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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 5301-1990 

亜鉛合金ダイカスト 

Zinc Alloys Die Castings 

1. 適用範囲 この規格は,亜鉛合金ダイカスト(以下,ダイカストという。)について規定する。 

引用規格: 

JIS B 0403 鋳造品−寸法公差方式 

JIS B 0409 ダイカスト普通許容差 

JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則 

JIS H 1551 ダイカスト亜鉛合金分析方法 

JIS H 1560 ダイカスト亜鉛合金の発光分光分析方法 

JIS H 2201 ダイカスト用亜鉛合金塊 

関連規格:JIS H 8617 ニッケル及びニッケル・クロムめっき 

JIS H 8620 工業用金及び金合金めっき 

JIS H 8621 工業用銀めっき 

JIS Z 2242 金属材料衝撃試験方法 

2. 種類及び記号 種類及び記号は,化学成分によって表1のとおり区分する。 

表1 種類及び記号 

種類 

記号 

参考 

合金系 

類似合金 

合金の特色 

使用部品例 

亜鉛合金ダイカスト 

1 種 

ZDC1 

Zn−Al−Cu系 

ASTM 

機械的性質及び耐食
性が優れている。 

自動車ブレーキピスト
ン・シートベルト巻取金
具キャンバスプライヤー 

AC41A 

亜鉛合金ダイカスト 

2 種 

ZDC2 

Zn−Al系 

ASTM 

鋳造性及びめっき性
が優れている。 

自動車ラジエーターグリ
ルモール・キャブレター,
VTRドラムベース・テー
プヘッド・CPコネクター 

AG40A 

3. 品質 品質は次による。 

(1) 使用上有害な割れや鋳巣などの欠陥があってはならない。 

(2) 埋め金や溶接によって補修してはならない。ただし,欠陥部分が小さくて注文者が使用上差し支えな

いと認めたときは補修することができる。なお,注文者の承認を得て,漏れ止めの処理を行うことが

できる。 

(3) 化学成分は,表2による。 

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H 5301-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 化学成分 

単位 % 

種類 

記号 

化学成分 

Al 

Cu 

Mg 

Fe 

Zn 

不純物 

Pb 

Cd 

Sn 

1 種 

ZDC1 

3.5〜4.3 0.75〜1.25 0.020〜0.06 0.10以下 残 部 0.005以下 0.004以下 0.003以下 

2 種 

ZDC2 

3.5〜4.3 0.25以下 0.020〜0.06 0.10以下 残 部 0.005以下 0.004以下 0.003以下 

4. 形状,寸法及び質量 形状,寸法及び質量は,図面又は模型による。寸法許容差は,注文者の指定に

よる。ただし,寸法許容差の指定のない部分には,JIS B 0403(鋳造品−寸法公差方式)又はJIS B 0409

(ダイカスト普通許容差)を適用することができる。 

5. 材料 材料は,JIS H 2201(ダイカスト用亜鉛合金塊)を用いる。 

6. 試験 

6.1 

分析試験 分析試験は,次のいずれかによる。 

(1) JIS H 1551(ダイカスト亜鉛合金分析方法) 

(2) JIS H 1560(ダイカスト亜鉛合金の発光分光分析方法) 

6.2 

空圧及び液圧試験 空圧及び液圧試験は,注文者の指定によって行う。 

7. 検査 検査は,次のとおり行う。 

(1) 外観,寸法を検査するとともに,6.によって試験を行い,3.及び4.の規定に合格しなければならない。 

(2) 分析試料は,特に指定のない限りダイカストから取る。 

(3) 分析試験の成績表は,注文者の要求があったものに限り提出する。 

(4) その他一般事項は,JIS H 0321(非鉄金属材料の検査通則)による。 

8. 表示 ダイカストには適当な方法によって,次の事項を表示する。 

(1) 種類の記号 

(2) 製造年月日又はその略号 

(3) 製造番号 

(4) 製造業者名又はその略号 

参考 

1. 化学成分 本体表2に示す各ダイカストの主成分は,含有量の範囲を示すものである。同表の不純物

の,鉛,カドミウム及びすずは,亜鉛合金の粒間腐食の原因となるので,その合計は,0.010%を超えない

ように管理(1)すべきである。 

注(1) 社団法人日本ダイカスト協会(〒105東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館内,電話

