G 3119:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類の記号及び適用厚さ ···································································································· 2
4 製造方法及び熱処理 ·········································································································· 2
4.1 製造方法 ······················································································································ 2
4.2 熱処理及び熱処理の記号 ································································································· 2
5 化学成分························································································································· 3
5.1 溶鋼分析値 ··················································································································· 3
5.2 製品分析値 ··················································································································· 3
6 機械的性質 ······················································································································ 3
7 形状,寸法,質量及びその許容差 ························································································ 5
8 外観······························································································································· 6
9 試験······························································································································· 6
9.1 分析試験 ······················································································································ 6
9.2 機械試験 ······················································································································ 6
10 検査 ····························································································································· 7
11 再検査 ·························································································································· 7
12 表示 ····························································································································· 7
13 報告 ····························································································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
G 3119:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS G 3119:2013は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
G 3119:2019
ボイラ及び圧力容器用マンガンモリブデン鋼及び
マンガンモリブデンニッケル鋼鋼板
Manganese-molybdenum and manganese-molybdenum-nickel alloy steel
plates for boilers and pressure vessels
序文
この規格は,2018年に第4版として発行されたISO 9328-1及びISO 9328-2を基とし,技術的内容を変
更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,中温から高温で使用されるボイラ及び圧力容器に用いるマンガンモリブデン鋼及びマンガ
ンモリブデンニッケル鋼の熱間圧延鋼板(以下,鋼板という。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 9328-1:2018,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions−Part 1:
General requirements
ISO 9328-2:2018,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions−Part 2:
Non-alloy and alloy steels with specified elevated temperature properties(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0321 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0415 鋼及び鋼製品−検査文書
JIS G 3193 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法
2
G 3119:2019
3
種類の記号及び適用厚さ
鋼板は,4種類とし,種類の記号及び適用厚さは,表1による。
表1−種類の記号及び適用厚さ
種類の記号
適用厚さ
mm
SBV1A
6以上 150以下
SBV1B
SBV2
SBV3
4
製造方法及び熱処理
4.1
製造方法
鋼板は,キルド鋼から製造する。
4.2
熱処理及び熱処理の記号
4.2.1
熱処理
4.2.1.1
鋼板の熱処理
鋼板の熱処理は,次による。
a) 厚さ50 mm以下の鋼板は,焼ならし,応力除去焼なまし,又は“焼ならし及び応力除去焼なまし”の
いずれかを行う。ただし,受渡当事者間の協定によって圧延のままとしてもよい。
b) 厚さ50 mmを超える鋼板は,焼ならしを行う。
c) 厚さ100 mm以上の鋼板は,規定の機械的性質を得るため,焼ならしにおいて加速冷却を行ってもよ
い。ただし,この場合は,焼ならし後595〜705 ℃の範囲で焼戻しを実施しなければならない。
d) 注文者の承認が得られれば,厚さ100 mm未満の鋼板の焼ならしにも鋼材のじん性を改善するために
加速冷却を適用してもよい。ただし,この場合は,焼ならし後595〜705 ℃の範囲で焼戻しを実施し
なければならない。
e) b) の焼ならしに代わる熱処理を注文者が行う場合には,鋼板は,受渡当事者間の協定によって圧延の
ままとするか,又は協定された熱処理を行う。
注記 この規格の鋼板は,圧延のままであると,鋼板が加工される直前までの過程で割れを生じる
おそれがあり,特に厚さ25 mm以上の場合は,応力除去焼なましの熱処理を行うなどの注意
が必要である。
4.2.1.2
試験片の熱処理
試験片の熱処理は,鋼板から採取した供試材の状態で行い,その後,熱処理を行った供試材から試験片
を採取する。熱処理は,4.2.1.3の熱処理の指示による。
4.2.1.3
熱処理の指示
熱処理の指示は,次による。
a) 注文者は,注文書によって製造業者が行う鋼板の熱処理の種類及び記号を指示し,また,必要な場合
には,試験片の熱処理条件及び回数を指示する。
b) 4.2.1.1 e) によって注文者が鋼板の熱処理を行う場合には,その旨を注文書で明示し,かつ,製造業者
が行う試験片の熱処理条件を指示する。
3
G 3119:2019
4.2.2
熱処理の記号
鋼板及び試験片の熱処理を示す記号は,次による。熱処理の記号は,表1の種類の記号の末尾に付記す
る。同じ熱処理を複数回行う場合は,その熱処理の記号の前に回数を付記する。
a) 鋼板に焼ならしを行う場合
N
b) 鋼板に応力除去焼なましを行う場合
P
c) 試験片の熱処理として焼ならしを行う場合
TN
d) 試験片の熱処理として溶接後熱処理に相当する熱処理を行う場合
SR
例 SBV2N
:鋼板に焼ならしを行う場合
SBV2NP
