H 1340 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS H 1340 : 1987は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際規格ISO 1178 : 1976, Magnesium alloys−Determination of soluble zirconium−Alizarin
sulphonate photometric method(マグネシウム合金−可溶性ジルコニウム定量方法−アリザリンレッドS吸
光光度法)及びISO 2354 : 1976, Magnesium alloys−Determination of insoluble zirconium−Alizarin sulphonate
photometric method(マグネシウム合金−不溶性ジルコニウム定量方法−アリザリンレッドS吸光光度法)
に整合させた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 1340 : 1998
マグネシウム合金中の
ジルコニウム定量方法
Method for determination of zirconium in magnesium alloys
序文 この規格は,1976年に第1版として発行されたISO 1178, Magnesium alloys−Determination of soluble
zirconium−Alizarin sulphonate photometric method及びISO 2354, Magnesium alloys−Determination of
insoluble zirconium−Alizarin sulphonate photometric methodを元に,対応する部分については技術的内容を変
更することなく作成した日本工業規格である。
なお,国際規格は可溶性ジルコニウム定量方法と不溶性ジルコニウム定量方法が別規格となっているが,
日本工業規格では便宜上,同一規格内に二つの定量方法を含めた。
1. 適用範囲 この規格は,マグネシウム合金中の可溶性ジルコニウム及び不溶性ジルコニウム定量方法
について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 1178 : 1976 Magnesium alloys−Determination of soluble zirconium−Alizarin sulphonate
photometric method
ISO 2354 : 1976 Magnesium alloys−Determination of insoluble zirconium−Alizarin sulphonate
photometric method
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS H 1331 マグネシウム合金分析方法の通則
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1331,JIS K 0050,及びJIS K 0115の規定による。
4. 可溶性ジルコニウム定量方法 可溶性ジルコニウム定量方法は,アリザリンレッドS吸光光度法によ
る。この方法は,可溶性ジルコニウム含有率0.05% (m/m) 以上1.0% (m/m) 以下の試料に適用する。
4.1
要旨 試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,溶液をろ過する。ろ液にアリザリンレッドSを加え,
生成するジルコニウム錯体の吸光度を測定する。
4.2
試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸 (1+1,1+100)
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b) 過酸化水素
c) アリザリンレッドS溶液 アリザリンレッドS1.5gを水に溶解し,水で液量を1 000mlとする。
d) 標準ジルコニウム溶液 (100μgZr/ml) ジルコニウム[99.9% (m/m) 以上]0.500gをはかり取り,ビー
カー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,メタノール30ml及び臭素5mlを加え,水浴中で約50℃に
加熱して分解する。塩酸20mlを加え,水で液量を約50mlに保ちながら臭素の色が消えるまで静かに
煮沸する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,
溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (5 000μgZr/ml) とする。
この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に50倍に薄めて標準ジルコニウム溶液とする。
4.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,4.0gとし,1mgのけたまではかる。
4.4
操作
4.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料(1)をはかり取ってビーカー (500ml) に移し入れ,水約40mlを加える。
b) 時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 80mlを少量ずつ加える。反応が穏やかになったら過酸化水素1mlを加え
て加熱し,正確に5分間煮沸して分解する。
c) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。ろ液をろ紙
(5種B)を用いてろ過し,ろ紙及び不溶解物を塩酸 (1+100) で十分洗浄する(2)。
d) ろ液と洗液は合わせて500mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
注(1) 試料は,厚さ1mm以下とする。
(2) 銀を含む試料の場合は,このc)の操作を行う代わりに,不溶解物の入ったビーカーに水約50ml
を加え,再び数分間煮沸して塩化銀を凝固させ,室温まで冷却した後,時計皿の下面及びビー
カーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液をろ紙パルプを入れたろ紙(5種C)を用いて
ろ過し,ろ紙及び不溶解物を冷水で十分洗浄する。
4.4.2
呈色 呈色は,次の手順によって行う。
a) 4.4.1c)で得た溶液を,表1に従って100mlの全量フラスコに分取する。
b) 塩酸 (1+1) 5mlを加え,水で液量を約80mlとした後,アリザリンレッドS溶液 [4.2c)] 10.0mlを加え
る。
c) 沸騰水浴中で5〜10分間加熱した後,流水で常温まで冷却し,塩酸 (1+1) 4mlを加え,水で標線まで
薄める。
表1 分取量
ジルコニウム含有率
% (m/m)
分取量
ml
0.05以上 0.20 未満
50.0
0.20以上 0.40 未満
25.0
0.40以上 1.0 以下
10.0
4.4.3
吸光度の測定 4.4.2c)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,
波長525nm付近の吸光度を測定する。
4.5
