H 1280 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS H 1280 : 1988は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について責任をもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 1280 : 1998
ニッケル合金中のモリブデン
定量方法
Method for determination of molybdenum
in nickel alloys
序文 この規格には,対応国際規格がないので,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格とし
て規定している。
1. 適用範囲 この規格は,ニッケル合金中のモリブデン定量方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
JIS H 1270 ニッケル及びニッケル合金の分析方法通則
3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1270の規定による。
4. 定量方法 モリブデンの定量方法は,イオン交換・ベンゾイン−α−オキシム沈殿分離酸化モリブデ
ン重量法による。この方法は,モリブデン含有率5% (m/m以上50% (m/m) 以下の試料に適用する。
5. イオン交換・ベンゾイン−α−オキシム沈殿分離酸化モリブデン重量法
5.1
要旨 試料を塩酸,硝酸及びふっ化水素酸で分解した後,加熱して濃縮し,シロップ状とする。塩
酸及びふっ化水素酸を加えて塩類を溶解し,陰イオン交換カラムを通してモリブデンを他の成分から分離
する。溶出液に硝酸,過塩素酸及び硫酸を加え,加熱濃縮して硫酸の白煙を発生させた後,ベンゾイン−
α−オキシムを加えてモリブデンを沈殿させる。沈殿を乾燥した後,加熱して酸化モリブデン (VI) とし,
その質量をはかる。
5.2
試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 硝酸
c) 過塩素酸
d) ふっ化水素酸
e) ふっ化水素酸 (1+25)
f)
硫酸 (1+1)
g) 臭素水(飽和,約35g/l)
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h) 溶離液A塩酸830ml及びふっ化水素酸100mlをポリエチレン瓶 (1 000ml) に入れ,水で液量を1 000ml
とする。
i)
溶離液B塩酸250ml及びふっ化水素酸115mlをポリエチレン瓶 (1 000ml) に入れ,水で液量を1 000ml
とする。
j)
再生液 塩化アンモニウム214g及びふっ化アンモニウム37gを水500mlに溶解し,溶液をポリエチ
レン瓶 (1 000ml) に水を用いて移し入れ,水で液量を1 000mlとする。
k) ベンゾイン−α−オキシム溶液 ベンゾイン−α−オキシム10gをメタノール500mlに溶解する。この
溶液は,使用の都度調整し,10℃以下に冷却して用いる。
l)
ベンゾイン−α−オキシム洗浄液 ベンゾイン−α−オキシム溶液 [k)] 40mlに硫酸 (1+99) を加え,
水で液量を1 000mlとする。この溶液は,使用の都度調製し,10℃以下に冷却して用いる。
5.3
器具 器具は,次による。
陰イオン交換カラム 長さ約400mm,内径約10mmの一端を細くしたポリエチレン管又は透明ポリ塩化ビ
ニル管の底部に水でほぐした脱脂綿又はポリエチレンウールを約5〜10mmの厚さに緩く詰め,水で膨張
させた強塩基性陰イオン交換樹脂(粒径74〜149μm,交換容量1.3ミリ当量/ml以上のもの)約20mlを
スラリー状にして流し入れる。樹脂が沈降した後,その上に水でほぐした脱脂綿又はポリエチレンウール
を約5mmの厚さに緩く詰める。脱脂綿又はポリエチレンウールの詰め方を調節するなどして流出液の流
量を毎分1.0〜1.5mlになるようにする。陰イオン交換カラムの例を付図1に示す。
5.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表1によって,0.1mgのけたまではかる。
表1 試料はかり取り量
試料中のモリブデン含有率
% (m/m)
試料はかり取り量
g
5以上10未満
0.50
10以上30未満
0.20
30以上50以下
0.10
5.5
操作
5.5.1
予備操作 予備操作は,次による。
a) 陰イオン交換カラム(5.3)にふっ化水素酸 (1+25) 50mlを通す。
b) 磁器るつぼ (30ml) を800℃以上で加熱し,デシケータ中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。
この操作を恒量となるまで繰り返す。
5.5.2
試料の分解 試料をはかり取り,四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100ml) に移し入れ,ポリエチ
レン時計皿で覆い,塩酸20ml,硝酸5m1及びふっ化水素酸5mlを加え,穏やかに加熱して分解する。時
計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,シロップ状になるまで加熱して濃縮する。塩酸1m1及びふ
っ化水素酸1mlを加え,再びシロップ状になるまで加熱して濃縮する。ふっ化水素酸 (1+25)50mlを加え,
加熱して塩類を溶解した後,室温まで放冷する。
5.5.3
モリブデンの分離 モリブデンの分離は,次の手順によって行う。
