2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 0502-1986
銅及び銅合金管の
か(渦)流探傷試験方法
Method of Eddy Current Testing for
Copper and Copper Alloy Pipes and Tubes
1. 適用範囲
1.1
この規格は,銅及び銅合金継目無管,銅及び銅合金溶接管及びニッケル銅合金継目無管(以下,管
という。)の表面又は内部に割れ,傷その他の欠陥がある場合,これを検出することを目的としたか(渦)
流探傷試験(以下,試験という。)方法について規定する。
1.2
管の適用寸法範囲は,外径4〜50mm, 肉厚0.3〜3.0mmとし,日本工業規格に規定された標準寸法範
囲内とする。
1.3
試験は,貫通形コイル(以下,コイルという。)を用い,使用する周波数は1〜1 024kHzの範囲内と
する。
2. 用語の意味
(1) 貫通形コイル 管を取り巻く円筒形のコイルをいう。
(2) 試験周波数 コイルに与える交流の周波数をいう。
(3) 磁気飽和 管の磁性の不均一によって生じる雑音を抑制するため管を磁化することをいい,直流を用
いる。
(4) 位相角 信号電圧と基準とする信号電圧(一般には発振器出力電圧)の位相差をいう。
3. 試験装置
3.1
試験装置 試験装置は,探傷器,送り装置(コイル保持台を含む。)及び磁気飽和装置を主体として
構成される。ただし,磁気飽和装置はニッケル銅合金継目無管に限って使用する。
3.1.1
探傷器
(1) 探傷器は,欠陥を検出するコイル及びコイルに交流を与える発振装置並びに欠陥を指示する電気装置
よりなる。
(2) コイルは,管の電気的特性の変化を検出するものでなくてはならない。
(3) 探傷器は,周囲の温度変化,外部からの電気的雑音及び電源変動に対して,長時間安定に作動しなく
てはならない。
3.1.2
送り装置 送り装置(コイル保持台を含む。)は,管及びコイルに,試験に有害な振動を与えるこ
となく,管を所要の均一な速度でコイル中を送るものでなくてはならない。
2
H 0502-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1.3
磁気飽和装置 磁気飽和装置は,試験に必要な磁化を連続して管の試験しようとする部分に与える
ことができるものでなくてはならない。
3.2
試験装置は,管の材質,寸法,表面状況及び欠陥の性状に応じ,適切な感度で再現性よく試験でき
るものでなくてはならない。
3.3
試験装置は,試験に際して管に機械的損傷を与えるものであってはならない。
4. 対比試験片
4.1
対比試験片(以下,試験片という。)は,試験装置の感度及びその他の設定条件の調整又は点検に使
用する。
4.2
試験片は,管と同一の種類,質別,寸法及び表面状況のものを用いる。
4.3
対比欠陥
4.3.1
対比欠陥は,試験片につけた人工欠陥で,管軸に対し直角にあけたドリル穴とする。
4.3.2
ドリル穴の大きさは管の寸法に応じて定め,直径0.5〜2.0mm(0.1mmきざみとする。)とし,それ
ぞれの日本工業規格の規定による。
4.3.3
ドリル穴の寸法許容差は,±0.05mmとする。
4.4
試験片のドリル穴は,管の長さ方向に3個とし,それぞれの間隔及び管端からの距離は試験速度に
おいて,信号の分離が十分に可能なようにとる。
5. 試験方法
5.1
試験する時期 試験は,最終熱処理前の加工のままの状態又は最終熱処理後の状態で行う。
5.2
試験の準備
5.2.1
試験装置に通電し,装置が安定した後,試験条件の調整及び試験を始めなければならない。
5.2.2
試験片は,4.に定められたものを用いる。
5.2.3
送り装置(コイル支持台を含む。)は,3.1.2に示すとおりの状態に調整する。
5.2.4
コイルは,対比欠陥が検出される寸法のものを使用する。
なお,ニッケル銅合金継目無管の場合は,磁気飽和を行う。
5.2.5
周波数は,対比欠陥が検出されるよう1.3に定められた範囲で選択する。
5.2.6
位相角を変えられる探傷器では,対比欠陥が検出されるような位相角に調整する。
5.3
試験の手順
5.3.1
試験片を試験速度でコイル中を通過させ,3個の対比欠陥をすべて検出するように,試験装置の感
度を調整する。
5.3.2
連続試験の場合は,少なくとも4時間ごとに試験片を用いて,装置の状態を点検する。
5.3.3
試験中に装置の異常を発見した場合は,再調整する。
なお,異常期間中に通過した管は,すべて再試験する。
5.4
結果の判定 対比欠陥からの信号と同等以上の信号を検出しない管は合格とする。対比欠陥からの
信号と同等以上の信号を検出した管が,目視検査及び信号の発生状況によって,次によるものであり,か
つ,有害でないと判断された場合は,合格としてよい。
(1) 矯正マーク
(2) すりきず
(3) 抽伸によるびびり
3
H 0502-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(4) ビード切削びびり
(5) その他類似のきず
非鉄金属部会 銅及び銅合金専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
雄 谷 重 夫
早稲田大学鋳物研究所
神 尾 彰 彦
東京工業大学
川 勝 一 郎
福井工業大学
笹 谷 勇
通商産業省工業技術院標準部
田 頭 扶
科学技術庁金属材料技術研究所
中 谷 宏
日本電子材料技術協会
松 田 憲 和
通商産業省基礎産業局
太 田 裕 二
古河電気工業株式会社
久 我 修
旭日産業株式会社
大 後 隆 盛
日東金属工業株式会社
仲 田 進 一
清峰金属工業株式会社
南 利三郎
東洋フィッティング株式会社
本 橋 仁
大木伸銅工業株式会社
渡 部 嘉 公
三宝伸銅工業株式会社
網 本 汀 司
財団法人日本船舶標準協会
穏 地 信 義
通信機械工業会(日本電気株式会社)
久 野 義 雄
社団法人日本空調衛生工事業協会(斎久工業株式会社)
坂 本 清 明
社団法人日本自動車工業会(三菱自動車工業株式会社)
篠 原 脩
社団法人ガス石油機器工業会
鈴 木 實
日本光学工業協会
(関係者)
中 村 寿 雄
日本伸銅協会
(事務局)
緒 方 憲 一
工業技術院標準部材料規格課
久 米 均
工業技術院標準部材料規格課