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目 次
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1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般事項························································································································· 2
5 分析試料の採取方法,調製方法及びはかり方 ········································································· 2
5.1 試料の採取方法 ············································································································· 2
5.2 試料の調製 ··················································································································· 2
5.3 化学分析方法用試料のはかり方 ························································································ 3
6 各成分の定量方法 ············································································································· 3
7 分析値のまとめ方 ············································································································· 3
7.1 分析回数 ······················································································································ 3
7.2 空試験 ························································································································· 3
7.3 分析値の表示 ················································································································ 4
8 安全衛生に関する注意 ······································································································· 4
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
マグネシウム協会(JMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業
規格である。
これによって,JIS H 1331:1976は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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マグネシウム及びマグネシウム合金−
分析用試料採取方法及び分析方法通則
Magnesium and magnesium alloys-
General rules for sampling and analytical methods
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適用範囲
この規格は,日本工業規格に規定するマグネシウム及びマグネシウム合金の分析方法に共通な分析用試
料の調製方法,定量方法,分析値のまとめ方などについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。
JIS H 1322 マグネシウム及びマグネシウム合金−スパーク放電発光分光分析方法
JIS H 1332 マグネシウム及びマグネシウム合金中のアルミニウム定量方法
JIS H 1333 マグネシウム及びマグネシウム合金中の亜鉛定量方法
JIS H 1334 マグネシウム及びマグネシウム合金中のマンガン定量方法
JIS H 1335 マグネシウム及びマグネシウム合金中のけい素定量方法
JIS H 1336 マグネシウム及びマグネシウム合金中の銅定量方法
JIS H 1337 マグネシウム及びマグネシウム合金中のニッケル定量方法
JIS H 1338 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉄定量方法
JIS H 1339 マグネシウム及びマグネシウム合金中のベリリウム定量方法
JIS H 1340 マグネシウム合金中のジルコニウム定量方法
JIS H 1341 マグネシウム合金中のカルシウム定量方法
JIS H 1342 マグネシウム及びマグネシウム合金中のすず定量方法
JIS H 1343 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉛定量方法
JIS H 1344 マグネシウム及びマグネシウム合金中のカドミウム定量方法
JIS H 1345 マグネシウム合金中の希土類定量方法
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0212 分析化学用語(光学部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
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JIS R 6001-1 研削といし用研削材の粒度−第1部:粗粒
