サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

H 1334 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS H 1334:1976は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1334 : 1999 

マグネシウム及びマグネシウム合金中の 

マンガン定量方法 

Methods for determination of manganese in magnesium and magnesium 

alloys 

序文 この規格は,1973年に第1版として発行されたISO 809, Magnesium and magnesium alloys−

Determination of manganese−Periodate photometric method (Manganese content between 0.01 and 0.8%) を元に,

対応する部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。この規格の4.(定

量方法の区分)のうち,三つの定量方法は,対応国際規格に規定されていない方法であるが,日本工業規

格として追加している。 

また,1973年に第1版として発行されたISO 810, Magnesium and magnesium alloys−Determination of 

manganese−Periodate photometric method (Manganese content less than 0.01%) 及び1972年に発行されたISO 

2353, Magnesium and its alloys−Determination of manganese in magnesium alloys containing zirconium, rare 

earths, thorium and silver−Periodate photometric methodも対応国際規格としてあるが,国際規格が各国で使

われておらず技術的内容に問題があることから,これを採用しなかった。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,マグネシウム及びマグネシウム合金中のマンガン定量方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 809 : 1973, Magnesium and magnesium alloys−Determination of manganese−Periodate 

photometric method (Manganese content between 0.01 and 0.8%) 

ISO 810 : 1973, Magnesium and magnesium alloys−Determination of manganese−Periodate 

photometric method (Manganese content less than 0.01%) 

ISO 2353 : 1972, Magnesium and its alloys−Determination of manganese in magnesium alloys 

containing zirconium, rare earths, thorium and silver−Periodate photometric method 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 1331 マグネシウム合金分析方法の通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1331及びJIS K 0121の規定による。 

background image

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 定量方法の区分 マンガンの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 過マンガン酸吸光光度法(ペルオキソ二硫酸酸化法) この方法は,マンガン含有率0.02% (m/m) 以

上1.0% (m/m) 以下の試料に適用する。 

b) 過マンガン酸吸光光度法(過よう素酸酸化法A法) この方法は,マンガン含有率0.01% (m/m) 以

上0.8% (m/m) 以下の試料に適用する。ただし,ジルコニウム,希土類元素及びトリウムを含有する

合金には適用しない。 

c) 過マンガン酸吸光光度法(過よう素酸酸化法B法) この方法は,マンガン含有率0.002% (m/m) 以

上0.1% (m/m) 以下の試料に適用する。 

d) 原子吸光法 この方法は,マンガン含有率0.000 5% (m/m) 以上0.5% (m/m) 以下の試料に適用する。 

5. 過マンガン酸吸光光度法(ペルオキソ二硫酸酸化法) 

5.1 

要旨 試料を硫酸で分解し,硝酸銀及びペルオキソ二硫酸アンモニウムを加え,加熱してマンガン

を酸化して過マンガン酸とし,その吸光度を測定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸(1+1) 

b) 硫酸(1+1) 

c) りん酸(1+5) 

d) ペルオキソ二硫酸アンモニウム 

e) 硝酸銀溶液 (30g/l) 

f) 

標準マンガン溶液 (200μgMn/ml)  マンガン[99.9% (m/m) 以上](1)1.000gをはかり取ってビーカー 

(500ml) に移し入れ,水約80mlを加え時計皿で覆い,硫酸(1+3)40mlを少量ずつ加えて分解した後,

数分間煮沸する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取

り除き,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1 

000μgMn/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍に薄めて,標準マンガン溶

液とする。 

注(1) マンガンの酸化した表面は,次の方法で取り除く。ビーカー (300ml) にマンガン数gを入れ,

水約100ml及び硫酸 (1+3) 60〜80mlを加える。かき混ぜ,数分間静置した後,上澄液を静かに

捨て,水を注ぎ入れる。再度,上澄液を静かに捨て,数回,水で洗浄後,アセトン中にマンガ

ンを入れ,かき混ぜる。アセトンを静かに捨て,100℃の空気浴で2分間乾燥し,デシケーター

中で室温まで放冷する。 

5.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,試料中のマンガン含有率に応じ,表1に従って,0.1mg

