H 4202:2018
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 品質······························································································································· 3
5.1 外観 ···························································································································· 3
5.2 化学成分 ······················································································································ 3
5.3 機械的性質 ··················································································································· 5
6 寸法及びその許容差 ·········································································································· 6
6.1 寸法 ···························································································································· 6
6.2 寸法の許容差 ················································································································ 6
7 試験······························································································································· 8
7.1 分析試験 ······················································································································ 8
7.2 引張試験 ······················································································································ 8
8 検査······························································································································· 8
9 表示······························································································································· 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
H 4202:2018
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
マグネシウム協会(JMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業
規格である。
これによって,JIS H 4202:2011は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。
特許番号
特許権の名称
所有者
有効期限
3030338号 高強度難燃性マグネシウム合金の製造方法 国立研究開発法人産業技術総合研究所 2018年10月5日
4415098号 難燃性マグネシウム合金押出材の製造方法
及びその押出材
国立研究開発法人産業技術総合研究所 2025年3月15日
5035893号 高強度高延性難燃性マグネシウム合金及び
その製造方法
国立研究開発法人産業技術総合研究所 2027年8月30日
3905115号 高強度高靭性マグネシウム合金及びその製
造方法
河村能人
2024年11月26日
4500916号 マグネシウム合金及びその製造方法
国立大学法人熊本大学
本田技研工業株式会社
不二ライトメタル株式会社
株式会社日本製鋼所
2024年9月28日
5024705号 マグネシウム合金材およびその製造方法
株式会社神戸製鋼所
日産自動車株式会社
国立大学法人熊本大学
2027年11月16日
上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施
