G 3112
:2010
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
種類及び記号
1
4
製造方法
2
5
化学成分
2
6
機械的性質
2
7
形状,寸法,質量及び許容差
3
7.1
丸鋼の形状,寸法,質量及び許容差
3
7.2
異形棒鋼の形状,寸法,質量及び許容差
3
8
外観
5
9
試験
5
9.1
分析試験
5
9.2
機械試験
5
9.3
形状,寸法及び質量の測定
6
10
検査
7
10.1
検査
7
10.2
再検査
7
11
表示
7
11.1
1 本ごとの表示
7
11.2
1 結束ごとの表示
8
12
報告
8
附属書 JA(規定)特別品質規定
9
附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表
10
G 3112
:2010
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本鉄鋼
連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査
会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS G 3112:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成 23 年 2 月 21 日までの間は,工業標準化法第 19 条第 1 項等の関係条項の規定に基づく JIS マ
ーク表示認証において,JIS G 3112:2004 によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本工業規格
JIS
G
3112
:2010
鉄筋コンクリート用棒鋼
Steel bars for concrete reinforcement
序文
この規格は,2007 年に第 2 版として発行された ISO 6935-1 及び ISO 6935-2 を基に,技術的内容を変更
して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,
附属書 JB に示す。
1
適用範囲
この規格は,コンクリート補強に使用する熱間圧延によって製造された丸鋼
1)
及び異形棒鋼
1)
について
規定する。ただし,JIS G 3117 に規定する鉄筋コンクリート用再生棒鋼には適用しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6935-1:2007
,Steel for the reinforcement of concrete−Part 1: Plain bars
ISO 6935-2:2007
,Steel for the reinforcement of concrete−Part 2: Ribbed bars(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号
MOD
は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき, 修正している
ことを示す。
注
1)
コイル状のものを含む。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS G 0320
鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 0404
鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0415
鋼及び鋼製品−検査文書
JIS G 3117
鉄筋コンクリート用再生棒鋼
JIS G 3191
熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状,寸法及び質量並びにその許容差
JIS Z 2201
金属材料引張試験片
JIS Z 2241
金属材料引張試験方法
JIS Z 2248
金属材料曲げ試験方法
JIS Z 8401
数値の丸め方
3
種類及び記号
丸鋼の種類は 2 種類,異形棒鋼の種類は 5 種類とし,その記号は
表 1 による。
2
G 3112
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表 1−種類の記号
区分
種類の記号
丸鋼
SR235
SR295
異形棒鋼
SD295A
SD295B
SD345
SD390
SD490
4
製造方法
丸鋼及び異形棒鋼は,鋼塊(連続鋳造から製造した鋼片を含む。
)から,熱間圧延によって製造する。
5
化学成分
丸鋼及び異形棒鋼は,9.1 によって試験を行い,その溶鋼分析値は,
表 2 による。
表 2−化学成分
a)
単位 %
種類の記号 C
Si
Mn
P
S
6
Mn
