G 4110:2015
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類及び記号並びに適用厚さ ······························································································ 2
4 製造方法························································································································· 2
4.1 製造方法 ······················································································································ 2
4.2 熱処理及び熱処理の記号 ································································································· 2
5 化学成分························································································································· 3
5.1 溶鋼分析値 ··················································································································· 3
5.2 製品分析値 ··················································································································· 3
6 機械的性質 ······················································································································ 4
6.1 降伏点又は耐力,引張強さ,伸び,絞り及び曲げ性 ······························································ 4
6.2 シャルピー吸収エネルギー ······························································································ 4
7 形状,寸法,質量及びその許容差 ························································································ 5
8 外観······························································································································· 5
9 試験······························································································································· 5
9.1 分析試験 ······················································································································ 5
9.2 機械試験 ······················································································································ 5
10 検査 ····························································································································· 6
11 再検査 ·························································································································· 6
12 表示 ····························································································································· 7
13 報告 ····························································································································· 7
附属書JA(規定)表3及び表4に規定していない合金元素の上限値 ·············································· 8
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
G 4110:2015
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS G 4110:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
G 4110:2015
高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼及び
クロムモリブデンバナジウム鋼鋼板
High strength chromium-molybdenum and
chromium-molybdenum-vanadium alloy steel plates for pressure vessels
under high-temperature service
序文
この規格は,2011年に第3版として発行されたISO 9328-1及びISO 9328-2を基とし,技術的内容を変
更して作成した日本工業規格である。
この規格は,ASTM A542及びASTM A832に準拠して1993年に制定されたが,ASTMの規定内容がISO
9328-2に反映されたことから,今回,ASTM A542,ASTM A832及びISO 9328-2の改正に対応して,化学
成分規定の改正を行った。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,高温で使用される圧力容器に用いる,高強度のクロムモリブデン鋼及びクロムモリブデン
バナジウム鋼の熱間圧延鋼板(以下,鋼板という。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 9328-1:2011,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions−Part 1:
General requirements
ISO 9328-2:2011,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions−Part 2:
Non-alloy and alloy steels with specified elevated temperature properties(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0321 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0415 鋼及び鋼製品−検査文書
2
G 4110:2015
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JIS G 3193 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法
3
種類及び記号並びに適用厚さ
鋼板の種類は3種類とし,その種類の記号及び適用厚さは,表1による。
表1−種類の記号及び適用厚さ
単位 mm
種類の記号
適用厚さ
SCMQ4E
6以上 300以下
SCMQ4V
SCMQ5V
4
製造方法
4.1
製造方法
鋼板は,キルド鋼から製造する。
4.2
熱処理及び熱処理の記号
4.2.1
熱処理
4.2.1.1
鋼板の熱処理
鋼板は,焼入焼戻し又は焼ならし焼戻しのいずれかの熱処理を行う。鋼板の熱処理は,次による。
a) SCMQ4Eの鋼板は,焼入焼戻しを行う。SCMQ4V及びSCMQ5Vの鋼板は,焼ならし焼戻しを行う。
ただし,受渡当事者間の協定によって,SCMQ4Eについては焼ならし焼戻し,SCMQ4V及びSCMQ5V
については,焼入焼戻しとしてもよい。
b) 鋼板の熱処理温度は,表2による。
c) a) の熱処理を注文者が行う場合,鋼板は,指定のない限り圧延のままとし,圧延後に応力除去焼なま
しを行う。
d) 注文者が実施する焼戻し又は溶接後熱処理の温度が表2の焼戻し温度による場合,製造業者は,表2
の温度以下で焼戻しをしてもよい。ただし,その場合の焼戻し温度は,SCMQ4Eについては595 ℃以
上,SCMQ4V及びSCMQ5Vについては625 ℃以上とする。
表2−鋼板の熱処理温度
単位 ℃
種類の記号
焼入温度又は
焼ならし温度
焼戻し温度
SCMQ4E
900以上
620以上
SCMQ4V
675以上
SCMQ5V
4.2.1.2
熱処理の指示
熱処理の指示は,次による。
3
