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H 1278 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS H 1278 : 1988は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日本

工業規格を基礎にした国際規格の原案の提案を容易にするため,ISO 9388 : 1992. Nickel alloys−

Determination of phosphorus content−Molybdenum blue molecular absorption spectrometric method及びISO 

11400 : 1992, Nickel, ferronickel and nickel alloys−Determination of phosphorus content−

Phosphovanadomolybdate molecular absorption spectrometric method を規格の一部とした。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について責任をもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1278 : 1998 

ニッケル及びニッケル合金中の 

りん定量方法 

Methods for determination of phosphorus  

in nickel and nickel alloys 

序文 この規格は,対応国際規格であるISO 9388 : 1992, Nickel alloys−Determination of phosphorus content

−Molybdenum blue molecular absorption spectrometric method及びISO 11400 : 1992, Nickel, ferronickel and 

nickel alloys−Determination of phosphorus content−Phosphovanadomolybdate molecular absorption spectrometric 

methodの対応する部分と技術的内容が一致するように作成した日本工業規格である。 

なお,対応国際規格がない二つの定量方法を日本工業規格として規定している。 

1. 適用範囲 この規格は,ニッケル及びニッケル合金中のりん定量方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 9388 : 1992 Nickel alloys−Determination of phosphorus content−Molybdenum blue molecular 

absorption spectrometric method 

ISO 11400 : 1992 Nickel, ferronickel and nickel alloys−Determination of phosphorus content −

Phosphovanadomolybdate molecular absorption spectrometric method 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格を引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 1270 ニッケル及びニッケル合金の分析方法通則 

3. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS H 1270の規定による。 

4. 定量方法の区分 りんの定量方法は,次のいずれかによることとし,各定量方法の適用試料は,表1

による。 

a) モリブドりん酸青吸光光度法 この方法は,りん含有率0.005% (m/m) 以上0.05% (m/m) 以下の試料

に適用する。 

b) 水酸化鉄共沈・モリブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸光光度法 この方法は,りん含有率

0.001% (m/m) 以上0.025% (m/m) 以下の試料に適用する。 

c) イオン交換分離モリブドりん酸青吸光光度法 この方法は,りん含有率0.005% (m/m) 以上0.05% 

(m/m) 以下の試料に適用する。 

d) モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 この方法は,りん含有率0.000 5% (m/m) 以上0.05% (m/m) 以

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H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

下の試料に適用する。 

表1 定量方法及び適用試料番号 

試料 

モリブドりん酸青
吸光光度法 

水酸化鉄共沈・モ
リブドりん酸抽出
分離モリブドりん
酸青吸光光度法 

イオン交換分離モ
リブドりん酸青吸
光光度法 

モリブドバナドり
ん酸抽出吸光光度
法 

合金番号 

合金記号 

NW5500 NiCu30A13Ti 

○ 

○ 

− 

○ 

NW0001 NiMo30Fe5 

− 

− 

○ 

○ 

NW0665 NiMo28 

− 

− 

○ 

○ 

NW0276 NiMo16Cr15Fe6W4 

− 

− 

○ 

○ 

NW6455 NiCr16Mo16Ti 

− 

− 

○ 

○ 

NW6022 NiCr21Mo13Fe4W3 

− 

○ 

○ 

○ 

NW6007 NiCr22Fe20Mo6CuNb 

− 

− 

○ 

○ 

NW6985 NiCr22Fe20Mo7Cu 

− 

− 

○ 

○ 

NW6002 NiCr21Fe18Mo9 

− 

− 

○ 

○ 

ニッケル鋳物 

○ 

− 

− 

○ 

ニッケル銅合金鋳物 

○ 

− 

− 

○ 

ニッケルモリブデン合金鋳物 

− 

− 

○ 

○ 

ニッケルモリブデンクロム合金鋳物 

− 

− 

○ 

○ 

ニッケルクロム鉄合金鋳物 

○ 

− 

− 

○ 

5. モリブドりん酸青吸光光度法 

5.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙が発生するまで

加熱濃縮して塩酸及び硝酸を除去する。塩類を水で溶解し,亜硫酸水素ナトリウムを加えて鉄などを還元

した後,七モリブデン酸六アンモニウム及び硫酸ヒドラジニウムを加えてりんをモリブドりん酸青とし,

光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 過塩素酸 

b) 硫酸 (1+12) 

c) 混酸(塩酸1,硝酸1,水1)使用の都度調製する。 

d) 亜硫酸水素ナトリウム溶液 (100g/l) 

e) 混合試薬溶液 次に示すA液50m1及びB液20mlを水130mlと混合する。この溶液は,使用の都度

調製する。 

A液: 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物20gをはかり取り,ビーカー (2l) に移し入れ,温水約