C
+
SR235
−
−
− 0.050 以下 0.050 以下
−
SR295
−
−
− 0.050 以下 0.050 以下
−
SD295A
−
−
− 0.050 以下 0.050 以下
−
SD295B 0.27
以下 0.55 以下 1.50 以下 0.040 以下 0.040 以下
−
SD345 0.27
以下 0.55 以下 1.60 以下 0.040 以下 0.040 以下 0.50 以下
SD390 0.29
以下 0.55 以下 1.80 以下 0.040 以下 0.040 以下 0.55 以下
SD490 0.32
以下 0.55 以下 1.80 以下 0.040 以下 0.040 以下 0.60 以下
注
a)
必要に応じて,この表以外の合金元素を添加してもよい。
6
機械的性質
丸鋼及び異形棒鋼は,9.2 によって試験を行い,その降伏点又は耐力,引張強さ,伸び及び曲げ性は,
表
3
による。
なお,曲げ性の場合は,その外側にき裂を生じてはならない。
3
G 3112
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表 3−機械的性質
曲げ性
種類の
記号
降伏点
又は
耐力
N/mm
2
引張
強さ
N/mm
2
引張試験片
伸び
a)
%
曲げ
角度
内側半径
2
号 20 以上
SR235
235
以上
380
〜
520
14A
号 22 以上
180
°
公称直径の 1.5 倍
2
号 18 以上
径 16 mm 以下
公称直径の 1.5 倍
SR295
295
以上
440
〜
600
14A
号 19 以上
180
°
径 16 mm 超え
公称直径の 2 倍
2
号に準じるもの 16 以上
呼び名 D16 以下
公称直径の 1.5 倍
SD295A
295
以上
440
〜
600
14A
号に準じるもの
17
以上
180
°
呼び名 D16 超え
公称直径の 2 倍
2
号に準じるもの 16 以上
呼び名 D16 以下
公称直径の 1.5 倍
SD295B
295
〜
390
440
以上
14A
号に準じるもの
17
以上
180
°
呼び名 D16 超え
公称直径の 2 倍
呼び名 D16 以下
公称直径の 1.5 倍
2
号に準じるもの 18 以上
呼び名 D16 超え
呼び名 D41 以下
公称直径の 2 倍
SD345
345
〜
440
490
以上
14A
号に準じるもの
19
以上
180
°
呼び名 D51
公称直径の 2.5 倍
2
号に準じるもの 16 以上
SD390
390
〜
510
560
以上
14A
号に準じるもの
17
以上
180
°
公称直径の 2.5 倍
2
号に準じるもの 12 以上
呼び名 D25 以下
公称直径の 2.5 倍
SD490
490
〜
625
620
以上
14A
号に準じるもの
13
以上
90
°
呼び名 D25 超え
公称直径の 3 倍
注記 1 N/mm
2
=1 MPa
注
a)
異形棒鋼で,寸法が呼び名 D32 を超えるものについては,呼び名 3 を増すごとにこの表の伸びの値からそれぞ
れ 2 を減じる。ただし,減じる限度は 4 とする。
7
形状,寸法,質量及び許容差
7.1
丸鋼の形状,寸法,質量及び許容差
丸鋼の形状,寸法,質量及び許容差は,JIS G 3191 による。ただし,標準長さ及び長さの許容差は,そ
れぞれ
表 6 及び表 7 による。丸鋼の標準径は,JIS G 3191 の表 1 のうち,5.5 mm から 50 mm までの範囲
とする。
7.2
異形棒鋼の形状,寸法,質量及び許容差
7.2.1
形状
形状は,次による。
a)
異形棒鋼は,表面に突起をもつものとする。
注記 軸線方向の連続した突起をリブといい,軸線方向以外の突起を節という。
b)
異形棒鋼の節は,全長にわたり,ほぼ一定間隔に分布し,同一形状・同一寸法をもつものでなければ
ならない。ただし,文字などを浮き彫りにする場合には,その部分の節を欠いてもよい。
c)
寸法が,呼び名 D16 以上の異形棒鋼の節の付根部は,応力集中の少ない形状としなければならない。
7.2.2
形状,寸法,質量及び許容差
異形棒鋼の形状,寸法,質量及び許容差は,次による。
a)
異形棒鋼の寸法は,呼び名で表し,その寸法,単位質量及び節の許容限度は,
表 4 による。
4
G 3112
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表 4−異形棒鋼の寸法,単位質量及び節の許容限度
節の高さ
c)
呼び名
公称直径
(d)
mm
公称周長
a)
(l)
cm
公称断面積
a)
(S)
cm
2
単位質量
a)
kg/m
節の平均間
隔の最大値
b)
mm
最小値
mm
最大値
mm
節のすき間
の合計の最
大値
d)
mm
節と軸
線との
角度
D4
4.23
1.3
0.140 5
0.110