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a) 注文者は,注文書に製造業者が行う鋼板の熱処理,及び必要な場合には試験片の熱処理条件及び熱処
理回数を明示する。
b) 4.2.1.1 c) 及びd) によって注文者が鋼板の熱処理を行う場合には,その旨を注文書で指示し,かつ,
製造業者が行う試験片の熱処理条件を明示する。
4.2.1.3
試験片の熱処理
試験片の熱処理は,鋼板から採取した供試材の状態で行い,試験片は,熱処理後の供試材から採取する。
4.2.2
熱処理の記号
注文書などに記入する鋼板及び試験片の熱処理を示す記号は,次による。
a) 鋼板に焼ならし焼戻しを行う場合
NT
b) 鋼板に焼入焼戻しを行う場合
Q
c) 鋼板に応力除去焼なましを行う場合
P
d) 試験片の熱処理として焼ならし焼戻しを行う場合
TNT
e) 試験片の熱処理として焼入焼戻しを行う場合
TQ
f)
試験片に溶接後熱処理に相当する熱処理を行う場合
SR
例 SCMQ4V NTSR
SCMQ4Vの鋼板に焼ならし焼戻しを行い,更に試験片に溶接後熱処理に
相当する熱処理を行う場合
SCMQ5V PTNT2SR SCMQ5Vの鋼板に応力除去焼なましを行い,更に試験片に焼ならし焼戻
しを行った後,溶接後熱処理に相当する熱処理を2回行う場合
5
化学成分
5.1
溶鋼分析値
鋼板は,9.1の試験を行い,その溶鋼分析値は,表3による。
表3−化学成分(溶鋼分析値)a)
単位 %
種類の
記号
C
Si
Mn
P
S
Cr
Mo
V
SCMQ4E
0.17以下
0.50以下
0.30〜0.60
0.015以下
0.015以下
2.00〜2.50
0.90〜1.10
0.03以下
SCMQ4V
0.10以下
0.010以下
0.25〜0.35
SCMQ5V
2.75〜3.25
0.20〜0.30
注a) 必要に応じて,この表以外の合金元素を添加してもよい。その場合の合金元素の上限値は,表JA.1による。
5.2
製品分析値
注文者の要求によって鋼板の製品分析を行う場合には,9.1の試験を行い,その製品分析値は,表4によ
る。
4
G 4110:2015
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表4−化学成分(製品分析値)a)
単位 %
種類の
記号
C
Si
Mn
P
S
Cr
Mo
V
SCMQ4E
0.17以下
0.55以下
0.27〜0.63
0.015以下
0.015以下
1.88〜2.62
0.85〜1.15
0.04以下
SCMQ4V
0.13以下
0.23〜0.37
SCMQ5V
2.63〜3.37
0.18〜0.33
注a) 必要に応じて,この表以外の合金元素を添加した場合の合金元素の上限値は,表JA.2による。
6
機械的性質
6.1
降伏点又は耐力,引張強さ,伸び,絞り及び曲げ性
鋼板は,9.2の試験を行い,その降伏点又は耐力,引張強さ,伸び,絞り及び曲げ性は,表5による。
なお,曲げ性の場合は,曲げ試験片の外側にき裂を生じてはならない。
注記 曲げ性の試験の実施については,9.2.1を参照。
表5−降伏点又は耐力,引張強さ,伸び,絞り及び曲げ性
種類の
記号
降伏点
又は耐力
N/mm2
引張
強さ
N/mm2
伸びa)
%
絞り
%
引張
試験
片b) c)
曲げ性
曲げ角度
厚さ
mm
内側半径
180°
6以上
25以下
厚さの1.25倍
SCMQ4E
380以上
580〜
760
18以上 45以上
10号
25を超え50以下
厚さの1.50倍
SCMQ4V
415以上
50を超え150以下
厚さの1.75倍
SCMQ5V
150を超えるもの
厚さの2.00倍
注記 1 N/mm2=1 MPa
注a) 厚さ90 mmを超える鋼板の10号試験片の伸びは,厚さ12.5 mm又はその端数を増すごとに,この表の伸び
の値から0.5を減じる。ただし,減じる限度は,3とする。
b) 鋼板の厚さが薄いため,10号試験片が採れない場合は,標点距離を平行部径の4倍とした10号相似試験片を
用いる。
c) 厚さ6 mm以上20 mm以下の鋼板は,1A号試験片を用いてもよい。この場合,伸びを測定するための標点距
離は,50 mmとし,破断部を含んで測定する。1A号試験片を用いる場合の絞りは,この表の値から5を減じ
る。
6.2
シャルピー吸収エネルギー
厚さ12 mmを超える鋼板は,9.2の試験を行い,そのシャルピー吸収エネルギーは,表6による。
表6−シャルピー吸収エネルギー
種類の記号
試験温度a)
℃
シャルピー吸収エネルギー
J
試験片及び
試験片採取方向
3個の試験片の平均値
個々の試験片の値
SCMQ4E
−18
54以上
47以上
Vノッチ試験片
圧延直角方向
SCMQ4V
SCMQ5V
注a) 受渡当事者間の協定によって,この試験温度より低い温度で試験を行う場合は,その試験温度に
置き換えてもよい。
5
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7
形状,寸法,質量及びその許容差
鋼板の形状,寸法,質量及びその許容差は,JIS G 3193による。ただし,鋼板の長さの許容差及びカッ
