H 1274 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS H 1274 : 1988は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日本
工業規格を基礎にした国際規格の原案の提案を容易にするため,ISO 6351 : 1985, Nickel−Determination of
silver, bismuth, cadmium, cobalt, copper, iron, manganese, lead and zinc contents−Flame atomic absorption
spectrometric method, ISO 7530-1 : 1990, Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 1 :
General requirements and sample dissolution及びISO 7530-6 : 1990, Nickel alloys−Flame atomic absorption
spectrometric analysis−Part 6 : Determination of manganese contentを規格の一部とした。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について責任をもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 1274 : 1998
ニッケル及びニッケル合金中の
マンガン定量方法
Methods for determination of manganese
in nickel and nickel alloys
序文 この規格は,対応国際規格であるISO 6351 : 1985, Nickel−Determination of silver, bismuth, cadmium,
cobalt, copper, iron, manganese, lead and zinc contents−Flame atomic absorption spectrometric method, ISO
7530-1 : 1990, Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 1 : General requirements and
sample dissolution及びISO 7530-6 : 1990, Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part
6 : Determination of manganese contentの対応する部分(ISO 6351についてはマンガンの定量に関する部分,
ISO 7530については全体)と技術的内容が一致するように作成した日本工業規格である。
なお,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格として規定している。
1. 適用範囲 この規格は,ニッケル及びニッケル合金中のマンガン定量方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 6351 : 1985 Nickel−Determination of silver, bismuth, cadmium, cobalt, copper, iron, manganese,
lead and zinc contents−Flame atomic absorption spectrometric method
ISO 7530-1 : 1990 Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 1 : General
requirements and sample dissolution
ISO 7530-6 : 1990 Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 6 :
Determination of manganese content
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。引用規格は,その最新版を適用する。
JIS H 1270 ニッケル及びニッケル合金の分析方法通則
3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1270の規定による。
4. 定量方法の区分 マンガンの定量方法は,次のいずれかによることとし,各定量方法の適用試料は,
表1による。
a) 過マンガン酸吸光光度法 この方法は,マンガン含有率0.05% (m/m) 以上2.0% (m/m) 以下の試料に
適用する。
b) 原子吸光法(A法) この方法は,マンガン含有率0.01% (m/m) 以上2.0% (m/m) 以下の試料に適用
2
H 1274 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する。
c) 原子吸光法(B法) この方法は,マンガン含有率0.01% (m/m) 以上4.0% (m/m) 以下の試料に適用
する。
表1 定量方法及び適用試料
試料
定量方法
合金番号
合金記号
過マンガン酸
吸光光度法
原子吸光法
(A法)
原子吸光法
(B法)
NW2200 Ni99.0
○
○
○
NW2201 Ni99.0-LC
○
○
○
−
NATB
○
○
○
NW4400 NiCu30
○
○
○
NW4402 NiCu30-LC
○
○
○
NW5500 NiCu30A13Ti
○
○
○
NW0001 NiMo30Fe5
○
○
NW0665 NiMo28
○
○
NW0276 NiMo16Cr15Fe6W4
○
○
NW6455 NiCr16Mo16Ti
○
○