のけたまではかる。 

表1 試料はかり取り量 

マンガン含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

0.02以上0.5未満 

0.40 

0.5以上1.0以下 

0.20 

5.4 

操作 

5.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 水20mlを加え,時計皿で覆い,硫酸(1+1)8mlを少量ずつ加えて分解する。反応が穏やかになったら

加熱し,硝酸(1+1)4mlを加え完全に分解する。 

c) 常温まで冷却した後,水を加えて液量を約50mlとする。 

5.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 5.4.1 c)で得た溶液にりん酸(1+5)20ml,硝酸銀溶液3mlを加え,加熱しながらペルオキソ二硫酸アン

モニウム1gを数回に分けて加える。さらに加熱を続けて約5分間煮沸し,マンガンを酸化する。 

b) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除き,溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

5.4.3 

吸光度の測定 5.4.2 b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長525nm付近の吸光度を測定する。 

5.5 

空試験 空試験は,次の手順によって行う。 

a) 硫酸 (1+1) 8ml及び硝酸 (1+1) 4mlをビーカー (300ml) に取り,時計皿で覆い,5分間加熱する。 

b) 以下,5.4.1 c)〜5.4.3の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

5.6 

検量線の作成 数個のビーカー (300ml) に,標準マンガン溶液 [5.2 f)] 0〜10.0ml(マンガンとして

0〜2 000μg)を段階的に取る。以下,5.4.1 b)〜5.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,

得た吸光度とマンガン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

5.7 

計算 5.4.3及び5.5 b)で得た吸光度と5.6で作成した検量線とからマンガン量を求め,試料中のマン

ガン含有率を次の式によって算出する。 

100

2

1

×

m

A

A

Mn

ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

6. 過マンガン酸吸光光度法(過よう素酸酸化法A法) 

6.1 

要旨 試料を硫酸と硝酸とふっ化水素酸とで分解し,りん酸の存在下で過よう素酸カリウムを加え,

加熱してマンガンを酸化して過マンガン酸とし,その吸光度を測定する。 

6.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 

b) ふっ化水素酸 

c) 硫酸 (1+3) 

d) りん酸 

e) 過よう素酸カリウム 

f) 

標準マンガン溶液 (100μgMn/ml)  5.2 f)の原液 (1 000μgMn/ml) を,使用の都度,必要量だけ水で正

確に10倍に薄めて標準マンガン溶液とする。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,試料中のマンガン含有率に応じ,表2に従って,0.1mg

のけたまではかる。 

background image

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 試料はかり取り量 

試料中のマンガン含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

0.01以上 0.05未満 

1.00 

0.05以上 0.8 以下 

0.50 

6.4 

操作 

6.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 試料中のマンガン含有率が0.01% (m/m) 以上0.05% (m/m) 未満の場合 

1) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

2) 水10mlを加え,時計皿で覆い,硫酸(1+3)25mlを少量ずつ加えて分解する。反応が終了した後に,

硝酸25ml及びふっ化水素酸2~3滴を加え,数分間煮沸する。 

3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く。 

b) 試料中のマンガン含有率が0.05% (m/m) 以上0.4% (m/m) 未満の場合 

1) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

2) 水10mlを加え,時計皿で覆い,硫酸(1+3)20mlを少量ずつ加えて分解する。反応が終了した後に,

硝酸25ml及びふっ化水素酸2〜3滴を加え,数分間煮沸する。以下,a)3)の操作を行う。 

c) 試料中のマンガン含有率が0.4% (m/m) 以上0.8% (m/m) 以下の場合 

1) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

2) 水10mlを加え,時計皿で覆い,硫酸(1+3)10mlを少量ずつ加えて分解する。反応が終了した後に,

硝酸5ml及びふっ化水素酸2〜3滴を加え,数分間煮沸する。 

3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除き,溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