:鋼板に焼ならし及び応力除去焼なましを行う場合
SBV2NSR
:鋼板に焼ならしを行い,更に試験片の熱処理として溶接後熱処理に相当する熱
処理を行う場合
SBV2PTN
:鋼板に応力除去焼なましを行い,更に試験片の熱処理として焼ならしを行う場
合
SBV2PTNSR :鋼板に応力除去焼なましを行い,更に試験片の熱処理として焼ならし及び溶接
後熱処理に相当する熱処理を行う場合
SBV2TNSR :鋼板には熱処理を行わないで,試験片の熱処理として焼ならし及び溶接後熱処
理に相当する熱処理を行う場合
5
化学成分
5.1
溶鋼分析値
鋼板は9.1の試験を行い,その溶鋼分析値は,表2による。
5.2
製品分析値
鋼板の製品分析は,注文者の要求がある場合に9.1の試験を行い,その値は表3による。
6
機械的性質
鋼板は9.2の試験を行い,その降伏点又は耐力,引張強さ,伸び及び曲げ性は,表4による。
なお,曲げ性の場合は,曲げ試験片の外側にき裂を生じてはならない。
注記 曲げ性の試験の実施については,9.2.1を参照。
4
G 3119:2019
表2−化学成分(溶鋼分析値)
単位 %
種類の
記号
厚さ
C
Si
Mn
P
S
Cu
Ni
Cr
Mo
Nb a)
V a)
Ti a)
B
SBV1A
25 mm以下
0.20以下
0.15
〜
0.40
0.95
〜
1.30
0.020
以下
0.020
以下
0.40
以下
0.40
以下
0.30
以下
0.45
〜
0.60
0.02
以下
0.03
以下
0.03
以下
0.001 0
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV1B
25 mm以下
0.20以下
0.15
〜
0.40
1.15
〜
1.50
0.020
以下
0.020
以下
0.40
以下
0.40
以下
0.30
以下
0.45
〜
0.60
0.02
以下
0.03
以下
0.03
以下
0.001 0
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV2
25 mm以下
0.20以下
0.15
〜
0.40
1.15
〜
1.50
0.020
以下
0.020
以下
0.40
以下
0.40
〜
0.70
0.30
以下
0.45
〜
0.60
0.02
以下
0.03
以下
0.03
以下
0.001 0
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV3
25 mm以下
0.20以下
0.15
〜
0.40
1.15
〜
1.50
0.020
以下
0.020
以下
0.40
以下
0.70
〜
1.00
0.30
以下
0.45
〜
0.60
0.02
以下
0.03
以下
0.03
以下
0.001 0
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
注a) 受渡当事者間の協定によって,Nbは0.05 %以下,Vは0.10 %以下,Tiは0.05 %以下としてもよい。
表3−化学成分(製品分析値)
単位 %
種類の
記号
厚さ
C
Si
Mn
P
S
Cu
Ni
Cr
Mo
Nb a)
V a)
Ti a)
B
SBV1A
25 mm以下
0.20以下
0.13
〜
0.42
0.91
〜
1.35
0.020
以下
0.020
以下
0.43
以下
0.43
以下
0.34
以下
0.41
〜
0.64
0.03
以下
0.04
以下
0.04
以下
0.001 5
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV1B
25 mm以下
0.20以下
0.13
〜
0.42
1.10
〜
1.55
0.020
以下
0.020
以下
0.43
以下
0.43
以下
0.34
以下
0.41
〜
0.64
0.03
以下
0.04
以下
0.04
以下
0.001 5
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV2
25 mm以下
0.20以下
0.13
〜
0.42
1.10
〜
1.55
0.020
以下
0.020
以下
0.43
以下
0.37
〜
0.73
0.34
以下
0.41
〜
0.64
0.03
以下
0.04
以下
0.04
以下
0.001 5
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
SBV3
25 mm以下
0.20以下
0.13
〜
0.42
1.10
〜
1.55
0.020
以下
0.020
以下
0.43
以下
0.67
〜
1.03
0.34
以下
0.41
〜
0.64
0.03
以下
0.04
以下
0.04
以下
0.001 5
以下
25 mmを超え 50 mm以下
0.23以下
50 mmを超え 150 mm以下
0.25以下
注a) 受渡当事者間の協定によって,Nbは0.06 %以下,Vは0.11 %以下,Tiは0.05 %以下としてもよい。
