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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 0521-1996 

アルミニウム及びアルミニウム合金の 

大気暴露試験方法 

Methods for weathering test of aluminium and aluminium alloys 

1. 適用範囲 この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金素材及び表面処理材の自然環境下での化

学的・物理的性質の経時変化を調査する目的で,試料を屋外に暴露して試験を行う方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語 

JIS H 4001 アルミニウム及びアルミニウム合金の塗装板及び条 

JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜 

JIS H 8602 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜 

JIS H 8681 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法 

JIS K 5400 塗料一般試験方法 

JIS L 0804 変退色用グレースケール 

JIS Z 2201 金属材料引張試験片 

JIS Z 2241 金属材料引張試験方法 

JIS Z 2381 屋外暴露試験方法通則 

JIS Z 8720 測色用の標準の光及び標準光源 

JIS Z 8730 色の表示方法−物体色の色差 

JIS Z 8741 鏡面光沢度測定方法 

JIS Z 9112 蛍光ランプの光源色及び演色性による区分 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 0201による。 

3. 一般事項 試験方法に共通な一般事項は,JIS Z 2381による。 

4. 試験片 

4.1 

試験片の形状・寸法 暴露試験に用いる試験片の形状・寸法は,試験目的に適したものとする。 

4.2 

試験片の仕上げ 試験片は,目的に合った表面状態に仕上げる。 

4.3 

試験片の標識 試験片を識別するために,暴露試験及びその評価に支障のない位置に標識を付ける。 

4.4 

保存用試験片の保管 保存用試験片は,デシケータ中に入れ,冷暗所に保管する。 

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H 0521-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 暴露試験片の前処理 暴露試験片は,暴露試験結果の変動を少なくし,再現性をよくする目的で,必

要に応じて次の処理を行ってから試験に供する。 

(1) 試験片の素地を侵さない溶剤で,脱脂洗浄する。 

(2) 脱脂後,メタノール又はエタノールで十分洗浄し,次に熱風乾燥機などを用いて,できるだけ速く乾

燥してデシケータ中に保存する。この場合,試験片の取扱いは素手で行ってはならない。 

(3) 表面処理材については,JIS K 5400の3.3(試験片の作成)の (2.1.4) (アルミニウム板)による。 

6. 試験片の暴露方法 

6.1 

暴露台の設置 暴露台(図1参照)は,次のとおり設置する。 

(1) 暴露面は正南面とし,水平面からの角度は,30度又は45度とする。 

(2) 地表面は,熱放射の影響がないよう適切な方法で覆う。 

(3) 暴露面下端部から地表面までの高さは,500mm以上とする。 

(4) 暴露台の構成材料は,アルミニウム合金,木材又は適当な防錆処理を施した鋼とする。 

6.2 

試験片の取付け 試験片の取付けは,図2に示すような絶縁物を介したボルト締め又ははめ込みの

いずれかによる。 

図1 直接暴露台の例 

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図2 試験片の取付方法の例 

6.3 

試験片の取扱い 試験片の取扱いは,清浄な手袋を用いて行い,指紋,汚れ,きず,変形など事後

に欠陥の生じる原因をつくらないように注意する。 

7. 暴露期間 暴露期間は,月又は年単位で設定し,暴露期間の表し方及び暴露開始の時期は,JIS Z 2381

の7.2(暴露期間の表し方)及び7.3(暴露開始の時期)による。 

8. 暴露後の評価項目 暴露後の評価は,次のうちの必要な項目について行う。 

(1) 外観の変化 

(2) 質量の変化 

(3) 局部腐食 

(4) 引張強さ及び伸びの変化 

(5) 表面処理皮膜の劣化 

9. 暴露後の評価試験方法 

9.1 

外観の変化の測定 試験片の外観の変化を測定する前に,表面の状態を損なわない程度に水洗し,

風乾した後,必要に応じ腐食状況,色の変化,表面光沢の変化等について測定又はスケッチ,写真などに

よって記録する。 

9.1.1 

腐食状況観察 試験片の腐食の大きさ,数を拡大鏡で測定するか又はJIS H 8681中のレイティン

グナンバ標準図と照合し,対応するレイティングナンバで表す。 

9.1.2 

表面の色の変化の測定 試験片表面の色の変化の測定(1)は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 肉眼による場合 原則として拡散昼光(2)の下で行う。人工照明の下で行う場合の照度は300 lx以上と

し,光源はJIS Z 8720に規定するD65標準光源又はJIS Z 9112に規定する演色AAAランプを用い,

保存用試験片と比較して暴露試験片に表れた色の開きを,JIS L 0804のグレースケールの各色票間で

示される色の開きと比較して調べる。 

(2) 計器による場合 JIS Z 8730のL*a*b*表色系による色差を求める。 

注(1) 暴露試験前と暴露試験後の試験片表面の色の変化の測定は,同じ場所で行うことが望ましい。 

(2) 拡散昼光とは,日の出3時間後から日の入り3時間前までの間の日光の直射を避けた北窓から

の光をいう。 

9.1.3 

表面の光沢の変化の測定 JIS Z 8741によって暴露前後の試験片について60°鏡面光沢度を測定

する(3)。 

また,素材の影響による方向性があるときは,同じ場所について互いに直角の方向から測定し,それぞ

れの値を平均してその場所の鏡面光沢度とする。光沢の変化の程度は,光沢保持率で表し,次の式によっ

て求める。 

100

1

=G

G

G

ここに, 

G: 光沢保持率 (%) 