トエッジの場合の幅の許容差は,特に指定がない限りJIS G 3193の許容差Aとする。厚さの許容差は,表
7による。
表7−厚さの許容差
単位 mm
厚さ
幅a)
1 600未満
1 600以上
2 000未満
2 000以上
2 500未満
2 500以上
3 150未満
3 150以上
4 000未満
4 000以上
5 000未満
6.00以上 6.30未満
+0.75
+0.95
+0.95
+1.25
+1.25
−
6.30以上 10.0未満
+0.85
+1.05
+1.05
+1.35
+1.35
+1.55
10.0以上 16.0未満
+0.85
+1.05
+1.05
+1.35
+1.35
+1.75
16.0以上 25.0未満
+1.05
+1.25
+1.25
+1.65
+1.65
+1.95
25.0以上 40.0未満
+1.15
+1.35
+1.35
+1.75
+1.75
+2.15
40.0以上 63.0未満
+1.35
+1.65
+1.65
+1.95
+1.95
+2.35
63.0以上 100未満
+1.55
+1.95
+1.95
+2.35
+2.35
+2.75
100以上 160未満
+2.35
+2.75
+2.75
+3.15
+3.15
+3.55
160以上 200未満
+2.95
+3.35
+3.35
+3.55
+3.55
+3.95
200以上 250未満
+3.35
+3.55
+3.55
+3.75
+3.75
+4.15
250以上 300以下
+3.75
+3.95
+3.95
+4.15
+4.15
+4.75
マイナス側の許容差は0.25 mmとする。受渡当事者間の協定によって,マイナス側の許容差を0 mmと
した場合のプラス側の許容差は,この表の数値に0.25 mmを加えたものとする。
注a) 幅5 000 mm以上の場合の許容差は,受渡当事者間の協定による。
8
外観
鋼板の外観は,JIS G 3193の箇条7(外観)による。ただし,溶接補修を行うときは,注文者の承認を
得なければならない。
9
試験
9.1
分析試験
分析試験は,次による。
a) 分析試験の一般事項及び溶鋼分析用試料の採り方は,JIS G 0404の箇条8(化学成分)による。
b) 製品分析用試料の採り方は,JIS G 0321の箇条4(分析用試料採取方法)による。ただし,供試材は,
破断後の引張試験片を用いてもよい。
c) 溶鋼分析方法は,JIS G 0320による。製品分析方法は,JIS G 0321による。
9.2
機械試験
9.2.1
試験一般
機械試験の一般事項は,JIS G 0404の箇条7(一般要求)及び箇条9(機械的性質)による。ただし,供
試材の採り方は,4.2.1.3によって試験片熱処理を行う場合も含めて,JIS G 0404の7.6(試験片採取条件及
び試験片)のA類とし,試験片の数,採取方向及び採取位置は,次による。
なお,曲げ試験は,省略してもよい1)。ただし,特に注文者の指定がある場合には,試験を行わなけれ
ばならない。
6
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注1) 試験は,製造業者の判断によって省略してもよいが,曲げ性は規定を満足しなければならない
ことを意味する。
a) 引張試験片及び曲げ試験片の数並びに採取方向 同一スラブ又は同一鋼塊から直接圧延し,同一熱処
理条件ごとの鋼板を一括して試験単位とし,最終圧延方向に直角に引張試験片及び曲げ試験片をそれ
ぞれ1個採取する。
b) 衝撃試験片の数及び採取方向 同一スラブ又は同一鋼塊から直接圧延し,同一熱処理条件ごとの鋼板
を一括して試験単位とし供試材1個を採取し,これから試験片3個を最終圧延方向に直角に採取する。
c) 引張試験片及び曲げ試験片の採取位置 試験片の中心は,板幅の1/4又はそれに近い位置とする。引
張試験片に10号試験片を用いる場合は,更に鋼板の表面から厚さの1/4とする。ただし,厚さの1/4
の位置に採れない場合には,それに近い位置とする。
d) 衝撃試験片の採取位置 試験片の中心は,表面から厚さの1/4の位置で,かつ,鋼板の幅の1/4又は
それに近い位置とする。ただし,厚さの1/4の位置に採れない場合には,それに近い位置とする。
9.2.2
試験片
引張試験片,曲げ試験片及び衝撃試験片は,次による。
a) 引張試験片は,JIS Z 2241の1A号又は10号試験片による。
b) 曲げ試験片は,JIS Z 2248の1号試験片による。
c) 衝撃試験片は,JIS Z 2242のVノッチ試験片による。
9.2.3
試験方法
引張試験,曲げ試験及び衝撃試験の方法は,次による。
a) 引張試験の方法は,JIS Z 2241による。
b) 曲げ試験の方法は,JIS Z 2248による。
c) 衝撃試験の方法は,JIS Z 2242による。
注記 この規格に規定する以外の試験として,受渡当事者間の協定によってJIS G 0560(鋼のサルフ
ァプリント試験方法)のサルファプリント試験及びJIS G 0801(圧力容器用鋼板の超音波探傷
検査方法)などの非破壊試験が行われることがある。この場合,事前に試験片の採り方,試験
