2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 5202-1991
高温高圧用遠心力鋳鋼管
Centrifugally cast steel pipes for high
temperature and high pressure service
1. 適用範囲 この規格は,主として高温で使用される遠心力鋳鋼管(以下,鋳鋼管という。)について規
定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS G 0307 鋳鋼品の製造,試験及び検査の通則
JIS G 1211 鉄及び鋼中の炭素定量方法
JIS G 1212 鉄及び鋼中のけい素定量方法
JIS G 1213 鉄及び鋼中のマンガン定量方法
JIS G 1214 鉄及び鋼中のりん定量方法
JIS G 1215 鉄及び鋼中の硫黄定量方法
JIS G 1216 鉄及び鋼中のニッケル定量方法
JIS G 1217 鉄及び鋼中のクロム定量方法
JIS G 1218 鉄及び鋼中のモリブデン定量方法
JIS G 1219 鉄及び鋼中の銅定量方法
JIS G 1220 鉄及び鋼中のタングステン定量方法
JIS G 1253 鉄及び鋼の光電測光法による発光分光分析方法
JIS G 1256 鉄及び鋼の蛍光X線分析方法
JIS G 1257 鉄及び鋼の原子吸光分析方法
JIS G 1258 鋼の誘導結合プラズマ発光分光分析方法
2. 種類の記号 鋳鋼管の種類の記号は,表1による。
表1 種類の記号
種類の記号
備考
SCPH 1-CF
炭素鋼
SCPH 2-CF
炭素鋼
SCPH 11-CF
0.5 %モリブデン鋼
SCPH 21-CF
1 %クロム0.5 %モリブデン鋼
SCPH 32-CF
2.5 %クロム1 %モリブデン鋼
3. 化学成分 鋳鋼管は,10.2の試験を行い,その溶鋼分析値は,表2による。ただし,受渡当事者間の
協定によって,不純物について表3を適用することができる。
2
G 5202-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 化学成分
単位 %
種類の記号
C
Si
Mn
P
S
Cr
Mo
SCPH 1-CF
0.22以下
0.60以下
1.10以下
0.040以下 0.040以下
−
−
SCPH 2-CF
0.30以下
0.60以下
1.10以下
0.040以下 0.040以下
−
−
SCPH 11-CF
0.20以下
0.60以下
0.30〜0.60 0.035以下 0.035以下
−
0.45〜0.65
SCPH 21-CF
0.15以下
0.60以下
0.30〜0.60 0.030以下 0.030以下 1.00〜1.50 0.45〜0.65
SCPH 32-CF
0.15以下
0.60以下
0.30〜0.60 0.030以下 0.030以下 1.90〜2.60 0.90〜1.20
表3 不純物の化学成分
単位 %
種類の記号
Cu
Ni
Cr
Mo
W
合計量
SCPH 1-CF
0.50以下
0.50以下
0.25以下
0.25以下
−
1.00以下
SCPH 2-CF
0.50以下
0.50以下
0.25以下
0.25以下
−
1.00以下
SCPH 11-CF
0.50以下
0.50以下
0.35以下
−
0.10以下
1.00以下
SCPH 21-CF
0.50以下
0.50以下
−
−
0.10以下
1.00以下
SCPH 32-CF
0.50以下
0.50以下
−
−
0.10以下
1.00以下
4. 機械的性質
4.1
降伏点又は耐力,引張強さ及び伸び 鋳鋼管は,10.3の試験を行い,その降伏点又は耐力,引張強
さ及び伸びは,表4による。
表4 機械的性質
種類の記号
降伏点
又は耐力
N/mm2
引張強さ
伸び
N/mm2
%
SCPH 1-CF
245以上
410以上
21以上
SCPH 2-CF
275以上
480以上
19以上
SCPH 11-CF
205以上
380以上
19以上
SCPH 21-CF
205以上
410以上
19以上
SCPH 32-CF
205以上
410以上
19以上
4.2
へん平性 注文者は,必要がある場合は,へん平試験を指定することができる。この場合,鋳鋼管
は10.3の試験を行い,鋳鋼管の壁にきず,割れを生じてはならない。
なお,定数eは次による。
(1) SCPH 1-CF及びSCPH 2-CFについては,0.07とする。
(2) SCPH 11-CF,SCPH 21-CF及びSCPH 32-CFについては,0.08とする。
5. 水圧試験特性 注文者は,必要がある場合は,水圧試験を指定することができる。この場合,鋳鋼管
は10.4の試験を行い,注文者が指定する水圧を加えても,これに耐え,漏れがあってはならない。ただし,
指定圧力が次の式で算出されるPを超えるときは,Pで試験し,注文者から特にPを超える指定圧力を要
求されたときの水圧試験圧力は,受渡当事者間の協定による。
D
st
P
2
=
ここに, P: 試験圧力 (MPa)
t: 鋳鋼管の厚さ (mm)−図面寸法による。
D: 鋳鋼管の外径 (mm)−図面寸法による。
3
G 5202-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