100mlを加えて溶解し,硫酸 (1+1) 600mlを加え,常温まで冷却した後,水で液量を1 000mlと

する。 

B液: 硫酸ヒドラジニウム1.5gをはかり取り,ビーカー (2l) に移し入れ,水100mlを加えて溶解した

後,水で液量を1 000mlとする。 

f) 

標準りん溶液 (5μgP/ml)  りん酸二水素カリウム0.440gをはかり取り,ビーカー (300ml) に移し入

れ,水100mlを加えて溶解した後,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて入れ,水で標線まで

薄めて原液 (100μgP/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に20倍に薄めて標準

りん溶液とする。 

5.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.50gとする。 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.4 

操作 

5.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,混酸 [5.2c)] 30mlを加え,穏やかに加熱して分解する。 

c) 時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,過塩素酸20mlを加え,加熱蒸発して過塩素酸の白煙

を発生させ,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する程度になるまで加熱し,更に5〜6

分間加熱した後,放冷する。 

d) ビーカーの内壁を少量の水で洗浄し,水約40mlを加え,振り混ぜて可溶性塩類を溶解する。 

e) 溶液をろ紙(5種A)を用いてこし分けた後,温水で3,4回洗浄する。ろ液及び洗液は,100mlの全

量フラスコに受ける。 

f) 

全量フラスコを流水中に浸して常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。 

5.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 5.4.1f)で得た溶液を20.0mlずつ2個の100mlの全量フラスコに分取し,その各々に亜硫酸水素ナトリ

ウム溶液10mlを加え,沸騰水浴中で約20分間加熱する。 

b) 第1の全量フラスコには混合試薬溶液 [5.2e)] 25mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で約10分間加熱し

た後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄める。 

c) 第2の全量フラスコには,硫酸 (1+12) 25mlを加えた後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄

める。 

5.4.3 

吸光度の測定 5.4.2b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,5.4.2c)で得た溶液を

対照液として,波長825nm付近における5.4.2b)の溶液の吸光度を測定する。 

5.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

5.6 

検量線の作成 標準りん溶液 [5.2f)] 0〜10.0ml(りんとして0〜50μg)を段階的に数個の100mlの全

量フラスコに取り,過塩素酸3mlを加え,水で液量を20mlとする。亜硫酸水素ナトリウム溶液10mlを加

え,沸騰水浴中で約20分間加熱する。混合試薬溶液 [5.2e)] 25mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で約10

分間加熱した後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄める。この溶液の一部を光度計の吸収セル 

(10mm) に取り,水を対照液として,波長825nm付近の吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とり

ん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

5.7 

計算 5.4.3及び5.5で得た吸光度と,5.6で作成した検量線とからりん量を求め,試料中のりん含有

率を,次の式によって算出する。 

100

100

20

2

1

×

×

=mA

A

P

ここに, 

P: 試料中のりん含有率 [% (m/m)] 

A1: 分取した試料溶液中のりん検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のりん検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

6. 水酸化鉄共沈・モリブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸光光度法 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,硫酸を加え,硫酸の白煙が発生するまで加熱濃縮

して塩酸及び硝酸を除去し,ペルオキソ二硫酸アンモニウムを加えてクロム (III) をクロム (VI) に酸化す

る。アンモニア水を加えてりんを水酸化鉄 (III) と共沈させ,ふっ化水素酸と硝酸との混酸で溶解する。

モリブデン酸ナトリウムを加え,生成するモリブドりん酸を2−メチル−1−プロパノールに抽出した後,

塩化すず (II) を加えてモリブドりん酸をモリブドりん酸青に還元した後,水相に逆抽出し,光度計を用い

て,その吸光度を測定する。 

6.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 硝酸 

c) 硝酸 (1+1) 

d) ふっ化水素酸 

e) 硫酸 (1+1) 

f) 

