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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 7002-1989 

制振材料用語 

Glossary of Terms used in Damping Materials 

1. 適用範囲 この規格は,主として金属系の制振材料に関する主な用語及び意味について規定する。 

引用規格: 

JIS C 1502 普通騒音計 

JIS C 1505 精密騒音計 

JIS C 1510 振動レベル計 

関連規格 JIS B 0153 機械振動・衝撃用語 

JIS G 0201 鉄鋼用語(熱処理) 

JIS Z 8106 音響用語(一般) 

2. 分類 用語は,次のとおり分類する。 

(1) 材料及び材料特性 

(2) 性能 

(3) 試験方法 

(4) 現象一般 

3. 用語及び意味 用語及び意味は,次のとおりとする。 

なお,参考のために対応英語を示す。 

備考1. 二つ以上の用語を並べてある場合は,その順位に従って優先的に使用する。 

2. 用語及び意味のなかで一部に [ ] を付けてある場合は,括弧の中の用字を省略してもよい。 

3. 用語及び意味のなかで一部に ( ) を付けてある場合は, ( ) の中の用語に代えてもよい。 

4. 意味に(1),(2)とあるのは,(1)及び(2)の二通りの意味があることを示す。 

(1) 材料及び材料特性 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

1001 

制振材[料], 
ダンピング材[料], 
防振材[料], 
吸振材[料] 

外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネル
ギーに変換し,吸収してしまう能力の大きい材料。 
制振鋼板,制振合金などがあるが,金属系以外にも,こ
の能力の大きな材料があり,広義に制振材[料]という
場合には,これらを含む。 

damping materials 

1002 

防音材[料] 

騒音対策で,吸音又は遮音を考慮して,特別に用いられ
る材料。 
その使用目的によって,遮音材[料]と吸音材[料]と
がある。 

acoustical materials 

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H 7002-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

1003 

制振合金, 
防振合金, 
吸振合金 

合金単体であって,外部から加えられた振動エネルギー
を,各種の機構によって,その合金材料の系内で熱エネ
ルギーに変換して消費することによって減衰させる能力
をもつ合金。 

damping alloys 

1004 

転位型制振合金, 
転位型防振合金 

交番応力によって,不純物原子によって固着されていた
転位が離脱して転位線が振動し,静履歴現象を示すこと
によって振動エネルギーを吸収する合金。 

damping alloys of 

dislocation type 

1005 

双晶型制振合金, 
双晶型防振合金 

熱弾性型マルテンサイト変態に伴う変態双晶と母相との
境界又はマルテンサイトと母相との境界の移動に関連す
る静履歴及び応力緩和によって,振動エネルギーを吸収
する合金。 

