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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1616 - 1995 

チタン及びチタン合金中の 

マグネシウム定量方法 

Methods for determination of magnesium in titanium  

and titanium alloys 

1. 適用範囲 この規格は,チタン及びチタン合金中のマグネシウム定量方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 1611 チタン及びチタン合金の分析方法通則 

2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1611による。 

3. 定量方法の区分 マグネシウムの定量方法は,次のいずれかによる。 

(1) 原子吸光法 この方法は,マグネシウム含有率0.01% (m/m) 以上0.1% (m/m) 以下の試料に適用する。 

(2) 誘導結合プラズマ発光分光法 この方法は,マグネシウム含有率0.001% (m/m) 以上0.1% (m/m) 以下

の試料に適用する。 

4. 原子吸光法 

4.1 

要旨 試料を塩酸とふっ化水素酸とで分解する。硝酸を加えてチタンなどを酸化し,ほう酸及び塩

化ストロンチウムを加えた後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光

度を測定する。 

4.2 

試薬 試薬は,次による。 

(1) 塩酸 (1+1) 

(2) 硝酸 (1+1) 

(3) ふっ化水素酸 (1+1) 

(4) ほう酸 

(5) 塩化ストロンチウム溶液 塩化ストロンチウム六水和物10gを水に溶解し,水で液量を100mLとする。 

(6) チタン 99% (m/m) 以上でマグネシウム含有率ができるだけ低く,既知であるもの。 

(7) 標準マグネシウム溶液(10μgMg/mL) マグネシウム[99.9% (m/m) 以上]0.100gをはかり取ってビ

ーカー (200mL) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 5mLを加え,加熱して分解する。常温まで

冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。溶液を1 000mLの全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100μgMg/mL) とする。この原液を使用の都度,必要量

だけ水で正しく10倍に薄めて標準マグネシウム溶液とする。 

4.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとし,1mgのけたまで正しくはかり取る。 

H 1616 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4 

操作 

4.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

(1) 試料をはかり取り,ポリエチレンビーカー (200mL) に移し入れる。 

(2) ポリエチレン時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 10mL及びふっ化水素酸 (1+1) 5mLを加えた後(1),水浴上

で穏やかに加熱して分解する。 

(3) 硝酸 (1+1) 3mLを滴加し,引き続き加熱して窒素酸化物を追い出した後,ポリエチレン時計皿の下

面を水で洗って時計皿を取り除く。ほう酸3gを加え,かき混ぜて溶解し,常温まで冷却した後,溶液

を100mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

(4) この溶液から10mLを100mLの全量フラスコに分取し,塩酸 (1+1) 5mL及び塩化ストロンチウム溶

液[4.2(5)]5mLを加え,水で標線まで薄める。 

注(1) ふっ化水素酸 (1+1) は,試料の形状によっては激しい分解反応を示すことがあるので,少量ず

つ加える。 

4.4.2 

吸光度の測定 4.4.1(4)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空

気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長285.2nmにおける吸光度を測定する。 

4.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

4.6 

検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。 

(1) チタン[4.2(6)]1.0gをはかり取り,ポリエチレンビーカー (200mL) に移し入れる。 

(2) 4.4.1(2)及び(3)の手順に従って操作する。 

(3) この溶液から,10mLずつを数個の100mLの全量フラスコに分取する。 

(4) その各々の溶液に標準マグネシウム溶液[4.2(7)]0〜10.0mL(マグネシウムとして0〜100μg)を段階的

に加え,塩酸 (1+1) 5mL及び塩化ストロンチウム溶液[4.2(5)]5mLを加え,水で標線まで薄める。 

(5) これらの溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中

に噴霧し,波長285.2nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とマグネシウム量との

関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

4.7 

計算 4.4.2及び4.5で得た吸光度と4.6で作成した検量線とからマグネシウム量を求め,試料中のマ

グネシウム含有率を次の式によって算出する。 

100

100

102

1

×

×

m

A

A

Mg

ここに, Mg: 試料中のマグネシウム含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のマグネシウム検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマグネシウム検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

4.8 

許容差 室間再現許容差は,0.006% (m/m) とする。 

5. 誘導結合プラズマ発光分光法 

5.1 

要旨 試料を硝酸とふっ化水素酸又は硫酸とふっ化水素酸とで分解した後,溶液を誘導結合プラズ

マ(以下,ICPという。)発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

(1) 塩酸 (1+1) 

H 1616 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 硝酸 (1+1) 

(3) ふっ化水素酸 (1+1) 

(4) 硫酸 (1+1) 