JIS R 6001-2 研削といし用研削材の粒度−第2部:微粉
JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は次によるほか,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS K 0215による。
3.1
化学分析方法
試料溶解操作を伴う分析方法,すなわちスパーク放電発光分光分析方法を除く,重量法,滴定法,吸光
光度法,原子吸光分析法及びICP発光分光分析法の総称。
4
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050,JIS K 0115,JIS K 0116及びJIS K 0121による。
5
分析試料の採取方法,調製方法及びはかり方
5.1
試料の採取方法
試料の採取方法は,次による。
a) 分析は,特に規定のない限り溶湯から試料を採取して分析する。ただし,注文者の要求があるときは,
製品から試料を採取して分析することができる。製品から採取した試料は,製品規格に規定されてい
る機械試験用の供試材の採取位置から採取してもよい。
なお,注文者が製品からの試料採取による分析を要求する場合,溶湯採取による分析値との変動の
許容差は,受渡当事者間の協定による。
b) 溶湯から試料を採取して分析する場合は鋳型に注入するが,不均一になりやすい部位からの採取を避
けるため,溶湯の表面及び底部付近ではなく溶湯中央部から採取する。試料は,1回の溶解ごとに採
取する。
なお,組成の異なる複数の溶湯からるつぼ炉に入れ調製した場合は,その調製を1回の溶解とみな
す。
c) 試料の不均一性を低減するために,次の点に注意する。
1) 採取設備,工具,コンテナなどは,試料汚染防止のためにあらかじめ洗浄しておく。
2) 水分,ごみ及びその他の汚染物質を除く。
3) ボイド,クラック,孔,ばり,重なり及びその他の表面欠陥を極力避ける。
d) スパーク放電発光分光分析方法には,分析装置の仕様に合わせた試料を採取する。
e) 試料は,溶湯の製造履歴と対応できるような固有の標識をラベル又はマーキングで付与する。
f)
試料は,採取の途中又は終了後,汚染又は化学的変化が起きないよう,湿度の低い冷暗所で保管する。
5.2
試料の調製
5.2.1
前処理
表面に皮膜が付いている場合は,組成の変化の特徴及びその範囲を検討し,除去する。
5.2.2
化学分析方法用試料の調製
ドリルせん孔,フライス切削,旋盤切削,打抜きなどで調製する。切削したチップ状の化学分析方法用
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試料の大きさは,最長の長さを10 mm以下とする。
5.2.3
スパーク放電発光分光分析方法用試料の調製
スパーク放電発光分光分析方法用試料の調製は,次による。
a) 塊状の試料の調製は,分析方法に適した寸法及び形状のものを,必要であれば切断,せん断,打抜き
などで切り出して調製する。
b) 塊状試料の表面の調製は,次による。
1) 試料の表面が平滑となるよう,フライス切削,旋盤加工,研磨加工などで表面を調製する。
2) 塊状試料の調製は,手動又は自動でも行うことができる。
3) 加工潤滑剤1)を使用した表面の調製は許容されるが,調製後は適切な方法で洗浄する。
注1) 加工潤滑剤としては,鉱物油,エタノールなどが代表的なものである。
4) 試料表面の平滑化のために研磨材を用いる場合は,ベルト用にはJIS R 6010に規定する粒度P36〜
P240の研磨布,グラインダ用にはJIS R 6001-1に規定する粒度F36〜F220のといし並びにJIS R
6001-2に規定する粒度F230及びF240のといしを用いる。
5) スパーク放電発光分光分析方法を用いる場合には,新しい研磨材を用いる場合は,表面汚染を避け
るように注意する。
5.3
化学分析方法用試料のはかり方
化学分析方法用試料のはかり方は,次による。
a) 試料をはかりとる際には,よくかき混ぜて平均組成を代表するように注意し,また,異物が混入して
いないことを目視によって確かめなければならない。
b) 分析試料のはかりとりには,化学はかり又は電子はかりを用い,各成分の定量方法規格の規定に従い,
1 mg又は0.1 mgの桁まで読み取る。
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各成分の定量方法
分析試料中の各成分の定量方法は,次のいずれかの方法の中から,各成分の予想含有率に適した分析方
法を選択する。
a) 次の規格に規定された化学分析方法の場合
JIS H 1332,JIS H 1333,JIS H 1334,JIS H 1335,JIS H 1336,JIS H 1337,JIS H 1338,
JIS H 1339,JIS H 1340,JIS H 1341,JIS H 1342,JIS H 1343,JIS H 1344,JIS H 1345
b) 次の規格に規定されたスパーク放電発光分光分析方法の場合
JIS H 1322
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分析値のまとめ方
7.1
分析回数
化学分析方法による分析は,JIS K 0211に規定する繰返し性の確認のために,同じ分析条件で併行して
2回実施する。さらに,JIS K 0211に規定する再現性の確認のために,分析試料について分析日時・装置
の校正・オペレータ・使用装置の一部又は全てが異なっている分析条件をもつ二つの異なる分析室で,同
様の併行分析を実施する。
7.2
空試験
化学分析方法による分析の場合には,各分析方法規格で空試験は行わないと規定するとき以外は,全操
作を通じて空試験を行い,分析値を補正しなければならない。
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7.3
分析値の表示
分析値は,2回の分析値の平均とし,はかりとった試料の質量分率で表示し,百分率を示す%を用いて
表示する。ただし,各製品規格に規定する化学成分値[質量分率(%)]の次の桁まで算出し,最下位を
JIS Z 8401によって丸める。
8
安全衛生に関する注意
原子吸光分析,ICP発光分光分析及びスパーク放電発光分光分析における高圧ガスの取扱い,原子吸光
分析におけるフレームの点火・消火,危険薬品(ふっ化水素酸,有機溶媒など)の使用・廃棄処理などに
は十分注意し,災害の防止及び環境の保全に努めなければならない。