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H 1073 : 2001 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本伸銅協会 (JBMA) /財団法人日本規格

協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について責任をもたない。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1073 : 2001 

銅合金中のチタン定量方法 

Methods for determination of titanium in copper alloys 

序文 この規格は,銅合金中のチタン定量方法について,対応国際規格のない二つの方法を日本工業規格

として規定している。 

1. 適用範囲 この規格は,銅チタン二元合金中のチタン定量方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

るこれらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 1012 銅及び銅合金の分析方法通則 

3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1012の規定による。 

4. 定量方法の区分 チタンの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 過酸化水素吸光光度法 この方法は,チタン含有率0.02% (m/m) 以上6.0% (m/m) 以下の試料に適用

する。 

b) ICP発光分光法 この方法は,チタン含有率0.01% (m/m) 以上6.0% (m/m) 以下の試料に適用する。 

5. 過酸化水素吸光光度法 

5.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,硫酸を加え,加熱して白煙を発生させる。放冷した後,

硝酸及び過酸化水素を加えて呈色させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 (1+1) 

b) 硫酸 (1+1) 

c) 混酸(塩酸2,硝酸1,水2) 使用の都度,調製する。 

d) 過酸化水素 (1+9) 

e) 標準チタン溶液 (250μgTi/ml)  チタン[99.5% (m/m) 以上]1.000gをはかり取り,ビーカー (500ml) に

移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 200mlを加え,穏やかに加熱して分解した後,硝酸 (1+1) 2ml

を加え,加熱して溶液の紫色を消失させる。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁

を水で洗って時計皿を取り除き,塩酸200mlを加え,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移

し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1 000μgTi/ml) とする。使用の都度,この原液25.0mlを100mlの

全量フラスコに取り,塩酸10mlを加えた後,水で標線まで薄めて標準チタン溶液とする。 

5.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.50gとする。 

H 1073 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.4 

操作 

5.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,混酸 [5.2 c)] を30ml加え,穏

やかに加熱して分解する。 

b) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く(1)。溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

c) この溶液10.0mlをビーカー (200ml) を分取する。 

d) 硫酸 (1+1) 10mlを加え,加熱して硫酸の白煙を発生させる。放冷した後,硝酸 (1+1) 5ml及び水10ml

を加え,加熱して塩類を溶解する。 

注(1) けい酸などの沈殿が認められた場合には,溶液をろ紙(5種A)でろ過した後,ろ紙と沈殿とを

水で洗浄し,ろ液と洗液を合わせる。沈殿は捨てる。 

5.4.2 

呈色 5.4.1 d)で得た溶液を常温まで冷却した後,水を用いて50mlの全量フラスコに移し入れる。

過酸化水素 (1+9) 1mlを加え,水で標線まで薄める。 

5.4.3 

吸光度の測定 5.4.2で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として波

長440nm付近の吸光度を測定する。 

5.5 

空試験 5.6の検量線作成操作において得られる標準チタン溶液を添加しない溶液の吸光度を,空試

験の吸光度とする。 

5.6 

検量線の作成 標準チタン溶液 [5.2 e)] 0〜12.0ml(チタンとして0〜3 000μg)を段階的に数個のビ

ーカー (200ml) に取り,以下,5.4.1 d)及び5.4.2の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行い,

得た吸光度とチタン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように,平行移動して検量線とする。 

5.7 

計算 5.4.3及び5.5で得た吸光度と5.6で作成した検量線とからチタン量を求め,試料中のチタン含

有率を,次の式によって算出する。 

100

100

10

2

1

×

×

=

m

A

A

Ti

ここに, Ti: 試料中のチタン含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 分取した試料溶液中のチタン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のチタン検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

6. ICP発光分光法 

6.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,溶液をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧

し,その発光強度を測定する。 

6.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 (1+9) 

b) 混酸(塩酸2,硝酸1,水2) 使用の都度,調製する。 

c) 銅99.96% (m/m) 以上でチタンを含有しないもの又はチタン含有率が低く既知のもの。 

d) 標準チタン溶液 (100μgTi/ml)  5.2 e)の原液10.0mlを使用の都度,100mlの全量フラスコに取り,塩

酸10mlを加えた後,水で標線まで薄めて標準チタン溶液とする。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.50gとする。 

H 1073 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4 

操作 

6.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (200ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,混酸 [6.2 b)] 30mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿

の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く(1)。 

c) 溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(2)。 

d) この溶液10.0mlを100mlの全量フラスコに分取し,塩酸 (1+9) で標線まで薄める。 

注(2) 試料中のチタン含有率が0.01% (m/m) 以上0.5% (m/m) 未満の場合には,次のd)の操作は行わな

い。 

6.4.2 

発光強度の測定 6.4.1 c)又はd)で得た溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴

霧し,波長337.280nm又は336.121nmにおける発光強度を測定する(3)。 

注(3) 精度及び真度を確認してあれば,高次のスペクトル線を用いてもよく,バックグラウンド補正

機構が付いている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。 

6.5 

空試験 空試験は,次のいずれかによる。 

a) 6.4.1 d)の操作を行わない場合 6.6 a)の検量線作成操作において得られる標準チタン溶液を添加しな

い溶液の発光強度を,空試験の発光強度とする。 

b) 6.4.1 d)の操作を行う場合 6.6 b)の検量線作成操作において得られる標準チタン溶液を添加しない溶

液の発光強度を,空試験の発光強度とする。 

6.6 

検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 6.4.1 d)の操作を行わない場合 

1) 銅 [6.2 c)] を6.4.1ではかり取った試料中に含まれる量と10mgのけたまで等しくなるように数個は

かり取り,それぞれビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 6.4.1 b)の操作を行った後,標準チタン溶液 [6.2 d)] 0〜25.0ml(チタンとして0〜2 500μg)を段階的

に加える溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

3) 溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長337.280nm又は336.121nm

における発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度とチタン量との関係線を作成し,その関

係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

b) 6.4.1 d)の操作を行う場合 

1) 銅 [6.2 c)] を6.4.1ではかり取った試料中に含まれる量と10mgのけたまで等しくなるようにはかり

取り,ビーカー (200ml) に移し入れる。 

2) 6.4.1 b)及びc)の手順に従って操作した後,この溶液10.0mlを数個の100mlの全量フラスコに分取し,

標準チタン溶液 [6.2 d)] 0〜30.0ml(チタンとして0〜3 000μg)を段階的に加え,塩酸 (1+9) で標

線まで薄める。 

3) 溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長337.280nm又は336.121nm

における発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度とチタン量との関係線を作成し,その関

係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

6.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

a) 6.4.1 d)の操作を行わなかった場合 6.4.2及び6.5 a)で得た発光強度と6.6 a)で作成した検量線とから

チタン量を求め,試料中のチタン含有率を,次の式によって算出する。 

H 1073 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

)

(

3

2

1

×

=

m

A

A

A

Ti

ここに, Ti: 試料中のチタン含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のチタン検出量 (g) 

A2: 空試験液中のチタン検出量 (g) 

A3: 6.6 a)1)ではかり取った銅 [6.2 c)] 中に含まれるチタン量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

b) 6.4.1 d)の操作を行った場合 6.4.2及び6.5 b)で得た発光強度と6.6 b)で作成した検量線とからチタン

量を求め,試料中のチタン含有率を,次の式によって算出する。 

100

100

10

100

10

3

2

1

×

×

×

=

m

A

A

A

Ti

ここに, Ti: 試料中のチタン含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 分取した試料溶液中のチタン検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のチタン検出量 (g) 

A3: 6.6 b)1)ではかり取った銅 [6.2 c)] 中に含まれるチタン量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

H 1073 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

伸銅品分析JIS原案作成本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 佐 山 恭 正 

日本新金属株式会社技術開発部 

小 熊 幸 一 

千葉大学工学部 

藤 沼   弘 

東洋大学工学部 

大河内 春 乃 

東京理科大学理学部 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会技術部 

俣 野 宣 久 

川崎製線株式会社 

宮 田 恵 守 

NTT東日本株式会社技術協力センター 

佐 藤 秀 樹 

日本電子材料工業会 

矢 岡   隆 

日本鉱業協会投術部兼環境保安部 

元 芳 照 夫 

富士通分析ラボ株式会社 

○ 束 原   巌 

株式会社第一原子力グループ放射線研究所 

○ 田 口 克 徳 

株式会社コベルコ科研関門事業所 

○ 関 根 孝 雄 

三菱マテリアル株式会社総合研究所 

○ 小 林 秀 章 

日本青銅株式会社技術部 

○ 豊 嶋 雅 康 

住友軽金属工業株式会社研究開発センター 

○ 久留須 一 彦 

古河電気工業株式会社横浜研究所 

○ 小 松 孝 之 

日鉱金属株式会社技術開発センター 

○ 宮 地   孝 

日立電線株式会社土浦工場 

○ 藤 沢   裕 

日本伸銅協会技術部 

備考 ○印を付してある者は,分科会委員も兼ねる。