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G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した 

日本工業規格である。 

今回の制定では,国際規格との整合を図るために,ISO 6934 (Steel for the prestressing of concrete) Part 1〜

5を内容を変更することなく翻訳したものである。 

JIS G 7307は,次に示す規格群編成になっている。 

JIS G 7307 (ISO 6934-1) PC鋼材−第1部:一般要求事項(ISO仕様) 

JIS G 7308 (ISO 6934-2) PC鋼材−第2部:冷間引抜きワイヤー(ISO仕様) 

JIS G 7309 (ISO 6934-3) PC鋼材−第3部:焼入れ焼戻しワイヤー(ISO仕様) 

JIS G 7310 (ISO 6934-4) PC鋼材−第4部:ストランド(ISO仕様) 

JIS G 7311 (ISO 6934-5) PC鋼材−第5部:後加工のある,又は後加工のない熱間圧延鋼棒 

(ISO仕様) 

JIS G 7307 (ISO 6934-1)には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 疲労挙動 

附属書B(参考) 受渡当事者間の協定によるオプション 

附属書C(参考) 参考文献 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 7307 : 2000 

(ISO 6934-1 : 1991) 

PC鋼材− 

第1部:一般要求事項(ISO仕様) 

Steel for the prestressing of concrete−Part 1 : General requirements 

序文 この規格は,1991年に第1版として発行されたISO 6934-1, Steel for the prestressing of concrete−Part 

1 : General requirementsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格

である。 

なお,この規格は,従来のJIS G 3109, JIS G 3137, JIS G 3536, JIS G 3538と品質水準,設計上の数値など

を異にしているところがあり,注意を要するので,適用に当たっては必ず解説を参照する。 

1. 適用範囲 

1.1 

この規格は,プレストレストコンクリートに使用される高張力鋼に対する要求事項について規定す

る。この規格は,構造要素としてPC鋼材とともに使用される材料や部品に対しては適用されない。 

1.2 

各種のPC鋼材に対する具体的な特性は,JIS G 7308〜JIS G 7311に示されている。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格を構成する

ものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格はその最終版(追

補を含む。)を適用する。 

ISO 1099 : 1975, Metals−Axial load fatigue testing 

ISO 6892 : 1984, Metallic materials−Tensile testing 

ISO 7801 : 1984, Metallic materials−Wire−Reverse bend test 

ISO 10065 : 1990, Steel bars for reinforcement of concrete−Bend and rebend tests 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

溶鋼分析 (cast analysis)  鋳込中の溶鋼から採った試料の化学分析。 

3.2 

特性値 (characteristic value)  限りなく試験されると仮定して,あらかじめ想定された不合格率を

もつ値 [ISO 8930]。 

備考 ISO 3534に定義されるfractileと同等である。 

3.3 

公称断面積 (nominal cross-sectional area)  公称径から算出される丸鋼の面積と等しい断面積。 

3.4 

リラクセーション (relaxation)  一定長さのもとで時間に依存した応力損失。リラクセーションは

鋼材の初期応力に対する百分率で表される。 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 製造方法 この規格に規定された鋼材は,空気又は空気と酸素の混合底吹き方法以外の製造方法によ