の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対
しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。
この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ
る。
この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣及び日本工業標
準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。
なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。
日本工業規格 JIS
H 4202:2018
マグネシウム合金継目無管
Magnesium alloy seamless pipes and tubes
序文
この規格は,2007年に第4版として発行されたISO 3116を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,押出加工及び引抜加工によって製造した,断面が円形のマグネシウム合金継目無管(以下,
管という。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3116:2007,Magnesium and magnesium alloys−Wrought magnesium alloys(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 0001 アルミニウム,マグネシウム及びそれらの合金−質別記号
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS H 1331 マグネシウム及びマグネシウム合金−分析用試料採取方法及び分析方法通則
JIS H 1332 マグネシウム及びマグネシウム合金中のアルミニウム定量方法
JIS H 1333 マグネシウム及びマグネシウム合金中の亜鉛定量方法
JIS H 1334 マグネシウム及びマグネシウム合金中のマンガン定量方法
JIS H 1335 マグネシウム及びマグネシウム合金中のけい素定量方法
JIS H 1336 マグネシウム及びマグネシウム合金中の銅定量方法
JIS H 1337 マグネシウム及びマグネシウム合金中のニッケル定量方法
JIS H 1338 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉄定量方法
JIS H 1340 マグネシウム合金中のジルコニウム定量方法
JIS H 1341 マグネシウム合金中のカルシウム定量方法
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
2
H 4202:2018
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
管(tube)
全長にわたってただ一つの中空部及び均一な断面かつ均一な肉厚をもつ,断面が円形の中空展伸材。
4
種類
管の種類は,押出管22種及び引抜管18種に区分し,その種類の記号は,表1及び表2による。
表1−押出管の種類の記号
種類の記号
ISO 3116による記号
(参考)
JIS H 4202:2011(旧規格)
による種類(参考)
JIS H 4202:2011(旧規格)
による種類の記号(参考)
MTE-AZ31B
ISO-MgAl3Zn1(A)
1種B
MT1B
MTE-AZ31C
ISO-MgAl3Zn1(B)
1種C
MT1C
MTE-AZX311
−
−
−
MTE-AZ61
ISO-MgAl6Zn1
2種
MT2
MTE-AZX611
−
−
−
MTE-AZX612
−
−
−
MTE-AZ80
ISO-MgAl8Zn
3種
MT3
MTE-AZ91
−
−
−
MTE-AZX911
−
−
−
MTE-AZX912
−
−
−
MTE-AM60
−
−
−
MTE-AXM410
−
−
−
MTE-AXM510
−
−
−
MTE-AXM610
−
−
−
MTE-AXM620
−
−
−
MTE-ZK30
ISO-MgZn3Zr
5種
MT5
MTE-ZK60
ISO-MgZn6Zr
6種
MT6
MTE-M1
ISO-MgMn2
8種
MT8
MTE-ZM21
ISO-MgZn2Mn1
9種
MT9
MTE-LZ91
−
−
−
MTE-WZ73
−
−
−
MTE-WZ75
−
−
−
表4の質別記号は,この表の種類の記号の後にハイフン“-”とともに表記する。
例 MTE-AZ31B-F
3
H 4202:2018
表2−引抜管の種類の記号
種類の記号
ISO 3116による記号
(参考)
JIS H 4202:2011(旧規格)
による種類(参考)
JIS H 4202:2011(旧規格)
による種類の記号(参考)
MTD-AZ31B
−
−
−
MTD-AZ31C
−
−
−
MTD-AZX311
−
−
−
MTD-AZ61
−
−
−
MTD-AZX611
−
−
−
MTD-AZX612
−
−
−
MTD-AZ80
−
−
−
MTD-AZ91
−
−
−
MTD-AZX911
−
−
−
MTD-AZX912
−
−
−
MTD-AM60
−
−
−
MTD-AXM410
−
−
−