3
G
3
11
9
:
2
0
1
9
5
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表4−機械的性質
種類の
記号
降伏点又
は耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸びa) b) c)
%
引張
試験片d)
曲げ性
曲げ
角度
厚さ
内側半径
SBV1A
315以上
520〜660
15以上
1A号
180°
25 mm以下 厚さの1.0倍
25 mmを超え 50 mm以下 厚さの1.25倍
19以上
10号
50 mmを超え 150 mm以下 厚さの1.5倍
SBV1B
345以上
550〜690
15以上
1A号
180°
25 mm以下 厚さの1.25倍
25 mmを超え 50 mm以下 厚さの1.5倍
18以上
10号
50 mmを超え 150 mm以下 厚さの1.75倍
SBV2
345以上
550〜690
17以上
1A号
180°
25 mm以下 厚さの1.25倍
25 mmを超え 50 mm以下 厚さの1.5倍
20以上
10号
50 mmを超え 150 mm以下 厚さの1.75倍
SBV3
345以上
550〜690
17以上
1A号
180°
25 mm以下 厚さの1.25倍
25 mmを超え 50 mm以下 厚さの1.5倍
20以上
10号
50 mmを超え 150 mm以下 厚さの1.75倍
注記 1 N/mm2=1 MPa
注a) 厚さ8 mm未満の鋼板の1A号試験片の伸びは,厚さ1 mm又はその端数を減じるごとにこの表の伸びの値か
ら1を減じる。
b) 厚さ90 mmを超える鋼板の10号試験片の伸びは,厚さ12.5 mm又はその端数を増すごとにこの表の伸びの
値から0.5を減じる。ただし,減じる限度は,3とする。
c) 厚さ6 mmを超え20 mm未満の鋼板の1A号試験片の伸びが,この表の規定下限値(%)から3を減じた値以
上の場合には,破断部を含む標点距離50 mmの伸びの値が25 %以上であれば,この表の規定にかかわらず合
格とする。
d) 厚さ50 mm以下の鋼板は1A号試験片,厚さ50 mmを超える鋼板は10号試験片を用いる。ただし,厚さ40 mm
を超えるものは10号試験片を用いてもよい。
7
形状,寸法,質量及びその許容差
鋼板の形状,寸法,質量及びその許容差は,JIS G 3193による。ただし,厚さの許容差は,表5による。
鋼板の長さの許容差及びカットエッジの場合の幅の許容差は,特に指定がない限りJIS G 3193の許容差A
とする。
6
G 3119:2019
表5−厚さの許容差a) b) c)
単位 mm
厚さ
幅
1 600未満
1 600以上
2 000未満
2 000以上
2 500未満
2 500以上
3 150未満
3 150以上
4 000未満
4 000以上
5 000未満
6.00以上
6.30未満
+0.75
+0.95
+0.95
+1.25
+1.25
−
6.30以上 10.0未満
+0.85
+1.05
+1.05
+1.35
+1.35
+1.55
10.0以上
16.0未満
+0.85
+1.05
+1.05
+1.35
+1.35
+1.75
16.0以上
25.0未満
+1.05
+1.25
+1.25
+1.65
+1.65
+1.95
25.0以上
40.0未満
+1.15
+1.35
+1.35
+1.75
+1.75
+2.15
40.0以上
63.0未満
+1.35
+1.65
+1.65
+1.95
+1.95
+2.35
63.0以上 100未満
+1.55
+1.95
+1.95
+2.35
+2.35
+2.75
100以上
150以下
+2.35
+2.75
+2.75
+3.15
+3.15
+3.55
注a) 厚さのマイナス側許容差は,0.25 mmとする。
b) 幅5 000 mm以上の場合の許容差は,受渡当事者間の協定による。
c) 受渡当事者間の協定によって,マイナス側の許容差を0 mmとした場合のプラス側の許容差は,この
表の数値に0.25 mmを加えた値とする。
8
外観
鋼板の外観は,JIS G 3193の箇条7(外観)による。ただし,溶接補修を行うときは,注文者の承認を
得なければならない。
9
試験
9.1
分析試験
分析試験は,次による。
a) 分析試験の一般事項及び溶鋼分析用試料の採り方は,JIS G 0404の箇条8(化学成分)による。
b) 製品分析用試料の採り方は,JIS G 0321の箇条4(製品分析用試料)による。ただし,供試材は,破
断後の引張試験片を用いてもよい。
c) 溶鋼分析方法は,JIS G 0320による。製品分析方法は,JIS G 0321による。
9.2
機械試験
9.2.1
試験一般
機械試験の一般事項は,JIS G 0404の箇条7(一般要求)及び箇条9(機械的性質)による。ただし,供
試材の採り方は,JIS G 0404の7.6(試験片採取条件及び試験片)のA類とし,試験片の数及び採取位置
は,次による。
