H 3330:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本銅セン
ター(JCDA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS H 3330:2000は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS H 3330には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 外面被覆用樹脂
H 3330:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 種類及び記号 ·················································································································· 2
5. 性能 ······························································································································ 2
5.1 化学成分 ······················································································································ 2
5.2 引張強さ ······················································································································ 2
5.3 押広げ性 ······················································································································ 3
5.4 耐圧性能 ······················································································································ 3
5.5 浸出性能 ······················································································································ 3
5.6 曲げ性 ························································································································· 3
6. 外観及び形状 ·················································································································· 3
7. 寸法及びその許容差 ········································································································· 3
8. 材料 ······························································································································ 4
8.1 原管 ···························································································································· 4
8.2 被覆銅管の外面被覆用樹脂······························································································· 4
9. 製造方法 ························································································································ 4
10. 試験 ···························································································································· 4
10.1 外観及び形状 ··············································································································· 4
10.2 寸法 ··························································································································· 5
10.3 化学分析試験 ··············································································································· 5
10.4 引張試験 ····················································································································· 5
10.5 押広げ試験 ·················································································································· 5
10.6 耐圧性能試験 ··············································································································· 5
10.7 曲げ試験 ····················································································································· 5
10.8 浸出性能試験 ··············································································································· 5
11. 検査 ···························································································································· 6
12. 表示 ···························································································································· 6