MTD-AXM510
−
−
−
MTD-AXM610
−
−
−
MTD-AXM620
−
−
−
MTD-LZ91
−
−
−
MTD-WZ73
−
−
−
MTD-WZ75
−
−
−
表4の質別記号は,この表の種類の記号の後にハイフン“-”とともに表記する。
例 MTD-AZ31B-F
5
品質
5.1
外観
管は,きず(例えば,穴,切欠き,しみ,溝など),割れなどの,使用上有害な欠点があってはならない。
なお,外観の合否判定基準は,受渡当事者間の協定による。
5.2
化学成分
管は,7.1によって試験を行い,その化学成分は,表3による。
4
H 4202:2018
表3−化学成分
単位 %
種類の記号
Mg
Al
Zn
Mn
Zr
Fe
Si
Cu
Ni
Ca
Li
Y
その他a)
個々
合計
MTE-AZ31B
MTD-AZ31B
残部
2.4〜
3.6
0.50〜
1.5
0.15〜
1.0
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.04
以下
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZ31C
MTD-AZ31C
残部
2.4〜
3.6
0.5〜
1.5
0.05〜
0.4
−
0.05
以下
0.1
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZX311
MTD-AZX311
残部
2.4〜
3.6
0.50〜
1.5
0.15〜
1.0
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZ61
MTD-AZ61
残部
5.5〜
6.5
0.50〜
1.5
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZX611
MTD-AZX611
残部
5.5〜
6.5
0.50〜
1.5
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZX612
MTD-AZX612
残部
5.5〜
6.5
0.50〜
1.5
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
1.6〜
2.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZ80
MTD-AZ80
残部
7.8〜
9.2
0.20〜
0.8
0.12〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZ91
MTD-AZ91
残部
8.6〜
9.5
0.35〜
1.0
0.15〜
0.5
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZX911
MTD-AZX911
残部
8.6〜
9.5
0.35〜
1.0
0.15〜
0.5
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AZX912
MTD-AZX912
残部
8.6〜
9.5
0.35〜
1.0
0.15〜
0.5
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
1.6〜
2.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AM60
MTD-AM60
残部
5.5〜
6.5
0.30
以下
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.01
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AXM410
MTD-AXM410
残部
3.5〜
4.4
0.30
以下
0.15
〜0.7
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AXM510
MTD-AXM510
残部
4.5〜
5.4
0.30
以下
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AXM610
MTD-AXM610
残部
5.5〜
6.5
0.30
以下
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.01
以下
0.005
以下
0.7〜
1.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-AXM620
MTD-AXM620
残部
5.5〜
6.5
0.30
以下
0.15〜
0.4
−
0.005
以下
0.10
以下
0.01
以下
0.005
以下
1.6〜
2.5
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-ZK30
残部
−
2.5〜
4.0
−
0.45〜
0.8
−
−
−
−
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-ZK60
残部
−
4.8〜
6.2
−
0.45〜
0.8
−
−
−
−
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-M1
残部
−