damping alloys of 

interface type 

1006 

強磁性型制振合金, 
強磁性型防振合金 

強磁性体が交番応力を受けたとき,磁区壁が非可逆的に
移動し,磁気・機械的な静履歴によって,振動エネルギ
ーを吸収する合金。 

damping alloys of 

ferromagnetic type 

1007 

複合型制振合金, 
複合型防振合金 

母相と第二相とからなる合金で,その界面における粘性
流動又は塑性流動によって,振動エネルギーを吸収する
合金。 

damping alloys of 

composite type 

1008 

制振鋼板, 
複合型制振鋼板 

鋼板と粘弾性高分子材料との組合せによって,振動エネ
ルギーを吸収する複合型板形状の材料。 
拘束型と非拘束型とがある。 

laminated damping steel 

sheets 

1009 

拘束型制振鋼板 

二枚の鋼板の間に薄い粘弾性高分子材料を挟んで,サン
ドイッチ構造にした板形状の材料。 
曲げ振動に伴う高分子材料のずり変形によって減衰能を
示す。 

laminated damping steel 

sheets of constrained 
type 

1010 

非拘束型制振鋼板 

鋼板の表面に粘弾性高分子材料のフィルム(ダンピング
シート)をはった板形状の材料。 
曲げ振動に伴う高分子材料の伸び変形によって減衰能を
示す。 

laminated damping steel 

sheets of 
unconstrained type 

1011 

圧延制振鋼板, 
圧延防振鋼板 

溝加工した鋼板を再圧延し,溝を圧縮して薄い空げきと
した板形状の材料。 
空げきを挟んだ両側面の摩擦によって,振動エネルギー
を吸収する。 

rolled high damping steel 

sheets 

1012 

片状黒鉛鋳鉄 

片状黒鉛を含むねずみ鋳鉄。 
減衰能が大きい。 

flake graphite cast iron 

1013 

圧延鋳鉄 

球状黒鉛鋳鉄を熱間で圧延加工した鋳鉄。 
高い減衰能及び機械的強度を付与したもの。 

rolled nodular cast iron 

1014 

多孔質焼結鋳鉄 

片状黒鉛鋳鉄の切削粉を圧縮成形し,焼結した材料。 
連続した空げきをもち,片状黒鉛鋳鉄の減衰能に加えて,
この空げきによる多孔質状態の減衰効果が発揮され,高
い減衰能を示す。 

porous sintered flake cast 

iron 

1015 

微細粒超塑性合金 

マイクロメートル (μm) オーダの微細な結晶粒からなる

合金で,超塑性を示すもの。 
微細結晶の合金を,その融点の0.5〜0.7程度の絶対温度
で表した温度域で,ゆっくりした速度で変形させると,
数百〜数千%の最大伸びを示すことがある。 
このような合金の中には,減衰能の高いものが多い。 

fine grained superplastic 

alloys 

1016 

制振樹脂,樹脂制振材 

制振鋼板に用いられる粘弾性高分子材料。 
樹脂に振動的な外力が加えられると,その力学的エネル
ギーのうち,粘性成分に加えられたものが,熱エネルギ
ーに変換されて散逸し,振動を減衰させる。 

damping plastics 

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H 7002-1989  

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番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

1017 

粘弾性高分子材料, 
粘弾性樹脂 

粘性と弾性とを兼ね備えた高分子材料。 

visco-elastic polymers 

1018 

共析組織 

冷却の過程で,一つの固溶体から二つ以上の固相が,密
に混合した組織への変態で生じた組織。 

eutectoid structure 

1019 

共晶組織 

冷却の過程で,一つの液相から二つ以上の固相が,密に
混合した組織への変化で生じた組織。 

eutectic structure 

1020 

析 出 

過飽和固溶体中に過剰に固溶している原子が,固溶体の
結晶格子から離脱して,新しい相を形成し,固溶体相と
新しい相とが共存した安定状態となる現象。 

precipitation 

1021 

二相混合組織 

二つの異なる相が密に混在する組織。 
共晶,共析,析出などによって形成される。 
このような組織は,複合型の減衰能を付与する。 

microduplex structure 

1022 

共晶合金 

共晶組織をもつ合金。 
共晶組織(番号1018)の項参照。 

eutectic alloys 

1023 

等軸晶組織 

結晶粒の長さがいずれの方向も,ほぼ同じであるものか
ら成り立っている組織。 

equiaxe (grain) structure 

1024 

[結晶]粒界 

隣接する結晶粒の境界。 

grain boundaries 

1025 

結晶粒度 

多結晶材の単位面積,又は単位体積当たりの粒の数で表
した結晶粒の大きさの単位。 

grain size number 

1026 

粒界腐食 

結晶粒界が選択的に腐食される現象。 

intergranular corrosion 

1027 

相変態 

一つの相から他の相に移り変わる現象。 

phase transformation 

1028 

熱弾性型マルテンサイ
ト変態 

温度変化に際し,変態による化学自由エネルギーの変化
と,変態に伴う弾性ひずみエネルギーの変化とが,平衡
を保ちながら起きるようなマルテンサイト変態。 
この種の変態では,マルテンサイトと母相との界面の整
合性がよく,マルテンサイトは,温度の微小変化に対応
して,成長又は縮小する。そして,温度ヒステリシスが
小さいのが特徴である。 

thermo-elastic 

martensitic 
transformation 

1029 

双晶 

隣接する二つの結晶粒が,同一の結晶構造をもち,かつ,
二つの結晶粒の方位が回転対称,鏡像対称などの対称関
係にある結晶。 

twin 

1030 

変態双晶 

相変態時に形成される双晶。 

transformation twin 

1031 

転位線 

結晶中に存在する格子欠陥で,線状に分布しているもの。 
転位と同意義。 

dislocation line 

1032 

磁区壁, 
磁壁 

強磁性体内部が磁気的に分割され,自発磁気をもった領
域(磁区)の境界。 
交番応力によって,磁区壁が非可逆的に移動して,磁気・
機械的な静履歴を示し,振動エネルギーを吸収すること
によって減衰能を示す。 

ferromagnetic domain 

wall 

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H 7002-1989  

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(2) 性能 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

