サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1064-1992 

銅中のテルル定量方法 

Method for determination of tellurium in copper 

1. 適用範囲 この規格は,銅(伸銅品及び形銅)中のテルル定量方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 1012 銅及び銅合金の分析方法通則 

2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1012による。 

3. 定量方法 テルルの定量方法は,臭化物・メチルトリオクチルアンモニウムブロミド抽出原子吸光法

による。この方法は,テルル含有率0.000 02wt%以上0.001wt%以下の試料に適用する。 

4. 臭化物・メチルトリオクチルアンモニウムブロミド抽出原子吸光法 

4.1 

要旨 試料を硝酸と硫酸とで分解し,硫酸の白煙を発生させて硝酸を除去した後,臭化水素酸を加

えて生成するテルルの臭化物錯体をメチルトリオクチルアンモニウムブロミドを含む酢酸ブチルで抽出し,

原子吸光光度計を用いて吸光度を測定する。 

4.2 

試薬 試薬は,次による。 

(1) 硝酸 (1+1) 

(2) 臭化水素酸 (3+2) 

(3) 硫酸 (1+1) 

(4) 洗浄液 水550ml,臭化水素酸120ml及び硫酸 (1+1) 330mlを混合する。 

(5) 硫酸ナトリウム(無水) 

(6) 抽出溶媒 メチルトリオクチルアンモニウムクロリド10mlを酢酸ブチルで希釈して200mlとする。

この溶液を分液漏斗 (500ml) に移し入れ,臭化水素酸 (1+2) 200mlを加え,5分間激しく振り混ぜた

後,水相を取り除く。再び,臭化水素酸 (1+2) 200mlを加えて,5分間激しく振り混ぜた後,水相を

取り除き,有機相を抽出溶媒とする。 

(7) 酢酸ブチル 

(8) 標準テルル溶液 (5μgTe/ml)  テルル(99.9wt%以上)0.500gをはかり取ってビーカー (200ml) に移し

入れ,時計皿で覆い,硝酸10mlを加え,穏やかに加熱して分解した後,時計皿の下面及びビーカー

の内壁を水で洗浄して時計皿を取り除き,硫酸 (1+1) 40mlを加え,加熱して硫酸の白煙を発生させ

る。放冷した後,水を加えて塩類を溶解する。常温まで冷却した後,500mlの全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgTe/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水

で正しく200倍に薄めて標準テルル溶液とする。 

4.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表1による。 

background image

H 1064-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 試料はかり取り量 

テルル含有率 

wt% 

試料はかり取り量 

0.000 02 以上 0.000 5 未満 

5.0 

0.000 5 以上 

0.001 以下 

3.0 

4.4 

操作 

4.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

(1) 試料をはかり取って,ビーカー (200ml) に移し入れる。 

(2) 時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 35mlと硫酸 (1+1) 50mlを加え,穏やかに加熱して分解する。時計皿の下

面及びビーカーの内壁を水で洗浄して時計皿を取り除き,加熱を続けて硫酸の白煙を発生させる。放

冷した後,ビーカーの内壁を少量の水で洗浄し,加熱して硫酸の白煙を発生させる。 

(3) 放冷した後,水100mlを加え,穏やかに加熱して塩類を溶解する。 

4.4.2 

テルルの抽出 テルルの抽出は,次の手順によって行う。 

(1) 4.4.1(3)で得た溶液を分液漏斗 (200ml) に少量の水を用いて移し入れ,臭化水素酸 (3+2) を正しく

30ml加え,放冷した後,水で液量を150mlとする。 

(2) 抽出溶媒 [4.2(6)] を正しく10ml加え,約5分間激しく振り混ぜる。静置して2相に分離した後,水

相を除去する。洗浄液 [4.2(4)] 50mlを加え,約30秒間激しく振り混ぜ,静置して2相に分離した後,

水相を除去する。 

(3) 有機相を乾いたろ紙又は脱脂綿を通して,共栓付試験管 (15〜20ml) に移し入れ,酢酸ブチルを加え

て液量を正しく10mlとする(1)。 

注(1) 乾いたろ紙又は脱脂綿による脱水が不十分で,吸光度測定時のベースラインが不安定なときに

は,硫酸ナトリウム(無水)約1gを加えて脱水する。 

4.4.3 

吸光度の測定 4.4.2(3)で得た有機相の一部を,酢酸ブチルを用いてゼロ点を調整した原子吸光光

度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長214.3nmにおける吸光度を測定する。 

4.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

4.6 

検量線の作成 標準テルル溶液 [4.2(8)] 0〜6.0ml(テルルとして0〜30μg)を,あらかじめ水100ml

を入れた数個の分液漏斗 (200ml) に段階的に加え,それぞれに硫酸 (1+1) 10ml及び臭化水素酸 (3+2) を

正しく30ml加え,水でそれぞれの液量を150mlとする。以下,4.4.2(2)〜4.4.3の手順に従って試料と並行

して操作し,得た吸光度とテルル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検

量線とする。 

4.7 

計算 4.4.3で得た吸光度から4.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と4.6で作成した検量線

とからテルル量を求め,試料中のテルル含有率を次の式によって算出する。 

テルル

100

%)

(

×

=mA

wt

ここに, A: 試料溶液中のテルル検出量 (g) 
 

m: 試料はかり取り量 (g) 

H 1064-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

工業標準原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

古 矢 元 祐 

清峰金属工業株式会社 

村 上 徹 郎 

工学院大学 

藤 沼   弘 

東洋大学 

光 川   寛 

通商産業省基礎産業局 

池 田   要 

工業技術院標準部 

俣 野 宣 久 

川崎製線株式会社 

大河内 春 乃 

科学技術庁金属材料技術研究所 

高 沢 寿 桂 

日本電信電話株式会社 

山 下 正 博 

アンリツ株式会社 

渡 部 武 雄 

日本鉱業協会 

矢 野   毅 

NGKメテックス株式会社 

松 本   悌 

日本電子材料工業会 

中 島 邦 夫 

中越合金鋳工株式会社 

山 本 繁 登 

株式会社コベルコ科研 

小 室 秀 夫 

三菱金属株式会社中央研究所 

西 尾 正 浩 

住友軽金属工業株式会社技術研究所 

井 上 省 二 

三宝伸銅工業株式会社 

束 原   巌 

古河電気工業株式会社横浜研究所 

西 島 信 一 

日本鉱業株式会社 

相 馬 南海雄 

日本伸銅協会 

(関係者) 

津 金 秀 幸 

工業技術院標準部材料規格課