H 1632-3:2014
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 要旨······························································································································· 1
5 試薬······························································································································· 1
6 装置及び器具 ··················································································································· 2
6.1 装置 ···························································································································· 2
6.2 器具 ···························································································································· 2
7 分析用試料の調製 ············································································································· 3
8 試料はかりとり量 ············································································································· 3
9 操作······························································································································· 3
9.1 試料溶液の調製 ············································································································· 3
9.2 蒸留 ···························································································································· 3
9.3 測定溶液の調製 ············································································································· 4
9.4 検量線用溶液の調製 ······································································································· 4
9.5 空試験液の調製 ············································································································· 4
9.6 分光測定 ······················································································································ 4
10 計算 ····························································································································· 4
11 許容差 ·························································································································· 4
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本チタン協会(JTS)及び一
般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS H 1632の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS H 1632-1 第1部:一般要求事項及び試料の分解
JIS H 1632-2 第2部:パラジウム,マンガン,鉄,マグネシウム,けい素,アルミニウム,バナジ
ウム,ニッケル,クロム,すず,銅,モリブデン,ジルコニウム,ニオブ,タンタル,コバルト
及びイットリウム定量方法
JIS H 1632-3 第3部:ほう素定量方法
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日本工業規格 JIS
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チタン−ICP発光分光分析方法−
第3部:ほう素定量方法
Titanium-ICP atomic emission spectrometry-
Part 3: Determination of boron
1
適用範囲
この規格は,チタン中の0.002 %以上0.010 %以下のほう素をICP発光分光分析方法によって定量する方
法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 1632-1 チタン−ICP発光分光分析方法−第1部:一般要求事項及び試料の分解
3
一般事項
定量方法に共通な一般事項は,JIS H 1632-1による。
4
要旨
試料を塩酸で分解し,硫酸を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させる。メタノールを加え,ほう素をほ
う酸メチルとして蒸留し,水酸化ナトリウムに吸収させる。メタノールを蒸発させた後,塩酸を加え,溶
液をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,ほう素の発光強度を測定する。