って作られる。 

5. PC鋼材の種類 

5.1 

冷間引抜きワイヤー ダイス又はローラを用いた冷間加工によって線材から得られた製品。この製

品は伸線機のキャプスタン(ミルコイル)の直径とほぼ等しい直径のコイル,又はそれより大きな直径の

伸直されたワイヤーのコイルにして供給される。 

このワイヤーは,その表面形状 (5.1.1〜5.1.4) と処理方法(5.1.5及び5.1.6)によって定義され区別され

る。 

5.1.1 

プレインワイヤー 引抜きダイスで得られたままの表面をもつワイヤー。このワイヤーは一定の公

称断面をもち,表面又は軸方向長さに周期的な凹凸をもたない。 

5.1.2 

リブワイヤー 長さ方向に一定間隔で表面にリブがあるワイヤー。 

5.1.3 

インデントワイヤー 長さ方向に一定間隔で表面にインデント(くぼみ)があるワイヤー。 

5.1.4 

クリンプワイヤー 機械的方法によって作られる一面又はヘリカル形状で軸方向に規則的に蛇行

したワイヤー。 

5.1.5 ミルコイルワイヤー 冷間引抜き後のワイヤー。引抜時の潤滑剤の膜によって覆われていてもよい。 

5.1.6 

応力除去ワイヤー 連続したラインで,次の処理のうち一つが行われる冷間引抜きワイヤー。 

a) 連続的な曲げ加工が行われた後,短時間の熱処理が行われたもの。 

b) 塑性変形されながら(軸方向にひずみを加えた条件の下で)短時間の熱処理が行われたもの。 

両方の処理とも一定の機械的特性及びリラクセーション特性を改善する。さらに,b)の方法ではリラク

セーションが小さくなる。 

5.2 

焼入れ焼戻しワイヤー 高温まで加熱された熱間圧延線材又はワイヤーは,急冷によってマルテン

サイト組織が生成され,その後適切な温度で焼戻しされる。製品はコイル状で納入する。ワイヤ表面はス

ケールの薄い膜で覆われていてもよい。ワイヤーの表面形状は,プレインの状態,リブ加工,溝加工,又

はインデント加工付きのいずれでもよい。 

5.3 

ストランド 2本又はそれ以上のワイヤーから構成されたものがらせん状によられる。よりピッチと

より方向は同じ層のワイヤーについては同じである。このピッチは,ストランドの寸法と種類に応じて決

められる。 

ストランドは,冷間引抜きワイヤーと同じ方法で最後に応力除去処理が行われ,コイルの形状で納入さ

れる。 

コンパクトストランドは,圧縮加工され(例えば,より合わせた後の冷間加工によって)コイル形状に

巻かれる前に応力除去処理が行われたストランドである。 

ストランドは,次のように分類される。 

5.3.1 

2本より及び3本より それぞれ2本又は3本のワイヤーを理論上の共通軸に沿って一緒によった

もの。 

5.3.2 

7本より まっすぐな心線の周りに6本のヘリカルワイヤーが1層よられている。 

5.3.3 

19本より まっすぐな心線の周りにワイヤーが2層よられている。 

5.4 

鋼棒 鋼棒は,鋼を熱間圧延して製造されまっすぐな状態で供給される。これはプレインの状態,

又はリブ加工付きいずれでもよい。加工された鋼棒とは,冷間加工又は熱処理された鋼棒のことである。

このような鋼棒は必要な特性を与えるために更に熱処理されることもある。 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 要求事項 

6.1 

化学成分 化学成分は製品の種類,そのサイズ及び引張強さに関係している。注文者によって要求

される場合は,鋼材の溶鋼分析を行う。溶鋼分析において,硫黄とりんの両方ともその含有量は0.04%を

超えてはならない。 

6.2 

幾何学的特性 

6.2.1 

幾何学的特性は,公称径が基本になっている。 

6.2.2 

公称径による幾何学的特性の輪郭描写が不十分か適切でない場合は,公称断面積から定義すること

ができる。 

この場合には規定された公差やワイヤー,ストランド又は鋼棒の形状について適切な説明が必要である

(JIS G 7308〜JIS G 7311参照)。 

6.3 

機械的特性 この規格は,対象製品の次の機械的特性に対する要求事項が含まれている。 

− 最大荷重 

− 降伏荷重 

− 最大荷重時の伸び 

− 延性 

− 恒温リラクセーション 

関連試験及び各製品に対して要求される数値は,JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格に記載されている。 

6.3.1 

引張特性 

6.3.1.1 

最大荷重,降伏荷重及び最大荷重時の伸びは,特性値として規定される。対象となる母集団の少

なくとも95%は規定される特性値と等しいか,それ以上の引張特性を保持しなければならない。 

受渡当事者間の協定によって,JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格に規定されている特性値を最小保証