なお,曲げ試験は,省略してもよい1)。ただし,特に注文者の指定がある場合には,試験を行わなけれ
ばならない。
注1) 試験は,製造業者の判断によって省略してもよいが,曲げ性は,規定を満足しなければならな
いことを意味する。
a) 引張試験片及び曲げ試験片の数及び採取方向 圧延のままの鋼板は,同一スラブ又は同一鋼塊から圧
延した鋼板を一括して試験単位とし,最終圧延方向に直角に,それぞれ1個採取する。熱処理を行っ
た鋼板は,同一スラブ又は同一鋼塊から圧延し,同一熱処理条件で熱処理した鋼板を一括して試験単
位とし,最終圧延方向に直角に,それぞれ1個採取する。
b) 引張試験片及び曲げ試験片の採取位置 試験片の中心は,板幅の1/4又はそれに近い位置とする。引
7
G 3119:2019
張試験片に10号試験片を用いる場合は,試験片の軸は,鋼板の表面から厚さの1/4とする。ただし,
厚さの1/4の位置に採れない場合には,それに近い位置とする。
9.2.2
試験片
引張試験片及び曲げ試験片は,次による。
a) 引張試験片は,JIS Z 2241の1A号又は10号試験片による。
b) 曲げ試験片は,JIS Z 2248の1号試験片による。
9.2.3
試験方法
引張試験及び曲げ試験の方法は,次による。
a) 引張試験の方法は,JIS Z 2241による。
b) 曲げ試験の方法は,JIS Z 2248による。曲げ角度及び内側半径は,表4による。
注記 この規格に規定する以外の試験として,受渡当事者間の協定によってJIS G 0560のサルファプ
リント試験,JIS G 0801などの非破壊試験が行われることがある。この場合,事前に試験片の
採り方,試験方法,合否判定基準などについて,受渡当事者間で協定される。
10 検査
検査は,次による。
a) 検査の一般事項は,JIS G 0404による。
b) 化学成分は,箇条5に適合しなければならない。
c) 機械的性質は,箇条6に適合しなければならない。
d) 形状,寸法及び質量は,箇条7に適合しなければならない。
e) 外観は,箇条8に適合しなければならない。
11 再検査
再検査は,次による。
a) 引張試験又は曲げ試験で合格にならなかった鋼板は,JIS G 0404の9.8(再試験)によって再試験を行
って,合否を決定してもよい。
b) 試験で合格とならなかった鋼板は,熱処理又は再熱処理を行った後,改めて試験を行い,合否を決定
してもよい。
12 表示
検査に合格した鋼板は,鋼板ごとに次の項目を適切な方法で表示する。ただし,受渡当事者間の協定に
よって,製品識別が可能な範囲で項目の一部を省略してもよい。
a) 種類の記号及び4.2.2の熱処理の記号
b) 溶鋼番号又は検査番号
c) 寸法。寸法の表示は,JIS G 3193の箇条3(寸法の表し方)による。
d) 製造業者名又はその略号
13 報告
製造業者は,検査文書を注文者に提出しなければならない。報告は,JIS G 0404の箇条13(報告)によ
8
G 3119:2019
る。ただし,注文時に特に指定がない場合,検査文書の種類は,JIS G 0415の5.1(検査証明書3.1)によ
る。
なお,化学成分は,表2に規定する全ての元素について報告しなければならない。
参考文献 JIS G 0560 鋼のサルファプリント試験方法
JIS G 0801 圧力容器用鋼板の超音波探傷検査方法
9
G 3119:2019
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS G 3119:2019 ボイラ及び圧力容器用マンガンモリブデン鋼及びマンガンモ
リブデンニッケル鋼鋼板
ISO 9328-1:2018,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions
−Part 1: General requirements
ISO 9328-2:2018,Steel flat products for pressure purposes−Technical delivery conditions
−Part 2: Non-alloy and alloy steels with specified elevated temperature properties
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 ボイラ及び圧力容
器用マンガンモリ
ブデン鋼及びマン
ガンモリブデンニ
ッケル鋼鋼板
ISO
9328-1
ISO
9328-2
1
中・高温圧力容器用炭素
鋼及び合金鋼鋼板
変更
用途について,JISは,ボイラ用途
を含む。
適用鋼種について,ISO規格は,合
金鋼に対して多くの鋼種を規定し
ている。JISは,マンガンモリブデ
ン鋼及びマンガンモリブデンニッ
ケル鋼だけを規定している。
規格体系の相違。日本の設計技術
基準は,米国ASME規格の体系と
同じ。本質的な問題ではないこと,
また,この体系の変更は,強制法
規・技術基準に大きく影響するた
め,当面は静観する。
2 引用規格
3 種類の
記号及び適
用厚さ
4種類を規定
ISO