ほう酸溶液 (40g/l) 

g) 混酸(塩酸5,硝酸1) 使用の都度調製する。 

h) アンモニア水 

i) 

水酸化ナトリウム 

j) 

硝酸アンモニウム溶液 (10g/l) 

k) 硝酸鉄 (III) 溶液 硝酸鉄 (III) 九水和物7.2gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,水75ml

を加えて溶解し,硝酸3mlを加えた後,水で液量を100mlとする。 

l) 

硝酸銀溶液 (15g/l) 

m) ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液 (100g/l)  この溶液は,調製後3日以内に使用する。 

n) モリブデン酸ナトリウム溶液 モリブデン酸ナトリウム二水和物10g及び水酸化ナトリウム8gをはか

り取り,ビーカー (500ml) に移し入れ,水50mlを加えて溶解した後,水で液量を200mlとする。 

o) 塩化ナトリウム洗浄液 塩化ナトリウム23gをはかり取り,ビーカー (2l) に移し入れ,水750mlを加

えて溶解し,塩酸50mlを加えた後,水で液量を約900mlとする。2−メチル−1−プロパノール60ml

を加え,水で液量を1 000mlとする。 

p) 還元剤溶液 次の手順によって調製する。 

1) 塩化すず (II) 二水和物10gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,塩酸25mlを加え,加熱

して溶解する。常温まで冷却した後,水で液量を50mlとする。この溶液は,密封した容器に保存

すれば,調製後1週間以内に使用する。 

2) 1)で調製した溶液5mlを250mlの全量フラスコに取り,硫酸 (1+1) 10mlを加え,水で標線まで薄

めて還元剤溶液とする。この溶液は,使用の都度調製する。 

q) しゅう酸溶液 しゅう酸二水和物1gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,水50mlを加えて

溶解した後,水で液量を100mlとする。 

r) スルファミン酸溶液 (50g/l) 

s) 

酒石酸溶液 (100g/l) 

t) 

クロロホルム 

u) 2-メチル-1-プロパノール 

v) 標準りん溶液 (100μgP/ml)  りん酸二水素カリウム0.440gをはかり取り,ビーカー (300ml) に移し

入れ,水100mlを加えて溶解した後,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,硫酸 (1

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H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

+1) 5mlを加えた後,水で標線まで薄める。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表2による。 

表2 試料はかり取り量 

試料中のりん含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

0.001以上 0.01未満 

0.30 

0.01 以上 0.025以下 

0.20 

6.4 

操作 

6.4.1 

試料の分解 試料の分解は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 硝酸 (1+1) で容易に分解する場合 

1) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 7mlを加え,穏やかに加熱して分解し,室温まで放冷した後,時計皿の

下面を水で洗って時計皿を取り除く。 

b) 硝酸 (1+1) で容易に分解しない場合 

1) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 時計皿で覆い,混酸 [6.2g)] 7mlを加え,穏やかに加熱して分解する。 

3) 時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,硫酸 (1+1) 5mlを加え,加熱蒸発して硫酸の白煙を

発生させた後(1),室温まで放冷する。 

4) 硝酸5ml及び水30mlを少量ずつ加え,可溶性塩類を溶解する。 

注(1) 乾固してはならない。 

6.4.2 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 6.4.1のa)2)又はb)4)で得た溶液を,水を用いてビーカー (500ml) に移し入れ,水で150mlに薄める。 

b) 硝酸鉄 (III) 溶液 [6.2k)] 3mlを加え,沸騰するまで加熱した後,硝酸銀溶液10ml及びペルオキソ二

硫酸アンモニウム溶液 [6.2m)] 30mlを加える。 

c) 加熱して10〜15分間沸騰させ過剰のペルオキソ二硫酸アンモニウムを分解した後,水で液量を250ml

とする。 

d) 溶液をかき混ぜながら,水酸化鉄 (III) の沈殿が完全に生成するまで,アンモニア水を加え,更に過

剰にアンモニア水15ml加え,約15分間水浴上で加熱する。 

e) 沈殿をろ紙パルプを詰めたろ紙(5種C)を用いてこし分け,洗液にクロム (VI) イオンの黄色が認め

られなくなるまで,硝酸アンモニウム溶液でろ紙及び沈殿を洗浄する。 

f) 