03-434-1885)の亜鉛合金ダイカスト品質証明制度などの方法によって,製造業者は常に化学成

分の分析管理を行う必要がある。 

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H 5301-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. 機械的性質 参考表1は,参考図1,2に示すダイカストした試験片について,21℃で試験したASTM

の値を引用したものである。 

備考 参考表1にある鋳放しのダイカストから切り出した試験片において,引張強さ及び衝撃値の数

値の{ }は,国際単位系 (SI) による表記である。平成3年1月1日以降,非鉄金属部会の

SI移行指針に従って,{ }内の数値を使用するものとする。 

参考表1 ダイカストした試験片の機械的性質(2) 

種類 

記号 

引張試験 

衝撃値 

kgf・m/cm2  

{N・m/cm2} 

硬さHB 

(10/500)  

引張強さ 

kgf/mm2 {N/mm2} 

伸び 

1 種 

ZDC1 

33 {325} 

 7 

16 {160} 

91 

2 種 

ZDC2 

29 {285} 

10 

14 {140} 

82 

注(2) 断面積6.35×6.35mm2,ハンマーの刃先r=8mm 

なお,引張試験の引張速度は12mm/minを超えてはならない。 
また,参考表1の衝撃値は,JIS Z 2242(金属材料衝撃試験方法)に規

定するシャルピー衝撃試験機(ハンマーの刃先r=1mm,容量15kgf・mm 
{147N・m})を用いて試験した場合は10kgf・m/cm2 {98N・m/cm2} になる。 

参考図1 ダイカスト引張試験片 

参考図2 ダイカスト衝撃試験片及び硬さ試験片 

3. めっき 亜鉛合金ダイカストにめっきを施す場合は,JIS H 8617(ニッケル及びニッケル・クロムめ

っき),JIS H 8620(工業用金及び金合金めっき)及びJIS H 8621(工業用銀めっき)を参考にするとよい。 

4. 類似合金記号 参考表2にJIS H 5301相当の諸外国規格の規格番号及び類似合金の記号を示す。 

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H 5301-1990  

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参考表2 類似合金記号 

JIS 

H 5301 

(1990) 

FS 

QQ-Z-363 B 

(1972) 

ASTM 

B 86 

(1988) 

SAE 

J 468 b 

(1983) 

NF 

A 55-010 

(1987) 

BS 

1004 

(1972) 

DIN 

1743 

(1978) 

ISO 

301 

(1981)  

