2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 0505-1975
非鉄金属材料の体積抵抗率
及び導電率測定方法
Measuring Methods for Electrical Resistivity
and Conductivity of Non−Ferrous Materials
1. 適用範囲 この規格は,非鉄金属材料のうち,線を除く板,条,管,棒,導体などの体積抵抗率及び
導電率の測定方法について規定する。ただし,抵抗材料を除く。
引用規格:
JIS Z 8807 固体比重測定方法
2. 用語の意味 主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 体積抵抗率 20℃における単位長さ,単位断面積をもつ材料の電気抵抗値。μΩcmで表す。
(2) 導電率 20℃における単位長さ,単位断面積をもつ材料の電導度と標準軟銅のそれとの比を百分率で
表したもの。
導電率の算出は,標準軟銅の体積抵抗率を材料の体積抵抗率で除し,百分率で表す。
標準軟銅は,20℃で次の各項に示した電気抵抗,密度,線膨張係数及び電気抵抗の定質量温度係数
をもつものとする。
(a) 電気抵抗 各部の断面積均一で,その面積1mm2のもの長さ1mにつき581Ω=0.017241Ω
(b) 密度 1cm3について8.89g
(c) 線膨張係数 1℃について0.000017
(d) 電気抵抗の定質量温度係数 1℃について0.00393
備考1. 標準軟銅の電気抵抗,密度,線膨張係数及び電気抵抗の定質量温度係数の値は,国際電気標
準会議 (IEC) において制定した標準軟銅の規格と一致する。
2. 標準軟銅の体積抵抗率は,1.7241μΩcmである。
3. 測定方法 体積抵抗率及び導電率は,試験片の電気抵抗,平均断面積及び電気抵抗測定間の長さから
算出する平均断面積法又は試験片の電気抵抗,質量,比重,試験片の長さ及び電気抵抗測定間の長さから
算出する重量法によって求める。
3.1
試験片 試料から採取する試験片は,全長にわたって一様な断面積をもち,長さ350mm以上で,電
気抵抗10μΩ以上のものとする。
なお,原則として原形のままで試験片とするが,断面積の大きな試料の場合は,切削加工してもよい。
3.1.1
平均断面積法試験片 平均断面積法試験片は,試験片断面積を算出するために必要な寸法が3mm
以上で,断面積が全長にわたって平均断面積に対して偏差±1.2%の範囲内にあるものとする。
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H 0505-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1.2
重量法試験片 重量法試験片は,試験片が平均断面積法を適用できない断面をもつものとする。
なお,試験片の両端面は平らに仕上げたものとする。
3.2
平均断面積の測定 試験片断面積の測定には,マイクロメータを用い,試験片全長にわたり,各測
定箇所において断面積の測定を十分な回数行い,±0.15%の精度で測定しなければならない。
3.3
質量の測定 試験片の質量は,測定質量に応じて適当な感度の天びんを用い,±0.05%の精度で測定
しなければならない。
3.4
比重の測定 試験片の比重は,JIS Z 8807(固体比重測定方法)によって有効数字3けたまで求める。
3.5
試験片長さの測定 試験片長さの測定には,ノギスを用いるのが望ましく,±0.05%の精度で測定し
なければならない。
3.6
電気抵抗の測定
(1) 電気抵抗の測定には,ダブルブリッジ又は電位差計を用いる。ただし,試験片の電気抵抗が1Ω以上の
場合は,ホイートストンブリッジを用いてもよい。
(2) 電気抵抗測定間の長さは,原則として300mm以上とし,その長さは±0.05%の精度で測定しなければ
ならない。
(3) 電気抵抗の測定室又は測定油そう温度は,15〜25℃の範囲内の一定温度に保ち,試験片は測定前に,
測定室又は油そうの温度と同温度に至るまで測定室又は油そう内に放置する。
(4) 電気抵抗の測定には,測定電流が結果に影響を与えないようにしなければならない。
(5) 得られた電気抵抗値は,±0.2%の精度でなければならない。
3.7
体積抵抗率及び導電率の算出法 体積抵抗率及び導電率の算出は,次のとおりとする。
(
)
{
}100
20
1
20
1
×
−
+
=
t
R
l
a
t
α
ρ
(平均断面積法の場合)
又は
(
)
{
}100
20
1
20
2
