2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 0610-1966
ゲルマニウムのエッチピット測定方法
Method of Measurement of Etch Pit Density of Germanium Crystal
1. 適用範囲 この規格は,ゲルマニウム単結晶の(111)面上のエッチピット密度を測定する場合について
規定する。測定しうるエッチピット密度は,1cm2あたり0〜100000個の範囲とする(1)。
注(1) 抵抗率範囲および伝導形は制限しない。
2. 試料 試料は,直径約15〜30mmまたはこれと等しい断面積をもつ単結晶から切りだしたもので,つ
ぎの規定に適合するものとする。
(1) 表面は(111)面に対し,3°以内の精度をもち,厚さ1〜3mmのウェーハ状であること。
(2) 測定面には肉眼で明りょうにわかるきず,よごれなどがないこと(2)。
注(2) 測定面にこのようなきずが見られる場合は,粒度30μ以下の研摩材で研摩する。また,よごれを
除くために,有機溶剤または洗剤で脱脂し,清浄な水で洗浄する必要がある。
3. エッチング
3.1
エッチング環境 試料のエッチング時の周囲温度は,原則として23℃±3degとする。
3.2
エッチング液 エッチング液は,つぎのとおりとする。
(1) エッチング液は,つぎの組成で混合し調製する。
ふっ化水素酸
1容
硝酸
4容
この溶液は,混合精度が±2%以内で調製する(3)。
注(3) 混合後直ちに使用してよく,また密せんしたポリエチレン容器内に室温で少なくとも1箇月の保
存が可能である。
(2) 各薬品は,日本工業規格に規定された試薬1級以上の純度を要し,つぎの濃度のものを使用する。
ふっ化水素酸
49±0.5%
硝酸
70±1%
3.3
エッチング容器 エッチング容器は,つぎのとおりとする。
(1) 容器は,ポリエチレンまたはふっ素樹脂製ビーカーとする。
(2) 容器の大きさは,エッチング液面と試料表面の距離が3mm以上になるようなものであること。
3.4
エッチング手順 エッチング手順は,つぎのとおりとする。
(1) 1〜6枚の試料を,測定面を上にして重なり合わないように容器の底にならべる。
(2) 25℃±1degのエッチング液を,1枚の試料あたり約10mlを加えてエッチングを開始する。
(3) 容器をときどき静かにゆり動かしてかくはんし,エッチングを進行させる(4)。
注(4) エッチングの進行とともに液温は上昇するが,冷却は行なわない。
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(4) 約6分経過後(5)すなわち最大反応速度時を経過し,急速に反応の弱まった時を選んで,大量の清浄な
水を急激に容器内に注入して,エッチングを停止する。
注(5) 抵抗率が著しく低い場合は,多少エッチング時間を延長する。
(5) 試料をじゅうぶんに水洗したのち乾燥する。
4. エッチピットの計数
4.1
計数装置 エッチピット計数のための拡大装置は,40〜200倍の金属顕微鏡(6)または反射投影器とす
る。
注(6) あらかじめ倍率精度を確認しておく。
4.2
計数視野 計数視野とは,試料面上の計数する面積の範囲で,つぎの大きさの正方形またはこれに
相当する面積の円形とする。
(1) エッチピット密度10000個/cm2未満の場合は1×1mm以上。
(2) エッチピット密度10000個/cm2以上50000個/cm2未満の場合は0.6×0.6mm以上。
(3) エッチピット密度50000個/cm2以上100000個/cm2以下の場合は0.4×0.4mm以上。
4.3
計数位置 計数位置は,つぎのとおりとする。
(1) 引上結晶のエッチピット計数位置は,試料面上の中心を通る任意の直交2方向の直径上において,つ
ぎの9箇所とする(図1参照)。
(a) 中心1点
(b) 周辺から2mmの位置4点
(c) (a)と(b)の中間の位置4点
(2) ゾーンレベリング結晶のエッチピット計数位置は,試料面上のつぎの9箇所とする(図2参照)。
(a) 左右対称2等分線を6等分した中心を含む位置5点。
(b) 左右対称2等分線と中心で直交する線上を6等分し,中心を除いた左右の位置4点。
図1 引上結晶 図2 ゾーンレベリング結晶
4.4
エッチピット形状 計数すべきエッチピットの形状は,輪郭が円形に近い形状をもち,かつ,底部
に点状の頂点をもった円すい状とする(7)(写真1参照)。
注(7) 2個以上のエッチピットが重なり合った場合は,1個の頂点を1個のエッチピットとみなす。
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写真1
4.5
計数 エッチピットの計数は,それぞれの計数位置で,計数視野の中心を測定位置に合わせて,計
数視野内に頂点をもったエッチピット数を数える。
5. エッチピット密度の算出 各計数位置におけるエッチピット数を1cm2あたりに換算して,その位置の
エッチピット密度とし,それらの算術平均値を試料のエッチピット密度とする。それぞれの値は,上位3
けた目をJIS Z 8401(数値の丸め方)によって丸める。
6. エッチピット密度の表示 試料のエッチピット密度(個/cm2)および9箇所の計数位置における最
大と最小のエッチピット密度(個/cm2)を列記する。
非鉄金属部会 ゲルマニウム試験方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
塚 本 哲 男
ソニー株式会社厚木工場
長 船 広 衛
日本電気株式会社電子部品事業部
平 田 清
三井金属鉱業株式会社
長谷川 成 雄
東京電子金属株式会社
水 間 基一郎
日本電子金属株式会社小金井工場
黒 田 和 夫
社団法人新金属協会
大 森 茂 生
株式会社東京電子冶金研究所
加 藤 宏
東京芝浦電気株式会社半導体技術部
伝 田 精 一
電気試験所電子部品部
池 神 一 司
日本電信電話公社電気通信研究所
田 内 省 二
株式会社日立製作所中央研究所
近 藤 融
松下電子工業株式会社半導体事業部
木 下 亨
工業技術院標準部材料規格課
(事務局)
吉 枝 正 明
工業技術院標準部材料規格課