2001 

減衰比 

線形粘性減衰をもつ系で,実際の減衰係数の臨界減衰係
数に対する比。 
量記号としてζを使う。 

c

C

C

=

ζ

mk

Cc

2

=

ここに, C:減衰係数 
 

Cc:臨界減衰係数 

m:質 量 

k:ばね定数 

damping ratio 

2002 

減衰係数, 
[線形]粘性減衰係数 

運動体に作用する抵抗力のうち,速度の一乗に比例する
抵抗力(粘性減衰力)の速度に対する比。 

damping coefficient, 
linear viscous damping 

cofficient, 

vicous damping 

cofficient 

2003 

臨界減衰係数 

減衰抵抗の作用する系の,ある振動モードに対する自由
振動において,過渡運動が振動的になるか,非振動的と
なるかの境界の粘性減衰の大きさを表す係数。 
記号としてCcを使う。 

critical damping 

cofficient 

2004 

減衰率 

自由減衰振動の変位振幅レベル(Lxで示す。)の時間微分
値の負数。 
量記号として∆tを使う。 

dt

dL

t

x

=−

2

0

log

10

XX

Lx=

ここに,X:変位振幅 

X0:基準値 

decay rate 

2005 

対数減衰率 

振動の振幅が時間とともに指数関数的に減少するとき,
相い続くサイクルにおける同じ向きの最大値の比の自然
対数。量記号としてδ又はΛを使う。 

単位名はネパー,単位記号はNpである。 

logarithmic decrement 

2006 

損失係数 

複素弾性係数の虚数部を実数部で除した値。 
損失正接ともいう。 
量記号としてηを使う。 

π

φ

θ

η

2

tan=

=E

E

′′

ここに,θ:損失角 

φ:減衰能 

Eʼ:複素弾性係数の実数部 

loss factor 

2007 

複素弾性係数, 
複素弾性率 

損失係数を含んだ弾性係数。 
量記号としてEを使う。 

E

E

E

′′

1

(

)

η

1

1

=E

ここに,Eʼ:複素弾性係数の実数部 

E”:複素弾性係数の虚数部 

η:損失係数 

complex modulus of 

elasticity 

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H 7002-1989  

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番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

2008 

複素ばね定数 

複素弾性係数において,弾性係数をばね定数に読み替え
たもの。 

complex stiffness 

2009 

減衰能 

振動の1周期中に消散されるエネルギーの最大ポテンシ
ャルエネルギーに対する比。 
量記号としてφを使う。 

n

n

f

f

f

f

πη

πζ

φ

2

4

=

=

ここに,ζ:減衰比 

η:損失係数 

f:振動数 
fn:固有振動数 

damping capacity 

2010 

固有減衰容量, 
固有減衰能 

固有振動数での最大ポテンシャルエネルギーと1サイク
ル中に消散するエネルギーの比。 
量記号としてφφを使う。 

φ0=4πζ=2πη=2δ 

ここに,ζ:減衰比 

η:損失係数 

δ(又はΛ):対数減衰率 

specific damping 

capacity 

2011 

固有減衰係数, 
比減衰係数, 
SDI値 

材料の減衰能を表す指標の一つ。 
材料の0.2%引張永久ひずみに相当する応力(0.2%耐力)
の101のせん断応力振幅を用いて,ねじり振動法で測定し

た場合に得られる固有減衰能。 

specific damping index 

2012 

共振ピーク 

周波数応答曲線に現れる系の固有振動数付近の応答極大
値。 
この値は,減衰係数によって定まる。 

resonance peak 

2013 

Q 値, 

振動系の共振の鋭さを表す量。 
共振振動数での振動系のエネルギー(機械振動系では運
動エネルギーと位置エネルギーとの和)と,一定振幅を
持続するために外部から与えられる1サイクル当たりの
エネルギーとの比の2π倍で定義する。 
対数減衰率の逆数のπ倍に等しい。 