方法,合否判定基準などについて,受渡当事者間で協定される。
10
検査
検査は,次による。
a) 検査の一般事項は,JIS G 0404による。
b) 化学成分は,箇条5に適合しなければならない。
c) 機械的性質は,箇条6に適合しなければならない。
d) 形状,寸法,質量及びその許容差は,箇条7に適合しなければならない。
e) 外観は,箇条8に適合しなければならない。
11
再検査
再検査は,次による。
a) 引張試験及び曲げ試験で合格にならなかった鋼板は,JIS G 0404の9.8(再試験)によって再試験を行
って,合否を決定してもよい。
b) 衝撃試験で合格にならなかった鋼板は,3個の試験片の平均値が規定値の85 %以上で,個々の試験値
7
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が表6の規定値に2個以上合格の場合は,同一供試材の最初に試験片を採った近くから更に3個の試
験片を採取して再試験を行い,合否を決定してもよい。この場合,6個の試験片の平均値及び再試験
の3個の個々の試験値が,表6に適合する場合,合格とする。
c) 試験で合格とならなかった鋼板は,熱処理又は再熱処理を行った後,改めて試験を行い,合否を決定
してもよい。
12
表示
検査に合格した鋼板は,鋼板ごとに次の項目を適切な方法で表示する。
a) 種類の記号及び4.2.2の熱処理の記号
b) 溶鋼番号又は検査番号
c) 寸法。寸法の表示は,JIS G 3193の箇条3(寸法の表し方)による。
d) 製造業者名又はその略号
13
報告
製造業者は,検査文書を注文者に提出しなければならない。報告は,JIS G 0404の箇条13(報告)によ
る。ただし,注文時に特に指定がなければ,検査文書の種類は,JIS G 0415の表1(検査文書の総括表)
の記号3.1(検査証明書3.1)とする。
なお,化学成分は,表3及び表4の注a) によった場合は,添加した全ての元素の含有率を成績表に付記
する。
8
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附属書JA
(規定)
表3及び表4に規定していない合金元素の上限値
JA.1 表3に規定していない合金元素の溶鋼分析値
表3に規定していない合金元素の溶鋼分析値の上限値は,表JA.1による。
表JA.1−表3に規定していない合金元素の溶鋼分析値の上限値
単位 %
種類の記号
化学成分
Cu
Ni
Nb
Ti
B
Ca
La+Ce
SCMQ4E
0.40
0.40
0.02
−
0.001 0
−
−
SCMQ4V
0.40
0.40
0.07
0.035
0.003
0.015
0.015
SCMQ5V
JA.2 表4に規定していない合金元素の製品分析値
表4に規定していない合金元素の製品分析値の上限値は,表JA.2による。ただし,製品分析は,注文者
の要求がある場合に適用する。
表JA.2−表4に規定していない合金元素の製品分析値の上限値
単位 %
種類の記号
化学成分
Cu
Ni
Nb
Ti
B
Ca
La+Ce
SCMQ4E
0.43
0.43
0.02
−
0.001 5
−
−
SCMQ4V
0.43
0.43
0.08
0.045
0.003
0.015
0.015
SCMQ5V
9
G 4110:2015
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附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS G 4110:2015 高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼及びクロムモリブデン
バナジウム鋼鋼板
ISO 9328-1:2011,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery
conditions−Part 1: General requirements
ISO 9328-2:2011,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery
conditions−Part 2: Non-alloy and alloy steels with specified elevated temperature
properties
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
高温圧力容器用高
強度クロムモリブ
デン鋼及びクロム
モリブデンバナジ
ウム鋼鋼板
ISO
9328-1
ISO
9328-2
1
高温用の圧力容器用高強
度クロムモリブデン鋼及
びクロムモリブデンバナ
ジウム鋼鋼板
変更
適用鋼種について,ISO規格は
合金鋼について,多くの鋼種を
一つの規格内に規定。JISは,
この規格にはクロムモリブデ
ン鋼及びクロムモリブデンバ
ナジウム鋼だけを規定。
規格体系の相違。日本は,米国
ASMEの体系と同じ。本質的な問
題ではないこと,また,この体系
の変更は,強制法規・技術基準に
大きく影響するため,当面は静観
する。
2 引用規
格
3 種類及
