2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 0501-1986
伸銅品結晶粒度試験方法
Methods for Estimating Average Grain Size
of Wrought Copper and Copper Alloys
1. 適用範囲 この規格は,主として銅及び銅合金展伸材のα単一相からなるとみなされる焼なまし材の
結晶粒度の測定方法及びその表示方法について規定する。
対応国際規格:
ISO 2624-1973 銅及び銅合金−平均結晶粒度の測定法
2. 結晶粒の定義 この規格においては,双晶帯を含む結晶は単一結晶と同じく一つの結晶粒とみなす。
α相以外にβ相・鉛の粒子・金属間化合物などがわずかに含まれている場合には,その結晶粒度はα相だけ
について表示する。
3. 試験片とその処理 試験片は,供試材料を代表する部分から採取し,電解又は機械的方法によって研
磨し,電解又は化学的に腐食して組織を現し測定に供する。
4. 結晶粒度の表示方法
4.1
結晶粒度はmmで表示する(1)。
結晶粒度の計算値又は観測値を丸めるには,次の方法による。
0.010mm以下の場合 0.001mmの整数倍に最も近い値。
0.010mmを超え,0.060mm以下の場合 0.005mmの整数倍に最も近い値。
0.060mmを超える場合 0.010mmの整数倍に最も近い値。
注(1) 例えば0.025mmと表す。
4.2
結晶粒度のふぞろいのために単一表示が不適当な場合には,二つの結晶粒度とそれぞれの占める面
積の推定百分率とを示す(2)。
注(2) 例えば0.015mmが30%,0.070mmが70%のように示す。
5. 結晶粒度の測定方法
5.1
結晶粒度の測定方法には,次の3方法がある。
(1) 比較法
(2) 切断法
(3) 求積法
上記3方法のうち一般には比較法を用いる。見掛け上等軸でない結晶粒からなる材料には切断法を用い
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るのがよい。
ただし,測定結果に疑義がある場合には,求積法によって決定する。
5.2
測定は顕微鏡の映像又は写真で行い,その倍率は75倍を標準とする。更に正確な値を必要とすると
きは0.200mmより大きい結晶粒度のものには25倍を,0.070mm以上の粒度のものには50倍を用い,また
結晶粒度の小さいものは,倍率を大きくして測定する。
6. 比較法
6.1
比較法は,付図に示した標準写真の結晶粒度範囲内にある結晶粒度をもった完全焼なまし材に主と
して適用するものであるが,わずかに冷間加工を行ったものについても用いることができる。
6.2
結晶粒度の測定は,試験片の顕微鏡映像又は写真を75倍の倍率で示した付図の標準写真と比較して
行う。標準写真の結晶粒度は,求積法によって測定したものである。
6.3
使用する倍率は75倍を標準とする。他の倍率を用いる場合には付図の標準写真の中で最もよく対応
する写真を比較によって定め,次の表から実際の結晶粒度に換算する。例えば使用倍率25倍で標準写真
0.070mmに相当するものの実際の結晶粒度は0.210mmである。
表 種々の倍率で測定したときの実際の結晶粒度と標準写真系列との関係
試験片
の倍率
使用倍率で標準写真と比較して得た見掛けの結晶粒度に対する真の結晶粒度
25倍
0.030
0.045
0.080
0.110
0.140 0.150 0.180 0.210 0.270 0.360 0.450
0.600
50倍
0.015
0.020
0.040
0.050
0.070 0.080 0.090 0.100 0.140 0.180 0.220
0.300
75倍
(標準) 0.010
0.015
0.025
0.035
0.045 0.050 0.060 0.070 0.090 0.120 0.150
0.200
100倍
−
0.010
0.020
0.025
0.035 0.040 0.045 0.050 0.070 0.090 0.110
0.150
備考 結晶粒度の小さいものは,倍率を250倍,500倍,750倍,1 000倍にして測定することができる。
この場合の結晶粒度は,上表の25倍,50倍,75倍,100倍の101の値である。
7. 切断法 結晶粒度は,顕微鏡の映像又は写真上で既知の長さの線分によって完全に切られる結晶粒数
を数え,その切断長さの平均値 (mm) をもって表示する。必要に応じ加工方向に平行及び垂直な3軸に沿
って測定する。切断法で測定した値は,求積法で測定した値より小さいことがある。
8. 求積法 求積法は,既知の面積(普通は5 000mm2,例えば円の場合は径79.8mm)の円又は長方形を
写真又はピントガラスの上に描き,その面積内に完全に含まれる結晶粒の数と,円又は長方形の周辺で切
断されている結晶粒の半分との和を全結晶粒数とする。
結晶粒度は,結晶粒を正方形と考えて次の式で表す。
n
A
M
d
1
=
2
w
Z
n
+
=
ここに,
d: 結晶粒度 (mm)
M: 使用倍率
A: 測定面積 (mm2)
Z: 測定面積A内に完全に含まれる結晶粒数
w: 周辺部の結晶粒数
n: 全結晶粒数
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付図 標準写真 (Courtesy of American Society for Testing Materials, U.S.A.)
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付図 標準写真(続き)
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非鉄金属部会 銅及び銅合金専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
雄 谷 重 夫
早稲田大学鋳物研究所
神 尾 彰 彦
東京工業大学
川 勝 一 郎
福井工業大学
笹 谷 勇
通商産業省工業技術院標準部
田 頭 扶
科学技術庁金属材料技術研究所
中 谷 宏
日本電子材料技術協会
松 田 憲 和
通商産業省基礎産業局
太 田 裕 二
古河電気工業株式会社
久 我 修
旭日産業株式会社
大 後 隆 盛
日東金属工業株式会社
仲 田 進 一
清峰金属工業株式会社
南 利三郎
東洋フィッティング株式会社
本 橋 仁
大木伸銅工業株式会社
渡 部 嘉 公
三宝伸銅工業株式会社
網 本 汀 司
財団法人日本船舶標準協会
穏 地 信 義
通信機械工業会(日本電気株式会社)
久 野 義 雄
社団法人日本空調衛生工事業協会(斎久工業株式会社)
坂 本 清 明
社団法人日本自動車工業会(三菱自動車工業株式会社)
篠 原 脩
社団法人ガス石油機器工業会
鈴 木 實
日本光学工業協会
(関係者)
中 村 寿 雄
日本伸銅協会
(事務局)
緒 方 憲 一
工業技術院標準部材料規格課
久 米 均
工業技術院標準部材料規格課