Q factor 

2014 

半値幅, 
半価幅 

振動変位の周波数応答曲線の共振ピークから3dB下がっ
た点の周波数幅。 
量記号として∆fを使う。 

∆f=f2−f1 

ここに,f1:下限周波数 

f2:上限周波数 

half-power band width 

2015 

機械インピーダンス 

単振動をする機械系のある点の力 (F) と,同じ点,又は
異なる点の速度 (V) との複素数比。 
量記号としてZmを使い,単位記号はN・s/mである。 

Zm=F/V 

備考 ねじり振動系に対しては,力及び速度をそれ

ぞれトルク及び角速度に置き換える。 

mechanical impedance 

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番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

2016 

複素モビリティ 

機械インピーダンスの逆数。 
単振動をする機械系のある点の速度と同じ点,又は異な
る点の力との複素数比。 
量記号としてYを使う。 

F

V

Y=

complex mobility 

2017 

複素コンプライアン
ス, 
複素リセプタンス 

弾性体の応答変位 (X) と弾性体に作用する周期的な加
振力 (F) との比。 
量記号としてRを使う。 

F

X

R=

complex compliance, 
complex receptance 

(3) 試験方法 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

3001 

半値幅法, 
半価幅法 

試料を適当な方法で支持し,周波数可変の加振器で加振
したときの周波数応答曲線の半値幅(半価幅)から損失
係数を求める方法。 

half-power band width 

method 

3002 

共振法 

半値幅(半価幅)法と同義。 

resonance method 

3003 

機械インピーダンス法 

機械インピーダンス線図から損失係数を求める方法。 
機械インピーダンス線図とは,横軸に周波数,縦軸に機
械インピーダンスを両対数目盛グラフ上に,質量とばね
定数とをパラメータとした線図を乗せたグラフで,機械
インピーダンスの測定記録に用いられる。 

mechanical impedance 

method 

3004 

減衰法 

試料を共振周波数で加振し,加振力を除去した後の減衰
から損失係数を求める方法。 

vibration decay method 

3005 

自由減衰法 

試料に変形を与え,拘束力を除去した後の自由振動の減
衰から損失係数を求める方法。 

free vibration decay 

method 

3006 

自由端横振動法 

両端が自由な状態で水平に置かれた板状,角柱状又は丸
棒状の試験片を,その振動の節点で摩擦が少ないように
支え,電磁的又は静電的に外力を加えて強制振動(横振
動)を行わせた後,外力を除去した状態で振動振幅の減
衰を測定する方法。 
材料の内部摩擦を精度高く測定できる基本的な測定法で
ある。 

free-free transverse 

vibration method 

3007 

ねじり振子法 
(ねじり振動法) 

ねじり振子に振動を与え,加振力を除去した後のねじれ
の減少割合から対数減衰率を求める方法。 
ねじり振子とは,針金状試験片の一端を固定し,その先
におもりを付けてねじり振動させるものをいい,ねじれ
角が周期的に変化する弾性振動が起こる。 

torsion pendulum 

method 

3008 

拡散振動法 

二次元パネルの損失係数を求める方法。 
曲げ波の波長に比べて十分大きなパネルを不規則振動で
加振し,加振力を除去した後の減衰,又は加振パワーと
拡散振動速度から求める。 

diffused vibration 

method 

3009 

残響振動法 

減衰法又は拡散振動法で加振力を除去した後の振動レベ
ルが60dB減衰する残響時間から損失係数を算出する方
法。 

reverberant vibration 

method 

3010 

距離的減衰法 

短冊形試料の一端を無反射支持し,他端を加振し,加振
側からの距離による振動の減衰から損失係数を求める方
法。 

distance attination 

method 

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H 7002-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 現象一般 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

