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H 7009:2016  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 分類······························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

附属書A(参考)ポーラス金属の製造プロセス及び構造に関する分類 ············································ 11 

H 7009:2016  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人大阪

科学技術センター(OSTEC)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工

業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工

業規格である。 

これによって,JIS H 7009:2008は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

JIS 

H 7009:2016 

ポーラス金属用語 

Glossary of terms used in porous and cellular metals 

適用範囲 

この規格は,ポーラス金属及びその応用に関する主な用語(以下,用語という。)について規定する。 

分類 

用語の分類は,次による。 

なお,ポーラス金属をその製造プロセス及び構造によって分類した表を,附属書Aに示す。 

a) 構造 

b) プロセス 

c) 特性 

1) 共通特性 

2) 力学特性 

3) 熱的特性 

用語及び定義 

用語及び定義は,次による。 

a) 構造 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1001 

ポーラス金属 

多数の気孔を含み,その気孔を積極的に有効利用する金属。多孔
質金属ともいう。一般に数μmから数cmの気孔径をもつ。 

porous metal 

1002 

ロータス金属 

多数の細長い気孔が同一方向に配列しているポーラス金属。 

lotus metal 

1003 

発泡金属 

ガスの発泡現象を利用して製造した多数の気泡をもつ金属。ポー
ラス金属の一種で,金属フォームともいう。また,多孔質樹脂の
骨格表面に金属を被覆し,その後,樹脂だけを焼失させて発泡状
の金属骨格を形成させた材料を発泡金属と呼ぶこともある。 

metal (lic) foam, 
foamed metal 

1004 

金属スポンジ 

三次元の網状に連続する金属線で構成された材料。ポーラス金属
のうち,気孔率の比較的大きいもの。 

metal sponge 

1005 

網状構造 

三次元的に連結する網状の骨格に囲まれた気孔をもつ構造。 

network structure 

1006 

多孔質体 

多数の気孔を含む固体物質又は構造体。多孔質体には,ポーラス
金属のほか,不規則な気孔を含む多孔質ガラス,活性炭,規則的
な気孔をもつゼオライトなどがある。 

porous material, 
porous structure 

1007 

気孔 

材料の内部に存在する空隙。 

pore, 
cavity 

1008 

セル 

りょう(稜)(エッジ)又は面(フェース)も含め一つの気孔を構
成する空間領域。多孔質体を構成する要素。材料中に少量しか含
まれない欠陥及び気孔は,明確なりょう(稜)及び面をもたない
ため,セルには含めない。 

cell 

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H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1009 

セル構造体 

多数のセルから成る構造体。 

cell structured 

material, 

cellular solid, 
cell structure, 
cellular metal 

1010 

セル壁 

気孔と気孔とを隔てる壁。セルを囲む壁面。セル膜ともいう。 

cell membrane, 
cell wall, 
face 

1011 

スキン 

ポーラス金属の外表面で気孔が存在しない領域。 

skin 

1012 

りょう(稜) 

セル構造のセル壁を縁取る部分(1010の図参照)。 

edge 

1013 

節点 

複数のりょう(稜)が集まる交点の部分(1010の図参照)。 

junction, 
node 

1014 

骨格太さ 

セル空間を囲むりょう(稜)(骨格)を形作る骨の部分の太さ。 

skeleton thickness 

1015 

セル寸法 

セルの大きさ。 

cell size 

1016 

セル形態 

形状,大きさ,割合などセルの幾何学的形態。 

cell topology, 
cell morphology, 
cell type 

1018 

異方性気孔 

形状の異方性をもつ気孔。 
注記 例えば,ロータス金属における細長い気孔などが挙げられ

る。異方性気孔では,気孔の長軸方向とその垂直方向とでは,
性質及び気孔の断面形状が異なる。 

anisotropic pore 

1019 

気孔傾き角 

異方性気孔をもつポーラス金属において,基準方向と気孔の長軸
方向との成す角度。異方性気孔をもつポーラス金属を圧縮又は引
張試験に供する場合,試験力の方向を基準方向とし,それと気孔
の長軸方向との成す角度とする。また,熱伝導率測定の場合は,
熱流方向を基準方向とする。 

