G 3138:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日本鉄
鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS G 3138:1996は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 3138:2005
建築構造用圧延棒鋼
Rolled steel bars for building structure
1. 適用範囲 この規格は,主に建築構造物に用いる熱間圧延棒鋼(1)(以下,棒鋼という。)について規
定する。
注(1) 棒鋼には,丸鋼,角鋼,バーインコイルを含む。
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
3. 種類及び記号 棒鋼の種類は,3種類とし,その記号は,表1による。
表 1 種類の記号
単位 mm
種類の記号
適用径又は対辺距離
SNR 400A
6以上 100以下
SNR 400B
SNR 490B
4. 化学成分 棒鋼は,10.1によって試験を行い,その溶鋼分析値は,表2による。
表 2 化学成分
単位 %
種類の記号
径又は対辺距離
C
Si
Mn
P
S
SNR 400A
6 mm以上
100 mm以下
0.24以下
―
―
0.050以下
0.050以下
SNR 400B
6 mm以上
50 mm以下
0.20以下
0.35以下
0.60〜1.40
0.030以下
0.030以下
50 mmを超え
100 mm以下
0.22以下
SNR 490B
6 mm以上
50 mm以下
0.18以下
0.55以下
1.60以下
0.030以下
0.030以下
50 mmを超え
100 mm以下
0.20以下
備考1. 必要に応じて,表2以外の合金元素を添加してもよい。
2. 表2以外の化学成分のうち,5.で規定する炭素当量又は溶接割れ感受性組成の計算式に含ま
れる成分については,10.1の試験を行う。
2
G 3138:2005
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5. 炭素当量又は溶接割れ感受性組成 棒鋼の炭素当量又は溶接割れ感受性組成は,次による。
a) 炭素当量は,表3による。炭素当量の計算は,10.1の溶鋼分析値を用い,次の式による。
なお,計算式中の化学成分は,添加の有無にかかわらず,計算に用いる。
14
V
4
Mo
5
Cr
40
Ni
24
Si
6
Mn
C
eq
+
+
+
+
+
+
=
C
ここに, Ceq:炭素当量(%)
表 3 炭素当量
単位 %
種類の記号
径又は対辺距離
(mm)
40以下
40を超え
100以下
SNR 400B
0.36以下
0.36以下
SNR 490B
0.44以下
0.46以下
b) 受渡当事者間の協定によって,炭素当量の代わりに溶接割れの感受性組成を適用してもよい。この場
合の溶接割れ感受性組成は,表4による。溶接割れ感受性組成の計算は,10.1の溶鋼分析値を用い,
次の式による。
なお,計算式中の化学成分は,添加の有無にかかわらず,計算に用いる。
5B
10
V
15
Mo
20
Cr
60
Ni
20
Cu
20
Mn
30
Si
C
CM
+
+
+
+
+
+
+
+
=
P
ここに,PCM:溶接割れ感受性組成(%)
表 4 溶接割れ感受性組成
単位 %
種類の記号
溶接割れ感受性組成
SNR 400B
0.26以下
SNR 490B
0.29以下
6. 機械的性質
6.1
降伏点又は耐力,引張強さ,降伏比及び伸び 棒鋼は,10.2によって試験を行い,その降伏点又は
耐力,引張強さ,降伏比及び伸びは,表5による。
3
G 3138:2005
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表 5 降伏点又は耐力,引張強さ,降伏比及び伸び
種類の記号
降伏点又は耐力
引張強さ
降伏比
伸び %
N/ mm2
%
2号
試験片
14 A号
試験片
径又は対辺距離 mm
N/ mm2
径又は対辺距離 mm
径又は対辺距離 mm
6以上
12未満
12以上
40以下
40を超え
100以下
6以上
12未満
12以上
100以下
6以上
25以下
25を超え
100以下
SNR 400A
235以上 235以上
215以上
400以上
―
―
20以上
22以上
SNR 400B
235以上 235以上
215以上
510以下
―
80以下
21以上
22以上
355以下
335以下
SNR 490B
325以上 325以上
295以上
490以上
―
80以下
20以上
21以上
445以下
415以下
610以下
備考1. 受渡当事者間の協定によって,14 A号試験片の代わりに4号試験片を用いて試験をしてもよ
い。この場合の伸びは,受渡当事者間の協定による。
2. 1N/mm2 = 1 MPa
6.2
シャルピー吸収エネルギー 径又は対辺距離が16 mmを超える棒鋼は,10.2によって試験を行い,
そのシャルピー吸収エネルギーは,表6による。この場合,シャルピー吸収エネルギーは,3個の試験片
の平均値とし,JIS G 0404の9.6(組試験の結果の評価)によって判定する。
表 6 シャルピー吸収エネルギー
種類の記号
試験温度
℃
シャルピー吸収エネルギー
J
試験片
SNR 400B
0
27以上
Vノッチ
SNR 490B
圧延方向
7. 形状,寸法,質量及びその許容差 棒鋼の形状,寸法,質量及びその許容差は,JIS G 3191による。
ただし,径又は対辺距離の許容差は,表7による。
なお,JIS G 3191の標準寸法以外の寸法は,受渡当事者間の協定による。