G1: 暴露試験前の鏡面光沢度 

G2: 暴露試験後の鏡面光沢度 

注(3) 暴露試験前と暴露試験後の試験片表面の光沢の変化の測定は,同じ場所で行うことが望ましい。 

9.2 

質量変化の測定 

9.2.1 

腐食生成物の除去法 イオン交換水又は純水にりん酸[85% (m/m) ,密度1.69g/ml]50mlと三酸

化クロム (VI) 20gを溶かし,1 000mlとする。この溶液を90℃以上に加熱し,5〜10分間浸漬することに

よって腐食生成物を除去する。もし腐食生成物が残存する場合は,更に硝酸[60% (m/m) ,密度1.37g/ml]

に1〜5分間浸漬後水洗乾燥する。 

ただし,化成処理皮膜及び陽極酸化処理皮膜を付けた表面処理材の場合は,15℃以下の硝酸[50% (m/m),

密度1.31g/ml](4)を用いる。これらの適用に際しては,適切に空試験を行い補正する。 

注(4) 硝酸[60% (m/m),密度1.37g/ml]800mlをイオン交換水又は純水で薄めて,1 000mlとする。 

9.2.2 

質量測定 暴露試験前後の試験片の質量は,0.1mgのけた(桁)まで量る。 

9.2.3 

腐食度の表し方 単位面積当たりの腐食減量 (g/m2) 又は腐食度で表し,腐食度は次の式のいずれ

かによって求める。 

t

A

m

corr

×

=⊿

)1(

γ

ここに, 

γcorr (1) : 腐食度 (g/m2・a) 

⊿m: 腐食減量 (g) 

A: 表面積 (m2) 

t: 暴露年数 (a) 

t

A

m

corr

×

×

=

ρ

γ

)2(

ここに, 

γcorr (2) : 腐食度 (μm/a) 

⊿m: 腐食減量 (g) 

A: 表面積 (m2) 

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H 0521-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ρ: 材料の密度 (g/cm3) 

t: 暴露年数 (a) 

9.3 

局部腐食の測定 局部腐食の深さ測定は,光学顕微鏡,デプスゲージ法,レーザー顕微鏡,断面観

察などによって測定する。 

9.4 

引張試験 引張試験は,JIS Z 2241による。この場合,JIS Z 2201による引張試験片によって,引張

強さと伸びを測定し,保存用試験片の値と比較して,引張強さの保持率及び伸びの保持率で表し,それぞ

れ次の式によって求める。 

100

1

=

B

B

T

σ

σ

ここに, 

T: 引張強さの保持率 (%) 

σB1: 保存用試験片の引張強さ (N/mm2) 

σB2: 暴露試験片の引張強さ (N/mm2) 

100

1

=δδ

E

ここに, 

E: 伸びの保持率 (%) 

δ1: 保存用試験片の伸び (%) 

δ2: 暴露試験片の伸び (%) 

9.5 

表面処理皮膜の劣化 表面処理皮膜の劣化は,JIS H 4001,JIS H 8601,JIS H 8602及びJIS K 5400

に規定するそれぞれの表面処理材の評価方法による。 

10. 環境因子の測定 環境因子の測定は,次のとおりとする。 

(1) 試験片の性質及び性能の経時変化に影響する環境因子を,表1によって測定し,記録する。 

(2) 測定は,暴露場で行う。ただし,環境因子の中で測定できない項目については,最も近接した気象官

署の観測資料によってもよい。 

(3) 測定方法は,JIS Z 2381による。 

表1 環境因子の測定項目 

測定項目 

測定単位 

結果の表示 

気温 

日平均値 

℃ 

月及び年ごとの平均値 

日最高値 

日最低値 

相対湿度 

日平均値 

月及び年ごとの平均値 

日最高値 

絶対湿度 

日平均値 

g/m3 

月及び年ごとの平均値 

降水量 

mm 

月累計値及び年総計値 

降水のpH 

− 

月及び年ごとの平均値 

降水中の成分 SO42- 

mg/m3 

Cl- 

mg/m3 

ぬれ時間 

月累計値及び年総計値 

硫黄酸化物量  

2

2

3

100

/

PbO

cm

d

mgSO

月及び年ごとの平均値 

海塩粒子量 

2

100

/

cm

d

mgNaCl

月及び年ごとの平均値 

日射量 

MJ/m2 

月累計値及び年総計値 

H 0521-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

11. 記録 記録は,JIS Z 2381の10.(記録)による。 

関連規格 ISO 9223:1992  Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−Classification 

ISO 9225:1992  Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−Measurement of 

pol-lution 

ISO 9226:1992  Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−Determination of 

corrosion rate of standard specimens for the evaluation of corrosivity 

JIS H 0521 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

高 谷 松 文 

千葉工業大学精密機械工学科 

揖 斐 敏 夫 

通商産業省基礎産業局 

天 野   徹 

工業技術院標準部 

福 田 芳 雄 

科学技術庁金属材料技術研究所 

梅 原 博 行 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

伊 藤 哲 司 

財団法人日本ウェザリングテストセンター 

前 田 重 義 

日本パーカライジング株式会社 

秋 本 政 弘 

電化皮膜工業株式会社 

外 川 靖 人 

日本テストパネル工業株式会社 

小 堀   哲 

日本ペイント株式会社 

長谷川 順 夫 

関西ペイント株式会社 

藤 本 日出男 

株式会社神戸製鋼所 

花 崎 昌 幸 

日本軽金属株式会社 

難波江 元 広 

古河電気工業株式会社 

伊 藤 秀 男 

住友軽金属工業株式会社 

千 葉 和 郎 

三菱アルミニウム株式会社技術開発センター 

室 岡 秀 一 

昭和アルミニウム株式会社 

斎 藤 正 次 

スカイアルミニウム株式会社 

蠏   庄 作 

社団法人軽金属協会 

(事務局) 

井 波 隆 夫 

社団法人軽金属協会