s: 表4の降伏点又は耐力の最低値の60% (N/mm2)
6. 形状及び寸法 形状及び寸法は,次による。
(1) 鋳鋼管は,10.5の試験を行い,その形状及び寸法は,図面による。
(2) 鋳放し部の外径の許容差は,±1.0%とし,厚さ,長さ及び曲がりの許容差については,受渡当事者間
の協定による。
7. 外観 鋳鋼管は,10.6の試験を行い,その外観は,使用上有害なきず,割れ,鋳巣などがあってはな
らない。
8. 健全性 鋳鋼管は,注文者が要求する場合,10.7又は適当な方法によって試験を行い,その健全性は,
使用上有害なきず,割れ,鋳巣などの欠陥があってはならない。
なお,鋳鋼管の健全性の合否判定基準は,受渡当事者間の協定による。
9. 製造方法
9.1
製造方法の一般事項 製造方法の一般事項は,JIS G 0307の2.(製造方法)による。
9.2
鋳造 鋳鋼管は,よこ形又はたて形遠心力鋳造法によって,金型又は砂型に鋳造する。
9.3
熱処理 鋳鋼管は,炉内で各部を均一に加熱し,焼なまし,焼ならし,焼ならし焼戻し又は焼入焼
戻しのいずれかの熱処理を行う。
10. 試験
10.1 試験場所 試験場所は,原則として当該製造所とする。
また,注文者の要求がある場合,製造業者は,その試験に注文者を立ち会わせる。
10.2 分析試験
10.2.1 分析試験の一般事項 分析試験の一般事項は,JIS G 0307の3.1(分析試験)による。
10.2.2 分析方法 分析方法は,次のいずれかによる。
JIS G 1211, JIS G 1212, JIS G 1213, JIS G 1214, JIS G 1215, JIS G 1216,
JIS G 1217, JIS G 1218, JIS G 1219, JIS G 1220, JIS G 1253, JIS G 1256,
JIS G 1257, JIS G 1258
10.3 機械試験
10.3.1 機械試験の一般事項 機械試験の一般事項は,JIS G 0307の3.2(機械試験)による。
10.3.2 供試材の採り方 供試材の採り方は,次による。
(1) 供試材は,原則として鋳鋼管本体から採る。ただし,受渡当事者間の協定によって,別個に鋳造する
ことができる。
(2) 鋳鋼管本体から供試材を採取する方法は,受渡当事者間の協定による。
(3) 別個に鋳造する場合の供試材の形状及び寸法は,JIS G 0307の図(a)による。
10.4 水圧試験 水圧試験の一般事項は,JIS G 0307の3.3 (1)(耐圧試験)による。この場合,鋳鋼管に
水圧を加えて5.に規定する圧力に保持したとき,これに耐え,漏れが生じたかどうかを調べる。
10.5 形状及び寸法の測定 鋳鋼管の形状及び寸法の測定は,許容差に対し適切な精度をもった測定器に
よって行う。
4
G 5202-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10.6 外観試験 鋳鋼管の外観試験は,JIS G 0307の3.4(外観試験)による。
10.7 非破壊試験 鋳鋼管の非破壊試験は,JIS G 0307の3.5(非破壊試験)による。
11. 再試験 機械試験の再試験は,JIS G 0307の4.(再試験)による。
12. 検査 鋳鋼管の検査は,次による。
(1) 検査の一般事項は,JIS G 0307の5.(検査)による。
(2) 化学成分は,3.に適合しなければならない。
(3) 機械的性質は,4.に適合しなければならない。
(4) 水圧試験特性は,5.に適合しなければならない。
(5) 形状及び寸法は,6.に適合しなければならない。
(6) 外観は,7.に適合しなければならない。
(7) 健全性は,8.に適合しなければならない。
(8) 鋳鋼管は,検査前に塗装その他検査の妨げとなるどのような処理も行ってはならない。
13. 表示 検査に合格した鋳鋼管の表示は,JIS G 0307の6.(表示)による。
14. 報告 報告は,JIS G 0307の7.(報告)による。
JIS G 5202改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
沖 進
横浜国立大学(名誉教授)
(委員)
相 馬 哲 夫
通商産業省機械情報産業局
池 田 要
工業技術院標準部
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
北 田 博 重
財団法人日本海事協会
八 木 作 彌
石川島播磨重工業株式会社
久 松 定 興
いすゞ自動車株式会社
岩 崎 邑 一
岡野バルブ製造株式会社行橋工場
有 井 満
株式会社東芝
小笠原 静 夫
社団法人日本鉄道車輌工業会
○ 川 上 正 夫
株式会社日立製作所勝田工場
柳 澤 福
三菱重工業株式会社
○ 辻 本 信 行
株式会社神戸製鋼所高砂鋳鍛鋼工場
○ 松 井 正 毅
株式会社クボタ枚方製造所
○ 松 尾 国 彦
株式会社栗本鉄工所加賀屋工場
○ 大 屋 武 夫
ステンレス協会
○ 伊 藤 乾 二
日本ステンレス株式会社
○ 津 村 治
株式会社日本製鋼所室蘭製作所
○ 柳 田 顕 一
日本鋳造株式会社
△ 対 馬 謙 一
大同特殊鋼株式会社築地工場
(事務所)
佐 藤 克 郎
日本鋳鍛鋼会
備考 ○印は委員会及び幹事会委員,△印は幹事会委員だけ。