inclination angle 

1020 

気孔径 

気孔の直径。異方性気孔の場合は,長軸方向が垂直となる断面の
気孔の直径。 

pore diameter 

1021 

気孔寸法 

気孔の大きさ。一般には,気孔径を用いる。 

pore size 

1022 

気孔長さ 

異方性気孔の長軸方向の長さ。 

pore length 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1023 

気孔アスペクト

比 

異方性気孔形状における気孔長さと気孔径との比。ロータス金属
に含まれる気孔では,図のように気孔径に対する気孔が伸びた方
向の長さの比。 

aspect ratio, 
pore aspect ratio 

1024 

独立気孔 

隣接する気孔との間が貫通していない気孔。ポーラス金属におけ
る気孔の存在形態の一つであり,独立気泡ともいう。 
注記1 図A.1 b) 参照。 
注記2 JIS Z 2500では,表面に通じていない気孔として,閉鎖気

孔を定義している。 

closed pore, 
closed cell 

1025 

開放気孔 

表面に通じている気孔。 

open pore, 
open cell 

1026 

連通気孔 

隣接する気孔同士が互いに連結している気孔。貫通気孔を指す場
合が多い。 
注記 図A.1 c) 参照。 

connected pore, 
open pore, 
open cell 

1027 

貫通気孔 

気孔のうち,ポーラス金属の表面から裏面までつながっていて,
流体が透過できる気孔。 

permeable pore, 
permeable cell 

1028 

かさ体積 

独立気孔,開放気孔など,全ての気孔を含めたポーラス金属の体
積。セル構造体の表面をろうなどで覆って水中に浸せき(漬)し,
排除された水の質量を量る方法,立方体,直方体,円柱などの単
純な形状に切り出して,縦・横,又は直径及び高さをノギスなど
で計測する方法などによって体積を算出する。 

bulk volume 

1029 

見掛体積 

独立気孔及び連通気孔を含めたポーラス金属の体積。開放気孔を
含めない体積をいう。表面に開放気孔を含んだまま水中に浸せき
(漬)し,排除された水の質量から算出する。 

apparent volume 

1030 

かさ密度 

質量をかさ体積で除した値。 

bulk density 

1031 

見掛密度 

質量を見掛体積で除した値。 

apparent density 

1032 

相対密度 

ポーラス金属のかさ密度とそれと同一組成で気孔のない材料の密
度との比。密度比ともいう。 

relative density 

1033 

気孔率 

かさ体積に対する気孔の体積の比率。体積百分率で表す。 

porosity, 
pore fraction, 
pore volume fraction 

1034 

貫通気孔率 

かさ体積に対する貫通した気孔の体積の比率。体積百分率で表す。 penetrated porosity 

1035 

比表面積 

開放気孔の内面も含めた全表面積を質量で除した値。 

relative surface area 

1036 

中空金属球, 
MHS 

内部に独立気孔をもつ金属球。中空金属球成形体の一要素。 

metallic hollow 

sphere 

1037 

中空金属球成形

体, 

MHS成形体 

多数の中空金属球を接合した構造物。中空金属球積層体ともいう。 metallic hollow 

sphere structure 

1038 

サンドイッチ構

造 

板材の間にポーラス金属を挟んでサンドイッチ状になった構造。 

sandwich structure 

1039 

サンドイッチパ

ネル 

板材の間にポーラス金属を挟んでサンドイッチ構造に成形したパ
ネル。 

sandwich panel, 
sandwich foam 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1040 

クローズドセル

型構造 

ポーラス金属から成る構造体のうち,セルの境界に固体があり,
セル同士が互いに分離されて独立気孔だけで構成されているも
の。 
注記 図A.1 b) 参照。 

closed cell structure 

1041 

オープンセル型

構造 

ポーラス金属から成る構造体のうち,セル構造を構成する固体が
セルのりょう(稜)部に集中し,連通気孔又は貫通気孔だけで構
成されたもの。 
注記 図A.1 c) 参照。 