4001 

振動[エネルギー]吸
収機構 

物体に加えられた機械的振動エネルギーを,物体内部で
熱エネルギーに変換させる機構。 

dissipation mechanism of 

vibration energy 

4002 

内部摩擦, 
内 耗 

物体に加えられた機械的振動エネルギーが,内部の欠陥
や内部構造の変化で熱として失われ,振動が減衰する現
象。 

internal friction 

4003 

振幅依存性内部摩擦 

振動振幅の大きさによって,大きさが変化する内部摩擦。 amplitude dependent 

internal friction 

4004 

静履歴 

低振幅の条件下で,振幅依存性の内部摩擦を生じる応力
とひずみとの関係図の中に描かれる閉曲線。 
この現象は,転位型,双晶型及び強磁性型のそれぞれの
防振合金にみられる。 

static hysteresis 

4005 

静履歴型エネルギー損
失 

静履歴の閉曲線で囲まれる面積に相当するエネルギー
が,1サイクル中に失われる現象。 

energy loss of hysteresis 

type 

4006 

動履歴 

粘弾性体に加えられた応力が除去されると,弾性ひずみ
は時間の経過とともに,徐々に回復するが,粘性流動し
た分のひずみは残留する現象を,応力とひずみとの関係
図の中に描いた閉曲線。 
この現象には,周波数依存性がある。 

dynamic hysteresis 

(visco-elasticity)  

4007 

粘弾性ヒステリシス 

粘弾性体に生じる動履歴。 

visco-elastic hysteresis 

4008 

磁場効果 

外部磁界が加わると強磁性体の減衰能が,減少する効果。 
磁界の強さが,その飽和磁界に達すると,減衰能は消失
する。 

magnetic field effect 

4009 

磁わい(歪) 

磁場の作用によって強磁性体に生じるひずみ。 

magneto striction 

4010 

最大せん断ひずみ振幅 

振動する物体各部におけるせん断ひずみのうち最大の振
幅値。 

maximum shear strain 

amplitude 

4011 

応力緩和 

ひずみ一定のもとで,材料に掛かっている応力が時間と
ともに次第に低下していく現象。 
時間の経過とともに塑性ひずみ成分が増すと,その分だ
け弾性ひずみ成分が減少し,応力低下を生じる。 

stress relaxation 

4012 

共振破壊 

共振(共鳴)現象で高められた振動振幅によってもたら
される材料の破壊。 

resonance fracture 

4013 

強制振動 

振動系に周期的な外力を加えているときに現れる振動。 forced vibration 

4014 

自由振動 

励起振動を取り除いた後に起こる振動。 
自由振動では,その物体の固有振動数で振動する。 

free vibration 

4015 

自励振動 

非振動的なエネルギーがその系の内部で,振動的な励起
振動に変換されて発生する振動。 

self-excited vibration 

4016 

材料減衰 

材料の内部摩擦による減衰。 

material damping 

4017 

構造減衰 

構造物の減衰の一つであり,同種材料又は異種材料の組
合せ構造によって生じる減衰。 

structural damping 

4018 

周波数応答 

入力信号の周波数の関数として表された出力信号の量的
表現。 

frequency response 

4019 

部分構造合成法 

大規模構造系を幾つかの部分構造系に分割し,それぞれ
の振動特性から全体系の振動特性を求める振動解析手
法。 

building block approach 

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H 7002-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

4020 

モード(振動)解析 

(1) 応答解析を各モードごとに行い,その応答波形を加

算して系全体の応答波形を求めること。 

(2) 各モードごとの最大応答値を求め,適当な加算法に

よって系全体の最大応答推定値を求めること。 
備考 多自由度系又は連続体の応答を求める手法で

あって,その固有モードが互いに独立である
として扱える系に適用する。 

modal analysis 

4021 

モードパラメータ 

固有振動数,固有モード,モード質量,モード減衰及び
モード剛性の総称。 
多自由度系の振動を主座標について記述するときの各固
有モードの特性を表すために用いられるパラメータ。 

modal parameter 

4022 

モード質量 

多自由度系における振動を固有モードごとに分けて論じ
る場合,ある固有モードに対応する質量。 

modal mass 

4023 

モード減衰 

多自由度系における振動を固有モードごとに分けて論じ
る場合,ある固有モードに対応する減衰。 

modal damping 

4024 

モード剛性 

多自由度系における振動を固有モードごとに分けて論じ
る場合,ある固有モードに対応する剛性。 

modal stiffness 

4025 

振動レベル 

JIS C 1510(振動レベル計)に規定される振動感覚補正
を行った振動加速度の実効値を,基準の振動加速度 
(10-5m/s2) で除した値の常用対数の20倍。 
単位記号はdBである。 

vibration level 

4026 

騒音レベル[A特性] 

