H 1370:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 還元気化原子吸光分析法 ···································································································· 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 試薬 ···························································································································· 1
5.3 装置及び器具 ················································································································ 2
5.4 試料はかりとり量 ·········································································································· 4
5.5 操作 ···························································································································· 4
5.6 空試験 ························································································································· 4
5.7 検量線の作成 ················································································································ 4
5.8 計算 ···························································································································· 4
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本アルミニウム協会(JAA)及び
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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アルミニウム及びアルミニウム合金中の
水銀定量方法
Method for determination of mercury in aluminium and aluminium alloys
1
適用範囲
この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中の水銀定量方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 1351 アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1351及びJIS K 0121による。
4
定量方法の区分
水銀の定量方法は,還元気化原子吸光分析法による。この方法は,水銀含有率0.000 02 %(質量分率)
以上0.001 %(質量分率)以下の試料に適用する。
5
還元気化原子吸光分析法
5.1
要旨
試料を硝酸と硫酸との混酸で分解した後,過マンガン酸カリウムを加えて有機物などを酸化する。塩化
ヒドロキシルアンモニウムを加えて過剰の過マンガン酸カリウムを還元した後,塩化すず(II)を加え,
溶液中に空気を通して水銀を気化させ,原子吸光光度計を用いて,その吸光度を測定する。
5.2
試薬
試薬は,次による。
5.2.1
硝酸
5.2.2
硫酸(1+1)
5.2.3
過マンガン酸カリウム溶液(50 g/L)
5.2.4
塩化すず(II)溶液 塩化すず(II)二水和物10 gを硫酸(1+20)60 mLに加熱して溶解し,冷却
した後,水で液量を100 mLとする。この溶液は,使用の都度,調製する。
5.2.5
塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(200 g/L)
5.2.6
水銀標準液(Hg:0.1 µg/mL) 塩化水銀(II)[99.9 %(質量分率)以上]0.135 gを硝酸(1+13)
2
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に溶解した後,溶液を1 000 mLの全量フラスコに硝酸(1+13)を用いて移し入れ,硝酸(1+13)で標線
まで薄めて原液(Hg:100 μg/mL)とする。この原液を使用の都度,全量ピペット及び全量フラスコを用
い,必要量だけ水で1 000倍に希釈して水銀標準液とする。
5.3
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
5.3.1
還流冷却器付き分解フラスコ
還流冷却器付き分解フラスコの例を,図1に示す。
A:還流冷却器
B:滴下漏斗
C:分解フラスコ
D:ヒーター
図1−還流冷却器付き分解フラスコの例
5.3.2
水銀蒸気発生器