−
1.2〜
2.0
−
−
0.10
以下
0.05
以下
0.01
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-ZM21
残部
0.1
以下
1.75〜
2.3
0.6〜
1.3
−
0.06
以下
0.10
以下
0.1
以下
0.005
以下
−
−
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-LZ91
MTD-LZ91
残部
0.05
以下
0.50〜
1.5
0.05
以下
−
0.05
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.005
以下
0.05
以下
8.5〜
9.5
−
0.05
以下
0.30
以下
MTE-WZ73
MTD-WZ73
残部
−
2.0〜
3.0
−
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
6.2〜
7.4
0.05
以下
0.30
以下
MTE-WZ75
MTD-WZ75
残部
−
4.5〜
5.5
−
−
0.005
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.005
以下
−
−
6.2〜
7.4
0.05
以下
0.30
以下
“−”で示す元素は,意図的に添加する元素ではないことを示す。また,この表に規定のない元素は,受渡当事者間
の協定がない限り,意図的に添加してはならない。
“−”で示す元素及びこの表に示していない元素は,存在が予知される場合,又はその他の欄の規定の値を超えるお
それがある場合に限って,製造業者の判断によって分析を行う。
注a) その他の元素の“個々”の値は,この表に示す元素以外の個々の成分値をいい,“合計”の値は,個々の成分値
を合計したものをいう。
5
H 4202:2018
5.3
機械的性質
管は,7.2によって試験を行い,その機械的性質は,表4及び表5による。0.2 %耐力の適用は,受渡当
事者間の協定による。ただし,質別記号Fの機械的性質は,受渡当事者間の協定によって,これらの表以
外の数値を適用してもよい。
表4−押出管の機械的性質
種類の記号
質別記号a)
肉厚
mm
引張試験
引張強さ
N/mm2
0.2 %耐力
N/mm2
伸び
%
MTE-AZ31B
MTE-AZ31C
F
1以上 10以下
220以上
140以上
10以上
MTE-AZX311
F
1以上 10以下
220以上
140以上
10以上
MTE-AZ61
F
1以上 10以下
260以上
150以上
10以上
MTE-AZX611
F
1以上 10以下
250以上
120以上
8以上
MTE-AZX612
F
1以上 10以下
250以上
120以上
6以上
MTE-AZ80
F
1以上 10以下
295以上
195以上
7以上
MTE-AZ91
F
1以上 10以下
280以上
180以上
8以上
MTE-AZX911
F
1以上 10以下
280以上
180以上
6以上
MTE-AZX912
F
1以上 10以下
280以上
180以上
6以上
MTE-AM60
F
1以上 10以下
250以上
140以上
8以上
MTE-AXM410
F
1以上 10以下
220以上
80以上
10以上
MTE-AXM510
F
1以上 10以下
240以上
100以上
8以上
MTE-AXM610
F
1以上 10以下
250以上
120以上
6以上
MTE-AXM620
F
1以上 10以下
250以上
120以上
6以上
MTE-ZK30
T5
全ての肉厚
275以上
255以上
4以上
MTE-ZK60
F
全ての肉厚
275以上
195以上
5以上
T5
全ての肉厚
315以上
260以上
4以上
MTE-M1
F
1以上 2以下
2を超え 10以下
225以上
200以上
165以上
145以上
2以上
1.5以上
MTE-ZM21
F
10以下
10を超え 75以下
230以上
245以上
150以上
160以上
8以上
10以上
MTE-LZ91
F
1以上 10以下
110以上
90以上
20以上
MTE-WZ73
F
2以上 10以下
320以上
240以上
4以上
MTE-WZ75
F
2以上 10以下
330以上
250以上
4以上
注記 1 N/mm2=1 MPa
注a) 質別記号は,JIS H 0001に規定する基本記号,定義及び意味による。
6
H 4202:2018
表5−引抜管の機械的性質
種類の記号
質別
記号a)
肉厚
mm
引張試験
引張強さ
N/mm2
0.2 %耐力
N/mm2
MTD-AZ31B
MTD-AZ31C
F
1以上 10以下
220以上
140以上
MTD-AZX311
F
1以上 10以下
220以上
140以上
MTD-AZ61
F
1以上 10以下
260以上
150以上
MTD-AZX611
F
1以上 10以下
250以上
120以上
MTD-AZX612
F
1以上 10以下
250以上
120以上
MTD-AZ80
F
1以上 10以下
295以上
195以上
MTD-AZ91
F
1以上 10以下
280以上
180以上
MTD-AZX911
F
1以上 10以下
280以上
180以上
MTD-AZX912
F
1以上 10以下
280以上
180以上
MTD-AM60
F
1以上 10以下
250以上
140以上
