
まで,最も高性能な防汚塗料で
あった。
diffusion paint
5002
自己研磨型塗
料
塗膜中のバインダが海水によっ
て加水分解を受け,塗膜表面か
ら研磨するタイプの防汚塗料。
塗膜の研磨量に比例して防汚剤
が徐放され,拡散型塗料よりも
長期間,防汚性が持続する。ま
た,塗膜表面が平滑になり,船
舶の航行燃費低減効果も生まれ
る。従来はバインダとして有機
すずポリマーが使用されていた
が,環境汚染から規制され,近
年新しいバインダが開発されて
いる。セルフポリッシング塗料
ともいう。
self-polishing paint
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番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
5003
シリコーン系
防汚塗料
シロキサン結合を繰返し単位と
し,アルキル基又はアリール基
で,置換した有機けい素化合物
(シリコーン)の架橋体(シリ
コーンゴム)を主剤とする防汚
塗料。
比較的低重合度のオイル(シリ
コーンオイル)を添加した系も
ある。シリコーンのはっ(撥)
水性及びゴムの柔軟性の効果で
生物が付着しにくく,また,付
着しても容易に脱落する。導水
管及び船底に使用される。
silicone biofouling
released paint
5004
浸せき試験
海上のいかだ(筏)から海中に
試験片を垂下するなどして,経
時的にその汚損を調査して供試
表面の防汚性を評価する試験。
参考 JIS K 5630参照
immersion test,
raft test
5005
船底防汚塗料
船底の生物汚損を防止するため
に塗布される主にバインダ,防
汚剤,溶剤などからなる塗料。
バインダの種類で拡散型塗料
(塩化ゴム系防汚塗料),自己研
磨型塗料がある。いずれの塗料
も防汚剤の溶出によって生物の
付着を防止している。近年,電
気伝導性表面による防汚塗料も
出現した。船底2号塗料ともい
う。
ship bottom
anti-fouling paint
5006
防汚塗料
生物付着による汚損を防止する
ために塗布される塗料。
船底(船底防汚塗料)のほか,
発電所の導水管,漁網などにも
使用されている。
anti-fouling paint
f)
腐食・腐食対策
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
6001
かい(潰)食
材料の表面皮膜が,水の流れに
伴って起こるせん断応力によっ
て直接的にはく離され,又は水
中に混入してくる物体の衝突に
よる物理的な力によって破壊さ
れ,その結果金属面が露出し,
その部分が加速的に腐食される
現象。
impingement
attack
6002
デポジット・
アタック
1) 材料表面に砂などの異物
が付着した場合に,その
付着位置の直下に生じる
腐食。
2) 銅合金では異物閉そく部
の下流で発生する高せん
断応力によって発生する
かい(潰)食。
2)は1)と区別するために,“い
わゆるデポジット・アッタック”
ということもある。また,銅合
金ではフジツボなどの付着位置
直下の硫化物による粒界腐食
を,“もう一つのデポジット・ア
タック”という場合もある。
deposit attack
6003
微生物誘導腐
食
土壌又は水中にせい息する微生
物によって誘起される腐食の加
速。
微生物は材料腐食の原因ではな
く,腐食を誘導する。
micro bial induced
corrosion
9
H 7901:2005
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g) 大型付着生物試験方法
番号
用語
定義
参考
対応英語(参考)
7001
コドラート法
一定面積の方形枠内に生息する
生物の被覆する度合い,個体数,
分布などを調査・解析する方法。
枠法,区画法ともいう。
一般的な方形枠の大きさとして
は,1×1 m,1/4×1/4 mなどがあ
る。
quadrat method
7002
足糸平板試験
法
ムラサキイガイを耐水性ボール
紙の上に固定し,試料を塗布し
た部分及び塗布していない部分
に形成された足糸の数を計測し
てムラサキイガイの付着忌避活
性を判定する方法。
byssus-thread
method
7003
フジツボ付着
忌避活性試験
法
シャーレに試料を塗布し,乾燥
した後,フジツボのキプリス幼
生及び海水を入れ,一定時間後
に付着・変態した個体数を数え,
試料を塗布しない対照区と比較
して付着忌避活性を判定する方
法。
別途,毒性による付着不能によ
るものでないことを確かめる。
bioassay method
for inhibiting
activity to barnacle
larvae
7004
付着板法
一定の面積の試験板(30×30 cm,
10×30 cmなど)を一定期間海中
に浸せきし,汚損生物の付着時
期,成長などを生態的に調査す
る方法。
一般的な試験板の大きさとして
は, 30×30 cm, 10×30 cmなど
がある。浸せき期間は,1週間
〜1・3か月程度である。
test plates
immersion method
7005
ベルトトラン
セクト法
潮間帯のように垂直方向に帯状
構造を示す生物群集について,
縦断するベルト状の枠内に生息
する生物の,被度,個体数,分
布などを調査・解析する方法。
帯状法ともいう。
belt transect
method
7006
ライントラン
セクト法
帯状構造を示す生物群集を縦断
して間縄・巻尺などを張り,こ
れに触れる生物を記録して,群
落の組成を解析する方法。
line transect
method
関連規格 JIS K 5630 鋼船船底塗料防汚性浸海試験方法