水銀蒸気発生器は,密閉循環方式のもの又は開放送気方式のものを用いる。装置の構成の例を図2及び
図3に示す。装置の一部を構成する吸収セル,乾燥管及び水銀トラップは,次による。
a) 吸収セル 直径8〜30 mm,長さ100〜300 mmの石英ガラス製のもの又は両端に石英ガラス窓を付け
たプラスチック(水銀蒸気を吸着しないもの)製のもの。
b) 乾燥管 ガラス管又はU字管に乾燥用の過塩素酸マグネシウム又は塩化カルシウムを詰めたもの。
c) 水銀トラップ ガス洗浄瓶に過マンガン酸カリウム(50 g/L)を含む硫酸(1+4)溶液を入れたもの
又はそれと同性能のもの。
3
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水銀蒸気発生器
A :還元容器
B :乾燥管
C :流量計
D :吸収セル
E :空気ポンプ
F :水銀トラップ
原子吸光光度計
G :水銀中空陰極ランプ
H :検出器
I :記録計
図2−密閉循環方式の構成の例
水銀蒸気発生器
A :還元容器
B :乾燥管
C :流量計
D :吸収セル
E :空気ポンプ
F :水銀トラップ
原子吸光光度計
G :水銀中空陰極ランプ
H :検出器
I :記録計
図3−開放送気方式の構成の例
4
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5.4
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,1 mgのけたまではかる。
5.5
操作
5.5.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって分解フラスコに移し入れ,還流冷却器及び滴下漏斗を取り付ける。滴下漏斗から
硫酸(1+1)10 mL及び硝酸10 mLを加え,滴下漏斗のコックを閉じ,穏やかに加熱して分解する。
b) 室温まで冷却した後,滴下漏斗から水約30 mL及び過マンガン酸カリウム溶液(50 g/L)20 mLを加
え,滴下漏斗のコックを閉じ,約30分間加温する。
なお,溶液の赤紫色が消えたときは,少し冷却した後,更に過マンガン酸カリウム溶液1 mLを加
えて加温する。赤紫色が消えなくなるまでこの操作を繰り返す。
c) 常温まで冷却した後,還流冷却器及び滴下漏斗を水で洗浄し,還流冷却器及び滴下漏斗を取り除く。
溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(200 g/L)を二酸化マンガンの褐色沈殿が消えるまで滴
下する。
d) 溶液を,水銀蒸気発生器の還元容器に水を用いて移し入れ,水で液量を150〜200 mLとする。
なお,水銀の含有率が0.000 1 %(質量分率)以上0.001 0 %(質量分率)以下の場合は,次の操作
を行う。
1) c) で得た溶液を,水を用いて100 mLの全量フラスコに移し入れ,過マンガン酸カリウム溶液を数
滴加えて薄い赤紫色に呈色させた後,水で標線まで薄める。
2) 全量ピペットを用いて10 mL分取し,還元容器に移し入れ,硝酸9 mL及び硫酸(1+1)9 mLを加
えた後,水で液量を150〜200 mLとする。
5.5.2
吸光度の測定
5.5.1 d) で得た溶液に塩化すず(II)溶液(5.2.4)10 mLを加え,直ちに還元容器を水銀蒸気発生器に接
続する。あらかじめ最適条件に調節しておいた空気ポンプを作動させて溶液に空気を通し,気化した水銀
を原子吸光光度計に組み込んだ吸収セルに送入し,波長253.7 nmの吸光度を測定する。
5.6
空試験
空試験は,試料を用いないで5.5の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。
5.7
検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 水銀標準液(Hg:0.1 µg/mL)(5.2.6)0〜5 mL(水銀として0〜0.5 µg)を段階的に,個別又は逐次的
に還元容器に取り,硫酸(1+1)10 mL及び硝酸10 mLを加え,更に過マンガン酸カリウム溶液を数
滴加えて薄い赤紫色に呈色させた後,水で液量を150〜200 mLとする。
なお,液量は5.5.1 d) の試料溶液の最終液量と同じ液量とする。
b) 5.5.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。
c) b) で得た吸光度と水銀標準液(Hg:0.1 µg /mL)(5.2.6)として加えた水銀量との関係線を作成し,
その関係線を,原点を通るように平行移動して検量線とする。
5.8
計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 5.5.1 d) 1)〜2) の操作を行わなかった場合 5.5.2及び5.6で得た吸光度と5.7で作成した検量線とから
水銀量を求め,試料中の水銀含有率を,次の式によって算出する。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
2
1
×
−
=
m
A
A
Hg
ここに,
Hg: 試料中の水銀含有率[%(質量分率)]
A1: 試料溶液中の水銀検出量(g)
A2: 空試験液中の水銀検出量(g)
m: 試料はかりとり量(g)
b) 5.5.1 d) 1)〜2) の操作を行った場合 5.5.2及び5.6で得た吸光度と5.7で作成した検量線とから水銀量
を求め,試料中の水銀含有率を,次の式によって算出する。
100
100
10
2
1
×
×
−
=
m
A
A
Hg
ここに,
Hg: 試料中の水銀含有率[%(質量分率)]
A1: 試料溶液中の水銀検出量(g)
A2: 空試験液中の水銀検出量(g)
m: 試料はかりとり量(g)