JIS C 1502(普通騒音計)又はJIS C 1505(精密騒音計)
に規定されるA特性で,重み付けした音圧の実効値PA
の2乗を,基準音圧P0 (20μPa) の2乗で除した値の常用

対数の10倍の値。 
騒音レベルLは次の式で定義される。 

2

0

2

log

10

P

P

L

A

単位記号はdBである。 

A-weighted sound 

pressure level 

4027 

音圧レベル 

ある音の音圧の実効値の2乗と基準の音圧の2乗との比
の常用対数の10倍の値。 
基準音圧は空気中の音の場合20μPaである。 

量記号はLp,単位記号はdBである。 

sound pressure level in 

decibels 

4028 

音の強さのレベル 

ある音の強さと基準の音の強さとの比の常用対数の10
倍の値。 
基準の音の強さは空気中の音の場合,1pW/m2。 
量記号はL,単位記号はdBである。 

sound intensity level in 

decibels 

4029 

音響パワーレベル 

ある音響パワーと基準の音響パワーとの比の常用対数の
10倍の値。 
基準の音響パワーは1pW。 
量記号はLw又はLp,単位記号はdBである。 

sound power level in 

decibels 

4030 

音の透過損失 

壁などの材料へ入射する音響パワーと透過した音響パワ
ーとの比の常用対数の10倍の値。 
量記号はR,単位記号はdBである。 

sound reduction index, 

sound transmission 
loss 

4031 

残響時間 

室の中の音響エネルギー密度が定常状態にあったとき,
音源からの音を停止した後,60dB減少するのに要する時
間。 
量記号はT,単位記号はsである。 

reverberation time 

4032 

伝ぱ(播)速度 

伝ぱ(播)する音波の方向と速さを特定するベクトル量。 
単位記号はm/sである。 

sound wave velocity 

background image

H 7002-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

4033 

定在波 

同一周波数の自由進行波の干渉によって生じる空間的な
振幅分布の定まった波。 

standing wave 

4034 

白色雑音, 
ホワイトノイズ 

単位周波数帯域 (1Hz) に含まれる波の成分の強さが,周
波数に無関係に一定である性質をもつ雑音。 

white noise 

4035 

ピンクノイズ 

単位周波数帯域 (1Hz) に含まれる波の成分の強さが周
波数に反比例する性質をもつ雑音。 

pink noise 

JIS原案作成委員会 制振材料用語分科会 委員構成表 

氏名 

所属 

(主 査) 

杉 本 孝 一 

関西大学工学部 

(幹 事) 

佐 治 重 興 

大阪大学工学部 

北 嶋 弘 一 

関西大学工学部 

植 村 幸 生 

阪南大学商学部 

背 戸 一 登 

防衛大学校機械工学教室 

岩 壺 卓 三 

神戸大学工学部 

加 藤 康 宏 

工業技術院標準部 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

筑 田 昌 宏 

株式会社神戸製鋼所技術開発本部 

赤 松 克 児 

三菱重工業株式会社高砂研究所 

田 中 利 之 

シャープ株式会社技術本部 

高 橋   睦 

マツダ株式会社技術研究所 

松 下 修 巳 

株式会社日立製作所機械研究所 

鶴 本 浩 規 

オンキョー株式会社音響技術研究所 

田 中 義 和 

山陽特殊製鋼株式会社技術研究所 

加 藤 剛 志 

大同特殊鋼株式会社研究開発本部 

(事務局) 

宮 崎 剛 直 

財団法人大阪科学技術センター付属ニュー

マテリアルセンター 

斉 藤 恭 寛 

財団法人大阪科学技術センター付属ニュー

マテリアルセンター 

(関係者) 

近 藤   弘 

工業技術院標準部材料規格課 

津 金 秀 幸 

工業技術院標準部材料規格課 

斉 藤 和 則 

工業技術院標準部材料規格課