値として用いることもできる。 

その他すべての特性に対し決められている値は,最大値又は最小値のいずれかとして考えなければなら

ない。 

6.3.1.2 

規定される降伏荷重は,0.1%永久伸びに対する荷重であり,これは必す条件である。JIS G 7308

〜JIS G 7311の関連規格に0.2%耐力も記載されている。これは注文書の中で要求することもできる。 

6.3.1.3 

最大荷重時の伸びは,JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格に規定されているように決められる。 

6.3.2 

曲げ特性 鋼材は曲げ試験,又は繰返し曲げ試験によって適切な延性をもつことが証明されなくて

はならない。試験方法は製品によって異なるが,JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格に規定されていると

おりである。 

6.3.3 

長期挙動 

6.3.3.1 

恒温リラクセーション リラクセーション値は,公称引張強さの60%,70%及び80%の初期応力

で,20℃の温度で1 000時間後のものとする。60%と80%は必すでないが,注文者から要求がある場合に

提供される。 

6.3.3.2 

疲労挙動 注文者によって要求がある場合には,疲労挙動は附属書Aに従って実証されなければ

ならない。 

6.4 

表面状態 完成品には,製品の性能を損なうような欠陥があってはならない。 

他に規定がなければ,縦方向のすじきず又は不連続な状態のもので,深さが鋼棒又はワイヤーの公称径

の4%未満である場合には欠陥としてみなさない。 

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G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

鋼棒にはさびがあってはならない。わずかなさびを不合格の理由にしてはならない。ただし,肉眼で認

められるピットを起こしている場合は,この限りではない。 

特別な目的のために表面被覆は,受渡当事者間で事前の協定がある場合にだけ鋼材の表面に施すことが

できる。 

7. 特性試験 

7.1 

試験の適用範囲 検査と試験は,次による。 

外部団体によってモニターされる保証計画に従って行うか,又は表1の3欄に従って実際に納入する製

品を試験する。 

7.2 

ストランドの引張試験 

7.2.1 

最大荷重 ストランドをストランド又はロープ試験機のグリップに保持する。このグリップはスト

ランドの素線を過度に損傷してはならない。グリップから3mmの距離内でワイヤーが破断し,破断荷重

が規定された特性値より低い場合は,その試験結果は放棄される。 

7.2.2 

最大荷重時の伸び ストランドの最大荷重時の伸びは,適切な伸び計を用いて少なくとも500mm

ある標点長さのもので測定する。伸びは素線のいずれかが破断する前に測定する。伸び計はストランドが

規定された最小伸びを超えた後,破断する前に試験片から取り外してもよい。 

7.3 

繰返し曲げ 繰返し曲げ試験は,製品の種類が修正される場合を除いて,ISO 7801による。 

表1 特性試験 

特性 

試験方法 

試験頻度 

化学成分 

適用可能な規格 

納入される鋼材のチャージごとに1回。 

表面状態 

JIS G 7307 

納入される鋼材の種類1)ごとに1回。 

最大荷重 

ISO 6892 

特性値2) 

降伏荷重 

ISO 6892 

特性値 

最大荷重時の伸び 

ISO 6892 

特性値 

曲げ 

ISO 10065 

繰返し曲げ 

ISO 7801 

リラクセーション 

JIS G 7307 

代表値 

疲労強度 

ISO 1099 

代表値 

注1) “鋼材の種類”とは,その特性の製造工程と直径をもつ各製品をい

う。 

受入基準はJIS G 7308〜JIS G 7311の様々な部分で説明されてい

る。 

2) “特性値”とは,試験数がそのような数値を決定するのに十分なも

のでなければならないことを示している。 

最小保証値によって検査を行う場合には,試験頻度は受渡当事者

間の協定による。 

8. 納入条件 

8.1 

識別 他に同意されている場合を除いて,ワイヤー又はストランドの各コイル,又は鋼棒には次の

情報の入ったラベルが必要である。 

a) JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格の番号。 

b) 公称径。 

c) 公称引張強さ。 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) リラクセーション特性。 

e) 試験成績書に関連するコイル番号又は鋼棒束番号。 

f) 