NW6022 NiCr21Mo13Fe4W3
○
○
NW6007 NiCr22Fe20Mo6Cu2Nb
○
○
NW6985 NiCr22Fe20Mo7Cu
○
○
NW6002 NiCr21Fe18Mo9
○
○
ニッケル鋳物
○
○
○
ニッケル銅合金鋳物
○
○
○
ニッケルモリブデン合金鋳物
○
○
ニッケルモリブデンクロム合金鋳物
○
○
ニッケルクロム鉄合金鋳物
○
○
5. 過マンガン酸吸光光度法
5.1
要旨 試料をりん酸,硫酸及び硝酸の混酸で分解した後,過よう素酸ナトリウムを加え,煮沸して
マンガンを過マンガン酸に酸化し,光度計を用いて,その吸光度を測定する。
5.2
試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+1)
c) 硝酸
d) 混酸A 水600mlにりん酸120ml及び硫酸100mlを加え,室温まで冷却した後,硝酸170mlを加え,
水で液量を1 000mlとする。
e) 混酸B 水600mlにりん酸120ml及び硫酸100mlを加え,室温まで冷却した後,水で液量を1 000ml
とする。
f)
ニッケル 99.9% (m/m) 以上で,マンガン含有率が0.001% (m/m) 以下のもの。
g) 鉄 99.9% (m/m) 以上で,マンガン含有率が0.001% (m/m) 以下のもの。
h) 銅 99.9% (m/m) 以上で,マンガン含有率が0.001% (m/m) 以下のもの。
i)
クロム 99.9% (m/m) 以上で,マンガン含有率が0.001% (m/m) 以下のもの。
j)
過酸化水素
k) 亜硝酸ナトリウム溶液 (100g/l)
3
H 1274 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
l)
過よう素酸ナトリウム溶液 (50g/l)
m) モリブデン酸アンモニウム溶液 (10g/l) 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物18.4gをはかり取
って温水約600mlに溶解し,常温まで冷却した後,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し
入れ,水で標線まで薄める。この溶液は,使用の都度調製する。
n) 尿素溶液 (100g/l)
o) 標準マンガン溶液 (100μgMn/ml) マンガン[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカー
(300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加え,加熱して分解し,過酸化水素0.5mlを
加える。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの全
量フラスコに水を用いて移し入れ,塩酸35mlを加え,水で標線まで薄めて原液 (1 000μgMn/ml) とす
る。この原液100.0mlを1 000mlの全量フラスコに取り,塩酸45mlを加え,水で標線まで薄めて標準
マンガン溶液とする。
5.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表2による。
表2 試料はかり取り量
試料中のマンガン含有率 試料はかり取り量
% (m/m)
g
0.05以上 0.25未満
0.50
0.25以上 0.4未満
0.25
0.4以上 2.0以下
0.10
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 試料がニッケル及びニッケル銅合金の場合
1) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,混酸A [5.2 d)] 30mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解し,引き続き加熱して窒
素酸化物を追い出す。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く(1)。
3) 水を加えて液量を約60mlとする。
b) 試料がニッケルモリブデン合金,ニッケルモリブデンクロム合金及びニッケルクロム鉄合金の場合
1) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,塩酸45ml及び硝酸15mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,
時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。
3) 混酸B [5.2 e)] 30mlを加え,加熱蒸発して硫酸の白煙を発生させる。放冷した後,水を加えて液量
を約60mlとする(1)。
注(1) 不溶解残さが認められたときは,溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,水で3,4回洗浄し,ろ
液及び洗液をビーカー (200ml) に受け,加熱して液量が約60mlとなるまで濃縮した後,放冷す
る。
5.4.2
呈色 呈色は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1のa)3)又はb)3)で得た溶液に,過よう素酸ナトリウム溶液10mlを加え,時計皿で覆い,加熱し
て5〜10分間煮沸する。
b) 常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,尿素溶液10mlを加え,溶液
を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
4
H 1274 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4.3