(5) チタン 4.2(6)による。 

(6) コバルト溶液 (1mgCo/mL)  コバルト[99.5% (m/m) 以上]1.00gをはかり取り,ビーカー (300mL) に

移し入れ,硝酸 (1+1) 40mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,溶液を1 000mLの全

量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

(7) イットリウム溶液 (1mgY/mL)  酸化イットリウム (III) [99.5% (m/m) 以上]1.27gをはかり取って,

ビーカー (300mL) に移し入れ,塩酸 (1+1) 20mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,

溶液を1 000mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

(8) ランタン溶液 (1mgLa/mL)  酸化ランタン (III) [99.5% (m/m) 以上]1.17gをはかり取って,ビーカ

ー (300mL) に移し入れ,塩酸 (1+1) 20mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,溶液

を1 000mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

(9) 標準マグネシウム溶液A (100μgMg/mL)  標準マグネシウム溶液4.2(7)の原液 (100μgMg/mL) を標準

マグネシウム溶液Aとする。 

(10) 標準マグネシウム溶液B (10μgMg/mL)  標準マグネシウム溶液4.2(7)を標準マグネシウム溶液Bとす

る。 

5.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとし,1mgのけたまではかる。 

5.4 

操作 

5.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

(1) 硝酸・ふっ化水素酸分解 

(a) 試料をはかり取って,ポリエチレンビーカー (200mL) に移し入れる。 

(b) ポリエチレン時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 50mL及びふっ化水素酸 (1+1) 10mLを加え(1),水浴上で

穏やかに加熱して分解する。引き続き加熱して窒素酸化物を追い出す。 

常温まで冷却した後,ポリエチレン時計皿の下面を水で洗って,時計皿を取り除く。 

(c) 溶液を100mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ(2),水で標線まで薄め,溶液を直ちに共栓付き

のポリエチレン瓶又は四ふっ化エチレン樹脂(以下,PTFEという。)瓶に移し入れる。 

注(2) 発光強度の測定を5.4.2(2)で行う場合は,内標準元素としてコバルト溶液[5.2(6)]5.0mLを加える。 

(2) 硫酸・ふっ化水素酸分解 

(a) 試料をはかり取って,PTFEビーカー (200mL) に移し入れる。 

(b) PTFE時計皿で覆い,硫酸 (1+1) 20mL及びふっ化水素酸 (1+1) 4mLを加えた後(1),加熱して分解

する(3)。硝酸 (1+1) 4mLを滴加して数分間加熱した後,PTFE時計皿の下面を水で洗って時計皿を

取り除く。穏やかに加熱して濃縮し,少しずつ温度を上げて硫酸の白煙を5分間発生させる(4)。室

温まで放冷した後,少量の水でPTFEビーカーの内壁を洗浄し,よく振り混ぜる。再び加熱して硫

酸の白煙を2〜3分間発生させる(4)。 

放冷した後,少量の水及び塩酸 (1+1) 20mLを加えて塩類を溶解する。 

(c) 常温まで冷却した後,溶液を100mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ(5),水で標線まで薄める。 

注(3) 試料の分解が不十分な場合は,ふっ化水素酸 (1+1) を加える。 

(4) 残存する硫酸量が,発光強度に影響を与えるので,白煙の発生状態に注意する。残存する硫酸

量が一定とならないときは,5.4.2(2)によって発光強度を測定しなければならない。 

H 1616 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) 発光強度の測定を5.4.2(2)で行う場合は,内標準元素としてコバルト溶液[5.2(6)],イットリウム

溶液[5.2(7)]又はランタン溶液[5.2(8)]5.0mLを加える。 

5.4.2 

発光強度の測定 発光強度の測定は,次のいずれかによる。 

(1) 発光強度法 5.4.1の(1)(c)又は(2)(c)で得た溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴

霧し,波長279.55nmにおけるマグネシウムの発光強度を測定する。 

(2) 強度比法 5.4.1の(1)(c)又は(2)(c)で得た溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧

