H 2150:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験······························································································································· 3
7 検査······························································································································· 3
8 表示······························································································································· 3
9 報告······························································································································· 3
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 4
H 2150:2017
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
マグネシウム協会(JMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業
規格である。
これによって,JIS H 2150:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
H 2150:2017
マグネシウム地金
Magnesium ingots
序文
この規格は,2011年に第3版として発行されたISO 8287を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,熱還元法又は電解法によって製造された,溶解原料,金属精錬用などに使用するマグネシ
ウム地金(以下,地金という。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 8287:2011,Magnesium and magnesium alloys−Unalloyed magnesium−Chemical composition
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 1322 マグネシウム及びマグネシウム合金−スパーク放電発光分光分析方法
JIS H 1332 マグネシウム及びマグネシウム合金中のアルミニウム定量方法
JIS H 1333 マグネシウム及びマグネシウム合金中の亜鉛定量方法
JIS H 1334 マグネシウム及びマグネシウム合金中のマンガン定量方法
JIS H 1335 マグネシウム及びマグネシウム合金中のけい素定量方法
JIS H 1336 マグネシウム及びマグネシウム合金中の銅定量方法
JIS H 1337 マグネシウム及びマグネシウム合金中のニッケル定量方法
JIS H 1338 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉄定量方法
JIS H 1341 マグネシウム合金中のカルシウム定量方法
JIS H 1342 マグネシウム及びマグネシウム合金中のすず定量方法
JIS H 1343 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉛定量方法
JIS H 1344 マグネシウム及びマグネシウム合金中のカドミウム定量方法
2
H 2150:2017
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
純マグネシウム(unalloyed magnesium)
意図的に他の元素を添加することなく,マグネシウム成分が99.0 %(質量分率)以上含まれるもの。
3.2
マグネシウム地金(cast unalloyed magnesium)
各種形状の鋳塊に鋳造された純マグネシウム。
3.3
熱還元法(the thermal reduction method)
酸化マグネシウムに還元剤を添加して高温加熱し,純マグネシウムを製造する方法。
3.4
電解法(the electrolytic method)
塩化マグネシウムを電気分解し,純マグネシウムを製造する方法。
4
種類
地金の種類は,9種類とし,その種類の記号は表1による。
表1−地金の記号
種類の
記号
ISO 8287
による記号
(参考)
JIS H 2150:2006(旧規格)
による種類
(参考)
JIS H 2150:2006(旧規格)
による記号
(参考)
Mg9980A
ISO Mg 99.80A
マグネシウム地金3種A
MI3A
Mg9980B
ISO Mg 99.80B
マグネシウム地金3種B
MI3B
Mg9980C
ISO Mg 99.80C
−
−
Mg9990A
ISO Mg 99.90
−
−
Mg9990B
−
マグネシウム地金2種
MI2
Mg9995A
ISO Mg 99.95A
マグネシウム地金1種A
MI1A
Mg9995B
ISO Mg 99.95B
マグネシウム地金1種B
MI1B
Mg9998
ISO Mg 99.98
−
−
Mg9999
ISO Mg 99.99
−
−
5
品質
地金の品質は,次による。
a) 地金は,実用上有害な表面の汚れ及び品質に影響を与えるような混入物を含んではならない。表面の
汚れ及び混入物の有無の確認は,地金表面について目視で行い,その判定基準は,受渡当事者間の協
定による。
b) 地金の化学成分は,箇条6によって試験し,表2による。
3
H 2150:2017
表2−化学成分
単位 %
種類の
記号
Mg b)
Al
Mn
Zn
Si
Cu
Fe
Ni
Pb c)
Sn c)
Na c)
Ca c)
その他
の元素a)
下限値
上限値
Mg9980A
99.80
0.05
0.05
0.05
0.05
0.02
0.05
0.001
0.02
0.01
0.003 0.003
0.05
Mg9980B
99.80
0.05
0.05
0.05
0.05
0.02
0.05
0.002
0.02
0.01
−
−
0.05
Mg9980C
99.80
0.05
0.1
−
0.02
0.005
0.004
0.001
−
−
−
−
0.01
Mg9990A
99.90
0.02
0.03
−
0.03
0.004
0.04
0.001
−
−
−
−
0.01
Mg9990B
99.90
0.01
0.01
0.05
0.01
0.005
0.04
0.001
0.01
0.01
−
−
0.01
Mg9995A
99.95
0.01
0.006 0.005 0.006
0.005
0.003
0.001
0.005 0.005 0.003 0.003
0.005
Mg9995B
99.95