製造業者名及び製造工場。 

8.2 

コイル寸法 他に同意されている場合を除いて,コイル寸法は各製品に対するJIS G 7308〜JIS G 

7311の関連規格に示されている要求事項を満足しなければならない。ワイヤーとストランドのコイル径は,

材料が困難なく,また製品の機械的特性及び真直性に悪影響を与えずに巻き戻すことができるような十分

大きいものでなければならない。鋼材の最大曲げ半径は,各製品に対するJIS G 7308〜JIS G 7311の関連

規格に示されている。 

8.3 

輸送及び保管 輸送中及び保管中の鋼材は,損傷や汚染,特にさびを発生させたり,さびを促進さ

せる傾向のある物質又は液体から保護しなければならない。 

9. 注文者によって提供される情報 JIS G 7308〜JIS G 7311に従って製品が注文されるとき,注文者は

次のことを表示しなければならない。 

a) JIS G 7308〜JIS G 7311の関連規格による種類の記号。 

b) 材料の種類:ワイヤー,ストランド又は鋼棒。 

c) こん包及び保護要求事項。 

d) 鋼材の溶鋼分析を行うべきかどうか。 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(規定) 疲労挙動 

注文者によって要求がある場合は,材料は公称引張強さの70%の最大応力から下方振幅応力で試験を行

い,2×106回で破断してはならない。応力範囲,すなわち,応力振幅の2倍はJIS G 7308〜JIS G 7311の

関連規格に定義されている。疲労試験は各種類の鋼材及び適切な数量の直径に対して実施されなければな

らない。 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考) 受渡当事者間の協定によるオプション 

この規格に対して付加的な又は基準から外れる要求事項が受渡当事者間で同意される,又は注文者によ

って要求される項目は,次に記載される。 

− 溶鋼分析(6.1) 

− 最小保証値(6.3.1.1及び表1) 

− 0.2%耐力(6.3.1.2) 

− 公称応力の60%又は80%からのリラクセーション(6.3.3.1) 

− 疲労挙動(6.3.3.2) 

− 縦すじきず又は不連続性(6.4) 

− 被覆(6.4) 

− 識別ラベル(8.1) 

− コイル寸法(8.2) 

G 7307 : 2000 (ISO 6934-1 : 1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(参考) 参考文献 

(1) ISO 3534 : 1977 Statistics−Vocabulary and symbols 

(2) ISO 8930 : 1977 General principles or reliability for structures−List of equivalent terms 

線材製品(特線)JIS検討委員会(平成9年2月現在) 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

木 原 諄 二 

東京大学 

(委員) 

林   明 夫 

通商産業省基礎産業局 

大 嶋 清 治 

通商産業省工業技術院 

中 村 守 文 

社団法人日本鉄鋼連盟(株式会社神戸製鋼所) 

島 田 瑛 司 

鈴木金属工業株式会社 

若 宮 辰 也 

神鋼鋼線工業株式会社 

秋 山 清 澄 

興国鋼線索株式会社 

山 本   進  住友電気工業株式会社 

根 本 英 一 

東京製鋼株式会社 

岡 田 良 規 

南海泉州製線鋼索株式会社 

太 田 正 秀 

日亜鋼業株式会社 

鈴 木 素 彦 

社団法人プレストレストコンクリート技術協会 

(オリエンタル建設株式会社) 

中 條 友 義 

社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会 

(日本鋼弦コンクリート株式会社) 

高 沢 壽 佳 

日本電信電話株式会社 

伊 澤 利 和 

東日本旅客鉄道株式会社 

松 田 好 央 

社団法人日本ばね工業会 

佐名木 崇 夫 

社団法人自動車工業会 

真 部 利 應 

電気事業連合会 

(事務局) 

本 橋 保 久 

線材製品協会