日本工業規格
JIS
H
1668
-1971
ジルコニウム合金中のニオブ定量方法
Method for Determination of Niobium in Zirconium Alloys
1.
適用範囲 この規格は,ジルコニウム合金中のニオブ定量方法について規定する。
関連規格:JIS H 1650(ジルコニウムおよびジルコニウム合金の分析方法通則)
2.
一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1650(ジルコニウムおよびジルコニウム合金の分析
方法通則)による。
3.
方法の区分 ニオブの定量方法は,過酸化水素吸光光度法による。この方法は,ニオブ含有率 0.5%以
上 5%以下の試料に適用する。
4.
過酸化水素吸光光度法
4.1
要旨 試料を硫酸,過塩素酸および硫酸アンモニウムで分解し,過酸化水素水を加えて呈色させ,
吸光度を測定する。
4.2
試薬 試薬はつぎによる。
(1)
過塩素酸
(2)
硫酸 硫酸を白煙の発生するまで加熱して脱水し,放冷後吸湿しないように密せんしてたくわえる。
開封直後の試薬は,そのまま使用してもよい。
(3)
過酸化水素水−硫酸溶液 乾燥したガラス容器に過酸化水素水 (30%) 20ml をとり,これに(2)の硫酸
250ml
を静かにかき混ぜながら加えて放冷する。この溶液を硫酸で 500ml とし,密せんしてたくわえ
る。
(4)
硫酸アンモニウム
(5)
標準ニオブ溶液 (0.200mgNb/ml) 850±50℃で強熱し恒量とした五酸化ニオブ(99.5%以上)0.1430g
を乾燥したビーカー (100ml) にはかりとり,
硫酸アンモニウム 10g と硫酸 2.0ml を加えて加熱分解し,
冷却後硫酸を加えて正確に 500ml とし,密せんしてたくわえる。
4.3
試料はかりとり量(
1
)
試料はニオブ含有率に応じ,原則として
表 1 に従ってはかりとる。
2
H 1668-1971
表 1
ニオブ含有率 (%)
試料はかりとり量 (g)
0.5
以上 1 未満 0.80
1
以上 2 未満 0.40
2
以上 3 未満 0.20
3
以上 4 未満 0.15
4
以上 5 未満 0.10
4.4
操作 定量操作は,つぎの手順によって行なう(
2
)
。
(1)
試料をビーカー (100ml) にはかりとり,硫酸アンモニウム 10g,過塩素酸 2ml および硫酸 20ml を加
え,時計ざらでふたをして加熱分解し,白煙を発生させる。溶液が黄色から無色透明になってから(
3
)
さらに約 10 分間加熱を続けて過塩素酸を完全に追い出し,硫酸約 10ml を加えて放冷する。
(2)
硫酸を用いて 50ml のメスフラスコに移し入れ,硫酸で正しく標線までうすめ,よく振り混ぜる。
(3)
この溶液 25ml をピペットを用いて別の 50ml のメスフラスコに分取し(
4
)
,
過酸化水素水−硫酸溶液 5ml
を加え,硫酸で標線までうすめ,よく振り混ぜて呈色させる。
(4) (2)
の溶液の残部は硫酸で標線までうすめてよく振り混ぜ,この溶液を対照液とする。
(5)
試料溶液および対照液はピペット(
5
)
などを用いて光度計の吸収セルにとり,波長 365nm 付近の吸光度
を測定する。
4.5
計算 4.6 で作成した検量線からニオブ量を求め,試料中のニオブ含有率をつぎの式によって算出す
る。
100
(%)
2
1
×
×
=
W
A
ニオブ
ここに
A
: 試料中のニオブ検出量 (g)
W
: 試料はかりとり量 (g)
4.6
検量線の作成
標準ニオブ溶液の 0∼25ml(ニオブとして 0∼5.0mg)をピペット
(
2
)
を用いて数個の
50ml
のメスフラスコに段階的にとり,これに硫酸を加えて約 40ml とする。過酸化水素水−硫酸溶液 5ml
を加え硫酸で標線までうすめ,よく振り混ぜて呈色させる。この溶液の一部を光度計の吸収セルにとり,
標準ニオブ溶液を添加しないで得られた溶液を対照液として波長 365nm 付近の吸光度を測定し,得た吸光
度とニオブ量との関係線を作成して検量線とする。
注(
1
)
ニオブ量として4∼8mg になるように試料をはかりとる。
(
2
)
この操作に使用するガラス器具は,すべて乾燥したものを用いる。
(
3
)
過塩素酸が存在すると加熱時に溶液は黄色を呈するが,鉄が存在しても黄色を呈するので,こ
の場合には過塩素酸の気ほうの発生がやんでから,さらに約 10 分間加熱するとよい。
(
4
)
ピペットの外部に付着した硫酸は,元のメスフラスコの内壁に付着させて除く。つぎに標線ま
ではかりとった硫酸は,ピペットを垂直に立てて自然落下させ,さらに 1 分間以上経過後,先
端にたまった硫酸を排出する。
(
5
)
吸収セルの外側に溶液を付着させないために,分取ならびに廃棄にはピペットなどを使用する。
3
H 1668-1971
非鉄金属部会 ジルコニウム分析方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
平 野 四 蔵
東洋大学
浦 田 常 治
東洋大学
須 藤 恵美子
科学技術庁金属材料技術研究所
青 木 文 雄
工業技術院東京工業試験所
本 島 健 次
日本原子力研究所
服 部 只 雄
日本分析化学研究所
多 田 格 三
東京芝浦電気株式会社
高 久 通 夫
古河電気工業株式会社
沢 田 敏 男
住友軽金属工業株式会社
水 野 知 巳
株式会社神戸製鋼所
酒 井 馨
株式会社日立製作所
滝 沢 宗 治
日本鉱業株式会社
児 玉 光
チタニウム協会
(事務局)
石 井 清 次
工業技術院標準部材料規格課
神 長 直 之
工業技術院標準部材料規格課