2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 1617-1995
チタン及びチタン合金中の
炭素定量方法
Methods for determination of carbon in
titanium and titanium alloys
1. 適用範囲 この規格は,チタン及びチタン合金中の炭素定量方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS H 1611 チタン及びチタン合金中の分析方法通則
JIS Z 2615 金属材料の炭素定量方法通則
2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1611,JIS Z 2615による。
3. 定量方法の区分 炭素の定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 燃焼−硫酸滴定法 この方法は,炭素含有率0.005% (m/m) 以上0.2% (m/m) 以下の試料に適用する。
(2) 燃焼−導電率法 この方法は,炭素含有率0.002% (m/m) 以上0.2% (m/m) 以下の試料に適用する。
(3) 燃焼−電量法 この方法は,炭素含有率0.002% (m/m) 以上0.2% (m/m) 以下の試料に適用する。
(4) 燃焼−熱伝導度法 この方法は,炭素含有率0.002% (m/m) 以上0.2% (m/m) 以下の試料に適用する。
(5) 燃焼−赤外線吸収法(積分法) この方法は,炭素含有率0.002% (m/m) 以上0.2% (m/m) 以下の試料
に適用する。
4. 燃焼−硫酸滴定法
4.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共にビュレット
に捕集した後,一定量の水酸化ナトリウム溶液中に導いて,二酸化炭素を吸収させ,過剰の水酸化ナトリ
ウムを硫酸標準溶液で滴定する。
4.2
装置 装置は,JIS Z 2615の5.(6)(a)の管状電気抵抗加熱炉とJIS Z 2615の6.4.3(1)(酸素精製部),
(3)(燃料ガス精製部)及び(4)(二酸化炭素定量部)の装置とを接続して用いる。
4.3
器具,材料及び試薬 器具,材料及び試薬は,JIS Z 2615の5.(器具及び材料)及びJIS Z 2615の
6.4.2(試薬)による。
4.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は2.0gとし,1mgのけたまではかる。
4.5
操作
4.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.4.4(予備操作)による。ただし,管状電気抵抗加熱炉の
温度は1 400℃とする。
また,磁器燃焼ボートの空焼きは,1 400℃以上で2時間以上加熱する。
2
H 1617-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.5.2
定量操作 定量操作は,JIS Z 2615の6.4.5(定量操作)による。ただし,助燃剤として鉛1.0g及
びすず1.0gを用いる(1)(2)。
注(1) 標準試料を用いて炭素を十分に酸化できることを確かめておけば,他の助燃剤を単独又は2, 3
種類組み合わせて使用してもよい。
(2) 燃焼が容易な試料で,燃焼時に二酸化炭素吸収管の出口の酸素を,毎分約40mlに調節すること
が容易な場合には,捕集ビュレットを省略できる。
4.6
空試験 空試験は,JIS Z 2615の6.4.6(空試験)による。
4.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.4.7(計算)による。
5. 燃焼−導電率法
5.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を酸化して二酸化炭素とし,一定量の水酸化ナトリウム溶
液中に吸収させ,吸収前後の溶液の導電率の変化を測定する。
5.2
装置 装置は,JIS Z 2615の5.(6)(a)の管状電気抵抗加熱炉又はJIS Z 2615の5.(6)(b)の高周波誘導加
熱炉とJIS Z 2615の6.6.3(1)(酸素精製部),(3)(燃焼ガス精製部)及び(4)(二酸化炭素定量部)の装置と
を接続して用いる。
5.3
器具,材料及び試薬 器具,材料及び試薬は,JIS Z 2615の5.及びJIS Z 2615の6.6.2(試薬)によ
る。
5.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は0.5gとし,1mgのけたまではかる。
5.5
操作
5.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.6.4(予備操作)による。ただし,管状電気抵抗加熱炉を
用いる場合の温度及び磁器燃焼ボートの空焼き条件は,4.5.1による。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合の高周波磁器燃焼るつぼの空焼きは,1 400℃以上で2時間以上加
熱する(3)。
