2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 1650-1988
ジルコニウム及びジルコニウム合金の
分析方法通則
General Rules for Chemical Analysis of
Zirconium and Zirconium Alloys
1. 適用範囲 この規格は,ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法に共通な事項について規定す
る。
引用規格及び関連規格:3ページに示す。
2. 用語の意味 この規格で用いる用語の意味は,JIS K 0211[分析化学用語(基礎部門)]及びJIS Z 8402
(分析・試験の許容差通則)による。
3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050(化学分析方法通則),JIS K 0115(吸光光度分
析のための通則),JIS K 0116(発光分光分析方法通則),JIS K 0119(蛍光X線分析方法通則)及びJIS K
0121(原子吸光分析のための通則)による。
4. 分析試料の採り方及び取扱い方
4.1
試料の採り方
4.1.1
スポンジジルコニウムの塩素分析用試料の調整方法 スポンジジルコニウムの塩素分析用試料の
調製方法は,次による。
(1) ロットからロットを代表する試料を採取し,約1kgまでに縮分する。次に,縮分した試料を,粒度が
偏らないように注意して清浄なダイスに入れ,上部からポンチを差し込み,圧縮機によって圧縮成形
する。圧力はなるべく小さくし,切削の際に圧縮塊が崩れない程度とする。
(2) 圧縮塊をダイスから取り出してボール盤のチャックに取り付け,清浄なドリル(直径25mm)を用い
て,試料が過熱酸化しない程度の回転数と削り速度できりもみする。圧縮塊から採取するインクリメ
ントの数は,3個とする。きりもみ操作においては,油脂類,その他減摩剤を用いず,冷却のための
注水も行ってはならない。
(3) 圧縮塊の表面部分5〜10mmの切粉は捨て,ドリルが圧縮塊の表面から5〜10mmに達するまでに得ら
れた切粉を集める。
(4) 切粉は,ジルコニウム又はステンレス鋼製の容器に移し,ジルコニウム又はステンレス鋼製の棒で突
き砕き,JIS Z 8801(標準ふるい)の4 760μm以下の細片とした後,磁石を用いて混入した鉄分を除
去する。切粉が多量のときは,二分器を用いるか,その他の方法で約20gまで縮分し,分析用試料と
する。
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H 1650-1988
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4.1.2
スポンジジルコニウムの分析用試料(塩素定量用を除く。)の調製方法 ジルコニウムの分析用試
料(塩素定量用を除く。)の調製方法は,次による。
(1) ロットからロットを代表する試料を採取し,約1kgまでに縮分する。次に,縮分した試料を二分器を
用いて分割し,約150gの試料6個を作り,それぞれを真空アーク溶融して,直径約50mm,厚さ10mm
のジルコニウムボタン6個を調製する。
(2) 表面の付着物をブラシなどを用いて除去し,アセトンで洗浄した後,旋盤を用いて表面層1〜2mmを
切削して除去する。
これらのボタン試料を用いて蛍光X線分析をすることができる。
(3) 各ボタン試料の切削した表面から4.1.1(2)に準じて裏面から1〜2mmに達するまできりもみを行い,切
粉を採取する。ただし,ドリルは直径25mmのものを用い,1個のボタンから採取するインクリメン
トの数は,1個とする。
(4) 切粉は,ジルコニウム又はステンレス鋼製の容器に移し,ジルコニウム又はステンレス鋼製の棒で突
き砕くか,裁断機などを用いて約5mm以下の細片に切断した後,1ロット分を合併し,よく混合する。
磁石を用いて混入した鉄分を除去し,分析用試料とする。
4.1.3
ジルコニウム及びジルコニウム合金インゴットの分析用試料の調製方法 ジルコニウム及びジル
コニウム合金インゴットの分析用試料の調製方法は,次による。
(1) インゴットの側面全体について,旋盤によって表面切削を行い,表面の汚染面を除去する。
(2) 側面の両端5cm部分を除いて,等間隔の3か所から旋盤を用いて切削し,それぞれから約50gの切粉
を採取する。
(3) 各切粉は,4.1.2(4)に準じて処理し,分析用試料とする。
4.1.4
ジルコニウム及びジルコニウム合金加工材の分析用試料の調製方法 ジルコニウム及びジルコニ
ウム合金加工材の分析用試料の調製方法は,次による。
(1) 表面の付着物をブラシなどを用いて除去して清浄にした後,旋盤,金はさみなどの器具を用いて切削
又は切断し,切粉を採取する。
(2) 採取した切粉は,4.1.2(4)に準じて処理し,分析用試料とする。
備考 受渡当事者間の協議によって,4.1に規定した方法以外の方法を用いることができる。
4.2
試料の取扱い方 得られた分析用試料は,汚染を受けないように注意し,ポリエチレン袋,その他
の容器に入れて密封し,保存する。長期間保存する場合には,不燃性容器に入れてアルゴンガスを満たし
ておく。
4.3
試料のはかり方 試料のはかり方は,次による。
(1) 分析試料をはかり取る際には,よくかき混ぜて平均組成を代表するように注意し,また異物が混入し
ていないことを確かめなくてはならない。
(2) 分析試料のはかり取りには,原則として化学はかりを用い,1mgのけたまで読み取る。