沈殿をろ紙とともにふっ化水素酸2mlを入れた四ふっ化エチレン樹脂ビーカー中に移し入れ,硝酸 (1

+1) 10mlを加え,穏やかに加熱して沈殿を溶解する。 

g) 溶液をろ紙(5種C)とポリエチレン漏斗を用いてろ過し,ろ液をポリエチレンビーカーに受ける。 

h) ろ紙を水5mlで2回,ほう酸溶液30mlで1回洗浄し,最終液量が70mlを超えないように,更に水で

洗浄し,洗液をろ液に合わせる。 

i) 

溶液を分液漏斗に水を用いて移し入れ,酒石酸溶液2ml,スルファミン酸溶液1ml,モリブデン酸ナ

トリウム溶液 [6.2n)] 10m1及び2−メチル−1−プロパノール20mlを加え,2分間激しく振り混ぜる。 

j) 

静置して二層に分離した後,水相を別の分液漏斗に移し入れる。有機相はそのまま保存しておく。 

k) 水相にモリブデン酸ナトリウム溶液 [6.2n)] 5m1及び2−メチル−1−プロパノール10mlを加え,2分

間激しく振り混ぜる。 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

l) 

静置して二層に分離した後,水相を捨て,有機相を,j)で保存しておいた有機相の入っている分液ロ

ートに移し入れる。 

m) 有機相に,塩化ナトリウム溶液 [6.2o)] 20mlを加え,30秒間振り混ぜて洗浄する。静置して二層に分

離した後,水相を捨てる。 

n) m)の操作を2回以上繰り返す。 

6.4.3 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 6.4.2n)で得た有機相に,クロロホルム40ml,水30ml,還元剤溶液 [6.2p)] 10ml及びしゅう酸溶液 [6.2q)] 

2mlを加え,直ちに1分間激しく振り混ぜる。 

b) 静置して二層に分離した後,有機相(下層)を捨て,水相を,塩酸 (1+1) 5mlを入れた100mlの全量

フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,20分間放置する(2)。 

注(2) この溶液の呈色は,20時間は安定である。 

6.4.4 

吸光度の測定 6.4.3b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル(10mm又は20mm)に取り,水を対

照液として,波長700nm付近における吸光度を測定する。 

6.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

6.6 

検量線の作成 標準りん溶液 [6.2v)] 0〜500μl(りんとして0〜50μg)を,マイクロピペットを用い

て段階的に数個のビーカー (500ml) に取り,硝酸5mlを加え,水で液量を150mlとする。以下,6.4.2b)

〜6.4.4の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とりん量との関係線を作成し,

その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

6.7 

計算 6.4.4及び6.5で得た吸光度と,6.6で作成した検量線とからりん量を求め,試料中のりん含有

率を,次の式によって算出する。 

100

2

1

×

=

m

A

A

P

ここに, 

P: 試料中のりん含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のりん検出量 (g) 

A2: 空試験液中のりん検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

7. イオン交換分離モリブドりん酸青吸光光度法 

7.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸とで分解した後,加熱濃縮してシロップ状とする。塩酸とふっ化水素酸と

で塩類を溶解した後,陰イオン交換カラムを通してモリブデンを分離する。流出液に過塩素酸を加え,白

煙が発生するまで加熱濃縮して,塩酸及びふっ化水素酸を除去する。塩類を水で溶解し,亜硫酸水素ナト

リウムを加えて鉄などを還元した後,七モリブデン酸六アンモニウム及び硫酸ヒドラジニウムを加えてり

んをモリブドりん酸青とし,光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

7.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 硝酸 

c) 過塩素酸 

d) ふっ化水素酸 

e) 硫酸 (1+12) 

f) 

溶離液水 500mlに塩酸50m1及びふっ化水素酸50mlを加え,水で液量1 000mlとする。 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) 再生液 塩化アンモニウム214g及びふっ化アンモニウム37gをはかり取り,ビーカー (2l) に移し入