open cell structure 

1042 

ロータス型構造 

ポーラス金属の構造のうち,多数の細長い気孔が同一方向に配列
されているもの。 
注記 図A.1 a) 参照。 

lotus structure 

1043 

複合気孔型構造 

ポーラス金属から成る構造体のうち,独立気孔と連通(貫通)気
孔とで構成されたもの。 
注記 図A.1 d) 参照。 

combined cell 

structure 

b) プロセス 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2001 

鋳造法 

鋳型に溶融金属を鋳込み,凝固によって製品を得る方法。 
注記 ロータス金属の製造では,金属を溶解して鋳型に注入し,凝

固時の温度降下及び固相の晶出に伴うガス溶解度の減少を
利用してガスを発生させ,気泡を形成させる。また,溶湯発
泡法(2008参照)では,溶融した金属に発泡剤を投入して
鋳型に注入し,発泡剤の分解によって生じるガスで気泡を形
成させる。 

casting process, 
casting route 

2002 

精密鋳造法 

製品模型をワックス又は樹脂で作製し,造型した後,ワックス又
は樹脂を溶かし出して作製した鋳型を用いて鋳造を行う方法。 
注記 寸法精度及び表面の滑らかさが優れている。オープンセル構

造体の製造に利用する。 

investment casting 

process 

2003 

連続鋳造法 

一般に,鋳型を用いて溶融金属を連続的に凝固させながら一方向
に引き出して長尺の鋳造品を製造する方法。 
注記 ロータス金属の場合は,ガスを溶解させた溶融金属を鋳型に

注ぎ込んで凝固させると同時に,連続的に鋳型から引き出し
て長尺のロータス金属を製造することができる。 

continuous casting 

process 

2004 

ガス溶解度差利

用法 

固相と液相とでガスの溶解度差がある場合,溶融金属が凝固する
ときに,固溶しきれないガスが気孔を形成することを利用してポ
ーラス金属を製造する方法。 
注記 ロータス金属の製造に用いる。 

fabrication method 

through gas 
solubility gap 

2005 

熱分解反応法 

ガス元素を含む化合物粉末を溶融金属に添加してガス原子を溶解
させた後に凝固させることによって,固溶しきれないガスが気孔
を形成することを利用するポーラス金属の製造法。 

thermal 

decomposition 
method 

2006 

高圧ガス法 

高圧ガス雰囲気下で溶融金属にガス原子を溶解させた後に凝固さ
せることによって,固溶しきれないガスが気孔を形成することを
利用するポーラス金属の製造法。 

high pressure gas 

method, 

pressurized gas 

method 

2007 

MHSガス吹込

成形法 

粘性の大きい金属粉スラリーに高圧のガスを吹き込んで製造した
中空金属球を焼結して,複合気孔型(表A.1参照)の成型体を製
造する方法。 
注記1 MHSは,中空金属球(1036参照)の略称。 
注記2 図A.1 d) 参照。 

MHS fabrication 

method by gas 
blowing into 
molten metal 

background image

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2008 

溶湯発泡法 

溶融金属に発泡剤を投入して直接発泡させ,凝固することによっ
て,独立気孔をもつポーラス金属を製造する方法。 

direct foaming in 

melt method 

2009 

直接ガス吹込法 

溶湯内に注入管を介してガスを吹き込み,泡立てた状態で凝固さ
せてポーラス金属を製造する方法。 

melt gas injection 

method 

2010 

一方向凝固法 

溶融金属を一方向の温度勾配下で一定の方向に凝固させ,異方性
気孔を生じさせる方法。 
注記 ロータス金属の場合,温度勾配の向きを制御することによっ

て,特定の凝固方向と気孔形成方向とを変化させ,棒の長手
方向に対して垂直な半径方向に気泡を成長させることがで
きる。 

unidirectional 

solidification, 

directional 

solidification 
method 

2011 

連続帯溶融法 

金属棒の一部分を溶融させ,その溶融部分を一端から他端まで移
動させることによって,局部的な溶融・凝固を棒の長手方向に連
続的に生じさせる方法。 
注記 単に“帯溶融法”ともいう。一般に金属棒の中の不純物を他