0.015 0.015 0.01
0.015
0.005
0.005
0.001
0.005 0.005
−
−
0.005
Mg9998
99.98
0.004 0.002 0.004 0.003
0.000 5 0.002
0.000 5 0.001 0.004
−
−
0.005
Mg9999
99.99
0.002 0.002 0.003 0.003
0.000 3 0.002
0.000 3 0.002 0.002
−
−
0.003
注a) その他の元素のうち,Cd,Hg,As及びCrの合計は,0.01 %以下とし,その分析試験の実施は受渡当事者間の
規定による。また,注文者より食品分野及び医療分野で使用する旨の指定があった場合は,必ず分析試験の結
果を提出するものとする。
b) マグネシウムの含有率は,この表で規定しているマグネシウム以外の元素並びに注文者の要求及び/又は受渡
当事者間の協定によって分析を行う元素の含有率合計を,100から減じた値とする。
c) これらの元素は,注文者の要求があった場合にのみ分析し,表の該当する規定値を適用する。注文者の要求が
ない場合及び規定値が“−”の場合には,分析対象として扱わないものとする。
6
試験
地金の試験は,次による。
a) 化学成分の分析試験は,次のいずれかによる。ただし,規定のない成分の分析試験は,受渡当事者間
の協定による。
JIS H 1322,JIS H 1332,JIS H 1333,JIS H 1334,JIS H 1335,JIS H 1336,JIS H 1337,JIS H 1338,
JIS H 1341,JIS H 1342,JIS H 1343,JIS H 1344
b) 分析試験の試料は,受渡当事者間の協定による場合を除き,溶湯中から採取する試料による。
7
検査
地金の検査は,同一溶解による鋳造ごとに行い,次による。
a) 表面の汚れ及び混入物については,箇条5のa)に適合しなければならない。
b) 化学成分は,箇条5のb)に適合しなければならない。
8
表示
地金は,1包装ごとに,次の事項を表示しなければならない。
a) 種類の記号
b) 同一溶解による鋳造ごとの番号
c) 製造業者名又はその略号
d) 1包装ごとの質量
9
報告
化学成分の分析試験の成績表は,注文者の要求があった場合には提出しなければならない。
4
H 2150:2017
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS H 2150:2017 マグネシウム地金
ISO 8287:2011,Magnesium and magnesium alloys−Unalloyed magnesium−Chemical
composition
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 マグネシウム地
金について規定
1
鋳造によるマグネシウム
地金の化学成分,分類,記
号,試験方法などを規定。
追加
削除
JISは,適用範囲に用途を追加し,こん
包,輸送,保管及び契約に含まれる情報
を削除した。
国内の状況を考慮し,適用範囲を
変更した。
2 引用規格
3 用語及び
定義
3
定義
純マグネシウム及び純マ
グネシウム鋳塊を規定
追加
JISは,製造方法の定義を追加した。
ISOへの提案を検討する。
4 種類
9種類のマグネシ
ウム地金を規定
ISO規格品8種類
JIS独自品1種類
5
指定
製品の記号の指定
追加
削除
JISは,独自の記号を追加し,ISO規格
の記号は参考とした。さらに,ISO規格
に規定するISO Mg 99.5を削除し,JIS
独自品1種類を追加した。
ISO Mg 99.5は,国内の技術水準で
は品位が低く使用されていないた
め削除した。ISOへの削除の提案
を検討する。また,追加したJIS
独自品は,ISOへの追加の提案を
検討する。
5 品質
8
製品の一般条件
変更
JISは,内部欠陥に関する規定を削除し,
品質影響を与えるような混入物を含ま
ない旨を追加した。
国内の状況に合わせ,JISとして
必要な内容に変更した。
追加
JISは,表面の汚れ及び混入物の有無の
調査方法及び判定方法を追加した。
2
H
2
1
5
0
:
2
0
1
7
5
H 2150:2017
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 品質
(続き)
7
化学組成
追加
削除
JISは,ISO規格に規定するISO Mg 99.5
を削除し,JIS独自品1種類を追加した。
さらに,マグネシウムの含有率の規定を
明確にするとともに,Pb,Sn,Na及び
Caの分析は注文者の要求があった場合
にのみ分析する旨を追加した。
ISO Mg 99.5は,国内の技術水準で
は品位が低く使用されていないた
め削除した。追加したJIS独自品
は,ISOへの提案を検討する。
国内の状況を考慮し,Pb,Sn,Na
及びCaの分析は注文者の要求が
あった場合にのみ分析するとし
た。
6 試験
8
化学組成
変更
溶湯中からの試料採取について,ISO規
格は,箇条8(化学組成)に記載されて
いるが,JISは,箇条6(試験)に記載
した。
技術的差異はない。
9
試験条件
削除
JISは,ISO規格に規定されている受入
れ試験など試験条件の規定を削除した。
国内の状況を考慮し,削除した。
10
試験
追加
JISは,各元素の分析試験方法を追加し
た。
ISOへの提案を検討する。
7 検査
12
適合性の宣言及び検査文
書
変更
JISは,検査の内容及び同一溶解による
鋳造ごとに行うことに変更した。
国内の状況に合わせ,JISとして
必要な内容に変更した。
8 表示
13
表示
変更
JISでは,表示は1包装ごとに変更し,
更に,表示する事項は種類の記号,同一
溶解による鋳造ごとの番号,製造業者名
又はその略号,及び1包装ごとの質量に
変更した。
国内の状況に合わせ,JISとして
必要な内容に変更した。
9 報告
17
品質証明書
削除
変更
JISは,品質保証書をこん包に取り付け
ることを削除し,化学成分の分析試験の
成績表を提出することに変更した。
国内の状況に合わせ,JISとして
必要な内容に変更した。
−
4
購買者から提供される情
報
削除
JISは,購買者から提供される情報を削
除した。
国内の状況を考慮し,規定する必
要がないため,JISでは規定しな
いこととした。
−
6
製造
削除
JISは,全工程の製造プロセスの規定を
削除した。
−
14
こん包
削除
JISは,こん包方法の規定を削除した。
2
H
2
1
5
0
:
2
0
1
7
6
H 2150:2017
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
−
15
輸送
削除
JISは,輸送方法の規定を削除した。
−
16
保管
削除
JISは,保管方法の規定を削除した。
−
18
苦情
削除
JISは,苦情処理の規定を削除した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 8287:2011,MOD
関連する外国規格
ASTM B92
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
H
2
1
5
0
:
2
0
1
7