び記号並
びに適用
厚さ
3種類を規定
ISO
9328-2
4.2
欧州タイプ16種類,日米
タイプ15種類を規定
変更
ISO規格は,JISの鋼種を含む
31種類を規定。
圧力容器の技術基準は,世界的に
みて,ASME及び欧州基準の2種
類が主流。ISO規格は,双方に対
応できる共存規格にしたものな
ので,JISでは,必要な鋼種だけ
とした。
4 製造方
法
キルド鋼。熱処理
は,焼入焼戻し又は
焼ならし焼戻し。
ISO
9328-1
ISO
9328-2
8.1
6.2
キルド鋼
熱処理は,焼入焼戻し又
は焼ならし焼戻し。
一致
追加
JISとISO規格との対応鋼種
は,同等。
JISでは焼戻し温度を規定。
製造方法は,キルド鋼を明記して
ISO規格と整合。熱処理は,JIS
では焼戻し温度を規定するなど,
より明確な規定となっている。
5
G
4
11
0
:
2
0
1
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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G 4110:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 化学成
分
溶鋼分析値,製品分
析値を規定
ISO
9328-2
6.3
溶鋼分析値,製品分析値
を規定
変更
ISO規格は,JISを包含する規
定内容になっている。
主要元素及び特性との結び付き
が強い元素の規定はほぼ同等で
ある。JISでは,その他の元素を
附属書で規定した。
6 機械的
性質
常温引張特性,衝撃
特性及び曲げ特性
について規定
ISO
9328-2
6.4
欧州タイプの鋼材は,常
温引張特性,高温引張特
性及び衝撃特性を,日米
タイプの鋼材は,常温引
張特性及び衝撃特性を規
定。
追加
対応する鋼種で比較するとJIS
は,曲げ特性も規定している。
使用者の要求に基づいて,JISは,
従来から規定している曲げ特性
要求も保持している。要求性能と
して規定し,試験は省略できると
した現行を踏襲する。
7 形状,寸
法,質量及
びその許
容差
JIS G 3193による。
ただし,板厚マイナ
ス許容差は,−0.25
mm。
ISO
9328-1
4
受渡当事者間で協定。協
定の際,ISO 7452を参照。
変更
JIS G 3193とISO 7452とは,
整合。ただし,板厚マイナス許
容差は,ISO規格は,0.30 mm
で相違。
板厚マイナス許容差は,国内実
績,法規・技術基準の動向を見て
対応する。
8 外観
JIS G 3193による。 ISO
9328-1
8.5
ISO 7788による。
変更
ISO規格は,選択肢として表面
きず除去部の局部的な板厚不
足を認めているが,JISは認め
ていない。
現行の板厚不足を認めない規定
を踏襲する。
9 試験
分析試験,機械試験
を規定
ISO
9328-1
11
分析試験,機械試験,高
温引張試験を規定
変更
JISは,高温引張試験を規定し
ていない。JISは,この試験を
適用しないAnnex Bの鋼材と
整合。
ISO規格は,JISと他国との基準
を併存した規格となっているた
め現行どおりとする。
10 検査
規格に規定した試
験項目について検
査。
ISO
9328-1
9
規格に規定した試験項目
について検査。
変更
JISは,高温引張試験の検査を
規定していない。
ISO規格は,JISとの共存規格と
なっており現行どおりとする。
11 再検査
ISO
9328-1
9.3
一致
12 表示
種類の記号,溶鋼番
号,寸法,製造業者
名など表示
ISO
9328-1
12
種類の記号,製造業者名
を表示。これ以外は協定
又は製造業者の任意。
追加
JISは,溶鋼番号,熱処理の記
号及び寸法も表示。
ISO規格は,JISとの共存規格と
なっており現行どおりとする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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G 4110:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
13 報告
注文時に指定がな
ければ,JIS G 0415
の3.1。
ISO
9328-1
9.1
購入者の指定に基づく検
査文書(3.1又は3.2)。
追加
必要に応じて添加した合金元
素の含有率報告を追加要求。
ISO規格は,JISとの共存規格と
なっており現行どおりとする。
附属書JA
(規定)
本体に規定してい
ない合金元素を附
属書で規定
ISO
9328-2
6.3
本体に規定
変更
規定内容は,ISO規格のAnnex
Bの規定と同等。
ISO規格は,JISとの共存規格と
なっており現行どおりとする。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 9328-1:2011,ISO 9328-2:2011,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。