MTD-AXM410
F
1以上 10以下
220以上
80以上
MTD-AXM510
F
1以上 10以下
240以上
100以上
MTD-AXM610
F
1以上 10以下
250以上
120以上
MTD-AXM620
F
1以上 10以下
250以上
120以上
MTD-LZ91
F
1以上 10以下
110以上
90以上
MTD-WZ73
F
2以上 10以下
320以上
240以上
MTD-WZ75
F
2以上 10以下
330以上
250以上
注記 1 N/mm2=1 MPa
注a) 質別記号は,JIS H 0001に規定する基本記号,定義及び意味による。
6
寸法及びその許容差
6.1
寸法
管の長さ,外径及び肉厚の寸法は,次による。
a) 管の長さは,1 000 mm〜6 000 mmとする。それ以外は,受渡当事者間の協定による。
b) 管の外径及び肉厚の呼び寸法は,受渡当事者間の協定による。
6.2
寸法の許容差
管の長さ,外径及び肉厚の許容差,並びに曲がりの許容値は,次による。
a) 管の長さの許容差は,
0
15
+ mmとする。ただし,外径が80 mm以上又は長さが6 000 mm以上の場合
のプラス側の許容差は,受渡当事者間の協定による。
b) 管の外径の許容差は,表6による。この許容差は,全許容差と同一の範囲で(+)側又は(−)側だ
けとしてもよい。ただし,この場合,上側の許容差又は下側の許容差は0とする。
なお,表6に規定する外径寸法範囲外の寸法の許容差は,受渡当事者間の協定による。
7
H 4202:2018
表6−外径の許容差
単位 mm
外径
押出管
引抜管
呼び径と任意1か所
の外径との差
呼び径と平均外径
との差
呼び径と任意1か所
の外径との差
呼び径と平均外径
との差
13以上
25以下
25を超え
50以下
50を超え
100以下
100を超え
150以下
150を超え
200以下
±0.66
±0.83
±0.99
±1.7
±2.5
±0.33
±0.39
±0.49
±0.83
±1.2
±0.33
±0.42
±0.50
±0.85
±1.3
±0.17
±0.20
±0.25
±0.42
±0.60
外径の測定は,次による。平均外径は,任意の箇所で互いに直角に測った2か所の測定値の平均値とする。
任意の1か所の外径の場合
平均外径の場合
c) 肉厚が1 mm以上の管の許容差は,表7による。ただし,表7は,引抜管を空引(ダイスだけで引抜
き)で製造した場合には適用しない。この許容差は,全許容差と同一の範囲で(+)側又は(−)側
だけとしてもよい。ただし,この場合,上側の許容差又は下側の許容差は0とする。
なお,肉厚が1 mm未満の管の寸法の許容差は,受渡当事者間の協定による。
表7−肉厚の許容差
平均肉厚と任意の1か所の肉厚との差 a)
肉厚の呼び寸法と平均肉厚との差 a)
肉厚±15 % b)
肉厚±12 % c)
肉厚の測定は,次による。平均肉厚は,管軸を挟んで互いに相対する2か所の測定値の平均値とする。
任意の1か所の肉厚の場合
平均肉厚の場合
注a) 肉厚が指定された場合は,“平均肉厚と任意の1か所の肉厚との差”だけを適用し,“指定された
肉厚と平均肉厚との差”は適用しない。
b) 平均肉厚±15 %の値が±2.3 mmを超える場合は,±2.3 mmを適用し,±0.38 mm未満となる場合
は,±0.38 mmを適用する。
c) 平均肉厚±12 %の値が±1.8 mmを超える場合は,±1.8 mmを適用し,±0.30 mm未満となる場合
は,±0.30 mmを適用する。
d) 管の曲がりの許容値は,管の長さの0.2 %とする。
8
H 4202:2018
なお,管の曲がりは,全長に対する弧の深さをいい,“ミリメートル(mm)”単位で表す。
7
試験
7.1
分析試験
化学成分の分析試験は,JIS H 1331,JIS H 1332,JIS H 1333,JIS H 1334,JIS H 1335,JIS H 1336,JIS
H 1337,JIS H 1338,JIS H 1340及びJIS H 1341による。
表3に規定するLi,Y及びその他の元素の分析が必要な場合は,その分析方法は受渡当事者間の協定に
よる。
7.2
引張試験
引張試験は,JIS Z 2241による。試験片は,種類・質別及び寸法が同じ管の中から通常,1 m当たりの
質量が2 kg以下のものは1 000 kg及びその端数,1 m当たりの質量が2 kgを超えるものは2 000 kg及びそ
の端数を一組とし,各組から適切な抜取方法によって1本を抜き取った試料から採取する。試験片の種類
は,JIS Z 2241の6.2(試験片の種類)に規定する11号試験片による。11号試験片を用いることができな
い場合は,定形試験片として12A号試験片,12B号試験片若しくは12C号試験片を,又は比例試験片とし
て14B号試験片若しくは14C号試験片を用いる。ただし,受渡当事者間の協定によって,定形試験片は4
号試験片を,比例試験片は14A号試験片を用いてもよい。
8
検査
管の検査は,次による。
a) 検査の一般事項は,JIS H 0321による。
b) 外観は,5.1に適合しなければならない。
c) 化学成分は,5.2に適合しなければならない。
d) 機械的性質は,5.3に適合しなければならない。
e) 寸法は,箇条6に適合しなければならない。
9
表示
管は,1包装ごと,1束ごと又は1製品ごとに,適切な方法によって,次の事項を表示する。