附属書(規定) 外面被覆用樹脂 ···························································································· 7
1. 適用範囲 ························································································································ 7
2. 性能 ······························································································································ 7
3. 試験方法 ························································································································ 7
4. 検査 ······························································································································ 7
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 3330:2003
外面被覆銅管
Plastic covered copper tubes
序文 この規格は,給水,給湯などに広く使用されている外面被覆銅管について規定し,使用者の利便を
図るために制定された。
なお,水道法の給水装置に該当する給水管(給湯管を含む。)への適用を考慮し,水道法施行令第4条“給
水装置の構造及び材質の基準”に対応すべくJIS S 3200-1及びJIS S 3200-7を引用した。
1. 適用範囲 この規格は,使用圧力1.0MPa以下の給水,給湯,排水,空調用冷温水の配管及びその他
の配管に用いる外面に合成樹脂を被覆した継目無銅管(以下,被覆銅管という。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7507 ノギス
JIS B 7512 鋼製巻尺
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS H 0500 伸銅品用語
JIS H 1051 銅及び銅合金中の銅定量方法
JIS H 1058 銅及び銅合金中のりん定量方法
JIS H 3300 銅及び銅合金継目無管
JIS K 7112 プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
JIS K 7113 プラスチックの引張試験方法
JIS K 7206 プラスチック−熱可塑性プラスチック−ビカット軟化温度 (VST) 試験方法
JIS K 7209 プラスチック−吸水率の求め方
JIS S 3200-1 水道用器具−耐圧性能試験方法
JIS S 3200-7 水道用器具−浸出性能試験方法
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 使用圧力 通常の使用状態における水の圧力であって,“最高使用圧力”(静水圧)。
b) 原管 外面に被覆する以前の銅管。
2
H 3330:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 被覆銅管
1) 原管外面に低発泡ポリエチレン及びポリエチレンを押出成形によって被覆した銅管 (P)。
2) 原管外面に塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被覆した銅管 (V)。
4. 種類及び記号 被覆銅管の種類及び記号を,表 1に示す。また,被覆銅管の断面例を,表 2に示す。
表 1 被覆銅管の種類及び記号
被覆材料種類
原管質別
記号
P
軟質(O)
P−O−M
P
硬質(H)
P−H−M
V
軟質(O)
V−O−M
V
硬質(H)
V−H−M
備考 1. 記号欄のP及びVは被覆銅管の被覆材料
種類を示す。O及びHはJIS H 0500の
番号5603による。
2. Mは,JIS H 3300の表9(2)(配管用及び水
道用銅管の寸法)のMタイプを示す。た
だし,受渡当事者間の協定によってJIS H
3300に規定するLタイプを使用すること
ができる。この場合記号は、Mの代わり
にLを用いる。
表 2 被覆銅管の断面例
被覆材料種類
被覆材料
表皮材料
断面例
P
低発泡ポリエチレン ポリエチレン
V
塩化ビニル樹脂
−
5. 性能
5.1
化学成分 原管の化学成分は,10.3によって試験を行ったとき,表3の規定に適合しなければなら
ない。
表 3 化学成分
単位%
合金番号
Cu
P
C1220
99.90以上
0.015〜0.040
5.2
引張強さ 原管の引張強さは,10.4によって試験を行ったとき,表4の規定に適合しなければなら
ない。
3
H 3330:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 4 引張強さ
質別
引張強さ
N/mm2
伸び
%
軟質
205以上
40以上
硬質
315以上
−
5.3
押広げ性 原管の押広げ性は,10.5によって試験を行ったとき,ひび,きず及び割れを生じてはな
らない。ただし,これは軟質だけに適用する。
5.4
耐圧性能 原管の耐圧性能は,10.6によって試験を行ったとき,漏れ,その他の異常があってはな
らない。
5.5
浸出性能 原管は,10.8によって試験を行ったとき,表 5に規定する浸出性能の判定基準に適合し
なければならない。
表 5 浸出性能の判定基準
合金番号
基準項目
単位
判定基準値
C1220
味
異常があってはならない
臭気
異常があってはならない
色度(1)
度
5以下
濁度(1)
度
2以下
銅
mg/l
1.0以下
注 (1) 色度及び濁度は,空試験液との差から求める。
5.6
曲げ性 被覆銅管の曲げ性は,10.7によって試験を行ったとき,原管のへん平率が20%未満でなけ
ればならない。その際,被覆材料及び表皮に割れその他の欠点があってはならない。ただし,これは軟質
だけに適用する。
6. 外観及び形状 被覆銅管の外観及び形状は,次による。
a) 被覆銅管の外面色は,白色とする。ただし,受渡当事者間の協定によってその他の色にすることがで
きる。
b) 被覆材料の低発泡ポリエチレンの被覆層は,均一な発泡組織をもち,かつ,割れ,異物の混入など使
用上有害な欠点があってはならない。
c) 被覆材料の塩化ビニル樹脂及びポリエチレンは,表面が滑らかで,しわ,ふくれなど使用上有害な欠
点があってはならない。
7. 寸法及びその許容差 被覆銅管の寸法及びその許容差は,表 6による。
4
H 3330:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 6 被覆銅管の寸法及びその許容差
単位mm
被覆材料
種類
原管
被覆銅管
呼び径
寸法
最大外径 被覆層の
長さ及びその許容差
A B 外径 厚さ
最小厚さ
直管
コイル巻管
P
10 3/8 12.70 0.64
19.5
2.6
4 00050
0
+
25 000600
0
+
15 1/2 15.88 0.71
24.0
2.8
20 3/4 22.22 0.81
32.5
3.3
25 1
28.58 0.89
41.0
4.2
−
V
10 3/8 12.70 0.64
16.5
1.6
25 000600
0
+
15 1/2 15.88 0.71
20.0
1.8
20 3/4 22.22 0.81
29.0
2.6
25 1
28.58 0.89
36.0
2.8
−