し,波長279.55nmにおけるマグネシウムの発光強度及び内標準元素の発光強度(6)を同時に測定し,マ

グネシウムの発光強度と内標準元素の発光強度との比を求める。 

注(6) 注(2)を適用した場合には,波長238.89nmにおけるコバルトの発光強度,また,注(5)を適用した

場合には,波長238.89nmにおけるコバルトの発光強度,波長371.03nmにおけるイットリウムの

発光強度又は波長398.85nmにおけるランタンの発光強度を測定する。 

5.5 

空試験 空試験は,次のいずれかによる。 

(1) 試料溶液の調製を5.4.1(1)によって行う場合 5.6(1)の検量線作成操作において得られる標準マグネシ

ウム溶液を添加しない溶液の発光強度又は発光強度比を,空試験液の発光強度又は発光強度比とする。 

(2) 試料溶液の調製を5.4.1(2)によって行う場合 5.6(2)の検量線作成操作において得られる標準マグネシ

ウム溶液を添加しない溶液の発光強度又は発光強度比を,空試験液の発光強度又は発光強度比とする。 

5.6 

検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかによる。 

(1) 試料溶液の調製を5.4.1(1)によって行う場合 チタン[5.2(5)]を1.0gずつ数個はかり取り,それぞれを

ポリエチレンビーカー (200mL) に移し入れ,5.4.1(1)(b)の操作を行う。標準マグネシウム溶液A[5.2(9)]

及び標準マグネシウム溶液B[5.2(10)]の各種液量0〜10mL(マグネシウムとして0〜1mg)を段階的に

加える。以下,5.4.1(1)(c)及び5.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た発光

強度又は発光強度比と標準マグネシウム溶液として加えたマグネシウム量との関係線を作成し,その

関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

(2) 試料溶液の調製を5.4.1(2)によって行う場合 チタン[5.2(5)]を1.0gずつ数個はかり取り,それぞれを

PTFEビーカー (200mL) に移し入れ,5.4.1(2)(b)の操作を行う。標準マグネシウム溶液A[5.2(9)]及び

標準マグネシウム溶液B[5.2(10)]の各種液量0〜10mL(マグネシウムとして0〜1mg)を段階的に加え

る。以下,5.4.1(2)(c)及び5.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た発光強度

又は発光強度比と標準マグネシウム溶液として加えたマグネシウム量との関係線を作成し,その関係

線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

5.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

(1) 発光強度の測定を5.4.2(1)で行った場合 5.4.2(1)及び5.5(1)で得た発光強度と5.6(1)で作成した検量線

とからマグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を次の式によって算出する。 

100

)

(

3

2

1

×

m

A

A

A

Mg

ここに, Mg: 試料中のマグネシウム含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のマグネシウム検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマグネシウム検出量 (g) 

A3: チタン[5.2(5)]1.0g中に含まれるマグネシウム量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

(2) 発光強度の測定を5.4.2(2)で行った場合 5.4.2(2)及び5.5(2)で得た発光強度比と5.6(2)で作成した検量

線とからマグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を(1)の式によって算出する。 

H 1616 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.8 

許容差 試料中のマグネシウム含有率が0.010% (m/m) 以上0.050% (m/m) 以下の範囲で室内再現許

容差は0.002% (m/m),室間再現許容差は0.003% (m/m) とする。 

JIS原案調査作成委員会 構成表(五十音順) 

氏名 

所属 

(委員長) 

多 田 格 三 

フジ化学研究所 

赤 崎 勝 彦 

住友金属工業株式会社 

石 橋 耀 一 

日本鋼管株式会社 

稲 本   勇 

新日本製鐵株式会社 

大河内 春 乃 

科学技術庁金属材料技術研究所 

小 熊 幸 一 

千葉大学 

金 築 四 郎 

住友シチックス株式会社 

河 村 恒 夫 

株式会社神戸製鋼所・株式会社コベルコ科研 

北 岡 一 泰 

社団法人日本チタン協会 

阪 本   博 

昭和電工株式会社 

天 野   徹 

通商産業省工業技術院 

(小委員長) 

中 村   靖 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

服 部 兆 隆 

東邦チタニウム株式会社 

藤 貫   正 

財団法人日本分析化学会 

横 溝   耿 

三菱マテリアル株式会社 

(事務局) 

伊 藤   均 

社団法人日本チタン協会 

小委員会 構成表(五十音順) 

氏名 

所属 

(小委員長) 

中 村   靖 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

赤 崎 勝 彦 

住友金属工業株式会社 

石 橋 耀 一 

日本鋼管株式会社 

稲 本   勇 

新日本製鐵株式会社 

金 築 四 郎 

住友シチックス株式会社 

河 村 恒 夫 

株式会社神戸製鋼所・株式会社コベルコ科研 

小 林 義 男 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

阪 本   博 

昭和電工株式会社 

西 尾 正 浩 

住友軽金属工業株式会社 

服 部 兆 隆 

東邦チタニウム株式会社 

山 本 寿 美 

古河電気工業株式会社 

横 溝   耿 

三菱マテリアル株式会社 

(事務局) 

北 岡 一 泰 

社団法人日本チタン協会 

伊 藤   均 

社団法人日本チタン協会