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日本工業規格

JIS

 H

1660

- 1985

ジルコニウム及びジルコニウム

合金中のけい素定量方法

Method for Determination of Silicon in Zirconium

and Zirconium Alloys

1.

適用範囲  この規格は,ジルコニウム及びジルコニウム合金中のけい素定量方法について規定する。

引用規格:

JIS H 1650

  ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法通則

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1650(ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方

法通則)による。

3.

方法の区分  けい素の定量方法は,モリブデン青吸光光度法による。この方法は,けい素含有率 0.001%

以上の試料に適用する。

4.

モリブデン青吸光光度法

4.1

要  旨  塩化ナトリウム存在下,試料をふっ化水素酸と硝酸で分解した後ほう酸を加える。過マン

ガン酸カリウムを加えた後,モリブデン酸アンモニウムを加えてモリブドけい酸を生成させ,次に酒石酸

と還元試薬を加えてモリブデン青を呈色させ,吸光度を測定する。

4.2

試  薬  試薬は,次による。使用する水はすべて蒸留水を用い,試薬は特にけい素含有率の低いも

のを用いてポリエチレン瓶に保存する。

(1)

硝  酸 (1+1)

(2)

ふっ化水素酸 (1+4)

(3)

ほう酸溶液  ほう酸 40g を温水 900ml に溶かし,室温まで冷却後,水で 1に薄める。

(4)

塩化ナトリウム溶液 (5

w

/v%)

(5)

過マンガン酸カリウム溶液 (0.1

w

/v%)

(6)

モリブデン酸アンモニウム溶液  モリブデン酸アンモニウム(4 水和物)100g をポリエチレン瓶に取

り,水 900ml を加えて振り混ぜて溶かし,水で 1に薄める。

(7)

ジルコニウム溶液 (1mgZr/ml)   オキシ塩化ジルコニウム(8 水和物)3.5g をポリエチレンビーカーに

取り,ふっ化水素酸 (1+4) 20ml に溶かし,水で 1に薄める。

(8)

酒石酸溶液 (20

w

/v%)

(9)

還元試薬溶液  亜硫酸ナトリウム 1.4g を水 20ml に溶かし,1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン

酸 0.30g を加え,かき混ぜて溶かす。別に亜硫酸水素ナトリウム(無水)18g を水 180ml に溶かし,


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H 1660 - 1985

前の溶液に加えて混合する。

(10)

標準けい素溶液 (25

µgSi/ml)    二酸化けい素(99.7%以上)0.535g を白金皿又は白金るつぼにはかり取

り,炭酸ナトリウム(無水)約 5g を加えて混合した後,加熱融解する。放冷後,熱水を加えて融成物

を溶解し,常温まで冷却した後,1 000ml のメスフラスコに水で洗い移し,水で標線まで薄めて原液

とする。この原液を使用の都度必要量だけ水で正しく 10 倍に薄めて標準けい素溶液とする。

4.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,けい素含有率に応じ,原則として表による。

表  試料はかり取り量

けい素含有率  %

試料はかり取り量  g

0.001

以上 0.01 未満 1.0

0.01

以上 0.02 未満 0.5

4.4

操  作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり取ってポリエチレンビーカー (100ml) に移し入れ,塩化ナトリウム溶液 1ml 及び水約

10ml

を加えた後ふっ化水素酸 (1+4) 10ml(

1

)

を加え,直ちにポリエチレン時計皿で覆う。不溶性残さ

があれば硝酸 (1+1) 1.0ml を加え,水浴中で 50∼70℃に加熱して分解する(

2

)

(2)

放冷後,ほう酸溶液 50ml で時計皿とビーカー壁を洗い,時計皿は取り除く。ポリエチレン棒でかき

混ぜながら過マンガン酸カリウム溶液を微紅色を呈するまで滴加し,20∼25℃になるまで放冷する。

(3)

モリブデン酸アンモニウム溶液 5ml を加えてかき混ぜ,15 分間放置する。酒石酸溶液 5ml 及び還元試

薬溶液 5ml を加え,その都度かき混ぜる。100ml のメスフラスコに水で洗い移し,水で標線まで薄め,

15

分間以上放置する。

(4)

この溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,水を対照液として,波長 820nm 付近の吸光度を測定する。

(

1

試料0.5g を用いるときには,ふっ化水素酸 (1+4)  を5ml に減らし,分解後水5ml を加える。

(

2

)

空試験は次のとおり行う。ふっ化水素酸 (1+4) 10ml[

(

1

)

を適用した場合は 5ml]を白金皿(100

番)に取り,塩化ナトリウム溶液 1ml を加え,水浴上で蒸発乾固する。水 20ml を加えて溶かし,

ほう酸溶液 50ml,ジルコニウム溶液 5ml 及び硝酸 (1+1) 1.0ml を加える。以下 4.4(3)以降の手

順に従って操作する。

4.5

計  算  4.6 で作成した検量線からけい素量を求め,試料中のけい素含有率を次の式によって算出す

る。

100

(%)

×

W

A

けい素

ここに,

A

:  試料溶液中のけい素検出量 (g)

W

:  試料はかり取り量 (g)

4.6

検量線の作成

  数個のポリエチレンビーカー (100ml) に標準けい素溶液 0∼4ml(けい素として 0∼

100

µg)の各種液量を段階的に取り,ほう酸溶液 50ml,ジルコニウム溶液 5ml 及び硝酸 (1+1) 1.0ml を加

え,水で 70ml に薄める。以下

4.4(3)

以降の手順に従って操作し,水を対照液として吸光度を測定し,得た

吸光度とけい素量との関係線を作成し,この関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。


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H 1660 - 1985

原案作成委員会構成表

氏名

所属

(委員会長)

多  田  格  三

社団法人新金属協会ジルコニウム分析委員会主査

橋  谷      博

島根大学

吉  森  孝  良

東京理科大学

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

栢          明

動力炉・核燃料開発事業団

小  森  卓  二

日本原子力研究所

小  川  欣  也

日本ニユクリア・フユエル株式会社

須  藤  恵美子

新日本製鐵株式会社

谷  口  政  行

株式会社神戸製鋼所

束  原      巌

古河電気工業株式会社

中  村      靖

日本鉱業株式会社

仲  山      剛

住友金属工業株式会社

野  村  紘  一

三菱金属株式会社

浅  野  長  彦

通商産業省基礎産業局

咲  山  忠  男

工業技術院標準部

黒  田  和  夫

社団法人新金属協会

(事務局)

今  井  康  弘

社団法人新金属協会