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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 0603-1978 

ゲルマニウムの光導電減衰法に 

よるライフタイム測定方法 

Measurement of Minority Carrier Life Time in 

Germanium by Photoconductive Decay Method 

1. 適用範囲 この規格は,ゲルマニウム単結晶中の少数キャリアのライフタイム(以下,ライフタイム

という。)を光導電減衰法により測定する方法について規定したもので,測定しようとする単結晶は均質な

組成をもち,そのライフタイムの値は,5〜1000μsの範囲のものとする。 

2. 供試単結晶 

2.1 

単結晶は角柱で,その大きさは測定されるライフタイムの値に対して,十分大きくなければならな

い。 

試料の最小寸法と測定できるライフタイムの最大値との関係を表1及び表2に示す。 

表1 供試単結晶の大きさ 

単位 cm 

種類 

長さ 

断面 

1.5 

0.25×0.25 

II 

2.5 

0.5 ×0.5 

III 

2.5 

1.0 ×1.0 

表2 測定可能な最大ライフタイム(理論値) 

単位 μs 

種類 

導電型 

II 

III 

P形 

32 

125 

460 

N形 

64 

250 

950 

2.2 

供試単結晶の表面は,研摩仕上げとする。 

2.3 

供試単結晶の両端にははんだ付け又はめっきその他適当な方法で非整流性のリード線を取り付ける

が,この際試料の温度は300℃以下で処理する。 

3. 測定環境 測定装置は,十分に電磁しゃへいされ,温度は約25℃,相対湿度は60%以下に保つ。 

4. 測定装置 測定装置は,図1に示すように,光パルス発生装置,光学系,試料への電流供給回路,ト

リガー掃引式オシロスコープにより構成される。 

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H 0603-1978  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 

これらの各装置は,次に示す性能のものを用いる。 

4.1 

光パルス発生装置 光源としてはキセノン放電管又は火花放電などを使用し,光パルスの半値幅は,

試料のライフタイムに比べて十分に小さいものを用い,繰返しは30Hz以下とする。 

4.2 

光学系 レンズ又はおう面鏡からなる集光系と,抵抗率10Ω・cm以上,厚さ1mm以上の単結晶ゲル

マニウムフィルタで構成する。 

4.3 

電流供給回路 試料に定電流を供給するため,試料の抵抗に比べて十分に内部抵抗の高い電源を用

い,供給電流は変えられるようにする。 

4.4 

トリガー掃引式オシロスコープ 10Hz〜1MHzの周波数範囲の増幅度が一様で,垂直偏向感度は

5mV/div以上あるものとし,感度が不足のときは前置増幅器を併用する。 

5. 測定方法 試料に光パルスを当てたときに起こる試料両端間の電圧変化をオシロスコープで観測し,

図2のようにその信号電圧がl1(=0.367)に減衰する時間τ*を読み取って,ライフタイムを決定する。 

図2 

この測定にあたり,次の事項に注意する。 

(1) 電流方向を切り換えて測定し,試料と電極部とに整流性のないことを確認する。 

(2) 光は電極部を除き試料に一様に当てる。 

(3) 減衰曲線が指数関数的に減少することを確認する。ただし,減衰曲線が異常な場合は,次の処理を行

う。 

減衰の初期に急な傾斜が見られる場合は,減衰曲線の後部を用いて測定するか,又は更に厚いゲル

マニウムフィルタを用いて測定する。 

H 0603-1978  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 試料端の電圧をV0, 信号電圧を∆Vとしたときに,光の照度を加減し,

0

V

V

⊿=0.02以下でτ*を測定する。 

(5) ライフタイムを算出するには電界強度と表面効果との補正を必要に応じて行う。 

(6) 試料に加える電界強度Eが

*

10μτ

A以下のときは,τ*をτとして採用し,電界強度がこの値より大きい場合

には,次の補正式を適用する。 

A

E

μ

τ

τ

=

*

1

1

ただし,τ (s) はライフタイムの補正値,A (cm) は試料の長さ,E (V/cm) は電界強度,μ (cm2/V・s) は

移動度で,μp=1800, μn=3800を用いる。ただしμpは正孔移動度,μnは電子移動度とする。 

(7) 細い角柱を試料に用いる場合は,表面効果の補正に,次の式を用いる。 

+

+

=

2

2

2

2

1

1

1

*

1

1

C

B

A

D

π

τ

τ

ただし,τ (s) はライフタイムの補正値,A (cm) 試料の長さ,B (cm) 及びC (cm) は,それぞれ試料

の断面の各辺の長さ,D(cm2/s)は少数キャリアの拡散係数で,正孔及び電子に対しそれぞれDp=44,

Dn=93を用いる。 

(8) 電流の極性を切り換え,試料の照射面もかえて測定し,測定値間に大きな相違がないことを確かめる。 

非鉄金属部会 ゲルマニウム試験方法専門委員会 構成表(昭和40年8月1日制定のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

長 船 広 衛 

日本電気株式会社電子部品事業部半導体工場 

平 田   清 

三井金属鉱業株式会社 

長谷川 成 雄 

東京電子金属株式会社 

小 木 朴 郎 

日本電子金属株式会社小金井工場 

塚 本 哲 男 

ソニー株式会社厚木工場 

黒 田 和 夫 

新金属協会 

大 森 茂 生 

株式会社東京電子冶金研究所 

加 藤   宏 

東京芝浦電気株式会社 

館 野   博 

電気試験所電子部品部 

池 神 一 司 

電気通信研究所 

田 内 省 二 

株式会社日立製作所中央研究所 

米 山   武 

フジ電子産業株式会社 

近 藤   融 

松下電子工業株式会社半導体事業部 

木 下   亨 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

広 瀬 幾 男 

工業技術院標準部材料規格裸 

西 沢 和 夫 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

武 笠 二 郎 

工業技術院標準部電気規格裸(昭和53年3月1日改正のとき) 

神 長 直 之 

工業技術院標準部電気規格課(昭和53年3月1日改正のとき)