4) この溶液20.0mlをビーカー (300ml) に分取し,硫酸(1+3)15ml及び硝酸25mlを加える。 

6.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 6.4.1のa)3),b)2)又はc)4)で得た溶液に水を加えて液量を約60mlとし,りん酸5mlを加える。 

b) 溶液を加熱しながら,過よう素酸カリウム0.5gを注意して加える。3分間煮沸した後,15分間沸騰し

ない程度の温度(約98℃)に保つ。 

c) 常温まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

6.4.3 

吸光度の測定 6.4.2 c)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長525nm付近の吸光度を測定する。 

6.5 

空試験 空試験は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 6.4.1 a)に従って試料溶液を調製する場合 

1) 硝酸25ml及び硫酸(1+3)5mlを白金皿(例えば,75番)に入れ,加熱して蒸発乾固する。残留物を

ビーカー (300ml) に少量の温水を用いて移し入れる。 

2) 水で液量を約40mlとし,ポリエチレン時計皿で覆い,硫酸(1+3)20ml及びふっ化水素酸2〜3滴を

加え,数分間煮沸する。以下,6.4.1a)3),6.4.2及び6.4.3の手順に従って,試料と同じ操作を試料と

並行して行う。 

b) 6.4.1 b)に従って試料溶液を調製する場合 硝酸25mlを白金皿(例えば,75番)に入れ,蒸発乾固す

る。残留物をビーカー (300ml) に少量の温水を用いて移し入れる。以下,a)2)と同じ操作を行う。 

c) 6.4.1 c)に従って試料溶液を調製する場合 

background image

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 硝酸25mlを白金皿(例えば,75番)に入れ,蒸発乾固する。残留物をビーカー (300ml) に少量の

温水を用いて移し入れる。 

2) 水で液量約40mlに薄め,硫酸(1+3)5ml及びふっ化水素酸2〜3滴を加え,ポリエチレン時計皿で覆

い,数分間煮沸する。 

3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

4) この溶液20.0mlをビーカー (300ml) に分取し,硫酸 (1+3) 15ml及び硝酸3mlを加えた後,水で液

量を約60mlとし,りん酸5mlを加える。以下,6.4.2 b)〜6.4.3の手順に従って,試料と同じ操作を

試料と並行して行う。 

6.6 

検量線の作成* 数個のビーカー (300ml) に標準マンガン溶液 [6.2 f)] を表3に従って段階的に取

り,水で液量を約40mlとした後,硫酸(1+3)15ml及び硝酸25mlを加え水で液量を約60mlとし,りん酸

5mlを加える。以下,6.4.2 b)〜6.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度と

マンガン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

表3 標準マンガン溶液の添加量 

標準マンガン溶液の添加量 

ml 

マンガンの量 

μg 

1.0 

100 

2.0 

200 

5.0 

500 

10.0 

1 000 

15.0 

1 500 

20.0 

2 000 

6.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

a) 6.4.1のa)又はb)によって試料溶液を調製した場合 6.4.3及び6.5のa)2)又はb)で得た吸光度と6.6で

作成した検量線とからマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。 

100

2

1

×

m

A

A

Mn

ここに, 

Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

b) 6.4.1 c)によって試料溶液を調製した場合 6.4.3及び6.5 c)4)で得た吸光度と6.6で作成した検量線と

からマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。 

100

100

20

2

1

×

×

m

A

A

Mn

ここに, 

Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 

A1: 分取した試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

脚注* ISOでは,“対照溶液の調製”について規定してあるが,対照溶液で得られる吸光度は,計算,そ

の他で使われていないので不要と思われる。 

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7. 過マンガン酸吸光光度法(過よう素酸酸化法B法) 

7.1 

要旨 試料を硫酸と硝酸とで分解し,過よう素酸カリウムを加え,加熱してマンガンを酸化して過

マンガン酸とし,その吸光度を測定する。 

7.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸(1+1) 

b) 硫酸(1+3) 

c) 過よう素酸カリウム 

d) 標準マンガン溶液 (100μgMn/ml)  6.2 f)による。 

7.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,2.00gとし,0.1mgのけたまではかる。 

7.4 

操作 

7.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 水約10mlを加え,時計皿で覆い,硫酸(1+3)60mlを少量ずつ加えて分解する。反応が穏やかになっ