れ,水500mlを加えて溶解した後,水で液量を1 000mlとする。 

h) 亜硫酸水素ナトリウム溶液 (100g/l) 

i) 

混合試薬溶液 5.2e)による。 

j) 

標準りん溶液  (5μgP/ml)5.2f)による。 

7.3 

器具 器具は,通常,次のものを用いる。 

a) 陰イオン交換カラム 一端を細くしたポリエチレン管又は透明ポリ塩化ビニル管の底部に水でほぐし

た脱脂綿又はポリエチレンウールを約5〜10mlの厚さに緩く詰め,水で膨潤させた強塩基性陰イオン

交換樹脂(粒径74〜149μm,交換容量1.3meq/ml以上のもの)約20mlをスラリー状にして流し入れる。

樹脂が沈殿した後,その上に水でほぐした脱脂綿又はポリエチレンウールを約5mmの厚さに緩く詰

める。脱脂綿又はポリエチレンウールの詰め方を調節するなどして,流出液の流量を毎分1.0〜1.5ml

になるようにする。 

7.4 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.50gとする。 

7.5 

操作 

7.5.1 

準備操作 陰イオン交換カラム [7.3a)] に,溶離液 [7.2f)] 50mlを通す。 

7.5.2 

試料の分解 試料の分解は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100ml) に移し入れる。 

b) ポリエチレン時計皿で覆い,塩酸15ml,硝酸5ml及びふっ化水素酸1mlを順次加え,穏やかに加熱し

て分解する。 

c) 時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,シロップ状になるまで加熱蒸発する。 

d) 塩酸1ml及びふっ化水素酸1mlを加え,再びシロップ状になるまで加熱蒸発する。 

e) 溶離液 [7.2f)] 50mlを加え,加熱して塩類を溶解した後,常温まで放冷する。 

7.5.3 

りんの分離 りんの分離は,次の手順によって行う。 

a) 7.5.2e)で得た溶液を陰イオン交換カラムに通す。溶離液 [7.2f)] 5mlずつで2回,10mlずつで2回順次

ビーカーを洗い,その都度洗液をカラムに通し,更に溶離液 [7.2f)] 50mlをカラムに通す。 

b) 流出液はすべて四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (200ml) に受ける(3)。 

c) 流出液に過塩素酸10ml及び硝酸2mlを加え,加熱蒸発して過塩素酸の白煙を発生させる。ビーカー

の内壁を少量の水で洗い,再び加熱蒸発して過塩素酸の白煙を発生させる。 

d) 常温まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

注(3) カラムを再使用する場合には,カラムに再生液 [7.2g)] を10mlずつ2回通した後,更に130ml通

し,次に,水を10mlずつ2回通した後,更に150ml通しておく。 

7.5.4 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 7.5.3d)で得た溶液を20.0mlずつ2個の100mlの全量フラスコに分取し,その各々に亜硫酸水素ナトリ

ウム溶液10mlを加え,沸騰水浴中で約20分間加熱する。 

b) 第1の全量フラスコには混合試薬溶液 [7.2i)] 25mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で約10分間加熱し

た後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄める。 

c) 第2の全量フラスコには硫酸 (1+12) 25mlを加えた後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄め

る。 

7.5.5 

吸光度の測定 7.5.4b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,7.5.4c)で得た溶液を

対照液として,波長825nm付近における吸光度を測定する。 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.6 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

7.7 

検量線の作成 標準りん溶液 [7.2j)] 0〜10.0ml(りんとして0〜50μg)を段階的に数個の100mlの全

量フラスコに取り,過塩素酸3mlを加え,水で液量を20mlとする。亜硫酸水素ナトリウム溶液10mlを加

え,沸騰水浴中で約20分間加熱する。混合試薬溶液 [7.2i)] 25mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で約10

分間加熱した後,流水中で常温まで冷却し,水で標線まで薄める。この溶液の一部を光度計の吸収セル 

(10mm) に取り,水を対照液として,波長825nm付近の吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とり

ん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

7.8 

計算 7.5.5及び7.6で得た吸光度と,7.7で作成した検量線とからりん量を求め,試料中のりん含有

率を,次の式によって算出する。 

100

100

20

2

1

×

×

=mA

A

P

ここに, 

P: 試料中のりん含有率 [% (m/m)] 