5. 分析値のまとめ方
5.1
分析回数 原則として同一分析所において2回の繰返し分析を行う。
5.2
空試験 分析に当たっては,空試験を行い,測定値を補正する。
5.3
分析値の表示 分析値は,質量百分率で表し,JIS H 4751(ジルコニウム合金管)に規定された数値
の有効最小位の次のけたまで算出し,JIS Z 8401(数値の丸め方)によって丸める。
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6. 安全衛生に関する注意 原子吸光法における高圧ガスの取扱い,フレームの点火・消化,シアン化カ
リウム,有機溶媒などの危険薬品の使用及び廃棄処理などには十分に注意し,災害の防止と環境の保全と
に努めなければならない。
引用規格:
JIS H 4751 ジルコニウム合金管
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析のための通則
JIS K 0116 発光分光分析方法通則
JIS K 0119 蛍光X線分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析のための通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8402 分析・試験の許容差通則
JIS Z 8801 標準ふるい
関連規格:JIS H 1651 ジルコニウム中の塩素定量方法
JIS H 1652 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のマンガン定量方法
JIS H 1653 ジルコニウム及びジルコニウム合金中の窒素定量方法
JIS H 1654 ジルコニウム及びジルコニウム合金中の鉄定量方法
JIS H 1655 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のニッケル定量方法
JIS H 1656 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のクロム定量方法
JIS H 1657 ジルコニウム及びジルコニウム合金中の銅定量方法
JIS H 1658 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のコバルト定量方法
JIS H 1659 ジルコニウム合金中のすず定量方法
JIS H 1660 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のけい素定量方法
JIS H 1661 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のアルミニウム定量方法
JIS H 1662 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のチタン定量方法
JIS H 1663 ジルコニウム及びジルコニウム合金中の炭素定量方法
JIS H 1664 ジルコニウム及びジルコニウム合金の水素分析方法
JIS H 1665 ジルコニウム及びジルコニウム合金の酸素分析方法
JIS H 1666 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のタングステン定量方法
JIS H 1667 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のハフニウム定量方法
JIS H 1668 ジルコニウム合金中のニオブ定量方法
JIS H 1669 ジルコニウム及びジルコニウム合金のけい光X線分析方法
JIS H 1670 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のほう素定量方法
JIS H 1671 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のカドミウム定量方法
JIS H 1672 ジルコニウム及びジルコニウム合金中のウラン定量方法
JIS H 1673 ジルコニウム及びジルコニウム合金中の鉛定量方法
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H 1650-1988
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ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法通則
改正JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
多 田 格 三
社団法人新金属協会ジルコニウム分析委員会主査
橋 谷 博
島根大学
吉 森 孝 良
東京理科大学
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
小 森 卓 二
日本原子力研究所
林 正太郎
動力炉・核燃料開発事業団
小 川 欣 也
日本ニュクリア・フュエル株式会社
谷 口 政 行
株式会社神戸製鋼所
束 原 厳
古河電気工業株式会社
中 村 靖
日本鉱業株式会社
仲 山 剛
住友金属工業株式会社
野 村 紘 一
三菱金属株式会社
山 本 宏
通商産業省基礎産業局
安 部 恵
工業技術院標準部
澤 口 健 治
社団法人新金属協会
(事務局)
今 井 康 弘
社団法人新金属協会