端に濃縮させて金属の純度を高めるのに用いられる。ロータ
ス金属の製造法にも応用する。 

continuous zone 

melting method 

2012 

粉末法 

金属粉末を原料としてポーラス金属を製造するプロセスの総称。
特に金属粉末と発泡剤,又は金属粉末と不活性ガスとをそれぞれ
混合し,圧縮・固化によってプリカーサ(2048参照)を成形した
後,加熱,発泡させてポーラス金属を製造するプロセス。 

powder metallurgical 

process, 

powder metallurgical 

route 

2013 

圧粉体 

粉末の圧縮・固化成形体。 
注記 ポーラス金属製造の場合は,金属粉末と発泡剤粉末との混合

粉を圧縮成形する場合が多い。 

compact, 
green compact 

2014 

反応焼結法 

異種粉末同士,又は粉末と雰囲気ガスとを焼結過程中に反応させ
る焼結法。焼結体内部に気孔を積極的に残留させることによるポ
ーラス金属の作製方法。 
注記 Al-Ti,Al-Niなどのポーラス金属の製造に利用する。 

reaction sintering 

method 

2015 

燃焼合成法 

化学反応によって金属間化合物などを生成する原料粉末を混合
し,圧縮成形によって圧粉体とした後,その一端を加熱して反応
を起こさせ,その反応熱によって多端に向かって連続的に合成反
応を進行させる方法。ポーラス金属の焼結体を製造することがで
きる。 
注記 一般に,着火後は外部からの加熱を必要としない。 

combustion synthesis 

process 

2016 

スラリー発泡法 

発泡剤を添加した粘性の大きい金属粉スラリーを発泡させ,乾燥
した後,焼結してポーラス金属を製造する方法。 
注記 発泡剤としてペンタン,ヘキサンなどを使用する。 

slurry foaming 

method, 

slurry applying 

method 

2017 

スラリー塗布法 

金属粉スラリーを発泡樹脂表面に塗布し,加熱して発泡樹脂を除
去することによってポーラス金属を製造する方法。 

slurry coating method 

2018 

ガス封入法 

金属粉末を不活性ガスとともに容器に封入し,加圧焼結・熱間押
出しなどによって固化成形した後,これを再び加熱し,ガスの膨
張を利用することによって,ポーラス金属を製造する方法。 

gas entrapment 

method 

2019 

スペーサ 

金属粉末を焼結してポーラス金属を製造する場合に,後工程で除
去されて空隙を生じさせることを目的とする添加物。 

spacer 

2020 

スペーサ法 

スペーサを用いてオープンセル型構造体のポーラス金属を製造す
る方法。 

spacer method, 
space holder method 

2021 

MIM法 

MIM材料(金属粉末とバインダーとの混合物)とスペーサとを混
合し,射出成形をした後,焼結又は溶媒を用いて樹脂を除去する
ことによって,オープンセル型構造体のポーラス金属を製造する
方法。 

metal injection 

molding method 

background image

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2022 

金属繊維焼結法 

金属繊維の束を焼結することによって,オープンセル型構造体の
ポーラス金属を製造する方法。 

metal fiber sintering 

method 

2023 

MHS焼結法 

多数の発泡スチレン球に金属粉スラリーをコーティングした後,
焼成してスチレンを分解させて中空金属球とし,それを焼結して
中空金属球成形体を製造する方法。 

MHS sintering 

method 

2024 

気泡 

溶融金属に溶解していたガス又は融液に吹き込まれたガスによっ
て発生する泡状の空洞。 

bubble 

2025 

泡まつ(沫) 

多数の気泡が互いに薄い液膜,固体膜などを介して接触し,集合
している状態。 

foam 

2026 

分散気泡 

液体又は固体の中に分散している気泡。 

dispersed bubble 

2027 

気泡膜 

一つ一つの気泡を取り巻いている膜。 

bubble membrane 

2028 

気泡成長 

発泡過程において,小さな気泡同士が合体して又は気泡に新たな
ガスが吸収されて,大きな気泡となる現象。 

bubble coalescence 

2029 

気泡安定性 

気泡が長い時間安定して存在する性質。 

foam stability 

2030 

気泡崩壊 

気泡がつぶれて,原形がなくなる現象。 

bubble collapse 

2031 

ドレナージ 

発泡金属製造時に,気泡を包む液膜が重力によって流下する現象。 drainage 

2032 

発泡剤 

加熱することによって分解し,ガスを発生させる材料。発泡体の
製造に用いる。 

foaming agent 

2033 

無機発泡剤 

金属水素化物,炭酸塩などの無機系の化合物から成る発泡剤。主
として金属などの融点が比較的高い材料の発泡に使用する。 

inorganic foaming 

agent, 

inorganic blowing 

agent 

2034 

有機発泡剤 

有機系の化合物から成る発泡剤。主としてゴム,プラスチックな
どの低融点材料の発泡に使用する。 

organic foaming 

agent 

2035 

発泡樹脂 

多数の気孔を含む高分子樹脂。発泡金属などを製造するためのテ
ンプレートとして使用することができ,ポリウレタンなどのスポ
ンジ状樹脂をよく使用する。 

foamed resin 

2036 

カーボン塗布 

カーボンスラリーを発泡樹脂表面に塗布する処理。通常は,カー
ボンスラリー中に発泡樹脂を浸せき(漬)し,過剰に付着したス
ラリーをロール絞りによって除去した後,乾燥させる。 