a) 5.5.2で得た溶液を陰イオン交換カラム [5.3 a)] に通した後,ふっ化水素酸 (1+25) 約40mlを用いて
数回に分けて四ふっ化エチレン樹脂ビーカーを洗い,その都度洗液をカラムを通し,更にふっ化水素
酸 (1+25) 80mlを通す。流出液は捨てる。
b) 引き続きカラムに溶離液A [5.2 h)] 150mlを10ml,10ml及び130mlと分けて通し,溶出液は捨てる。
c) 引き続きカラムに溶離液B [5.2 i)] 180mlを10ml,10m1及び160mlと分けて通し,溶出液は四ふっ化
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エチレン樹脂ビーカー (300ml) に受ける(1)。
注(1) カラムを再使用する場合には,カラムに再生液 [5.2 j)] を10mlずつ2回,更に130ml通し,次に
水を10mlずつ2回通した後,更に150ml通しておく。
5.5.4
沈殿の生成 沈殿の生成は,次の手順によって行う。
a) 5.5.3 c)で得た溶出液に硝酸2ml,過塩素酸2ml及び硫酸 (1+1) 10mlを加え,加熱濃縮して白煙を発
生させる。
b) 放冷した後,ビーカーの内壁を水で洗浄し,加熱濃縮して硫酸の白煙を発生させる。
c) 放冷した後,温水100mlを加えて塩類を溶解し,溶液をビーカー (300ml) に水を用いて移し入れる。
d) 溶液を10℃以下に冷却した後,ベンゾイン−α−オキシム溶液 [5.2 k)] 10mlを加えてかき混ぜ,更に
溶液中のモリブデン10mgにつき5ml過剰に加える。次に臭素水(飽和)を溶液が黄色を呈するまで
滴加し,更に少量のベンゾイン−α−オキシム溶液 [5.2 k)] を加える。溶液を10℃以下に保持しなが
らときどきかき混ぜ,10分間放置した後,沈殿を少量のろ紙パルプを入れたろ紙(5種A)を用いて
こし分ける。ろ紙及び沈殿をベンゾイン−α−オキシム洗浄液 [5.2 l)] で十分に洗浄する。
5.5.5
灰化及びひょう量 灰化及びひょう量は,次の手順によって行う。
a) 5.5.4 d)で得た沈殿をろ紙とともに,5.5.1 b)で質量をはかった磁器るつぼ (30ml) に移し入れ,加熱し
て乾燥した後,低温でろ紙を灰化する。
b) 500〜550℃で加熱し,デシケータ中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。この操作を恒量とな
るまで繰り返す。
c) b)で得た質量から,5.5.1 b)で得た質量を差し引く。
5.6
空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
5.7
計算 試料中のモリブデン含有率を,次の式によって算出する。
100
6
666
.0
)
(
0
2
1
×
×
−
=
m
m
m
Mo
ここに, Mo: 試料中のモリブデン含有率 [% (m/m)]
m1: 5.5.5 c)で得た質量 (g)
m2: 5.6で得た質量 (g)
m0: 試料はかり取り量 (g)
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付図1 陰イオン交換カラムの例
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ニッケル及びニッケル合金分析方法工業標準原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
神 尾 彰 彦
東京工業大学工学部
後 藤 敬 一
通商産業省基礎産業局非鉄金属課
◎ 天 野 徹
工業技術院標準部材料規格課
村 田 祐 滋
東京都立工業技術センター金属部
竹 内 孝 夫
科学技術庁金属材料技術研究所
◎ 橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
太 田 裕 二
社団法人日本銅センター技術部
大 屋 武 夫
ステンレス協会
佐 藤 秀 樹
社団法人日本電子材料工業会技術部
稲 垣 勝 彦
日本鉱業協会技術部
赤 峰 淳 一
社団法人日本電機工業会技術部
篠 原 脩
社団法人日本ガス石油機器工業会技術部
山 添 哲 郎
通信機械工業会技術部
村 岡 良 三
社団法人日本自動車部品工業会技術部
山 下 満 男
富士電機株式会社生産技術研究所
安 井 毅
株式会社東芝材料部品事業部開発技術部
◎ 田 中 尚 生
三菱マテリアル株式会社桶川製作所
恒 原 正 明
古河電気工業株式会社金属事業本部
菅 沼 輝 夫
日鉱金属株式会社倉見工場技術部
大 関 哲 雄
大木伸銅工業株式会社技術部
中 島 安 啓
株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部
田部井 和 彦
三菱マテリアル株式会社桶川製作所技術管理室
岡 村 明 人
三菱伸銅株式会社若松製作所品質保証部
○ 町 田 克 巳
住友金属鉱山株式会社中央研究所
○ 山 下 努
株式会社東芝材料部品事業部品質保証部
○ 山 本 寿 美
古河電気工業株式会社横浜研究所
○ 中 村 靖
株式会社ジャパンエナジー分析センター
○ 豊 嶋 雅 康
住友軽金属工業株式会社研究開発センター
(事務局)
藤 沢 裕
日本伸銅協会技術部
(関係者)
久留須 一 彦
古河電気工業株式会社横浜研究所
天 川 義 勝
株式会社ジャパンエナジー分析センター
和 田 隆 光
財団法人日本規格協会
相 馬 南海雄
日本伸銅協会総務部
備考1. ◎印を付けてある委員は,分科会委員を兼ねる。
2. ○印を付けてある委員は,分科会委員だけである。