a) 種類の記号及び質別記号
b) 寸法(外径,肉厚及び長さ)
c) 製造番号,及び製造年月又はその略号
d) 製造業者名又はその略号
9
H 4202:2018
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS H 4202:2018 マグネシウム合金継目無管
ISO 3116:2007,Magnesium and magnesium alloys−Wrought magnesium alloys
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 押出加工及び引抜
加工した断面が円
形のマグネシウム
合金継目無管につ
いて規定。
1
マグネシウム合金(棒,
管,鍛造品及び厚板・薄
板)の化学成分及び機械
的性質を規定。
削除
JISは,適用範囲からISO規格のマ
グネシウム合金のうち,管用合金以
外を削除した。
ISO規格は,棒,管,鍛造品及び
厚板・薄板に使用されるマグネシ
ウム合金について,化学成分及び
機械的性質を規定している。JIS
は,使用者の利便性を考慮し,JIS
H 4201(板及び条),JIS H 4202(継
目無管),JIS H 4203(棒及び線),
JIS H 4204(押出形材)及びJIS H
4205(鍛造品)の5種類の規格と
している。
追加
JISは,適用範囲に引抜加工した管
を追加した。
3 用語及び
定義
−
−
追加
JISでは用語及び定義を追加した。 実質的な差異はない。
4 種類
押出管22種及び引
抜管18種の材料を
規定。
ISO規格品は押出管
の8種類,その他は
国内独自品。
3.1
材料
材料を11種類に分類
し,記号を指定
追加
JISは,独自の記号を追加し,ISO
規格の記号は参考とした。さらに
JIS独自品として押出管14種類及
び引抜管18種類を追加した。
追加したJIS独自品は,ISOへの
提案を検討する。
削除
ISO規格の管用合金以外の種類を
削除した。
3.3
製品形状による名称
変更
ISO規格は,管を“T”と表記して
いるが,JISは独自の記号として,
押出管に“MTE”及び引抜管に
“MTD”を付けることとした。
製品形状の記号の変更は,市場の
混乱を招くおそれがあるので,旧
規格で用いた記号(MT)を用いる
こととした。
2
H
4
2
0
2
:
2
0
1
8
10
H 4202:2018
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 品質
5.1 外観
−
−
追加
JISとして必要な規定項目を追加し
た。
ISOへの提案を検討する。
5.2 化学成分
4.1
化学成分
削除
ISO規格の管用合金以外の種類を
削除した。
ISOへのMn含有量の上限値変更
及びCa上限値の追加,並びにJIS
独自種類の追加の提案を検討す
る。注欄への追加については,技
術的な差異はない。
追加
JIS独自品の押出管14種類及び引
抜管18種類の化学成分を追加し
た。
変更
JIS独自品の押出管14種類及び引
抜管18種類の化学成分の追加,並
びに注欄にJISとして必要な化学
成分に関する説明を追加した。
5.3 機械的性質
4.2
機械的性質
削除
ISO規格の管用合金以外の機械的
性質を削除した。
追加したJIS独自品は,ISOへの
提案を検討する。耐力及び質別記
号の数値の取扱いに関する規定に
ついては,技術的な差異はない。
追加
JIS独自品の押出管14種類及び引
抜管18種類の機械的性質の追加,
並びにJISとして必要な耐力及び
質別記号の数値の取扱いに関する
規定を追加した。
3.2
質別記号
変更
ISO規格は,H×2,H×4などの記
号を規定している。JISは,JIS H
0001で規定されている記号に変更
した。
質別記号の変更は,市場の混乱を
招くおそれがあるので現状のまま
とする。
6 寸法及び
その許容差
6.1 寸法
6.2 寸法の許容差
−
−
追加
ISO規格に規定のない,管の外径,
肉厚,長さ,及び寸法の許容差を追
加した。
ISO規格への寸法及び許容差の追
加の提案を検討する。
2
H
4
2
0
2
:
2
0
1
8
11
H 4202:2018
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験
7.1 分析試験
7.1
化学成分
変更
ISO規格は,分析方法の規格を具体
的に規定していない。JISは,必要
な化学成分ごとの試験方法を追加
した。
−
7.2 引張試験
7.2
6
引張試験方法
試験片
変更
JISは,JIS Z 2241を引用すること
とし,必要な試験片の種類を追加し
た。
ISO規格への試験片採取方法変更
の提案を検討する。
5
試料採取
変更
JISとして必要な試験片の採取方法
を追加及び変更した。
8 検査
8
再試験(検査)
変更
JISとして必要な検査項目に変更し
た。
ISO規格への検査内容変更の提案
を検討する。
9 表示
3.4
注文用名称
変更
JISとして必要な表示項目に変更し
た。
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3116:2007,MOD
関連する外国規格
ASTM B107
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
H
4
2
0
2
:
2
0
1
8