注(3) 高周波磁器燃焼るつぼの空焼きは,定量操作で助燃剤として用いる金属と同じ金属の一定量を
高周波磁器燃焼るつぼに入れ,これを高周波誘導加熱炉で一定時間加熱することで空焼きに代
えることができる。
この場合るつぼに入れる金属の量及び加熱時間は,助燃剤として用いる金属の種類によって
異なるので,あらかじめ最適条件を調べておく。
5.5.2
定量操作 定量操作は,JIS Z 2615の6.6.5(定量操作)による。ただし,助燃剤は管状電気抵抗
加熱炉を用いる場合には,鉛0.5g及びすず0.5gを用い(1),高周波誘導加熱炉を用いる場合には,鉄1.0g
及び銅1.0gを用いる(4)。
注(4) 助燃剤の種類及び量の最適条件は,装置によって異なる場合があるので,標準試料を用いて炭
素を十分に酸化できることを確かめて最適条件を決定する。
5.6
空試験 空試験は,JIS Z 2615の6.6.6(空試験)による。
5.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.6.7(計算)による。
6. 燃焼−電量法
6.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を酸化して二酸化炭素とし,一定のpHに調整した弱アルカ
リ性バリウム塩溶液中に吸収させ,吸収によって低下したpHを,バリウム塩溶液の電解によって元のpH
に戻すために要した電気量を測定する。
3
H 1617-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
装置 装置は,JIS Z 2615の5.(6)(a)の管状電気抵抗加熱炉又はJIS Z 2615の5.(6)(b)の高周波誘導加
熱炉とJIS Z 2615の6.7.3(1)(酸素精製部),(3)(燃焼ガス精製部)及び(4)(二酸化炭素定量部)の装置と
を接続して用いる。
6.3
器具,材料及び試薬 器具,材料及び試薬は,JIS Z 2615の5.及びJIS Z 2615の6.7.2(試薬)によ
る。
6.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は0.5gとし,1mgのけたまではかる。
6.5
操作
6.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.7.4(予備操作)による。ただし,管状電気抵抗加熱炉の
温度並びに磁器燃焼ボート及び高周波磁器燃焼るつぼの空焼き条件は,5.5.1による。
6.5.2
定量操作 定量操作は,JIS Z 2615の6.7.5(定量操作)による。ただし,助燃剤は5.5.2による。
6.6
空試験 空試験は,JIS Z 2615の6.7.6(空試験)による。
6.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.7.7(計算)による。
7. 燃焼−熱伝導度法
7.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を酸化して二酸化炭素とし,合成ゼオライトを入れた捕集
管に吸着させた後,この捕集管を加熱して吸着した二酸化炭素を放出させ,酸素と共に熱伝導度検出器に
送り,二酸化炭素による熱伝導度の変化を測定する。
7.2
装置 装置は,JIS Z 2615の5.(6)(a)の管状電気抵抗加熱炉又はJIS Z 2615の5.(6)(b)の高周波誘導加
熱炉とJIS Z 2615の6.8.3(1)(酸素精製部),(3)(燃焼ガス精製部)及び(4)(二酸化炭素定量部)の装置と
を接続して用いる。
7.3
器具,材料及び試薬 器具,材料及び試薬は,JIS Z 2615の5.及びJIS Z 2615の6.8.2(試薬)によ
る。
7.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は0.5gとし,1mgのけたまではかる。
7.5
操作
7.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.8.4(予備操作)による。ただし,管状電気抵抗加熱炉の
温度並びに磁器燃焼ボート及び高周波磁器燃焼るつぼの空焼き条件は5.5.1による。
7.5.2
定量操作 定量操作は,JIS Z 2615の6.8.5(定量操作)による。ただし,助燃剤は5.5.2による。
7.6
空試験 空試験は,JIS Z 2615の6.8.6(空試験)による。
7.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.8.7(計算)による。
8. 燃焼−赤外線吸収法(積分法)
8.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共に赤外線吸収
検出器に送り,その赤外線吸収量を積分法で測定する。
8.2
装置 装置は,JIS Z 2615の5.(6)(b)の高周波誘導加熱炉とJIS Z 2615の6.9.3(1)(酸素精製部),(3)
(燃焼ガス精製部)及び(4)(二酸化炭素定量部)の装置とを接続して用いる。ただし,JIS Z 2615の6.9.3(4)