carbon coating 

2037 

MHS薄板成形

法 

薄板材の加工によって中空金属球を成形する方法。微細プレス加
工によって鈴形球を作る方法と,薄肉小径管からチューブフォー
ミングによって串団子状中空球列を作る方法とがある。 

MHS fabrication 

method by press 
forming of metal 
sheet 

2038 

導電処理 

絶縁性の多孔質樹脂表面に導電性を付与する処理。カーボンコー
ティング,金属の無電解めっき処理,スパッタリング法などがあ
る。 

electro-conductive 

coating 

2039 

液相発泡 

液体金属の状態で発泡させる手法。 

liquid state foaming 

2040 

気晶反応 

ガスの溶解している溶融金属が凝固して固相と気相とに相分離す
る反応。ロータス金属の製造法の基本原理として利用されている。 

gas-evolution 

crystallization 
reaction 

2041 

半溶融発泡 

固体と液体とが共存する状態で発泡させる手法。 

semi-solid foaming 

2042 

固相発泡 

融点以下の固体金属の状態で発泡させる手法。 

solid state foaming 

2043 

超塑性発泡 

固相発泡において,超塑性が発現する条件で発泡させる手法。通
常の固相発泡に比べて,膨張速度が速い。 

superplastic foaming 

2044 

圧延接合法 

同種又は異種の金属板を重ね合わせ,冷間又は熱間圧延によって
接合する方法。ポーラス金属の場合は,複数の金属板の間に発泡
剤粉末を挟み,圧延接合,切断及び積層の工程を繰り返すことに
よって,金属中に発泡剤を分散させ,加熱発泡させる。 

roll-bonding process 

background image

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2045 

拡散接合法 

同種若しくは異種の金属板又は金属棒を互いに密着させ,加圧し
ながら加熱して,金属界面での原子の拡散によって接合する方法。
ポーラス金属の場合は,複数の金属板の間に発泡剤粉末を挟み,
拡散接合,切断及び積層工程を繰り返すことによって,金属中に
発泡剤を分散させ,加熱によって発泡させる。 

diffusion-bonding 

process 

2046 

増粘剤 

溶湯の粘性を増加させる目的で,加熱前の粉末又は溶湯に添加す
る材料。Al2O3,SiC,CaO,CaAl2O4などのセラミックス粉末がよ
く用いられる。 

thickening agent, 
viscosity increasing 

agent 

2047 

浸出処理 

金属を含有する鉱物を酸性水溶液中に浸せき(漬)し,金属元素
を溶解・浸出させることによって金属成分を抽出する処理。金属
元素が抽出された後には,多孔質の残さ(渣)が残る。この方法
は,一般に,反応の進行が緩やかであるため,多孔質残さの生成
には長時間を要する。 

leaching 

2048 

プリカーサ 

化学反応などの二次処理によって最終の生成物を製造する前段階
の原料となる物質。前駆体ともいう。生成物がポーラス金属の場
合は,母相金属中に発泡剤を分散させ固化成形した中間製品の状
態。 

precursor 

2049 

プリカーサ法 

プリカーサを加熱して,金属相の軟化・溶融及び発泡剤の分解に
伴うガスの放出を利用してポーラス金属を製造する方法。 

precursor method 

c) 特性 

1) 共通特性 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3101 

通気抵抗 

ポーラス金属中を気体が流れるときの抵抗。流れ抵抗ともいう。 
注記 風速が0.05 cm/sのとき,厚さ1 cmのポーラス金属の単位面

積当たりの通気量で表す。吸音率を推定する目安となる。通
気抵抗が大きいほど,全体の吸音率は下がる。通気抵抗測定
装置(試験片直径88 mm)に定常気流を通し,試験片の両面
の静圧差を測定することによって算出することができる。 