備考1. コイル巻管の原管の質別は軟質とする。直管の原管の質別は硬質とす
る。ただし,直管の原管の質別は,受渡当事者間の協定によって軟質
としてもよい。
2. コイル巻管のコイル内径は,500mm以上とする。ただし,コイル巻管
の長さは,受渡当事者間の協定によって変更してもよい。
8. 材料 原管及び被覆銅管の材料は,次による。
8.1
原管
a) 原管は,JIS H 3300のC1220(りん脱酸銅)に規定するものとする。
b) 原管の外観及び形状は,次による。
1) 原管の外観は,内外面が滑らかで,きず,すじ,割れ,ねじれなど使用上有害な欠点があってはな
らない。
2) 原管の形状は,実用的に正円の断面をもち,直管においては真っすぐで,その両端面は管軸に対し
て直角でなければならない。
c) 原管の寸法及びその許容差は,JIS H 3300の表 9 (2) (配管用及び水道用銅管の寸法)のMタイプに
よる。ただし,受渡当事者間の協定によってJIS H 3300に規定するLタイプを使用してもよい
8.2
被覆銅管の外面被覆用樹脂 被覆銅管の外面被覆用樹脂は,吸水性がほとんどなく,土壌腐食に耐
える低発泡ポリエチレン(発泡倍率約2倍)及びポリエチレン又は塩化ビニルコンパウンドを使用し,附
属書に規定するものを用いる。
9. 製造方法 原管及び被覆銅管の製造方法は,次による。
a) 原管は,JIS H 3300のC1220の鋳塊を用いて継目なく製造する。
b) 被覆銅管の外面被覆用樹脂は,原管の外面に押出成形機によって溶融混練した樹脂を継目なく被覆す
る。
1) Pは,低発泡ポリエチレンとポリエチレンを押出成形によって被覆する。
2) Vは,原管外面と接する部分が凹凸のある形状で,塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被
覆する。
10. 試験
10.1 外観及び形状 原管及び被覆銅管の外観及び形状は,目視によって調べる。
5
H 3330:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10.2 寸法 原管及び被覆銅管の寸法は,JIS B 7502に規定するマイクロメータ,JIS B 7507に規定するノ
ギス,JIS B 7512に規定する鋼製巻尺,又はこれらと同等以上の精度をもつものを用いて測定する。
10.3 化学分析試験 化学分析試験は原管を用いて行い、JIS H 1051及びJIS H 1058によって行う。
10.4 引張試験 引張試験は原管を用いて行い,JIS Z 2241によって行う。この場合の試験片は,JIS Z 2201
の11号試験片とする。
なお,11号試験片を用いることができない場合は,12号試験片とする。また,試験片の断面積は直接寸
法を測定して求める方法,試験片の質量から断面積を求める方法のいずれかによって算出する。
10.5 押広げ試験 押広げ試験は原管を用いて行い,原管の端から任意の長さに切り取った試験片の一端
に頂角60度の円すい形の矢を押し込み,外径を表 7の倍率まで押し広げる。
表 7 押広げ倍率
外径
mm
押広げ倍率
20以下
1.4
20を超えるもの
1.3
10.6 耐圧性能試験 耐圧性能試験は原管を用いて行い,JIS S 3200-1に規定する方法によって行う。
なお,日常の品質管理のための試験は,JIS S 3200-1の附属書1〜4に示す簡易法によってもよい。また,
試験は,最終熱処理前の冷間加工のままで行ってもよい。
10.7 曲げ試験 被覆銅管の曲げ試験は,次による。
a) 曲げ試験は,被覆銅管を図 1に示すとおりそれぞれの製品外径に相当する半円溝をもつ型を用い徐々
に荷重を加え,90度まで曲げた後,被覆材を取り除き, 原管のへん平率を測定する。また,曲げ半径
は表8による。
b) 管のへん平率は,次の式によって計算する。
ここに, h:へん平率(%)
Dm:試験後最大外径(mm)
Ds :試験後最小外径(mm)
D :試験前平均外径(mm)
試験前原管平均外径は, 曲げ試験前に試験片の端部であらかじめ測定しておく。
図 1 曲げ試験装置例
表 8 曲げ半径
10.8 浸出性能試験 浸出性能試験は原管を用いて行い,JIS S 3200-7に規定する方法で行う。
なお,給水管及び給湯管両方に使用する場合,又はどちらに使用するか分からない場合は,給湯管の条
件によって試験を行う。
100
×
−
D
Ds
Dm
h=
6
H 3330:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11. 検査 被覆銅管の検査は,JIS H 0321によるほか,次による。
a) 外観・寸法を検査するとともに,10.によって試験を行い,5.,6.及び7.の規定に合格しなければなら
ない。
b) 引張試験,押広げ試験及び曲げ試験(軟質の被覆銅管にだけ適用)は,被覆材料種類,原管質別及び
断面寸法の同じ管について100本(100本の質量が2 000kgに満たないときは2 000kg)又は,その端
数を一組とし,各組から任意に1本を取り,試験片を作る。
c) 耐圧性能試験及び浸出性能試験は,形式検査(2)として実施する。
なお,材質が同等で,構造及び製造方法が類似している製品群については,接触面積比が最大の代
表製品(最小内径の管)についてだけ試験を行えばよい。
注 (2) 形式検査とは,製品の品質が設計で示されたすべての品質項目を満足するかどうかを判定する
ための検査をいう(出荷検査ではない)。
12. 表示 被覆銅管の外側には,次の事項を容易に消えない方法で表示しなければならない。
a) 被覆材料種類及び原管質別並びに原管タイプ,又はそれらの記号
b) 呼び径
c) 製造年又はその略号
d) 製造業者名又はその略号
表示例 C1220T−P−O−M3/4 03 製造業者名
製造年
Mタイプ,呼び径(3/4B)
原管質別(軟質)
被覆材料種類(P)
りん脱酸銅管
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) 外面被覆用樹脂
1. 適用範囲 この附属書は,被覆銅管の外面被覆に使用するポリエチレン及び塩化ビニルコンパウンド
(以下,外面被覆用樹脂という。)について規定する。
2. 性能 外面被覆用樹脂の性能は,附属書表 1又は附属書表 2の規定に適合しなければならない。
附属書表 1 ポリエチレンの性能
性能項目
性能
適用試験箇条
引張破壊強さ
11.7MPa以上
3.1
引張破壊伸び
300%以上
密度
0.915g/cm3以上
3.2
吸水率
0.01%以下
3.3
ビカット軟化温度
80℃以上
3.4
附属書表 2 塩化ビニルコンパウンドの性能
性能項目
性能
適用試験箇条
引張破壊強さ
9.8MPa以上
3.1
引張破壊伸び
120%以上
比重
1.30以上
3.2
吸水率
0.2%以下
3.3
3. 試験方法
3.1
試験片の作製 試験片の作製は,JIS K 7113の5.2(試験片の作製)によって行う。
3.2 引張試験 外面被覆用樹脂の引張試験は,JIS K 7113によって行う。ただし,試験片は2号形試験片
とし,厚さは2±0.2mmとする。試験室温度は23±2℃,相対湿度(50±5)%,試験速度は200mm/min±
10%とする。
3.3 密度及び比重 外面被覆用樹脂の密度及び比重は,JIS K 7112の5.1(A法)によって行う。
3.4 吸水率試験 外面被覆用樹脂の吸水率試験は,JIS K 7209の6.2(A法)によって行う。ただし,試
験片の大きさは,一辺100mmの正方形又は直径100mmの円板とし,厚さは3±0.2mmとする。
3.5 ビカット軟化温度試験 ポリエチレンのビカット軟化温度試験は,JIS K 7206によって行う。
4. 検査 外面被覆用樹脂の検査は,製造ロットごとに3.によって行い,2.の規定に適合しなければなら
ない。ただし,試験は外面被覆用樹脂製造業者が行う。この場合,被覆銅管製造業者に試験成績書を提出
しなければならない。注文者が必要と認めた場合は,被覆銅管製造業者は,試験成績書を注文者に提出す
る。