A1: 分取した試料溶液中のりん検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のりん検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

8. モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 

8.1 

要旨 試料を硝酸で分解した後,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙が発生するまで加熱濃縮してク

ロムを揮発性の塩化クロミルとして除去する。ふっ化水素酸を加えてけい素及び難溶性元素を錯化し,亜

硝酸ナトリウムを加えて残留する二クロム酸を還元した後,バナジン酸アンモニウム及び七モリブデン酸

六アンモニウムを加え,生成するモリブドバナドりん酸を,4−メチル−2−ペンタノンで抽出し,光度計

を用いて有機相の吸光度を測定する。 

8.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 

b) 硝酸 (1+4) 

c) ふっ化水素酸 

d) 亜硝酸ナトリウム (50g/l) 

e) モリブデン酸アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物15gをはかり取り,ビーカ

ー (200ml) に移し入れ,水75mlを加えて溶解した後,水で液量を100mlとする。 

f) 

バナジン酸アンモニウム溶液 (2.5g/l) 

g) フルオロほう酸溶液 ほう酸75gをはかり取り,ポリエチレンビーカー (2l) に移し入れ,温水600ml

を加えて懸濁させ,ふっ化水素酸50mlを加えた後,水で液量を1 000mlとした後,ほう酸が溶解する

まで水浴上で加熱する。 

h) クエン酸溶液 クエン酸−水和物500gをはかり取り,ビーカー (2l) 移し入れ,水500mlを加えて溶

解した後,水で液量を1 000mlとする。 

i) 

4−メチル−2−ペンタノン 

j) 

標準りん溶液 (10μgP/ml) りん酸二水素カリウム4.394gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,

水50mlを加えて溶解し,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて

原液 (10. mgP/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に100倍に薄めて標準りん溶

液とする。 

background image

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表3による。 

表3 試料はかり取り量 

試料中のりん含有率 

% (m/m) 

試料量 

妨害元素の最大許容含有率 [% (m/m)] 

As 

Hf 

Nb 

Ta 

Ti 

0.000 5以上 0.010未満 1.0 

0.05 

0.1 

0.1 

0.002 0以上 0.040未満 0.25 

1.2 

0.5 

1.5 

10 

0.005 0以上 0.050以下 0.10 

0.5 

1.5 

10 

25 

25 

8.4 

操作 

8.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) Nb,Si,Ta及びHfの含有率が低い試料の場合 

1) 試料をはかり取って四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 四ふっ化エチレン樹脂時計皿で覆い,硝酸5ml及びふっ化水素酸5mlを加え,穏やかに加熱して分

解する。 

3) 過塩素酸10mlを加え,時計皿をずらした後,加熱蒸発して,過塩素酸の白煙を発生させる。 

b) Nb,Si,Ta及びHfの含有率が高い場合 

1) 試料をはかり取って四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 四ふっ化エチレン樹脂時計皿で覆い,硝酸5ml及びふっ化水素酸12mlを加え,穏やかに加熱して

分解する。 

3) 過塩素酸10mlを加え,時計皿をずらした後,加熱蒸発して,過塩素酸の白煙を発生させる。 

8.4.2 

クロムの除去(4) 8.4.1のa)3)又はb)3)で得た溶液を,時計皿に水滴が認められなくなり,すべて

のクロムがクロム (VI) に酸化されるまで,加熱する。過塩素酸の白煙を発生させ続けた後,塩化クロミ

ルの褐色の煙が出なくなるまで,塩酸を滴加する。 

注(4) この操作は,試料中のクロム含有率が0.1% (m/m) 以上の場合にだけ行う。 

8.4.3 

錯化 錯化は,次の手順によって行う。 

a) 8.4.1のa)3)若しくはb)3)又は8.4.2で得た溶液に,硝酸25ml及びふっ化水素酸4mlを加え,加熱して

沈殿を溶解する(5)。 

b) 亜硝酸ナトリウム溶液10mlを加え,加熱して10分間沸騰させる。 

c) フルオロほう酸溶液 [8.2g)] 40mlを加え,直ちに20〜30℃に冷却する。 

注(5) 沈殿が溶解しない場合は,ふっ化水素酸を更に2ml加える。 

8.4.4 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 8.4.3c)で得た溶液に,バナジン酸アンモニウム溶液10ml及びモリブデン酸アンモニウム溶液 [8.2e)] 