flow resistance 

3102 

通気度 

単位時間及び単位面積当たりにポーラス金属中を通過する気体の
量。 

fluid permeability 

3103 

透光度 

一定の厚さの多孔質体シート上面に光を照射したときにその下面
に透過する光量の入射光量に対する割合。 

transparency 

3104 

透過係数 

流体がポーラス金属を透過するときの透過しやすさを示す係数。
透過率ともいう。 
注記 ダルシー(Darcy)の式:q=k・(Δp/μL)で定義する係数kを指

す。ここに,qは流体の透過流束,Δpは圧力損失,μは流体
の粘度,Lはポーラス金属の厚さ。 

permeability, 
permeability 

coefficient 

2) 力学特性 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3201 

不均一変形 

応力を負荷された材料全体が均一に変形する場合に対し,局所的
に不均一に生じる変形。ポーラス金属に起こりやすい。 

heterogeneous 

deformation, 

non-uniform 

deformation 

3202 

局所塑性変形性 

局所的な塑性変形が生じやすい性質。 
注記 ポーラス金属のように強度の低い物質が混在する場合に生

じやすい。 

local plasticity 

background image

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3203 

圧縮試験力−変

位曲線 

圧縮試験中の圧縮試験力を縦軸に,これに対応する圧縮変位量を
横軸にとって得られる曲線。 

compressive 

load-displacement 
curve 

3204 

圧縮応力 

圧縮試験中に試験片に加えられた圧縮試験力を,加圧方向が垂直
となる試験片断面の試験前断面積で除した値。 

compressive stress 

3205 

圧縮ひずみ 

圧縮試験中に圧縮試験力によって生じた試験片の加圧方向の高さ
変化量。この高さ変化量の試験前の高さに対する比又は比率(百
分率)で表すことが多い。 

compressive strain 

3206 

圧縮応力−ひず

み曲線 

圧縮応力と圧縮ひずみとの関係を示す曲線。 

compressive 

stress-strain curve 

3207 

初期ひずみ速度 

試験速度を試験片の初期高さで除した値。 

initial strain rate 

3208 

圧縮弾性率 

圧縮応力−ひずみ曲線の立ち上がり部における曲線の勾配が最も
大きくなる直線部分の応力増分をひずみ増分で除した値。 

注記 ISO 13314:2011では,繰返し負荷試験によるヒステリシス曲

線から弾性率[elastic gradient(勾配m)]を求める方法を規
定している。 

elastic modulus in 

compression 

3209 

圧縮耐力 

圧縮試験において試験片に規定された永久ひずみを生じさせるよ
うな圧縮応力。特に規定のない場合は,永久ひずみの値を0.2 %と
する。圧縮耐力の測定は次のオフセット法による。圧縮応力−ひ
ずみ曲線を求め,規定の永久圧縮ひずみε %に相当するひずみ軸線
上の点から,試験初期の直線部分(弾性変形部分)に平行な直線
を引き,これが曲線と交わる点の示す応力。この方法による耐力
には,σ0.2のように,規定の永久ひずみの値を付記して示す。 

compressive proof 

stress 

3210 

初期最大圧縮応

力 

圧縮応力−ひずみ曲線において,圧縮耐力を超えた直後に応力の
ピークを生じる場合,そのピークの応力値。 

initial maximum 

stress, 

initial peak stress 

3211 

プラトー領域 

圧縮応力−ひずみ曲線において,応力がほぼ一定の,比較的小さ
な勾配の応力増加で変形が進行する領域。応力がほぼ一定になっ
てから,緻密化開始応力(プラトー応力の1.3倍,3215参照)に
達するまでの範囲を指す。 

plateau region 

background image

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3212 

プラトー応力 

圧縮応力−ひずみ曲線において,プラトー領域内の応力で,通常,
20〜30 %の圧縮ひずみでの圧縮応力の平均値(3211の図参照)。 

plateau stress 

3214 

緻密化開始ひず

み 

緻密化開始応力に対応するひずみ。 
注記 ISO 13314:2011では,プラトー終端ひずみ[plateau end(緻

密化開始ひずみ)]として規定している。 

initial strain for 

densification 

3215 

緻密化開始応力 

緻密化が開始するときの圧縮応力。プラトー応力の1.3倍で規定す
る。 

initial stress for 

densification 

3218 

エネルギー吸収

量 

ポーラス金属が圧縮応力を負荷されて圧縮変形するときに成す仕
事。単位体積当たりのエネルギー吸収量は,下図の圧縮応力−ひ
ずみ曲線において,斜線を施した部分(W)の面積に相当する。面
積範囲の圧縮ひずみ上限値は,50 %又は緻密化開始ひずみとする。 

