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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 燃焼試験························································································································· 1
4.1 試料 ···························································································································· 1
4.2 試験環境 ······················································································································ 2
4.3 試験装置 ······················································································································ 2
4.4 試験手順 ······················································································································ 3
5 試験結果の分類 ················································································································ 5
6 試験報告書 ······················································································································ 5
7 安全管理························································································································· 5
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
H 0544:2017
マグネシウム合金の燃焼試験方法
Magnesium alloys-Flammability test method
1
適用範囲
この規格は,マグネシウム合金を用いた鋳造材,展伸材などの燃焼試験方法について規定する。
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引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1602 熱電対
JIS H 4201 マグネシウム合金板及び条
JIS H 4202 マグネシウム合金継目無管
JIS H 4203 マグネシウム合金棒
JIS H 4204 マグネシウム合金押出形材
JIS H 4205 マグネシウム合金鍛造品
JIS H 5203 マグネシウム合金鋳物
JIS H 5303 マグネシウム合金ダイカスト
JIS K 2240 液化石油ガス(LPガス)
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
燃焼
規定された試験条件で,3秒以上連続して炎が確認される状態。
3.2
発火
規定された試験条件で,燃焼状態になる最初に炎が確認される現象。
4
燃焼試験
4.1
試料
試験に用いる試料は,次による。
a) 試料の種類は,JIS H 4201〜JIS H 4205,JIS H 5203又はJIS H 5303に規定する種類とする。規定の
ない種類を用いる場合は,用いる試料の化学成分及び製造方法を明記する。
b) 試料の形状は,表面が平滑である平板状に加工し,寸法は厚さ3.0 mm±0.3 mm,幅40 mm±5.0 mm,
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長さ500 mm±5.0 mmとする。ただし,試料の長さが採取できない場合は,受渡当事者間の協定又は
試験実施者の選定によって長さ150 mm以上で実施する。また,製品から試料を採取する場合の形状
は,受渡当事者間の協定又は試験実施者の選定による。
c) 試料は,水分の付着がないように保管したもので,ばり,著しい汚れ,きず,割れ及び実用上有害な
欠陥があってはならない。また,試料を切削加工等で作成する場合は,試料の表面状態が試験結果に
影響を及ぼす可能性があるため,凹凸がないよう平滑に加工することが望ましい。
4.2
試験環境
試験は,風のない場所で行う。
4.3
試験装置
試験装置は,次による。
a) 試験装置は,試料支持装置,燃焼装置,熱電対及び乾燥させた砂を敷いた受皿を備えていなければな
らない。
b) 試料支持装置は,高温において寸法変化が少なく,かつ,化学的にも安定な材料を用いる。
c) 燃焼装置は,ガスバーナー,スタンド及びボンベで構成する。ガスバーナーの燃料はJIS K 2240に規
定するLPガスの1種1号又は2号とし,火炎温度を設定できなければならない。燃料の供給圧力は,