15mlを加え,溶液の温度を18〜25℃に7〜15分間保つ。 

b) 溶液を分液漏斗 (250ml) に水を用いて移し入れ,水で液量を100mlとする。 

8.4.5 

抽出 抽出は,次の手順によって行う。 

a) 8.4.4b)で得た溶液に,クエン酸溶液 [8.2d)] 10mlを加え振り混ぜ,直ちに4-メチル-2-ペンタノン10ml

を加える。 

b) 30秒間激しく振り混ぜ,静置して二層に分離した後,下層の水相を捨て,上層の有機相を乾いたビー

カー (50ml) に乾いたろ紙でろ過する。 

8.4.6 

吸光度の測定 8.4.5b)で得た有機相の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,4-メチル-2-ペン

タノンを対照液として,波長355nm付近における吸光度を測定する。 

10 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

8.6 

検量線の作成 標準りん溶液 [8.2j)] 0〜10.0ml(りんとして0〜100μg)を段階的に数個の四ふっ化

エチレン樹脂ビーカー (100ml) に取り,以下,8.4.1a)〜8.4.6又は8.4.1b)2)〜8.4.6の手順に従って試料と

同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とりん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るよう

に平行移動して検量線とする。 

8.7 

計算 8.4.6及び8.5で得た吸光度と,8.6で作成した検量線とからりん量を求め,試料中のりん含有

率を,次の式によって算出する。 

100

2

1

×

=

m

A

A

P

ここに, 

P: 試料中のりん含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のりん検出量 (g) 

A2: 空試験液中のりん検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

11 

H 1278 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ニッケル及びニッケル合金分析方法工業標準原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

神 尾 彰 彦 

東京工業大学工学部 

後 藤 敬 一 

通商産業省基礎産業局非鉄金属課 

◎ 天 野   徹 

工業技術院標準部材料規格課 

村 田 祐 滋 

東京都立工業技術センター金属部 

竹 内 孝 夫 

科学技術庁金属材料技術研究所 

◎ 橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

太 田 裕 二 

社団法人日本銅センター技術部 

大 屋 武 夫 

ステンレス協会 

佐 藤 秀 樹 

社団法人日本電子材料工業会技術部 

稲 垣 勝 彦 

日本鉱業協会技術部 

赤 峰 淳 一 

社団法人日本電機工業会技術部 

篠 原   脩 

社団法人日本ガス石油機器工業会技術部 

山 添 哲 郎 

通信機械工業会技術部 

村 岡 良 三 

社団法人日本自動車部品工業会技術部 

山 下 満 男 

富士電機株式会社生産技術研究所 

安 井   毅 

株式会社東芝材料部品事業部開発技術部 

◎ 田 中 尚 生 

三菱マテリアル株式会社桶川製作所 

恒 原 正 明 

古河電気工業株式会社金属事業本部 

菅 沼 輝 夫 

日鉱金属株式会社倉見工場技術部 

大 関 哲 雄 

大木伸銅工業株式会社技術部 

中 島 安 啓 

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部 

田部井 和 彦 

三菱マテリアル株式会社桶川製作所技術管理室 

岡 村 明 人 

三菱伸銅株式会社若松製作所品質保証部 

○ 町 田 克 巳 

住友金属鉱山株式会社中央研究所 

○ 山 下   務 

株式会社東芝材料部品事業部品質保証部 

○ 山 本 寿 美 

古河電気工業株式会社横浜研究所 

○ 中 村   靖 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

○ 豊 嶋 雅 康 

住友軽金属工業株式会社研究開発センター 

(事務局) 

○ 藤 沢   裕 

日本伸銅協会技術部 

(関係者) 

久留須 一 彦 

古河電気工業株式会社横浜研究所 

天 川 義 勝 

株式会社ジャパンエナジー分析センター 

和 田 隆 光 

財団法人日本規格協会 

相 馬 南海雄 

日本伸銅協会総務部 

備考1. ◎印を付けてある委員は分科会委員を兼ねる。 

2. ○印を付けてある委員は分科会委員である。