2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 7403-1993
繊維強化金属の繊維配向度試験方法
Test method for preferred fiber orientation parameter
in fiber reinforced metals
1. 適用範囲 この規格は,短繊維によって一方向に強化された繊維強化金属の繊維配向度の試験方法に
ついて規定する。
備考1. この規格は,方向性をもたない短繊維強化金属に準用してもよい。その場合には,任意の方
向に基準軸を定めてもよい。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS H 7006 金属基複合材料用語
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7006によるほか,次による。
(1) 基準軸 一方向に強化された繊維強化金属の繊維方向。塑性加工を与えた材料では,塑性加工を与え
た方向。
(2) 投影基準軸 基準軸を観察面へ投影した場合の観察面上の基準軸。
(3) 投影繊維方向 繊維を観察面へ投影した場合の観察面上の繊維方向。
(4) 投影配向角 投影繊維方向と投影基準軸とのなす角度。
(5) 繊維配向度 多数の繊維についての投影配向角の程度を示す指標。この規格では,投影配向角の平均
値の絶対値と標準偏差とで表す。
3. 試験片
3.1
採取位置及び測定面 試験片は,加工開始部及び加工終了部を避けて供試体中心部から採取する。
また,測定面は,基準軸に対して垂直面とする。
3.2
形状及び寸法 試験片の形状は,丸棒,角棒又は板状のいずれかとする。丸棒試験片の直径,角棒
又は板状試験片の縦及び横の寸法は,繊維径の500倍以上とする。
4. 測定手順 測定手順は,次による。
(1) 測定面を研磨後,平たん度を損なわない程度に深く腐食し,繊維を突出させる。
(2) 顕微鏡下において,図1に示すように測定面を観察方向へ40°傾斜させる。傾斜の方向は顕微鏡の観
察視野の縦軸又は横軸と一致させ,傾斜の方向を記録し,写真撮影を行う。
2
H 7403-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 投影配向角の測定
(3) 写真撮影は,観察面を4分割したそれぞれの中心の4か所とし,1辺が平均的な繊維径の100倍程度
とする。
また,印画紙に焼き付ける場合,繊維径が3mm程度となるように焼付け倍率を調整する。
(4) 各写真上で,各辺を12〜20等分して,等間隔に正方形のけい線を引く。
(5) 写真上のけい線の交点にある繊維で,画面上で繊維のアスペクト比が2以上のものを測定の対象とす
る。二つ以上の交点にまたがる繊維は1本とする。
(6) 各測定対象繊維の投影配向角 (°) を整数第1位まで測定し,小数点以下は切り捨てる。
なお,配向角の符号は,投影基準軸に対し右側を“+”,左側を“−”として読み取る。
5. 計算
5.1
度数分布 個々の繊維の投影配向角の度数分布は,全視野の頻度の合計を100として−89°から+
89°まで中心角 (Xm) を2°ごとに設定し,その中心角ごとに±1°の範囲の度数 (fm) を百分率で小数第2
位まで求め,度数分布とする。
5.2
投影配向角の平均値 (θ) 投影配向角の平均値は,式(1)によって小数第2位まで求め,JIS Z 8401
に従って,小数第1位に丸める。
S
D
=
θ
····················································································· (1)
ここに, θ: 平均投影配向角 (°)
S: 度数の高い順に,度数が50を超えるまで加算した度数の累計。
なお,異なった中心角で同度数のものがある場合は,50を超え
ても,それらの度数をすべて累計する。
D: Sの累計の際に対象としたものについて,各中心角度 (Xm) に,
それぞれの度数 (fm) を乗じたものの和。式(2)よる。
∑
=
m
mf
X
D
·········································································· (2)
5.3
投影配向角の標準偏差 (σ) 投影配向角の標準偏差は,式(3)によって小数第2位まで求め,JIS Z
8401に従って,小数第1位に丸める。
3
H 7403-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
∑
−
=
n
m
mX
f
S
1
2)
(
1
θ
σ
····························································· (3)
ここに,
σ: 投影配向角の標準偏差
S: 度数の高いものから順に50を超えるまで加算した度数の累計
n: 累計した角度領域の数
Xm: 各中心角度 (°)
fm: 各中心角度の度数
θ: 投影配向角の平均値 (°)
5.4
繊維配向度 繊維配向度は,投影配向角の平均値 (θ) の絶対値及び標準偏差 (σ) で表示する。
6. 報告 試験結果報告書には,次の事項を記録する。
(1) 材料の種類及び製造方法
(2) 繊維の体積含有率
(3) 試験片の採取位置及び基準軸
(4) 測定繊維の数
(5) 繊維配向度及び度数分布(ただし,度数分布は受渡当事者間の協定によって省略することができる。)
関連規格 JIS H 7402 繊維強化金属中の短繊維のアスペクト比試験方法
4
H 7403-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
財団法人 大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター
JIS原案作成委員会 金属基複合材料試験方法委員会
氏名
所属
(委員長)
若 島 健 司
東京工業大学精密工学研究所
(委員長代行)
平 野 一 美
工業技術院機械技術研究所
塩 田 一 路
科学技術庁金属材料研究所
澤 田 吉 裕
工業技術院大阪工業技術試験所
二 瓶 正 俊
社団法人日本鉄鋼協会
藤 原 力
三菱重工業株式会社
木 内 晃
株式会社神戸製鋼所
伊牟田 守
川崎重工業株式会社
藤 倉 正 国
株式会社超高温材料研究センター
山 田 銑 一
株式会社豊田中央研究所
正 木 彰 樹
石川島播磨重工業株式会社
谷 川 栄 治
富士重工業株式会社
今 井 義 一
日本カーボン株式会社
小 屋 美 廣
三菱化成株式会社
山 村 武 民
宇部興産株式会社
外 山 和 男
住友金属工業株式会社
北 村 厚
東レ株式会社
志 賀 千 晃
川崎製鉄株式会社
高 橋 明 彦
住友化学工業株式会社
白 石 博 章
住友シチックス製造株式会社
茨 木 正 智
株式会社島津製作所
前 園 明 一
真空理工株式会社
荒 木 那 善
岩谷産業株式会社
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
服 部 幹 雄
工業技術院標準部
(事務局)
守 安 禎四郎
財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター
脇 坂 啓 司
財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター
繊維配向度試験方法ワーキンググループ 構成表(順不同)
氏名
所属
(委員長)
若 島 健 司
東京工業大学精密工学研究所
(ワーキンググループリーダー)
澤 田 吉 裕
工業技術院大阪工業技術試験所
塩 田 一 路
科学技術庁金属材料技術研究所
和 久 芳 春
宇部興産株式会社
山 田 銑 一
株式会社豊田中央研究所
(事務局)
守 安 禎四郎
財団法人大阪科学技術センター付属
ニューマテリアルセンター
脇 坂 啓 司
財団法人大阪科学技術センター付属
ニューマテリアルセンター