1
×
−
+
t
s
R
l
l
m
t
α
(重量法の場合)
(
)
{
}100
20
1
20
1
×
−
+
=
t
l
a
R
A
t
α
γ
(平均断面積法の場合)
又は
(
)
{
}100
20
1
20
2
1
×
−
+
t
l
l
m
R
C
t
α
(重量法の場合)
ここに
ρ: 体積抵抗率 (μΩcm)
γ: 導電率 (%)
Rt: t℃における試験片の電気抵抗 (Ω)
m: 試験片の全質量 (g)
l1: 電気抵抗測定間の長さ (m)
l2: 試験片の全長 (m)
t: 測定時の温度 (℃)
a: 試験片の平均断面積 (mm2)
s: 比重
上記式におけるA,α20及びCは,次の定数である。
A: 0.017241
α20: 20℃における定質量温度係数(付表1参照。ただし,定質量温
度係数が未知のものは測定して求める。)
C: 0.15328(純銅の場合,比重8.89として算出したもの)
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0.04655(純アルミニウムの場合,比重2.70として算出したも
の)
ただし,sが未知のものは,比重を測定して次の式によりCを
算出する。
C=A×s
4. 電気抵抗と定質量温度係数との関係 各種の導電率をもつアルミニウム及び銅のメートルグラムの電
気抵抗及び20℃における電気抵抗の定質量温度係数は,付表1のとおりとする。
備考 各温度における電気抵抗の算出は,次のとおりとする。
Rt=R20 {1+α20 (t−20)}
又は
20
20
20
1
K
t
R
Rt
−
+
=
ここに
Rt: t℃における電気抵抗
R20: 20℃における電気抵抗
α20: 20℃における定質量温度係数(付表1参照)
K20:
20
1
α(付表1参照)
5. 精度 この測定方法による体積抵抗率又は導電率の精度は,算出数値の±0.4%である。
付表1 電気抵抗及び電気抵抗の定質量温度係数
材料
導電率
メートルグラム 電気抵抗の定
K20
電気抵抗
質量温度係数
%
(20℃) Ω
α20
アルミニウム
55
0.08464
0.00363
275.5
56
0.08313
0.00370
270.3
57
0.08167
0.00377
265.3
58
0.08026
0.00384
260.4
59
0.07890
0.00390
256.4
60
0.07758
0.00396
252.5
61
0.07631
0.00403
248.1
62
0.07508
0.00409
244.5
銅
93
0.16481
0.00365
273.9
94
0.16306
0.00369
271.0
95
0.16134
0.00373
268.1
96
0.15966
0.00377
265.3
97
0.15802
0.00381
262.5
97.5
0.15721
0.00383
261.1
98
0.15640
0.00385
259.7
99
0.15482
0.00389
257.1
100
0.15328
0.00393
254.5
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非鉄金属部会 電気用銅及び銅合金展伸材専門委員会 構成表(昭和42年5月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
田 尻 秀 男
日本精巧金属株式会社
山 口 求
三井金属鉱業株式会社
影 山 房太郎
古河電気工業株式会社
栗 本 暢 夫
株式会社東洋伸銅所
寺 尾 一 之
住友軽金属工業株式会社
村 田 正 雄
日本伸銅株式会社
相 原 和 穂
三谷伸銅株式会社
池 村 恭 一
株式会社神戸製鋼所
繩 田 喜 一
日立電線株式会社
菊 田 純 夫
東京芝浦電気株式会社鶴見工場
小 林 武次郎
三菱電機株式会社伊丹製作所
藤 本 正 男
神鋼電機株式会社
間 庭 秀 世
富士電機製造株式会社
松 谷 繁 雄
日本電機工業会
安 東 幸
日本電線工業会
宮 地 通
日本電信電話公社
和 田 忠 朝
日本伸銅協会
水 野 武 之
日本国有鉄道電気局
小 川 正 己
通商産業省鉱山局
木 下 享
工業技術院標準部
(事務局)
吉 枝 正 明
工業技術院標準部材料規格課
(事務局)
石 井 清 次
工業技術院標準部材料規格課(昭和50年11月1日改正のとき)
時 山 聖 司
工業技術院標準部材料規格課(昭和50年11月1日改正のとき)
土 居 修 身
工業技術院標準部材料規格課(昭和50年11月1日改正のとき)