H 1624:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本チタ
ン協会(JTS)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS H 1624:1990は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
H 1624:2005
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 一般事項 ························································································································ 1
4. 定量方法 ························································································································ 1
5. 過マンガン酸カリウム酸化硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)滴定法 ················································ 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 試薬 ···························································································································· 1
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 空試験 ························································································································· 3
5.6 計算 ···························································································································· 3
6. 許容差 ··························································································································· 3
3
解 0
日本工業規格 JIS
H 1624:2005
チタン合金−バナジウム定量方法
Titanium alloys-Method for determination of vanadium
1. 適用範囲 この規格は,チタン合金中のバナジウム定量方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 1611 チタン及びチタン合金−分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
使い方
3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1611による。
4. 定量方法 バナジウムの定量方法は,過マンガン酸カリウム酸化硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)滴定法
による。この方法は,バナジウム含有率0.5 %(m/m)以上25 %(m/m)以下の試料に適用する。
5. 過マンガン酸カリウム酸化硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)滴定法
5.1
要旨 試料を硫酸とふっ化水素酸・ほう酸溶液とで分解し,硝酸を加えてチタンなどを酸化する。
バナジウムを過マンガン酸カリウムで酸化し,尿素を加え,過剰の過マンガン酸を亜硝酸ナトリウムで還
元し,三酸化二ひ素を加えてクロムを還元した後,指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム
を加え,硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液で滴定する。
5.2
試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸(1+1)
b) 硫酸(1+1)
c) ふっ化水素酸・ほう酸溶液 ふっ化水素酸100 mlに,ほう酸50 gを少量ずつ加えて溶解する。この
溶液は,ポリエチレン容器に保存する。
d) 亜硝酸ナトリウム溶液(10 g/l)
e) 過マンガン酸カリウム溶液(10g /l)
f)
三酸化二ひ素溶液 三酸化二ひ素0.85 gをはかりとってビーカー(200 ml)に移し入れ,水酸化ナト
リウム溶液(20 g/l)10 mlを加え,穏やかに加熱して溶解する。水で液量を約50 mlとし,硫酸(1+10)
3mlを加え,炭酸水素ナトリウム3gを加えて溶解した後,別のビーカー(1 000ml)に移し入れ、水
で液量を1 000 mlとする。
4
H 1624:2005 解説
解 1
g) 尿素
h) 0.05 mol/l 硫酸ニアンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液 硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)六水和物20 gをはか
りとってビーカー(500 ml)に移し入れ,硫酸(1+10)300 mlに溶解し,1 000 mlの全量フラスコに水を
用いて移し入れ,水で液量を1 000 mlとする。この溶液の標定は,次による。
調製した硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)溶液の50.0 mlをコニカルビーカー(200 ml)に取り,水25 ml
及びりん酸5 mlを加える。この溶液を0.02 mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液[調製及び標定は,
JIS K 8001の4.5(7)( 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液)による。]で滴定して,溶液が微紅色を呈す
る点を終点とし,次の式によって0.05 mol/lに対するファクターを算出する。別に同一条件で空試験
を行う。
25
)
(
2
2
1
1
F
V
V
F
×
−
=
ここに,
F1: 0.05 mol/l硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液のフ
ァクター
F2: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液のファクタ
ー
V1: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液使用量
(ml)
V2: 空試験における0.02 mol/l過マンガン酸カリウム標
準溶液使用量(ml)
i)
ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液(2 g/l) この溶液は,褐色瓶に保存する。
5.3
試料はかりとり量 試料はかりとり量は,試料中のバナジウム含有率に応じて表1に従って,1mg
のけたまではかる。
表 1 試料はかりとり量
バナジウム含有率
%(m/m)
試料はかりとり量
g
0.5以上10未満
1.00
10 以上15未満
0.50
15 以上25以下
0.25
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって三角フラスコ(500 ml)に移し入れ,水50 ml,硫酸(1+1)[5.2 b)]10 ml及びふ
っ化水素酸・ほう酸溶液[5.2 c)]5 mlを加え,加熱して分解する。
b) 硝酸(1+1)[5.2 a)]3 mlを加えて煮沸し,酸化窒素などを追い出す。
c) 室温まで冷却した後,水約200 mlを加える。
5.4.2
バナジウムの酸化 5.4.1で得た溶液に,溶液が微紅色を呈するまで過マンガン酸カリウム溶液[5.2
e)]を滴加し,更に5,6滴を過剰に加えて5分間放置する。
5.4.3
過マンガン酸及び二クロム酸の還元 5.4.2で得た溶液に尿素[5.2 g)]5 gを加えて溶解し,よく振り
混ぜながら微紅色が消失するまで亜硝酸ナトリウム溶液[5.2 d)]を滴加する。次に三酸化二ひ素溶液[5.2
f)]5mlを加えて(1),3分間放置する。
注(1) 試料溶液中のクロム量が5 mg以下の場合は,三酸化二ひ素溶液を添加しない。
5
H 1624:2005 解説
解 2
5.4.4
滴定 5.4.3で得た溶液に指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液[5.2 i)]1mlを加
え,よく振り混ぜて溶液が紫色を呈したら,0.05 mol/L硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液[5.2 h)]で滴
定して,最後の1滴で紫色が消失する点を終点とし,0.05 mol/L硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液の
使用量を求める。
5.5
空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
5.6
計算 試料中のバナジウム含有率を,次の式によって算出する。
100
547
002
.0
)
4
3
(
1
)]
m
/
m
(
[
×
×
−
×
=
m
V
V
F
%
バナジウム
ここに,
F1: 0.05 mol/L硫酸二アンモニウム鉄(Ⅱ)標準溶液
[5.2h)] のファクター
V3: 試料溶液の滴定における0.05 mol/L硫酸二アンモニ
ウム鉄(Ⅱ)標準溶液[5.2h)]使用量(ml)
V4: 空試験の滴定における0.05 mol/L硫酸二アンモニウ
ム鉄(Ⅱ)標準溶液[5.2h)]使用量(ml)
m: 試料はかりとり量(g)
6. 許容差 許容差は,表2による。
表 2 許容差(2)
単位 %(m/m)
バナジウム含有率
室内再現許容差
室間再現許容差
0.5 以上 14 未満
f(n)×[0.001 6×(V)]+0.007
f(n)×[0.011 4×(V)]-0.001
14 以上 25 以下
f(n)×[0.007 3×(V)]-0.070
f(n)×[0.006 0×(V)]+0.074
注(2) 許容差計算式中のf(n)は,JIS Z 8402-6の表1による。nの値は,室内再現許容差の場合は,同一試
験室内における分析回数,室間再現許容差の場合は,分析に関与した分析室数である[n=2のとき,
f(n)=2.8である]。また,許容差計算式中の(V)は,許容差を求めるバナジウム含有率[%(m/m)]である。