表 7 径又は対辺距離の許容差
単位 mm
径又は対辺距離
許容差
6以上16以下
+0.5
−0.3
16を超え32以下
+0.7
−0.3
32を超え63以下
+1.1
−0.5
63を超え100以下
+1.8
−0.5
8. 外観 棒鋼の外観は,JIS G 3191の9.(外観)による。
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G 3138:2005
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9. 熱処理及び記号
9.1
熱処理 棒鋼には,受渡当事者間の協定によって,焼ならし,焼戻し又は適切な熱処理を行っても
よい。
9.2
熱処理の記号 棒鋼に熱処理を行った場合,熱処理を示す記号は,次による。
なお,次によって熱処理の記号を付記する場合は,表1の種類の記号の末尾に付記する。
a) 協定によって,棒鋼に焼ならしを行う場合
N
b) 協定によって,棒鋼に焼戻しを行う場合
T
c) 棒鋼にa)及びb)以外の適切な熱処理を行う場合
協定による
10. 試験
10.1 分析試験
10.1.1 分析試験の一般事項及び分析試料の採り方 棒鋼の化学成分は,溶鋼分析によって求め,分析試験
の一般事項及び分析試料の採り方は,JIS G 0404の8.(化学成分)による。
10.1.2 分析方法 分析方法は,JIS G 0320による。
10.2 機械試験
10.2.1 機械試験の一般事項 機械試験の一般事項は,JIS G 0404の9.(機械的性質)による。ただし,供
試材の採り方は,JIS G 0404の7.6(試験片採取条件及び試験片)のA類とし,試験片の数及び採取位置
は,次による。
a) 引張試験片の数 引張試験片の数は,次による。
1) 同一溶鋼に属し,最大径又は最大対辺距離が,最小径又は最小対辺距離の2倍以内のものを一括し
て一組とし,引張試験片を1個採取する。ただし,一組の質量が50 tを超える場合は,引張試験片
を2個採取する。
2) 熱処理を行った棒鋼の試験片の数は,同一溶鋼及び同一断面形状に属し,同一熱処理条件ごとに,1)
による。
b) 衝撃試験片の数 熱処理を行わない棒鋼は,同一溶鋼及び同一断面形状に属する棒鋼について,熱処
理を行う棒鋼は,同一溶鋼,同一断面形状及び同一熱処理条件に属する棒鋼について,その最大径の
棒鋼から供試材1個を採り,これから試験片を圧延方向に3個採取する。
c) 試験片の採取位置 引張試験片の採取位置は,JIS G 0416による。衝撃試験片の採取位置は,試験片
の中心を,径又は対角距離の表面から1/4の位置とする。ただし,1/4の位置に採れない場合には,な
るべくこれに近い位置とする。
10.2.2 試験片 引張試験片及び衝撃試験片は,次による。
a) 引張試験片 JIS Z 2201の2号,14 A号又は4号試験片
b) 衝撃試験片 JIS Z 2242のVノッチ試験片
10.2.3 試験方法 引張試験及び衝撃試験の方法は,次による。
a) 引張試験方法 JIS Z 2241
b) 衝撃試験方法 JIS Z 2242
10.2.4 引張試験片が規定の寸法どおりに採れない場合の引張試験 引張試験片が規定の寸法どおりに採
れない場合の引張試験の実施又はその値などについては,受渡当事者間の協定による。
5
G 3138:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11. 検査
11.1 検査 検査は,次による。
a) 検査の一般事項は,JIS G 0404による。
b) 化学成分は,4.に適合しなければならない。
c) 炭素当量又は溶接割れ感受性組成は,5.に適合しなければならない。
d) 機械的性質は,6.に適合しなければならない。
e) 形状,寸法及び質量は,7.に適合しなければならない。
f)
外観は,8.に適合しなければならない。
11.2 再検査 再検査は,次による。
a) 引張試験で合格にならなかった棒鋼は,JIS G 0404の9.8(再試験)によって,再試験を行って合否を
決定してもよい。
b) 衝撃試験が,JIS G 0404の9.6(組試験の結果の評価)で不合格となった棒鋼は,JIS G 0404の9.8(再
試験)によって,再試験を行って合否を決定してもよい。
c) 機械試験で合格とならなかった棒鋼は,熱処理又は再熱処理を行った後,改めて機械試験を行い,合
否を判定してもよい。
12. 表示 検査に合格した棒鋼は,棒鋼ごと又は1結束ごとに,次の項目を適切な方法で表示する。
a) 種類の記号(熱処理の記号を含む。)
b) 溶鋼番号又は検査番号
c) 寸法
d) 製造業者名又はその略号
13. 報告 報告は,JIS G 0404の13.(報告)による。製造業者は,要求がある場合はJIS G 0415の表1
(検査文書の総括表)の記号2.3(受渡試験報告書)又は3.1.B(検査証明書3.1.B)を注文者へ提出しなけ
ればならない。
なお,表2の備考1.によった場合は,成績表に添加した元素の溶鋼分析値を付記する。
付表 1 引用規格
JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0404 鋼材の一般受渡条件
JIS G 0415 鋼及び鋼製品−検査文書
JIS G 0416 鋼及び鋼製品−機械試験用供試材及び試験片の採取位置並びに調製
JIS G 3191 熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状,寸法及び重量並びにその許容差
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法