>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 H

1667

- 1986

ジルコニウム及びジルコニウム

合金中のハフニウム定量方法

Method for Determination of Hafnium in

Zirconium and Zirconium Alloys

1.

適用範囲  この規格は,ジルコニウム及びジルコニウム合金中のハフニウム定量方法について規定す

る。

引用規格:

JIS H 1650

  ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法通則

JIS K 0116

  発光分光分析方法通則

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1650(ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方

法通則)及び JIS K 0116(発光分光分析方法通則)による。

3.

定量方法  ハフニウムの定量方法は,誘導結合プラズマ(以下,ICP という。)発光分光分析法による。

この方法は,ハフニウム含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。

4.

ICP

発光分光分析法

4.1

要  旨  試料をふっ化水素酸と塩酸で分解し,ICP 発光分光分析装置を用いて発光強度を測定する。

4.2

試  薬  試薬は,次による。

(1)

塩  酸

(2)

塩  酸 (1+1)

(3)

硝  酸

(4)

ふっ化水素酸 (1+1, 1+6)  調製及び保存には,ポリエチレン容器を用いる。

(5)

硫  酸

(6)

硫  酸 (1+1)

(7)

ジルコニウム(99%以上)ハフニウム含有率 0.000 2%以下又は既知のもの。

(8)

硫酸アンモニウム

(9)

イットリウム溶液 (1mgY/ml) 酸化イットリウム 0.635g をはかり取り,塩酸 10ml を加えて加熱分解す

る。冷却後,水で正しく 500ml とする。

(10)

標準ハフニウム溶液 (10

µgHf/ml)  ハフニウム(99%以上)(

1

)0.100g

をふっ化水素酸 5ml で分解した後,

硫酸 (1+1) 2ml を加えて蒸発乾固する。放冷後,塩酸 (1+1) 10ml を加え,加熱してハフニウム塩を

完全に溶解し,常温まで冷却した後,100ml のメスフラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄


2

H 1667 - 1986

めて原液 (1mgHf/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正しく 100 倍に薄めて標準ハ

フニウム溶液とする。

(

1

)

ハフニウムの代わりに酸化ハフニウム(99%以上)を用いてもよい。その場合のはかり取り量

は,0.295g である。

4.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.50g とする。

4.4

操  作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取って,ポリエチレンビーカー (100ml) に移し入れ,ポリエチレン時計皿で覆い,ふっ

化水素酸 (1+6) 5ml と塩酸 4ml を加え,しばらく放置した後,水浴上で加熱分解する。不溶性残さが

あれば,硝酸数滴を加えて分解する(

2

)

(2)

常温まで冷却した後,時計皿の内面を水洗し,その溶液をビーカーに移し入れた後,更に 50ml のメ

スフラスコに水を用いて移し入れ(

3

)

,水で標線まで薄める。

(3)

溶液の一部を ICP 発光分光分析装置のプラズマトーチ中に噴霧し,波長 264.141nm 又は 277.336nm の

発光強度を測定する(

4

)(

5

)

(

2

)

試料の分解は,

備考1又は備考2の方法によってもよい。ただし,検量線の作成においても備考1

又は

備考2による。

(

3

)  2

本以上の波長によるスペクトルの同時測定が可能な装置では,

内標準法によることができる。

内標準法を用いるときは,イットリウム溶液 5ml を正しく加える。この場合 4.4(3)で波長

264.141nm

又は 277.336nm(ハフニウム)及び 371.029nm(イットリウム)の発光強度を測定し,

ハフニウムとイットリウムの発光強度の比を求める。

(

4

)

高次のスペクトルの測定が可能な装置では,高次のスペクトル線を用いて測定してもよい。

(

5

)

空試験は行わない。

4.5

検量線の作成  ジルコニウムを 0.50g ずつはかり取り数個のポリエチレンビーカー (200ml) に移し

入れ,4.4(1)の手順に従って分解する。冷却後,標準ハフニウム溶液 0∼10.0ml(ハフニウムとして 0∼100

µg)

を段階的に加え,以下 4.4(2)及び(3)の手順に従って操作し,試料と並行して測定した発光強度とハフニウ

ム量との関係線を作成して検量線とする。

4.6

計  算  4.5 で作成した検量線からハフニウム量を求め,試料中のハフニウム含有率を次の式によっ

て算出する。

ハフニウム

100

%

wt

2

1

×

m

A

A

ここに,

A

1

:  検量線から求めたハフニウム量 (g)

A

2

:  検量線作成に用いたジルコニウム 0.5g 中に含まれるハフニウム

量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

備考1.

試料をはかり取ってビーカー (100ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硫酸5ml と硫酸アンモニ

ウム4g を加え,白煙が発生するまで加熱し分解する。放冷後,不溶性残さがあれば,硝酸数

滴を加えて分解する。

2.

試料をはかり取って白金皿(75 番)に移し入れ,水約 10ml を加え,ポリエチレン時計皿で

覆い,ふっ化水素酸 (1+1) 2ml を少量ずつ加えて完全に分解する。不溶性残さがあれば,硝

酸数滴を加えて分解する。硫酸 (1+1) 6.0ml を加え,加熱蒸発して濃厚な白煙を約 5 分間発


3

H 1667 - 1986

生させ,放冷後,少量の水を用いて白金皿の内壁を洗い,再び加熱して濃厚な白煙を 2∼3

分間発生させる。放冷後,少量の水を加え,加熱して塩類を溶解する

(

6

)

(

6

)

残存する硫酸の量は発光強度に影響を与えるので,白煙の発生状態に注意する。残存する

硫酸量が一定とならないときは,内標準法を用いなければならない。

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

多  田  格  三

日本原子力研究所(研究嘱託)

橋  谷      博

島根大学

河  口  広  司

名古屋大学

吉  森  孝  良

東京理科大学

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

小  森  卓  二

日本原子力研究所

林      正太郎

動力炉・核燃料開発事業団

小  川  欣  也

日本ニユクリア・フユエル株式会社

谷  口  政  行

株式会社神戸製鋼所

束  原      巌

古河電気工業株式会社

中  村      靖

日本鉱業株式会社

仲  山      剛

住友金属工業株式会社

野  村  紘  一

三菱金属鉱業株式会社

山  本      宏

通商産業省基礎産業局

安  部      惠

工業技術院標準部

澤  口  健  治

社団法人新金属協会