5
試薬
試薬は,次による。
5.1
塩酸
5.2
塩酸(1+1)
5.3
硝酸
5.4
硫酸(1+1)
5.5
水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)
5.6
窒素
5.7
アルゴン
5.8
メタノール
5.9
ほう素標準液(B:20 µg/mL) ほう酸0.572 gをはかりとって,ビーカー(200 mL)に移し入れ,
水に溶解し,溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液(B:100
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μg/mL)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍に薄め,ほう素標準液とする。
6
装置及び器具
6.1
装置
6.1.1
一般
使用するICP発光分光分析装置は,JIS H 1632-1の9.4.1(装置の最適化)に従って最適化を行った後,
6.1.2〜6.1.4の装置性能基準を満足しなければならない。
装置は,同時定量式又は逐次定量式のいずれでもよい。
6.1.2
短時間安定性
ほう素について,最大濃度の検量線溶液の発光強度又は発光強度比を連続10回測定し,測定値の相対標
準偏差(RSD)を算出する。相対標準偏差を検量線最大濃度短時間安定性とし,検量線最大濃度短時間安
定性は,表1に示す数値より小さくなければならない(JIS H 1632-1のA.4参照)。
6.1.3
バックグラウンド等価濃度及び検出限界
ほう素だけを含有する溶液を用いて,その分析線におけるバックグラウンド等価濃度(BEC)及び検出
限界(DL)を求める。得られた値は,表1に示す数値より小さくなければならない(JIS H 1632-1のA.2
及びA.3参照)。
表1−短時間安定性,BEC値及びDL値
分析対象元素
分析線
nm
検量線最大濃度短時間安定性
%
BEC値
mg/L
DL値
mg/L
ほう素
208.89,249.77
5.0
0.5
0.05
6.1.4
検量線の直線性
検量線の直線性は,相関係数を求めることでチェックする。相関係数は,0.999より大きくなければなら
ない。
6.2
器具
ほう素蒸留器具は,例として次のものを用いる(図1参照)。
a) 蒸留器 蒸留フラスコ(200 mL),試薬注入管及び冷却管からなり,全て石英ガラス製のものを用い
る。
b) 受器 50 mLに相当する箇所に印を付けた石英ガラス製ビーカー(100 mL)。
c) 加熱器 磁気かき混ぜ機が付いた,約20分でメタノール40 mLを蒸留できるものを用いる。
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単位 mm
1
試薬注入管
2
蒸留フラスコ
3
回転子
4
冷却管
5
冷水
6
受器
図1−蒸留器具の例
7
分析用試料の調製
分析用試料の調製は,JIS H 1632-1の箇条7(分析用試料の調製)による。
8
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとし,1 mgの桁まではかる。
9
操作
9.1
試料溶液の調製
試料をはかりとって蒸留フラスコに移し入れ,塩酸40 mLを加え,低温で穏やかに加熱して分解する。
硝酸5 mLを加えてチタンなどを酸化し,硫酸(1+1)20 mLを加えて引き続き加熱し,硫酸の白煙を5
〜10分間発生させた後,放冷する。
9.2
蒸留
蒸留器の受器に水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)10 mLを入れ,冷却管流出口の先端がその中に浸るよ
うにする。蒸留フラスコ内に磁気かき混ぜ機のポリテトラフルオロエチレン製被覆回転子を入れ,ほう素
蒸留器を組み立てる。冷却管には10 ℃以下の冷水を通す。窒素又はアルゴン30〜50 mL/minを流しなが
ら回転子を回し,試薬注入管から蒸留フラスコ内に,突沸及び受器中の溶液の逆流に注意しながら,メタ
ノール60 mLを少しずつ加える。留出量が約2 mL/minになるようにヒーター温度を調節し,受器中の液
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量が50 mLになったら加熱を止め,冷却管流出口の先端を少量のメタノールで洗浄し,洗液を留出液に合
わせる。
9.3
測定溶液の調製
9.2で得た溶液をメタノールで石英ガラス製ビーカー(200 mL)に洗い移し,沸騰しない程度に加熱し
てメタノールを蒸発させる。塩類を塩酸(1+1)10 mLで溶解し,常温まで冷却した後,溶液を100 mL
のポリエチレン製全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
9.4
検量線用溶液の調製
a) チタン[JIS H 1632-1の5.5(チタン)]1.0 gを1 mgの桁まで6個はかりとり,蒸留フラスコに移し
入れる。ピペットを用いてほう素標準液(5.9)を表2に示す量だけそれぞれの蒸留フラスコに加え,
試料と同じ試薬で,同じ方法で分解する。
b) 9.2及び9.3に従って操作し,得た溶液を検量線用溶液とする。
表2−検量線用溶液の調製
ほう素標準液(5.9)
の添加量
mL
ほう素の濃度
µg/mL
相当する試料中の
ほう素含有率
質量分率(%)
0 a)
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
0
0.20
0.40
0.60
0.80
1.00
0
0.002
0.004
0.006
0.008
0.010
注a) ゼロメンバー
9.5
空試験液の調製
全試薬の同量を用いて,試料と併行して同じ操作で空試験液を調製する。
9.6
分光測定
9.6.1
装置の最適化
装置の最適化は,JIS H 1632-1の9.4.1(装置の最適化)による。ただし,装置性能基準の確認は,6.1.2
〜6.1.4による。
9.6.2
発光強度の測定
発光強度の測定は,JIS H 1632-1の9.4.2(発光強度の測定)による。分析線は,表1による。
9.6.3
検量線の作成
検量線の作成は,JIS H 1632-1の9.4.3(検量線の作成)による。
10 計算
計算は,JIS H 1632-1の箇条10(計算)による。
11 許容差
許容差は,表3による。
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表3−ほう素の許容差
適用成分
定量範囲
[質量分率(%)]
室内再現許容差
室間再現許容差
ほう素
0.002以上0.010以下
logRw=0.165 6×logm−3.171 8
logR=0.008 6×logm−2.798 9
許容差計算式中のmは,許容差を求める適用成分の含有率[質量分率(%)]である。得たlogRw及びlogR
を真数にして,それぞれ室内再現許容差[質量分率(%)]及び室間再現許容差[質量分率(%)]とする。