吸光度の測定 5.4.2 b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,
波長530nm付近の吸光度 (S1) を測定する。次に,全量フラスコ内に残っている呈色溶液に亜硝酸ナトリ
ウム溶液2, 3滴(2)を加えて過マンガン酸イオンの赤紫色を消した後,その一部を光度計の吸収セル (10mm)
に取り,前と同じ条件で吸光度 (S2) を測定する。吸光度 (S1) から吸光度 (S2) を差し引き,溶液の吸光度
とする。
注(2) 亜硝酸ナトリウム溶液の添加量は,必要最少限にとどめ,添加による溶液の液量変化は無視す
る。
5.5
空試験 5.6の検量線作成操作において得られる,標準マンガン溶液を添加しない溶液の吸光度を,
空試験の吸光度とする。
5.6
検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 試料がニッケル及びニッケル銅合金の場合 ニッケル [5.2 f)] を5.4.1 a)1)ではかり取った試料と同量
ずつ数個はかり取り(3),それぞれをビーカー (200ml) に移し入れ,5.4.1 a)2)の操作を行う。標準マン
ガン溶液 [5.2 o)] 0〜20.0ml(マンガンとして0〜2 000μg)を段階的に加える。以下,5.4.1 a)3)〜5.4.3
の手順に従って試料と並行して操作し,得た吸光度とマンガン量との関係線を作成し,その関係線を
原点を通るように平行移動して検量線とする。
b) 試料がニッケルモリブデン合金及びニッケルモリブデンクロム合金の場合 ニッケル [5.2 f)] 及び鉄
[5.2 g)] を5.4.1 b)1)ではかり取った試料中に含まれる同量ずつ数個はかり取り(4),それぞれをビーカ
ー (200ml) に移し入れ,5.4.1 b)2)の操作を行う。モリブデン量がはかり取った試料中のモリブデン量
と同量になるように,モリブデン酸アンモニウム溶液 [5.2 m)] を加える。標準マンガン溶液 [5.2o)]0
〜20.0ml(マンガンとして0〜2 000μg)を段階的に加え,以下,5.4.1 b)3)〜5.4.3の手順に従って操作
し,得た吸光度とマンガン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量
線とする。
c) 試料がニッケルクロム鉄合金の場合 はかり取った試料中に含まれる量と同量のニッケル [5.2 f)],鉄
[5.2 g)] 及びクロム [5.2 i)] を数個はかり取り,それぞれをビーカー (200ml) に移し入れ,5.4.1 b)2)
の操作を行う。標準マンガン溶液 [5.2 o)] 0〜20.0ml(マンガンとして0〜2 000μg)を段階的に加え,
以下,5.4.1. b)3)〜5.4.3の手順に従って試料と並行して操作し,得た吸光度とマンガン量との関係線を
作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(3) ニッケル銅合金の場合には,ニッケル [5.2 f)] 及び銅 [5.2 h)] をはかり取った試料中に含まれ
る量と同量ずつ数個はかり取る。
(4) ニッケルモリブデンクロム合金の場合には,ニッケル [5.2 f)],鉄 [5.2 g)] 及びクロム [5.2 i)] を
はかり取った試料中に含まれる量と同量ずつ数個はかり取る。
5.7
計算 5.4.3及び5.5で得た吸光度と,5.6で作成した検量線とからマンガン量を求め,試料中のマン
ガン含有率を次の式によって算出する。
100
2
1
×
−
=
m
A
A
Mn
ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)]
A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g)
A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
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H 1274 : 1998
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6. 原子吸光法(A法)
6.1
要旨 試料を硝酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,
その吸光度を測定する。
6.2
試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸 (1+1)
b) ニッケル 5.2 f)による。
c) 標準マンガン溶液 (100μgMn/ml) 5.2 o)による。
6.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,2.0gとする。
6.4
操作
6.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解し,引き続き加熱して窒素酸
化物を追い出す。冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。
c) 加熱してシロップ状となるまで濃縮し,常温まで冷却した後,硝酸 (1+1) 20ml及び水約100mlを加
えて塩類を溶解する。溶液を200mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる(5)。
d) 水を加えて標線まで薄める。
注(5) この溶液中のマンガン量が5 000μg以上の場合には,水で標線まで薄めた後,マンガン量が500
〜5 000μgになるように溶液を別の200mlの全量フラスコに分取する。
6.4.2
吸光度の測定 6.4.1 d)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光度計の空気・
アセチレンフレーム中に噴霧し,波長403.1nmにおける吸光度を測定する。
