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H 1356 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS H 1356 : 1972は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,国際規格ISO 1784, Aluminium alloys−Determination of zinc−EDTA titrimetric method(ア

ルミニウム及びアルミニウム合金−亜鉛の定量−EDTA滴定法)に規定されている方法は,鉄又は銅の含

有率が高い合金には適用できず,さらに滴定の指示薬に変色点の分かりにくいジチゾンを使用しているた

め採択せず,別方法を規定している。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1356 : 1999 

アルミニウム及びアルミニウム 

合金中の亜鉛定量方法 

Method for determination of zinc in aluminium and aluminium alloys 

序文 この規格は,1976年に第1版として発行されたISO 1784, Aluminium alloys−Determination of zinc−

EDTA titrimetric metbodが対応国際規格としてあるが,国際規格が各国で使われていないこと,鉄又は銅の

含有率が高いアルミニウム合金には適用できないこと及びジチゾンを指示薬として使用する方法であるこ

とから,これを採用せず,対応国際規格に規定されていない方法を日本工業規格として規定した。 

1. 適用範囲 この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中の亜鉛定量方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 1784 : 1976 Aluminium alloys−Determination of zinc−EDTA titrimetric method 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 1351 アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1351及びJIS K 8005の規定による。 

4. 定量方法 亜鉛の定量方法は,イオン交換分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム滴定法に

よる。この方法は,亜鉛含有率0.1% (m/m) 以上12.0% (m/m) 以下の試料に適用する。 

5. イオン交換分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム滴定法 

5.1 

要旨 試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,塩酸濃度を調節した後,強塩基性イオン交換カラムに

通して亜鉛を樹脂に吸着させる。硝酸で亜鉛を溶離し,塩化ヒドロキシルアンモニウム,2,2′,2″-ニ

トリロトリエタノール,緩衝溶液及びシアン化カリウムを加える。指示薬としてエリオクロムブラックT

(以下,EBTという。)を加え,更にホルムアルデヒドを加えた後,エチレンジアミン四酢酸二水素二ナ

トリウム(以下,EDTA2Naという。)標準溶液で滴定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 塩酸 (1+1, 1+5) 

c) 硝酸 (1+150) 

H 1356 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 水酸化ナトリウム溶液 水酸化ナトリウム10gを水に溶解し,水で液量を100mlとした後,ポリエチ

レン瓶に保存する。 

e) 過酸化水素 

f) 

シアン化カリウム溶液 シアン化カリウム6gを水に溶解し,水で液量を100mlとする。 

g) 緩衝溶液 塩化アンモニウム67.5gを水に溶解し,水で液量を200mlとした後,アンモニア水570ml

を加え,水で液量を1 000mlとする。 

h) カラム洗浄溶液 アスコルビン酸8gを塩酸 (1+1) 800mlに溶解し,非イオン界面活性剤溶液[例え

ば,リポノックス溶液 (18v/v%)]4〜8滴を加える。 

i) 

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 塩化ヒドロキシルアンモニウム10gを水に溶解し,水で液量を

100mlとする。 

j) 

2,2′,2″-ニトリロトリエタノール溶液 (1+1) 

k) ホルムアルデヒド液 

l) 

0.02mol/l EDTA2Na標準溶液 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物7.44gを水に溶解

し,水で液量を正確に1 000mlとし,ポリエチレン容器に保存する。 

この溶液1mlに相当する亜鉛量を,次の手順によって求める。 

1) 亜鉛 (JIS K 8005) 1.000gをはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硫酸 (1+

1) 20ml及び塩酸5mlを加え,加熱して分解する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して

時計皿を取り除き,更に加熱して硫酸の白煙が発生するまで濃縮する。放冷した後,水を少量ずつ

加えて塩類を溶解する。常温まで冷却した後,水を用いて1 000mlの全量フラスコに移し入れ,水

で標線まで薄め,ポリエチレン容器に移し入れて保存する。 

2) この亜鉛溶液を正確に25ml取り,ビーカー (300ml) に移し入れ,水で液量を150mlとする。塩化

ヒドロキシルアンモニウム溶液 [i)] 2ml及び2,2,2″‐ニトリロトリエタノール溶液 [j)] 2mlを加

える。以下,5.5.3のb)及びc)の手順に従って操作し,EDTA2Na標準溶液1mlに相当する亜鉛量を

次の式によって算出する。空試験は,水150mlをビーカー (300ml)に取り,塩化ヒドロキシルアン

モニウム溶液[i)]2ml及び2,2′,2″-ニトリロトリエタノール溶液[j)]2mlを加え,以下,5.5.3の

b)及びc)の手順に従って操作する。 

2

1

025

.0

V

V

f

=

ここに, f : 0.02mol/l EDTA2Na標準溶液1mlに相当する亜鉛量 (g) 
 

V1 : 亜鉛溶液25mlを用いて得た0.02mol/l EDTA2Na標準溶液の使用量 

(ml) 

V2 : 空試験で得た0.02mol/l EDTA2Na標準溶液の使用量 (ml) 

m) EBT溶液 エリオクロムブラックT0.5gをエタノール (95) 100mlに溶解し,ろ過した後,塩化ヒドロ

キシルアンモニウム4gを加える。 

5.3 

器具 器具は,次による。 

イオン交換カラム 25mlのビュレットの底部に少量のガラス綿を平らに詰め,水を満たしておく。気泡

の入らないように注意しながら,あらかじめ水で膨潤させた強塩基性イオン交換樹脂[粒径300〜500μm]