空試験 ビーカー (500ml) に水約40ml,塩酸 (1+1) 80ml及び過酸化水素1ml取り,時計皿で覆い,
加熱して正確に5分間煮沸する。以下,4.4.1c)〜4.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行
う(3)。
注(3) 4.4.2a)における空試験液の分取量は,試料溶液の分取量と同量とする。
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4.6
検量線の作成 数個の100mlの全量フラスコに,標準ジルコニウム溶液 [4.2d)] 0〜10.0ml(ジルコ
ニウムとして0〜1 000μg)を段階的に取り,以下,4.4.2b)〜4.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と
並行して行い,得た吸光度とジルコニウム量との関係線を作成し,その関係線が原点を通るように平行移
動して検量線とする。
4.7
計算 4.4.3及び4.5で得た吸光度と,4.6で作成した検量線とからそれぞれジルコニウム量を求め,
試料中の可溶性ジルコニウム含有率を,次の式によって算出する。
100
500
2
1
×
×
−
B
m
A
A
Zr=
ここに, Zr: 試料中の可溶性ジルコニウム含有率 [% (m/m)]
A1: 分取した試料溶液中のジルコニウム検出量 (g)
A2: 分取した空試験液中のジルコニウム検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 4.4.2a)で分取した試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
5. 不溶性ジルコニウム定量方法 不溶性ジルコニウム定量方法は,アリザリンレッドS吸光光度法によ
る。この方法は,不溶性ジルコニウム含有率0.02% (m/m) 以上0.3% (m/m) 以下の試料に適用する。
5.1
要旨 試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,不溶解物をこし分ける。不溶解物をふっ化水素酸と過
塩素酸とで溶解し,ほう酸を加え,加熱濃縮して白煙を発生させて,ふっ化水素酸を三ふっ化ほう素とし
て完全に揮散除去した後,アリザリンレッドSを加え,生成するジルコニウム錯体の吸光度を測定する。
5.2
薬試 試薬は,4.2に示すもののほか,次による。
a) 過塩素酸
b) ふっ化水素酸
c) ほう酸溶液 (50g/l)
5.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,4.0gとし,1mgのけたまではかる。
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 4.4.1a)〜c)の手順に従って操作する。
b) 不溶解物をろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し入れ,加熱してろ紙を乾燥,灰化した後,600〜
800℃で強熱する。
c) 放冷した後,水5ml,ふっ化水素酸1ml及び過塩素酸4mlを加え,穏やかに加熱して濃縮する。
d) 白煙が発生し始めたらほう酸溶液3滴を加え,液量が1〜2mlになるまで加熱を続ける。
e) 常温まで冷却した後,塩酸 (1+1) 5mlを加えてるつぼの内容物をかき混ぜる。
f)
るつぼの内容物をろ紙(5種B)を用いてろ過し,ろ紙及び内容物を塩酸 (1+100) で十分洗浄する(4)。
g) ろ液と洗液は合わせて100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
注(4) 銀を含む試料の場合は,このe)及びf)の操作を行う代わりに,るつぼの内容物を水を用いてビ
ーカー (200ml) に移し入れ,水約50ml及び塩酸 (1+1) 5mlを加え,時計皿で覆い,数分間煮
沸して塩化銀を凝固させる。室温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗
って時計皿を取り除く。溶液をろ紙パルプを入れたろ紙(5種C)を用いてろ過し,ろ紙及び不
溶解物を冷水で十分洗浄する。
5.4.2
呈色及び吸光度の測定 呈色及び吸光度の測定は,次の手順によって行う。
4
H 1340 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 5.4.1g)で得た溶液を,表2に従って100mlの全量フラスコに分取し,表2に従って塩酸 (1+1) を添
加する。
b) 水で液量を約80mlとした後,アリザリンレッドS溶液 [4.2c)] 10.0mlを加える。
c) 以下,4.4.2c)及び4.4.3の手順に従って操作する。
表2 分取量及び塩酸 (1+1) 添加量
ジルコニウム含有率
% (m/m)
分取量
ml
塩酸 (1+1) 添加量
ml
0.02以上0.08未満
25.0
3.75
0.08以上0.20未満
10.0
4.5
0.20以上0.30以下
5.0
4.75
5.5
空試験 ビーカー (500ml) に水約40ml,塩酸 (1+1) 80ml及び過酸化水素1mlを加え,時計皿で覆
い,加熱して正確に5分間煮沸した後,4.4.1c)の操作を行う。以下,5.4.1b)〜5.4.2c)の手順に従って試料と
同じ操作を試料と並行して行う(5)。
注(5) 5.4.2a)における空試験液の分取量及び塩酸 (1+1) 添加量は,試料溶液の分取量及び塩酸 (1+
1) 添加量と同量とする。
5.6
検量線の作成 検量線の作成は,4.6による。
5.7
計算 5.4.2c)及び5.5で得た吸光度と,5.6で作成した検量線とからジルコニウム量を求め,試料中
の不溶性ジルコニウム含有率を,次の式によって算出する。
100
100
2
1
×
×
−
B
m
A
A
Zr=
ここに, Zr: 試料中の不溶性ジルコニウム含有率 [% (m/m)]
A1: 分取した試料溶液中のジルコニウム検出量 (g)
A2: 分取した空試験液中のジルコニウム検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 5.4.2a)で分取した試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
JIS改正原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
藤 沼 弘
東洋大学工学部
村 上 徹 朗
工学院大学
俣 野 宣 久
川崎製線株式会社
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
廣 瀬 浩 二
工業技術院標準部
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会技術部
山 本 寿 美
古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター
井 川 洋 志
昭和電工株式会社千葉事業所
水 砂 博 文
住友電気工業株式会社研究開発部特性評価センター
山 田 哲 夫
株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部
冨 田 百合男
宇部興産株式会社建設資材事業本部技術開発部
鈴 木 通
中央工産株式会社野田工場
(事務局)
井 波 隆 夫
社団法人軽金属協会技術開発部