G 3465:2019
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類の記号 ······················································································································ 1
4 製造方法························································································································· 1
5 化学成分························································································································· 2
6 機械的性質 ······················································································································ 2
7 寸法,質量及び寸法許容差 ································································································· 3
7.1 寸法及び単位質量 ·········································································································· 3
7.2 寸法の許容差 ················································································································ 4
8 外観······························································································································· 5
9 試験······························································································································· 5
9.1 分析試験 ······················································································································ 5
9.2 機械試験 ······················································································································ 6
9.3 その他の試験 ················································································································ 6
10 検査 ····························································································································· 6
10.1 検査 ··························································································································· 6
10.2 再検査 ························································································································ 6
11 表示 ····························································································································· 6
12 報告 ····························································································································· 7
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS G 3465:2014は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
G 3465:2019
試すい用継目無鋼管
Seamless steel tubes for drilling
1
適用範囲
この規格は,温泉,井戸,鉱山などの試掘又は採掘に用いる試すい用ケーシングチューブ,コアチュー
ブ及びボーリングロッドに用いる継目無鋼管(以下,管という。)について規定する。
注記 この規格は,主として,ケーシングチューブ用では外径43 mm〜142 mmの管に,コアチュー
ブ用では外径34 mm〜180 mmの管に,及びボーリングロッド用では外径33.5 mm〜50 mmの管
に適用されている。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0415 鋼及び鋼製品−検査文書
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
種類の記号
管は6種類とし,その種類の記号は,表1による。
表1−種類の記号及び製造方法を表す記号
種類の記号
製造方法を表す記号
製造方法を表す
記号の表示
適用
製管方法
仕上方法
STM-C540
継目無し:S
熱間仕上げ:H
冷間仕上げ:C
製造方法を表す
記号の表示は,箇
条11 b) による。
ケーシングチューブ用,
コアチューブ用
STM-C640
STM-R590
ボーリングロッド用
STM-R690
STM-R780
STM-R830
4
製造方法
製造方法は,次による。
a) 管は,表1に示す製管方法及び仕上方法の組合せによって製造する。製造方法を表す記号は,表1に
よる。
2
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b) 管は,熱間仕上げ又は冷間仕上げのままとし,必要な場合,適切な熱処理を行ってもよい。
c) 管端形状は,特に指定のない場合はプレンエンドとする。
5
化学成分
管は,9.1によって試験を行い,その溶鋼分析値は,表2による。ただし,必要に応じて表2に規定のな
い合金元素を添加してもよい。
表2−化学成分
単位 %
P
S
0.040以下
0.040以下
6
機械的性質
管は,9.2によって試験を行い,その引張強さ,降伏点又は耐力,及び伸びは,表3による。ただし,厚
さ8 mm未満の管で,12号試験片を用いて引張試験を行う場合の伸びは,表4による。
注記 表4は,管の厚さが8 mmから1 mm減じるごとに表3の伸びの値から1.5を減じたものを,JIS
Z 8401の規則Aによって整数値に丸めたものである。
表3−機械的性質
種類の記号
引張強さ
N/mm2
降伏点又は耐力a)
N/mm2
伸び
%
引張試験片
引張試験方向
11号試験片又は
12号試験片
管軸方向
STM-C540
540以上
−
18以上
STM-C640
640以上
−
16以上
STM-R590
590以上
375以上
18以上
STM-R690
690以上
440以上
16以上
STM-R780
780以上
520以上
15以上
STM-R830
830以上
590以上
10以上
注記 1 N/mm2=1 MPa
注a) 耐力は,Rt0.5(標点距離の伸びが0.5 %を示したときの応力)で表す。
3
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表4−厚さ8 mm未満の管の12号試験片の場合の伸び(管軸方向)
単位 %
種類の記号
厚さ
1 mm
を超え
2 mm
以下
2 mm
を超え
3 mm
以下
3 mm
を超え
4 mm
以下
4 mm
を超え
5 mm
以下
5 mm
を超え
6 mm
以下
6 mm
を超え
7 mm
以下
7 mm
を超え
8 mm
未満
STM-C540
9以上
10以上 12以上 14以上 15以上 16以上 18以上
STM-C640
7以上
8以上 10以上 12以上 13以上 14以上 16以上
STM-R590
9以上
10以上 12以上 14以上 15以上 16以上 18以上
STM-R690
7以上
8以上 10以上 12以上 13以上 14以上 16以上
STM-R780
6以上
8以上 9以上 10以上 12以上 14以上 15以上
STM-R830
1以上
2以上 4以上 6以上 7以上 8以上 10以上
7
寸法,質量及び寸法許容差
7.1
寸法及び単位質量
管の外径,内径,厚さ及び単位質量は,次のa),b) 及びc) による。ただし,受渡当事者間の協定によっ
て,表5,表6又は表7にない寸法としてもよい。この場合,単位質量は,1 cm3の鋼を7.85 gとし,次の
式によって求め,JIS Z 8401の規則Aによって有効数字3桁に丸める。
W=0.024 66 t (D−t)
ここに,
W: 管の単位質量(kg/m)
t: 管の厚さ(mm)
D: 管の外径(mm)
0.024 66: Wを求めるための単位の換算係数
注記 表5,表6及び表7の単位質量は,上記によって求めたものである。
a) ケーシングチューブ用の寸法及び単位質量は,表5による。
表5−寸法及び単位質量(ケーシングチューブ用)
呼び径
外径
mm
内径
mm
厚さ
mm
単位質量
kg/m
43
43
37
3.0
2.96
53
53
47
3.0
3.70
63
63
57
3.0
4.44
73
73
67
3.0
5.18
83
83
77
3.0
5.92
97
97
90
3.5
8.07
112
112
105
3.5
9.36
127
127
118
4.5
13.6
142
142
133
4.5
15.3
b) コアチューブ用の寸法及び単位質量は,表6による。
4
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表6−寸法及び単位質量(コアチューブ用)
呼び径
外径
mm
内径
mm
厚さ
mm
単位質量
kg/m
34
34
26.5
3.75
2.80
44
44
34.5
4.75
4.60
54
54
44.5
4.75
5.77
64
64
54.5
4.75
6.94
74
74
64.5
4.75
8.11
84
84
74.5
4.75
9.28
99
99
88.5
5.25
12.1
114
114
103.5
5.25
14.1
129
129
118.5
5.25
16.0
144
144
133.5
5.25