energy absorption 

3219 

エネルギー吸収

効率 

エネルギー吸収量の,測定領域における最大圧縮応力とひずみと
の積に対する比率。エネルギー吸収効率は,下図の圧縮応力−ひ
ずみ曲線において網かけ面積に対する斜線部面積(W)の割合に相
当する。面積範囲の圧縮ひずみ上限値は,50 %又は緻密化開始ひ
ずみとする。 

efficiency of energy 

absorption 

3) 熱的特性 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3301 

熱流量 

あるシステムへ又はあるシステムから単位時間に移動する熱量。
熱流ともいう。 

heat transfer rate, 
heat flow rate, 
heat flow 

3302 

熱流束 

単位面積の面(等温面)を,その面に対して垂直な方向に,単位
時間に通過する熱量。熱流密度ともいう。 

heat flux, 
heat transfer rate per 

unit area, 

heat flow rate per unit 

area 

background image

10 

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3303 

熱伝導率 

物質内を熱伝導で移動する熱の移動しやすさを示す物性値。熱流
束を熱の流れている方向(等温面に垂直な方向)の温度勾配で除
した値をいう。ポーラス金属基材の熱伝導率を示す。 

thermal conductivity 

3304 

有効熱伝導率 

ポーラス金属内を熱伝導で移動する熱の移動しやすさを示す指
標。気孔率及び気孔の形状並びに分布状態に依存する。見掛けの
熱伝導率,等価熱伝導率ともいう。 

effective thermal 

conductivity, 

apparent thermal 

conductivity 

3305 

熱抵抗 

材料内を熱伝導で移動する熱の移動しにくさを示す指標。材料の
厚さをその有効熱伝導率で除した値をいう。 

thermal resistance 

3306 

熱コンダクタン

ス 

材料内を熱伝導で移動する熱の移動しやすさを示す指標。熱抵抗
の逆数となる。 

thermal conductance 

3307 

接触熱抵抗 

材料と材料との接触表面間に生じる熱抵抗。定常状態で接触表面
間に生じる温度差を熱流束で除した値をいう。 

thermal contact 

resistance, 

thermal interfacial 

impedance 

11 

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

ポーラス金属の製造プロセス及び構造に関する分類 

ポーラス金属の製造プロセス及び構造に関する分類,材料例及び用途例を表A.1に示す。 

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12 

H 7009:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−ポーラス金属の製造プロセス及び構造に関する分類,材料例及び用途例 

構造 

製造プロセス 

溶湯法 

粉末法 

その他 

材料例 

用途例 

気孔径 

(mm) 

相対密度 

(上段) 

気孔率 

(下段) 

材料例 

用途例 

気孔径 

(mm) 

相対密度 

(上段) 

気孔率 

(下段) 

材料例 

用途例 

気孔径 

(mm) 

相対密度 

(上段) 

気孔率 

(下段) 

ロータス型
構造 

図A.1 a) 

参照 

ガス溶解

度差利用

法 

Cu 

スポーツ用品,

ヒートシンク, 

0.01〜2 

0.3〜0.9 

10〜70 % 

プリカー

サ法 

Al,Al-Si,

Al合金 

サンドイッチパ

ネルコア材,エネ

ルギー吸収材料,

軽量化部材 

0.1〜10 

0.5以下 

50 %以上 

圧延接合

法 

Al 

サンドイッチ構

造体,断熱材 

0.1〜10 

0.3〜0.7 

30〜70 % 

Ni,Mg,Al,

Ti,鉄・ステ

ンレス鋼 

スポーツ用品,

熱交換器,制振

材,強度補強材 

Zn,Mg 

軽量化部材 

独立気孔型 

(クローズ

ドセル型)
構造 

図A.1 b) 