約20mlを水と共に流し入れる。コックを閉じて樹脂を沈降させ,樹脂層の上面まで水位を下げる。イオ

ン交換カラムの例を,付図に示す。 

5.4 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,亜鉛含有率に応じて表1に従い,1mgのけたまではかる。 

background image

H 1356 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 試料はかり取り量 

試料中の亜鉛含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

0.1以上 0.5未満 

3.00 

0.5以上 2.0未満 

1.00 

2.0以上 5.0未満 

0.50 

5.0以上 12.0以下 

0.20 

5.5 

操作 操作は,次の手順に従って行う。 

5.5.1 

準備操作 イオン交換カラムに水酸化ナトリウム溶液約50mlを毎分約5mlの流量で通し,次に水

約50mlを同じ流量で通した後,塩酸 (1+5) 約50mlを毎分約5mlの流量で通す。 

5.5.2 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (500ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,塩酸 (1+1) を試料はかり取り量1gについて16mlの割合で少量ずつ加え,加熱して

分解する。過酸化水素5mlを加え,煮沸して完全に分解する。 

c) 直ちに溶液をろ紙(5種B)でろ過し,温水で十分に洗浄する。ろ液及び洗液を合わせて液量を約150ml

とする。塩酸30mlを加え,水で液量を約200mlとする(1)。 

注(1) このときの塩酸濃度は,約2mol/lとする。 

5.5.3 

亜鉛の分離 

a) 5.5.2 c)で得た溶液を5.5.1で調製が終わったイオン交換カラムに毎分5〜10mlの流量(2)で通して亜鉛

を樹脂に吸着させた後,カラム洗浄溶液[5.2 h)]を毎分5〜10mlの流量で通してイオン交換カラムを洗

浄し(3),流出液は捨てる。 

b) 温硝酸 (1+150) 400〜500mlを毎分5〜10mlの流量で通して亜鉛を溶離し,溶出液をビーカー (1l) に

受ける(4)。 

注(2) このときの液温は,20〜40℃とする。 

(3) カラム洗浄溶液は,試料はかり取り量が1g以下のときには200mlを,試料はかり取り量が3 g

のときには400mlを用いる。洗浄終了後はイオン交換カラム内に残留するカラム洗浄溶液の量

をできるだけ少なくするため,樹脂の上面まで液面を下げる。 

(4) 5.5.1の操作を行えば,使用後のイオン交換カラムを再び使用することができる。 

5.5.4 

亜鉛の滴定 

a) 5.5.3 b)で得た溶出液(5)に塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液[5.2 i)]2ml及び2,2′,2″-ニトリロト

リエタノール溶液 (1+1) 2mlを加える。 

b) 緩衝溶液[5.2 g)]15ml及びシアン化カリウム溶液[5.2 f)]5mlを加える。 

c) EBT溶液[5.2 m)]0.1〜0.3mlを指示薬として加え,溶液の色が青を呈したならば,ホルムアルデヒド液

1〜2mlを加えてよく振り混ぜ,0.02mol/lEDTA2Na標準溶液[5.2 l)]で滴定し,溶液の色が赤柴から青と

なった点を終点とし,0.02mol/l EDTA2Na標準溶液の使用量を求める。 

注(5) 溶出液は適当量まで濃縮してもよい。また,アルミニウム地金及び銅,鉄などの含有率が低い

アルミニウム合金地金で,この溶出液中に銅,鉄などが混入するおそれのないときは,塩化ヒ

ドロキシルアンモニウム溶液[5.2 i)],2,2′,2″-ニトリロトリエタノール溶液 (1+1) 及びシ

アン化カリウム溶液[5.2 f)]を加えることなく,緩衝溶液[5.2 g)]とEBT溶液[5.2 m)]だけを添加し

て,直ちに0.02mol/l EDTA2Na標準溶液[5.2 l)]で滴定することができる。 

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H 1356 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.6 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

5.7 

計算 試料中の亜鉛含有率を,次の式で算出する。 

100

)

(

2

1

×

×

=

m

f

V

V

Zn

ここに, 

Zn : 試料中の亜鉛含有率 [% (m/m)] 

V1 : 5.5.4 c)で得た0.02mol/l EDTA2Na標準溶液の使用量 (ml) 

V2 : 5.6で得た0.02mol/l EDTA2Na標準溶液の使用量 (ml) 

f : 0.02mol/l EDTA2Na標準溶液1mlに相当する亜鉛量 (g) 

m : 試料はかり取り量 (g) 

付図 イオン交換カラム 

H 1356 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

畦 上   尚 

株式会社日軽分析センター 

藤 沼   弘 

東洋大学工学部 

村 上 徹 朗 

工学院大学 

大河内 春 乃 

東京理科大学 

俣 野 宣 久 

川崎製線株式会社 

村 山 拓 己 

通商産業省基礎産業局 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

井 川 洋 志 

昭和電工株式会社千葉事業所 

泉     巌 

日本軽金属株式会社蒲原製造所 

坂 巻   博 

新日軽株式会社管理部 

勝間田 一 宏 

三菱アルミニウム株式会社富士製作所 

川 口   修 

スカイアルミニウム株式会社技術研究所 

北 村 照 夫 

昭和アルミニウム株式会社研究開発部 

豊 嶋 雅 康 

住友軽金属工業株式会社研究開発センター 

中 田   滋 

古河電気工業株式会社福井事業所 

坂 本 敏 正 

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部 

安 部 正 明 

東洋アルミニウム株式会社研究開発本部 

久留須 一 彦 

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター 

水 砂 博 文 

住友電気工業株式会社研究開発部 

船 渡 好 人 

株式会社島津製作所分析機器事業部 

本 多 和 人 

株式会社パーキンエルマージャパン応用技術部 

(事務局) 

井 波 隆 夫 

社団法人軽金属協会