たら,硝酸(1+1)1mlを加え,加熱して試料を完全に分解した後,引き続き加熱して溶液の液量が約

60mlになるまで濃縮する。 

7.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 7.4.1 b)で得た溶液を常温まで冷却した後,過よう素酸カリウム0.4gを加え,約5分間煮沸する。 

b) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除き,溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

7.4.3 

吸光度の測定 7.4.2 b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長525nm付近の吸光度を測定する。 

7.5 

空試験 硫酸(1+3)60mlと硝酸(1+1)1mlとをビーカー (300ml) に取り,時計皿で覆い,約5分間加

熱する。常温まで冷却した後,過よう素酸カリウム0.4gを加え,約5分間煮沸する。以下,7.4.2 b)及び

7.4.3の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

7.6 

検量線の作成 数個のビーカー (300ml) に標準マンガン溶液 [7.2 d)] 0〜20.0ml(マンガンとして0

〜2 000μg)を段階的に取り,水で液量を約55mlとする。時計皿で覆い,硫酸(1+3)5ml及び過よう素酸カ

リウム0.4gを加え,約5分間煮沸する。以下,7.4.2 b)及び7.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と

並行して行い,得た吸光度とマンガン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動し

て検量線とする。 

7.7 

計算 7.4.3及び7.5で得た吸光度と7.6で作成した検量線とからマンガン量を求め,試料中のマンガ

ン含有率を次の式によって算出する。 

100

2

1

×

m

A

A

Mn

ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

8. 原子吸光法 

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.1 

要旨 試料を塩酸と過酸化水素とで分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレー

ム中に噴霧し,その吸光度を測定する。 

8.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 (1+1) 

b) 過酸化水素 

c) 塩化マグネシウム溶液 塩化マグネシウム六水和物105gを水に溶解し,水で液量を250mlとする。

この溶液1mlは,マグネシウム50mgを含む。 

d) 標準マンガン溶液 (20μgMn/ml)  5.2 f)の原液 (1 000μgMn/ml) を,使用の都度,必要量だけ水で正

確に50倍に薄めて標準マンガン溶液とする。 

8.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.00gとし,0.1mgのけたまではかる。 

8.4 

操作 

8.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 試料中のマンガン含有率が0.000 5% (m/m) 以上0.02% (m/m) 未満の場合 

1) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

2) 水約10mlを加え,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 20mlを少量ずつ加えて分解する。反応が穏やかにな

ったら過酸化水素1mlを加え,加熱して試料を完全に分解し,加熱を続けて過剰の過酸化水素を除

去する。 

3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して時計皿を取り除き(2),溶液

を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

注(2) 不溶解物が認められた場合には,ろ紙(5種B)でろ過し,温水で十分に洗浄し,ろ液と洗液と

をビーカー (300ml) に受け,常温まで冷却する。 

b) 試料中のマンガン含有率が0.02% (m/m) 以上0.5% (m/m) 以下の場合 

1) a)の1)〜3)の手順に従って操作する。 

2) 溶液10.0mlを100mlの全量フラスコに分取し,水で標線まで薄める。 

8.4.2 

吸光度の測定 8.4.1のa)3)又はb)2)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光

光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長279.5nmにおける吸光度を測定する(3)。 

注(3) バックグラウンドの補正が必要なら,重水素ランプなどを用いて行う。 

8.5 

空試験 空試験は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 8.4.1 a)によって試料溶液を調製する場合 

1) 塩酸 (1+1) 20ml及び過酸化水素1mlをビーカー (200ml) に取り,時計皿で覆い,溶液の液量が約

5mlになるまで加熱して濃縮する。 

2) 8.4.1 a)3)及び8.4.2の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

b) 8.4.1 b)によって試料溶液を調製する場合 a)1)の操作を行った後,8.4.1のa)3)及びb)2)並びに8.4.2

の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

8.6 

検量線の作成 

8.6.1 

試料用検量線の作成 試料用検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 8.4.1 a)によって試料溶液を調製する場合 