6.5
空試験 6.6の検量線作成操作において得られる,標準マンガン溶液を添加しない溶液の吸光度を,
空試験の吸光度とする。
6.6
検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) ニッケル [6.2 b)] を2.0gずつはかり取って数個のビーカー (200ml) に移し入れ,以下,6.4.1のb)及
びc)の手順に従って操作する(6)。
b) 標準マンガン溶液 [6.2 c)] 0〜50.0ml(マンガンとして0〜5 000μg)を段階的に加え,以下,6.4.l d)及
び6.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とマンガン量との関係線を
作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(6) 6.4.1 c)で注(5)を適用した場合には,水で標線まで薄めた後,6.4.1 c)で分取した試料溶液と同量
ずつを数個の200mlの全量フラスコに分取する。
6.7
計算 計算は,次のいずれかによる。
a) 6.4.1 c)で分取をしなかった場合 6.4.2及び6.5で得た吸光度と6.6で作成した検量線とからマンガン
量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。
100
2
1
×
−
=
m
A
A
Mn
ここに, Mn: 試料中マンガン含有率 [% (m/m)]
A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g)
A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
b) 6.4.1 c)で分取をした場合 6.4.2及び6.5で得た吸光度と6.6で作成した検量線とからマンガン量を求
6
H 1274 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。
100
200
4
3
×
×
−
=
B
m
A
A
Mn
ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)]
A3: 分取した試料溶液中のマンガン検出量 (g)
A4: 分取した空試験液中のマンガン検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
7. 原子吸光法(B法)
7.1
要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,乾固近くまで加熱濃縮する。塩酸を加え,乾固近くま
で加熱した後,塩酸及び塩化ストロンチウムを加え,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム
中に噴霧し,その吸光度を測定する。
7.2
試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+1)
c) 硝酸
d) 混酸(塩酸3,硝酸1) この混酸は使用の都度調製する。
e) 過酸化水素
f)
塩化ストロンチウム溶液 塩化ストロンチウム六水和物113.5gをはかり取ってビーカー (1l) に移し
入れ,水約400mlを加え,加熱して溶解する。常温まで冷却した後,溶液を1 000mlの全量フラスコ
に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
g) 標準マンガン溶液 (50μgMn/ml) マンガン[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカー
(300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加え,加熱して分解した後,過酸化水素水
0.5mlを加える。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液を1 000ml
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩酸35mlを加え,水で標線まで薄めて原液 (1 000μgMn/ml)
とする。この原液50.0mlを1 000mlの全量フラスコに取り,塩酸50mlを加え,水で標線まで薄めて
標準マンガン溶液とする。
7.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとする。
7.4
操作
7.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 試料中のマンガン含有率が0.01% (m/m) 以上0.10% (m/m) 未満の場合
1) 試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,混酸 [7.2 d)] 20mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解し(7),放冷した後,時計皿
の下面を水で洗って時計皿を取り除く。
3) 塩酸25mlを加え,乾固近くまで加熱する(8)。この操作をもう一度繰り返す。
4) 放冷した後,塩酸5ml及び水20mlを加え,加熱して塩類を溶解する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5) 常温まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩化ストロンチウム溶
液 [7.2 f)] 4mlを加え,水で標線まで薄める(9)。
b) 試料中のマンガン含有率0.1% (m/m) 以上4.0% (m/m) 以下の場合
1) a)の1)〜4)の手順に従って操作する。
2) 常温まで冷却した後,過酸化水素0.25mlを加え,塩類を完全に溶解する。溶液を500mlの全量フラ