参照 

直接ガス

吹込法 

Al 

エネルギー吸収

材料,サンドイ

ッチパネルコア

材 

5〜20 

0.03〜0.1 

90〜97 % 

ガス封入

法 

Ti,Al 

サンドイッチ構

造体,エネルギー

吸収材料,複合材

料のコア材 

0.01〜0.3 

0.5以下 

50 %以上 

拡散接合

法 

Mg 

サンドイッチ構

造体 

0.1〜10 

0.3〜0.7 

30〜70 % 

溶湯発泡

法 

Al 

エネルギー吸収

材料,サンドイ

ッチパネルコア

材,吸音材 

0.5〜5 

平均 

3〜5 

0.07〜0.2 

80〜93 % 

反応焼結

法・燃焼

合成法 

Al-Ni,Al-Ti 耐熱断熱材 

0.1〜10 

0.1〜0.9 

10〜90 % 

Ti基複合材

料,Ni-Ti 

生体硬組織代替

材料 

連通気孔型 

(オープン

セル型)構
造 

図A.1 c) 

参照 

精密鋳造
法 

Al,Cu,Ni 

熱交換器,電池

集電体,気液分

離体,気化器,

防燃材料 

1〜5 

0.05以上 

95 %以下 

焼結法 

(スペー

サ法) 

Ti,Ni,Al

など 

生体硬組織代替

材料,エネルギー

吸収材料 

0.01〜5 

0.2〜0.7 

30〜80 % 

めっき法 Ni,Ni-Cr 

電池集電体,フ

ィルタ,触媒担

持体,気化器,

自動車部品(軸

受等) 

0.4〜3.2 

0.02〜0.1 

90〜98 % 

スペーサ

法 

Al,Cu,Ti 

熱交換器,気液

分離体 

0.1〜3 

0.2以上 

80 %以下 

MIM

(スペー

サ法) 

Al,Cu 

熱交換器 

0.001 5〜 

0.7 

0.2以上 

80 %以下 

CVD法 

Ni 

電池集電体,フ

ィルタ 

0.4〜1 

0.02〜0.1 

90〜98 % 

Ti 

人工歯根 

Ni,鉄・ステ

ンレス鋼 

フィルタ,電池集

電体 

スラリー

発泡法 

Cu,Ni,Ag,

Au,鉄・ステ

ンレス鋼 

フィルタ,電池集

電体,自動車部品 

0.05〜0.6 

0.1〜0.2 

80〜90 % 

金属繊維

焼結法 

Fe,Ni,Cu,

Al,鉄・ステ

ンレス鋼 

フィルタ,吸音

材 

0.001〜

0.3 

0.05〜0.7 

30〜95 % 

スラリー

塗布法 

Fe,Ni,鉄・

ステンレス

鋼 

フィルタ,電池集

電体,自動車部品 

0.3〜3 

0.02〜0.1 

90〜98 % 

複合気孔型
構造 

図A.1 d) 

参照 

MHSガス

吹込成形

法 

鉄・ステンレ

ス鋼,Tiなど 

エネルギー吸収
材料, 

強度補強材 

0.3〜30 

0.1以上 

90 %以下 

MHS焼結
法 

図A.1 d) 

参照 

Ti,Al,Ni,

Fe,Cu,鉄・

ステンレス

鋼 

エネルギー吸収
材料, 

強度補強材, 

ヒートシンク 

0.15〜10 

0.05以上 

95 %以下 

MHS薄板

成形法 

鉄・ステンレ

ス鋼 

エネルギー吸収
材料, 

強度補強材 

1〜10 

0.1以上 

90 %以下 

2

H

 7

0

0

9

2

0

1

6

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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13 

H 7009:2016 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 独立気孔型(クローズドセル型)構造 

a) ロータス型構造 

c) 連通気孔型(オープンセル型)構造 

d) 複合気孔型構造 

図A.1−各種ポーラス金属の構造図例 

参考文献 JIS Z 2500 粉末や(冶)金用語 

ISO 13314:2011,Mechanical testing of metals−Ductility testing−Compression test for porous and 

cellular metals 

金武直幸:ポーラス金属の圧縮試験方法,塑性と加工,vol.50 (2009),1004-1008. 

L.J.Gibson, M.F.Ashby: Cellular solids: structure & properties, (1988), Pergamon Press.