18.0
180
180
168
6.00
25.7
c) ボーリングロッド用の寸法及び単位質量は,表7による。
表7−寸法及び単位質量(ボーリングロッド用)
呼び径
外径
mm
内径
mm
厚さ
mm
単位質量
kg/m
33.5
33.5
23
5.25
3.66
40.5
40.5
31
4.75
4.19
42
42
32
5.0
4.56
50
50
37
6.5
6.97
7.2
寸法の許容差
寸法の許容差は,次による。
a) ボーリングロッド用の管の外径の許容差は表8,厚さの許容差は表9による。ただし,受渡当事者間
の協定によって表8及び表9以外の許容差としてもよい。ケーシングチューブ用及びコアチューブ用
の管の外径及び厚さの許容差は,受渡当事者間の協定による。
表8−外径の許容差(ボーリングロッド用)
区分
外径の許容差
1号
50 mm未満 ±0.5 mm
50 mm以上 ±1 %
2号
40 mm未満 ±0.2 mm
40 mm以上 ±0.5 %
熱間仕上げの場合は1号を,冷間仕上げの場合は2
号を適用する。
5
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表9−厚さの許容差(ボーリングロッド用)
単位 %
区分
厚さの許容差
1号
±10
2号
± 8
熱間仕上げの場合は1号を,冷間仕上げの場合
は2号を適用する。
b) 管の注文長さに対する許容差は,表10による。
表10−長さの許容差
単位 mm
区分
長さの許容差
長さ6 m以下
+10
0
長さ6 mを超えるもの
+15
0
c) 呼び径43以上83以下のケーシングチューブ用の管は,表11による管内通りゲージが支障なく通過し
なければならない。
表11−管内通りゲージ
単位 mm
呼び径
管内通りゲージ
外径
長さ
43以上83以下
管の内径−1.0
300
8
外観
外観は,次による。
a) 管は,実用的に真っすぐで,かつ,その両端が管軸に対して実用的に直角でなければならない。
b) 管の内外面は,仕上げ良好で,使用上有害な欠点があってはならない。
c) 表面を手入れする場合,グラインダ又は機械加工によってもよいが,手入れ後の製品厚さは,厚さの
許容差の範囲内でなければならない。
なお,溶接補修は,行ってはならない。
d) 手入れ跡は,管の形状に滑らかに沿っていなければならない。
9
試験
9.1
分析試験
9.1.1
一般事項及び分析用試料の採り方
分析試験の一般事項及び分析用試料の採り方は,JIS G 0404の箇条8(化学成分)による。
9.1.2
分析方法
溶鋼分析の方法は,JIS G 0320による。
6
G 3465:2019
9.2
機械試験
9.2.1
一般事項
機械試験の一般事項は,JIS G 0404の箇条7(一般要求)及び箇条9(機械的性質)による。ただし,機
械試験に供される供試材の採り方は,JIS G 0404の7.6(試験片採取条件及び試験片)のA類とする。
9.2.2
供試材の採り方及び試験片の数
供試材の採り方及び試験片の数は,同一寸法及び同時熱処理(熱処理を行う場合)の管100本ごと及び
その端数からそれぞれ一つの供試材を採取し,それぞれの供試材から,引張試験片1個を採取する。ここ
で,同一寸法とは,外径及び厚さが同一のものをいう。また,連続炉を用いる場合の同時熱処理とは,同
一熱処理条件での連続した熱処理をいい,連続炉を停止した場合は,停止後の熱処理は同時熱処理に含ま
ない。試験の対象とする同一寸法の管が全て同一溶鋼である場合には,同時熱処理に代えて,同一熱処理
条件としてもよい。
9.2.3
引張試験
引張試験片及び引張試験方法は,次による。
a) 試験片及び試験片採取方向 試験片は,JIS Z 2241の11号,12A号,12B号又は12C号試験片のいず
れかとし,管軸方向から採取する。
b) 試験方法 試験方法は,JIS Z 2241による。
9.3
その他の試験
注文者は,ボーリングロッド用の管について水圧試験又は日本工業規格による非破壊試験を指定しても
よい。水圧試験又は非破壊試験を行う場合は,管1本ごとに行う。ただし,合否判定基準は,あらかじめ
受渡当事者間で協定しなければならない。
10
検査
10.1
検査
検査は,次による。
a) 検査の一般事項は,JIS G 0404による。
b) 化学成分は,箇条5に適合しなければならない。
c) 機械的性質は,箇条6に適合しなければならない。
d) 寸法は,箇条7に適合しなければならない。
e) 外観は,箇条8に適合しなければならない。
f)
その他の検査。注文者の指定によって,9.3の試験を行った場合には,受渡当事者間の協定による合否
判定基準に適合しなければならない。
10.2
再検査
引張試験で合格とならなかった管は,JIS G 0404の9.8(再試験)の再試験を行って合否を決定してもよ
い。
11
表示
検査に合格した管には,管ごとに,次の項目を表示しなければならない。ただし,外径が小さく管ごと
の表示が困難な場合及び注文者の要求がある場合は,これを結束して一束ごとに適切な方法で表示しても
よい。表示の順序は定めない。また,注文者の承認を得たときは,製品識別が可能な範囲で項目の一部を
省略してもよい。
7
G 3465:2019
a) 種類の記号
b) 製造方法を表す記号:
製造方法を表す記号は,次による。ただし,−は空白でもよい。
1) 熱間仕上継目無鋼管 −S−H
2) 冷間仕上継目無鋼管 −S−C
例 熱間仕上継目無鋼管STM-C540の場合:STM-C540−S−H
c) 寸法。寸法は,特に指定がない場合,外径(又は呼び径)及び厚さを表示する。
d) 製造業者名又はその略号
12
報告
製造業者は,検査文書を注文者に提出しなければならない。報告は,JIS G 0404の箇条13(報告)によ
る。検査文書の種類は,注文時に特に指定がない場合,JIS G 0415の5.1(検査証明書3.1)による。