スコに水を用いて移し入れ,塩酸25mlを加えた後,水で標線まで薄める(9)。
3) この溶液を表3の分取量に従って100mlの全量フラスコに分取し,表3に従って塩酸を加えた後,
塩化ストロンチウム溶液 [7.2 f)] 4mlを加え,水で標線まで薄める。
表3 分取量及び塩酸添加量
試料中のマンガン含有率
分取量
塩酸添加量
% (m/m)
ml
ml
0.1以上 0.8未満
50.0
3
0.4以上 4.0以下
10.0
5
注(7) 完全に分解しないときは,塩酸1mlを追加する。
(8) 乾固しないように注意する。
(9) 加水分解生成物が認められた場合には,乾いたろ紙を用いてろ過するか又は遠心分離によって
除去する。
7.4.2
吸光度の測定 7.4.1のa)5)又はb)3)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光
光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長279.5nmにおける吸光度を測定する。
7.5 空試験 試薬だけを用いて,7.4.1及び7.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う(10)。
注(10) 7.4.1 b)3)で試料溶液を分取する場合には,空試験溶液も試料溶液と同量分取する。
7.6
検量線の作成 数個の100mlの全量フラスコに,標準マンガン溶液 [7.2 g)] 0〜20.0ml(マンガンと
して0〜1 000μg)を段階的に取り,塩化ストロンチウム溶液 [7.2 f)] 4ml及び塩酸5mlを加え,水で標線
まで薄める。各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム
中に噴霧し,波長279.5nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とマンガン量との関係線
を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
7.7
計算 計算は,次のいずれかによる。
a) 試料溶液の調製を7.4.1 a)によって行った場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と7.6で作成した検量線と
からマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。
100
2
1
×
−
=
m
A
A
Mn
ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)]
A1: 試料溶液中のマンガン検出量 (g)
A2: 空試験液中のマンガン検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
8
H 1274 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 試料溶液の調製を7.4.1 b)によって行った場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と7.6で作成した検量線と
からマンガン量を求め,試料中のマンガン含有率を次の式によって算出する。
100
500
4
3
×
×
−
=
B
m
A
A
Mn
ここに, Mn: 試料中のマンガン含有率 [% (m/m)]
A3: 分取した試料溶液中のマンガン検出量 (g)
A4: 分取した空試験液中のマンガン検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
ニッケル及びニッケル合金分析方法工業標準原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
神 尾 彰 彦
東京工業大学工学部
後 藤 敬 一
通商産業省基礎産業局非鉄金属課
◎ 天 野 徹
工業技術院標準部材料規格課
村 田 祐 滋
東京都立工業技術センター金属部
竹 内 孝 夫
科学技術庁金属材料技術研究所
◎ 橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
太 田 裕 二
社団法人日本銅センター技術部
大 屋 武 夫
ステンレス協会
佐 藤 秀 樹
社団法人日本電子材料工業会技術部
稲 垣 勝 彦
日本鉱業協会技術部
赤 峰 淳 一
社団法人日本電機工業会技術部
篠 原 脩
社団法人日本ガス石油機器工業会技術部
山 添 哲 郎
通信機械工業会技術部
村 岡 良 三
社団法人日本自動車部品工業会技術部
山 下 満 男
富士電機株式会社生産技術研究所
安 井 毅
株式会社東芝材料部品事業部開発技術部
◎ 田 中 尚 生
三菱マテリアル株式会社桶川製作所
恒 原 正 明
古河電気工業株式会社金属事業本部
菅 沼 輝 夫
日鉱金属株式会社倉見工場技術部
大 関 哲 雄
大木伸銅工業株式会社技術部
中 島 安 啓
株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部
田部井 和 彦
三菱マテリアル株式会社桶川製作所技術管理室
岡 村 明 人
三菱伸銅株式会社若松製作所品質保証部
○ 町 田 克 巳
住友金属鉱山株式会社中央研究所
○ 山 下 務
株式会社東芝材料部品事業部品質保証部
○ 山 本 寿 美
古河電気工業株式会社横浜研究所
○ 中 村 靖
株式会社ジャパンエナジー分析センター
○ 豊 嶋 雅 康
住友軽金属工業株式会社研究開発センター
(事務局)
○ 藤 沢 裕
日本伸銅協会技術部
(関係者)
久留須 一 彦
古河電気工業株式会社横浜研究所
天 川 義 勝
株式会社ジャパンエナジー分析センター
和 田 隆 光
財団法人日本規格協会
相 馬 南海雄
日本伸銅協会総務部
備考1.
◎印を付けてある委員は,分科会委員を兼ねる。
2.
○印を付けてある委員は,分科会委員だけである。