ボンベ出口圧力は0.3 MPa±0.05 MPaで一定とする。ガスバーナーのノズル径は直径約60 mmとし,
形式はLPガス用のハンドトーチバーナーであることが望ましい。ガスバーナーは,火口から試料表
面までの距離が100 mm±5.0 mmとなるよう設置し,試料表面に酸化炎が当たるようにする。また,
ガスバーナー及び試料の中心部の高さは床面から300〜500 mmとする。
d) 試験装置の概略図を図1に示す。試験床面は,溶落物からの熱拡散の抑制及び飛散防止のため,乾燥
させた砂を敷いた受皿を設置する。
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単位 mm
1 試料支持装置(試料が短いときは支持部にクランプなどを用いる。)
2 ガスバーナー
3 スタンド
4 ボンベ
5 受皿(中に乾燥させた砂を敷く。)
6 試料
図1−試験装置概略図
4.4
試験手順
試験手順は,次による。
a) 試料は同一の供試材から3個用意し,各試料に識別のための試料番号を付け,試験前の質量を,化学
はかりを用いて小数点以下第1位の桁まで測定する。
b) ガスバーナーの火炎温度は,1 050 ℃±50 ℃とし,試料の設置前に温度を測定する。
火炎温度の測定は,試料前面側の位置とし,火炎の中央及び左右の3か所を測定できるように熱電
対を設置し,測定する。熱電対は,JIS C 1602のKの熱電対を用いる。熱電対の設置概略図を図2に
示す。
c) 試料の試験面がガスバーナーノズルと直角になるように試料を設置し,火炎を試料に当てる。
d) ガスバーナーで,試料を連続して100秒間加熱する。
e) 発火した時間及び燃焼の継続時間を記録する。発火及び燃焼の判定は,目視で行う。また,試料の溶
け落ちがある場合は,溶落物の燃焼状況を記録する。加熱終了後,試料が燃焼している場合は,鎮火
までの時間を測定する。
f)
試料支持装置に残った試料及び溶落物を合わせた質量を,化学はかりを用いて小数点以下第1位の桁
まで測定する。測定した質量から,質量損失率を求める。質量損失率は,式(1)によって算出し,小数
点以下第2位の桁まで求め,四捨五入する。
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100
×
−
=
M
m
M
R
········································································ (1)
ここに,
R: 質量損失率(%)
m: 試験後に残った試料及び溶落物の固まったものを合わせ
た質量(g)
M: 試験前の試料の質量(g)
g) c)〜f) を3回繰り返す。試験結果の記載例を表1に示す。
h) 試験状況は,目視によって確認し,録画装置で記録するのが望ましい。
単位 mm
1 熱電対
2 熱電対固定用の板及びテープ(一例)
図2−熱電対設置概略図
表1−燃焼試験結果の記載例
試料
番号
試料の
発火
試料の
発火時間
s
試料の
燃焼時間
s
加熱終了後
の燃焼時間
s
溶落物
の燃焼
溶落物の
燃焼時間
s
試験前
質量
g
試験後
質量a)
g
質量
損失率
%
1-1
なし
−
−
なし
なし
−
110.0
110.0
0.0
1-2
あり
60
10
なし
なし
−
110.0
108.0
1.8
1-3
あり
55
40
なし
なし
−
111.0
107.0
3.6
2-1
あり
50
30
なし
あり
8
108.0
108.0
0.0
2-2
あり
45
59
4
なし
−
108.0
105.0
2.8
2-3
あり
60
43
3
あり
5
109.0
100.0
8.3
3-1
あり
50
60
10
あり
5
107.0
102.0
4.7
3-2
あり
45
58
3
あり
15
107.0
100.0
6.5
3-3
あり
60
45
5
あり
10
108.0
99.0
8.3
4-1
あり
25
40
なし
なし
なし
110.0
100.0
9.1
4-2
あり
55
38
なし
あり
7
110.0
98.0
10.9
4-3
あり
30
80
10
あり
10
110.0
98.0
10.9
注a) 試験後の質量は,残った試料及び溶落物が固まったものを合わせて測定したもの。
5
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5
試験結果の分類
試験結果の分類は,表2のとおりとする。
表2−試験結果の分類
分類
試料の発火時間
加熱終了後の燃焼時間
溶落物の燃焼時間
質量損失率
1類
30秒を超える
なし
なし
10.0 %未満
2類
30秒を超える
5秒未満
10秒未満
10.0 %未満
3類
30秒を超える
5秒以上
10秒以上
10.0 %未満
4類
試料の発火時間が30秒以下又は質量損失が10 %以上
6
試験報告書
試験報告書が必要な場合,報告する事項には,次の項目を含む。
a) この規格で試験された旨の記述:JIS H 0544
b) 試料の識別に必要な情報(試料の種類,製造方法及び試料番号)
c) 試験した日時,気温及び湿度
d) 試験の結果(3回分全て)
e) 試験結果の分類(3回分全て)
7
安全管理
燃焼試験を行う場合の安全管理については,次の事項に注意する。
a) 燃焼中の試料に,水を散布しない。
b) 燃焼試験時には,乾燥させた砂,金属用消火器具などを準備することが望ましい。
c) ガスバーナーの着火には,安全な着火器具を使用する。
d) 燃焼試験時には,必ず紫外線防止の保護眼鏡を着用する。
e) 燃焼試験は,2名以上の人員で実施する。