9328-2
4.2
欧州タイプ17種類,日
米タイプ16種類を規定
削除
ISO規格は,JISの鋼種を含む33
種類を規定している。
圧力容器の技術基準は,世界的に
みて,ASME規格及び欧州基準の
2種類が主流。ISO規格は,双方
に対応できる共存規格にしたも
の。
4 製造方法
及び熱処理
キルド鋼
熱処理は,厚さの区
分を設けて規定
ISO
9328-1
ISO
9328-2
8.1
6.2
キルド鋼
熱処理を規定
一致
追加
JIS及びISO規格に対応する鋼種
は,同等である。
JISは,熱処理の厚さの区分の規定
及び熱処理を示す記号を追加して
いる。
製造方法は,キルド鋼を明記して
ISO規格と整合。
熱処理は,JISでは熱処理を示す
記号を追加するなど,より明確な
規定となっている。
3
G
3
11
9
:
2
0
1
9
10
G 3119:2019
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 化学成分 溶鋼分析値及び製
品分析値を規定
ISO
9328-2
6.3
溶鋼分析値及び製品分
析値を規定
変更
ISO規格は,JISを包含する規定内
容になっている。
JISは,ボイラ用途にも対応した
成分規制。合理的な規定のため,
現行を踏襲する。
6 機械的性
質
引張特性及び曲げ
特性について規定
ISO
9328-2
6.4
欧州タイプの鋼材は,常
温引張特性,高温引張特
性及び衝撃特性を,日米
タイプの鋼材は,常温引
張特性を規定。
追加
対応する鋼種で比較すると,JISは,
曲げ特性も規定している。
使用者の要求に基づいて,JISは,
従来から規定している曲げ特性要
求も保持しているが,要求性能と
しては,ごく一般的なものである。
市場ニーズから現行を踏襲する。
7 形状,寸
法,質量及
びその許容
差
JIS G 3193による。
ただし,厚さのマイ
ナス側許容差は,−
0.25 mm。
ISO
9328-1
6.7
受渡当事者間で協定。協
定の際,ISO 7452を参
照。
変更
JIS G 3193とISO 7452とは,整合
している。ただし,厚さのマイナス
側許容差は,ISO規格は,−0.30 mm
で相違している。
厚さのマイナス側許容差は,国内
実績,法規・技術基準の動向を見
て対応する。
8 外観
JIS G 3193による。 ISO
9328-1
6.5
ISO 7788による。
追加
変更
JISは,JIS G 3193を引用している。
ISO規格は,選択肢として表面きず
除去部の局部的な板厚不足を認め
ているが,JISは,認めていない。
強制法規要求から,現行の板厚不
足を認めない規定を踏襲する。
9 試験
分析試験及び機械
試験を規定
ISO
9328-1
9
分析試験,機械試験及び
高温引張試験を規定
削除
JISは,高温引張試験を規定してい
ない。高温での特性は,常温での強
度特性を基にしたトレンドカーブ
に準拠した。
規格体系の相違。日本の設計技術
基準は,ASME規格の体系と同じ。
体系の変更は,強制法規・技術基
準に大きく影響するため,当面は
静観する。
10 検査
規格に規定した試
験項目について検
査。
ISO
9328-1
7
規格に規定した試験項
目について検査。
削除
JISは,高温引張試験の検査を規定
していない。
規格体系の相違。体系の変更は,
強制法規・技術基準に大きく影響
するため,当面は静観する。
3
G
3
11
9
:
2
0
1
9
11
G 3119:2019
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
11 再検査
JIS G 0404による。 ISO
9328-1
7.3
ISO 404による。
追加
JIS G 0404とISO 404とは,整合し
ている。JISは,曲げ試験を追加し
た。
JISは,従来から規定している曲
げ特性要求も保持している。
12 表示
種類の記号,溶鋼番
号,寸法,製造業者
名などを表示
ISO
9328-1
10
種類の記号,製造業者名
を表示。これ以外は,協
定又は製造業者の任意。
追加
JISは,熱処理の記号及び溶鋼番号
の表示を追加した。さらに,JIS G
3193による寸法の表示方法を追加
した。
本質的な大きな相違ではないの
で,当面は静観する。
13 報告
注文時に指定がな
ければ,JIS G 0415
の3.1。
ISO
9328-1
7.1
購入者の指定に基づく
検査文書(3.1又は3.2)。
一致
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 9328-1:2018,ISO 9328-2:2018,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
3
G
3
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:
2
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