1 種 

ZDC1 

AC41A 

AC41A 

925 

Z-A4U1G 

GD-ZnAl4Cu1 

ZnAl4Cu1 

2 種 

ZDC2 

AG40A 

AG40A 

903 

Z-A4G 

GD-ZnAl4 

ZnAl4 

5. 使用部品例 参考表3に亜鉛ダイカストの使用部品例を示す。 

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H 5301-1990  

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参考表3 使用部品例 

* 印はZDC1で製造されたもの 

無印はZDC2で製造されたもの 

自動車 

ラジエーターグリル,エンブレム,モー

ル,ヘッドライト枠,バックミラーステ

ー,ミラーベース,ドアヒンジ,アウタ

ードアハンドル,インナードアハンドル,

ドアフレームキャブレター(メインボデ

ー,ウォーターネック,イヤホーン),ブ

レーキピストン*,ハンドル,ルーバー,

ホーンリング,リアコンビネーションラ

ンプリム,ステアリングサポート,シー

トベルト巻取金具*,シリンダ錠,ヘルメ

ット錠ボデー 

置時計 

枠,ケース 

サッシ 

錠前,ドアハンドル,ドア附属金具 

消火器 

キャップ 

釣具リール 

回転枠,マスターギヤ* 

ハンドル軸,ハンドル 

モーターボート 

ライト枠 

がん具 

ミニモデル,ピストルなど 

自動販売機 

コイン投入口,コインアクセプター, 

コインセレクター,プレート,マスク,

搬送部 

楽器 

ドラム金具,ギター金具,管楽器金具 

喫煙具 

灰皿,ライター部品 

農業機械 

変速掛金,変速案内板,ギヤボックス,

Vプーリー,田植機案内ブラケット,フ

ィルターボディ,コックボディ,コック

レバー 

オルゴール 

フレーム 

手鏡 

柄 

ミシン 

ヘッド,ケース,オイルパン,歯車 

バリカン 

柄 

LPガス機器 

ガスコック,調整器 

バスルーム 

アクセサリー 

シャワー掛け,水洗タンクレバー 

ガスこんろ 

ガスコック,カム,ホース差込口 

一輪差し 

本体 

ガスメータ 

ガス分配器 

飾り皿 

本体 

モータ 

ケース,ハウジング,ギヤボックス,軸

受 

ワインカップ 

本体 

冷蔵庫 

ハンドル,ヒンジ 

メダル 

本体 

冷凍庫 

ハンドル,ヒンジ 

かばん 

金具 

コンピューター 

コネクター 

金庫 

ハンドル,かぎ 

衛星放送 

本体,カバー 

ナンバリング 

フレーム 

VTR 

ハンドル,テープヘッド部品,ローディ

ングリング,ドラムベース,フット,レ

バー,フライホイール 

鉛筆削り 

カッターホルダー 

あわ立て機 

ギヤ,フレーム 

レコードプレーヤー ターンテーブル,トーンアームアーム受

け,アームベース,軸受,バランスウエ

イト,フライホイール,内架台 

コーヒー沸し台 

本体 

かん切り 

フレーム 

せんぬき* 

本体 

ステレオ 

前面枠,パネル 

くるみ割り* 

本体 

CDプレーヤー 

ピックアップ,ハウジング 

キャンパス 

本体 

無線機 

スペーサー,鏡体 

裁断機 

ヘッド 

テープレコーダー 

ハンドル,軸受ホルダー,フライホイー

ル,コアホルダー,フレーム 

ポスト 

差入口 

テレックス 

サイドフレーム 

ドア飾り 

金具 

電気計測器 

ケース,ペース,外枠 

シリンダー錠 

本体 

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H 5301-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

カメラ 

制御カム,巻き上げレバー,セルフタイ

マーレバー,パネル,アダプター,軸,

カム,ギヤ,三脚座,ASA板 

数字合わせ錠 

本体 

シャンデリア 

部品 

8ミリカメラ 

フレーム枠 

家具,机,たんす 

引き手 

映写機 

ホルダーヘッド 

洋服掛け,帽子掛け 金具 

亜鉛合金ダイカスト改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

千々岩 健 児 

千葉工業大学工学部 

(幹事) 

神 尾 彰 彦 

東京工業大学工学部 

麻 田   宏 

東京大学 

津 村 善 重 

芝浦工業大学 

橋 本 久 義 

通商産業省機械情報産業局 

加 藤 康 宏 

工業技術院標準部 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

近 田 敏 弘 

トヨタ自動車株式会社第5技術部 

高 瀬 俊 郎 

日産自動車株式会社第二技術部 

初 谷   昭 

ホンダエンジニアリング株式会社第五設計グループ 

山 田   徹 

ヤマハ発動機株式会社 

上 田 喜 一 

久保田鉄工株式会社内燃機器開発推進部 

中 田 秦 輔 

株式会社日立製作所小田原工場素材技術グループ 

佐 藤 俊 作 

松下電器産業株式会社 

河 本   央 

リョービ株式会社 

早 川 威 明 

株式会社アーレスティ研究所 

林   陽一郎 

三井金属鉱業株式会社機器事業部 

植 原 寅 蔵 

古河鋳造株式会社 

小 池 末 吉 

株式会社東京軽合金製作所 

橋 口 光 男 

社団法人日本アルミニウム合金協会 

金 子 昌 雄 

社団法人日本ダイカスト協会 

(関係者) 

近 藤   弘 

工業技術院標準部材料規格課 

斉 藤 和 則 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

釜 田 謙 一 

社団法人日本ダイカスト協会