1) 数個の100mlの全量フラスコに塩化マグネシウム溶液 [8.2 c)] 20mlを取り,標準マンガン溶液 [8.2 

d)] 0〜10.0ml(マンガンとして0〜200μg)を段階的に加えた後,水で標線まで薄める。 

2) 溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

し,波長279.5nmにおける吸光度を試料と並行して測定し(3),得た吸光度とマンガン量との関係線

を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して試料用検量線とする。 

b) 8.4.1 b)によって試料溶液を調製する場合 数個の100mlの全量フラスコに塩化マグネシウム溶液 

[8.2 c)] 2mlを取り,標準マンガン溶液 [8.2 d)] 0〜25.0ml(マンガンとして0〜500μg)を段階的に加え

た後,水で標線まで薄める。以下,a)2)の操作を行う。 

8.6.2 

空試験用検量線の作成 空試験用検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 8.4.1 a)によって試料溶液を調製する場合 

1) 塩酸(1+1)100mlと過酸化水素5mlとをビーカー (300ml) に取り,時計皿で覆い,溶液の液量が約

50mlになるまで加熱して濃縮する。 

2) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除き,溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

3) この溶液を20.0mlずつ数個の100mlの全量フラスコに取り,標準マンガン溶液 [8.2 d)] 0〜10.0ml

(マンガンとして0〜200μg)を段階的に加えた後,水で標線まで薄める。 

4) 溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧

し,波長279.5nmにおける吸光度を試料と並行して測定し(3),得た吸光度とマンガン量との関係線

を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して空試験用検量線とする(4)。 

注(4) 試料溶液の吸光度と比較して,空試験液の吸光度が著しく低い場合には,8.6.1のa)2)又はb)で

作成した試料用検量線を用いてもよい。 

b) 8.4.1 b)に従って試料溶液を調製する場合 

1) a)の1)及び2)の手順に従って操作した後,溶液を2.0mlずつ数個の100mlの全量フラスコに分取す

る。 

2) 標準マンガン溶液 [8.2 d)] 0〜10.0ml(マンガンとして0〜200μg)を段階的に加えた後,水で標線ま

で薄める。 

以下,a)4)の操作を行う。 

8.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

a) 8.4.1 a)によって試料溶液を調製した場合 8.4.2及び8.5 a)2)で得た吸光度と8.6.1 a)2)及び8.6.2 a)4)で

作成した検量線とから,それぞれマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出

する。 

100

2

1

×

m

A

A

Mn

ここに, 

Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

b) 8.4.1 b)によって試料溶液を調製した場合 8.4.2及び8.5 b)で得た吸光度と8.6.1 b)及び8.6.2 b)2)で作

成した検量線とから,それぞれマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出す

る。 

100

100

10

2

1

×

×

m

A

A

Mn

ここに, 

Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)] 

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A1: 分取した試料溶液中のマンガン検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のマンガン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

10 

H 1334 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

 藤 沼   弘 

東洋大学工学部 

(委員) 

 村 上 徹 朗 

工学院大学 

 大河内 春 乃 

東京理科大学 

 俣 野 宣 久 

川崎製線株式会社 

 村 山 拓 己 

通商産業省基礎産業局非鉄金属課 

 大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

 橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

 井 川 洋 志 

昭和電工株式会社千葉事業所 

 久留須 一 彦 

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター 

 水 砂 博 文 

住友電気工業株式会社研究開発部特性評価センター 

 坂 本 敏 正 

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部 

 冨 田 百合男 

宇部興産株式会社建設資材事業本部 

 鈴 木   通 

中央工産株式会社野田工場 

(事務局) 

 井 波 隆 夫 

社団法人軽金属協会技術開発部 

  

(現 社団法人日本アルミニウム協会)