の二酸化炭素定量部の代わりに,二酸化炭素及び一酸化炭素の合量の赤外線吸収量を測定する方式のもの
を用いてもよい。この方式を用いるときには,JIS Z 2615の6.9.3(3)の燃焼ガス精製部の代わりに,JIS Z
2615の6.10.2(3)の燃焼ガス精製部を用いる。その場合の装置の概略を付図1に示す。
8.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615の5.及びJIS Z 2615の6.9.2(3)(窒素,アルゴン又は圧
縮空気)による。
4
H 1617-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は0.5gとし,1mgのけたまではかる。
8.5
操作
8.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.9.4(予備操作)による。
また,高周波磁器燃焼るつぼの空焼きは,1 400℃以上で2時間以上加熱する(3)。
8.5.2
定量操作 定量操作は,JIS Z 2615の6.9.5(定量操作)による。ただし,助燃剤は鉄0.5g,タン
グステン1.0g及びすず0.3gを用いる(4)。
8.6
空試験 空試験は,JIS Z 2615の6.9.6(空試験)による。
8.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.9.7(計算)による。
付図1 赤外線吸収法(二酸化炭素及び一酸化炭素積分法)の装置の概略
JIS原案調査作成委員会 構成表(五十音順)
氏名
所属
(委員長)
多 田 格 三
フジ化学研究所
赤 崎 勝 彦
住友金属工業株式会社
石 橋 耀 一
日本鋼管株式会社
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
小 熊 幸 一
千葉大学
金 築 四 郎
住友シチックス株式会社
河 村 恒 夫
株式会社神戸製鋼所・株式会社コベルコ科研
北 岡 一 泰
社団法人日本チタン協会
高 木 譲 一
通商産業省工業技術院
(小委員長)
中 村 靖
株式会社ジャパンエナジー分析センター
服 部 兆 隆
東邦チタニウム株式会社
藤 貫 正
財団法人日本分析化学会
松 木 由 一
昭和電工株式会社・昭和タイタニウム株式会社
横 溝 耿
三菱マテリアル株式会社
(事務局)
伊 藤 均
財団法人日本チタン協会
5
H 1617-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
小委員会 構成表(五十音順)
氏名
所属
(小委員長)
中 村 靖
株式会社ジャパンエナジー分析センター
赤 崎 勝 彦
住友金属工業株式会社
石 橋 耀 一
日本鋼管株式会社
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
金 築 四 郎
住友シチックス株式会社
河 村 恒 夫
株式会社神戸製鋼所・株式会社コベルコ科研
小 林 義 男
株式会社ジャパンエナジー分析センター
阪 本 博
昭和電工株式会社
西 尾 正 浩
住友軽金属工業株式会社
服 部 兆 隆
東邦チタニウム株式会社
松 木 由 一
昭和電工株式会社・昭和タイタニウム株式会社
山 本 寿 美
古河電気工業株式会社
横 溝 耿
三菱マテリアル株式会社
(事務局)
北 岡 一 泰
社団法人日本チタン協会
伊 藤 均
社団法人日本チタン協会
JIS改正原案調査作成委員会 構成表
本委員会
氏名
所属
(委員長)
多 田 格 三
日本原子力研究所
阿 部 恵
工業技術院標準部
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
吉 森 孝 良
東京理科大学
猪 熊 康 夫
住友金属工業株式会社
東 原 巌
古河電気工業株式会社
中 村 靖
日本鉱業株式会社
野 村 紘 一
三菱金属株式会社
阿 部 賢 二
大阪チタニウム製造株式会社
佐 藤 直 邦
社団法人チタニウム協会
下 村 宏
東邦チタニウム株式会社
谷 口 政 行
株式会社コベルコ科研
(関係者)
阪 本 耕 三
工業技術院標準部
(事務局)
伊 藤 均
社団法人チタニウム協会
6
H 1617-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
小委員会
氏名
所属
(主査)
野 村 江 一
三菱金属株式会社
阿 部 賢 二
大阪チタニウム製造株式会社
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
岩 田 英 夫
日本鋼管株式会社
遠 藤 丈
住友金属工業株式会社
加 藤 栄
住友軽金属工業株式会社
河 村 恒 夫
株式会社神戸製鋼所(株式会社コベルコ科研)
黒 田 貞 夫
日本ステンレス株式会社
加 藤 直 邦
社団法人チタニウム協会
下 村 宏
東邦チタニウム株式会社
谷 口 政 行
株式会社神戸製鋼所(株式会社コベルコ科研)
束 原 巌
古河電気工業株式会社
中 沢 弘
日本曹達株式会社
中 村 靖
日本鉱業株式会社
沖 山 剤
住友金属工業株式会社
猶 明 萩 一
昭和タイタニウム株式会社
横 溝 耿
三菱金属株式会社
(事務局)
伊 藤 均
社団法人チタニウム協会