3.0
0.2
0.4
3.3
D5
5.29
1.7
0.219 8
0.173
3.7
0.2
0.4
4.3
D6
6.35
2.0
0.316 7
0.249
4.4
0.3
0.6
5.0
D8
7.94
2.5
0.495 1
0.389
5.6
0.3
0.6
6.3
D10
9.53
3.0
0.713 3
0.560
6.7
0.4
0.8
7.5
D13
12.7
4.0
1.267
0.995
8.9
0.5
1.0
10.0
D16
15.9
5.0
1.986
1.56
11.1
0.7
1.4
12.5
D19
19.1
6.0
2.865
2.25
13.4
1.0
2.0
15.0
D22
22.2
7.0
3.871
3.04
15.5
1.1
2.2
17.5
D25
25.4
8.0
5.067
3.98
17.8
1.3
2.6
20.0
D29
28.6
9.0
6.424
5.04
20.0
1.4
2.8
22.5
D32
31.8
10.0
7.942
6.23
22.3
1.6
3.2
25.0
D35
34.9
11.0
9.566
7.51
24.4
1.7
3.4
27.5
D38
38.1
12.0
11.40
8.95
26.7
1.9
3.8
30.0
D41
41.3
13.0
13.40
10.5
28.9
2.1
4.2
32.5
D51
50.8
16.0
20.27
15.9
35.6
2.5
5.0
40.0
45
°
以上
注
a)
〜
注
d)
における数値の丸め方は,JIS Z 8401 の規則 A による。
注
a)
公称断面積,公称周長,及び単位質量の算出方法は,次による。
なお,公称断面積(S)は有効数字 4 けたに丸め,公称周長(l)は小数点以下 1 けたに丸め,単位質量は有効
数字 3 けたに丸める。
公称断面積(S)=
100
4
785
.
0
2
d
×
公称周長(l)=0.314 2×d
単位質量=0.785×S
b)
節の平均間隔の最大値は,その公称直径(d)の 70 %とし,算出した値を小数点以下 1 けたに丸める。
c)
節の高さは,
表 5 によるものとし,算出値を小数点以下 1 けたに丸める。
d)
節のすき間の合計の最大値は,ミリメートルで表した公称周長(l)の 25 %とし,算出した値を小数点以下 1 け
たに丸める。ここでリブと節とが離れている場合,及びリブがない場合には節の欠損部の幅を,また,節とリ
ブとが接続している場合にはリブの幅を,それぞれ節のすき間とする。
表 5−異形棒鋼の節の高さ
節の高さ
呼び名
最小
最大
D13
以下
公称直径の 4.0 %
最小値の 2 倍
D13 を超え D19 未満
公称直径の 4.5 %
最小値の 2 倍
D19 以上
公称直径の 5.0 %
最小値の 2 倍
b)
異形棒鋼の標準長さは,
表 6 による。ただし,コイルの場合には,適用しない。
表 6−標準長さ
単位 m
3.5
4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0
5
G 3112
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c)
異形棒鋼の長さの許容差は,
表 7 による。ただし,コイルの場合には,適用しない。
表 7−長さの許容差
長さ
許容差
7 m
以下
+40 mm
0
7 m
を超えるもの
長さ 1 m 又は端数を増すごとに,上記プラス側の許容差に更に 5 mm を加
える。ただし,最大値は,120 mm とする。
注文者は,この表以外の許容差を指定してもよい。
d)
異形棒鋼 1 本の質量許容差は,
表 8 による。
表 8−異形棒鋼 1 本の質量許容差
呼び名
許容差
摘要
D10 未満
+規定しない
−8 %
D10 以上 D16 未満
±6 %
D16 以上 D29 未満
±5 %
D29 以上
±4 %
供試材の採り方及び許容差の算出方法
は 9.3.2 b) 1)による。
e)
異形棒鋼一組の質量許容差は,
表 9 による。ただし,事前に注文者から指定があった場合に適用する。
表 9−異形棒鋼一組の質量許容差
呼び名
許容差
摘要
D10 未満
±7 %
D10 以上 D16 未満
±5 %
D16 以上 D29 未満
±4 %
D29 以上
±3.5 %
供試材の採り方及び許容差の算出方法
は 9.3.2 b) 2)による。
8
外観
丸鋼及び異形棒鋼には,使用上有害なきずがあってはならない。
9
試験
9.1
分析試験
分析試験は,次による。
a)
分析試験の一般事項及び溶鋼分析試料の採り方は,JIS G 0404 の 8.(化学成分)による。
b)
分析方法は,JIS G 0320 による。
9.2
機械試験
9.2.1
試験一般
機械試験の一般事項は,JIS G 0404 の 7.(一般要求)による。この場合,供試材の採り方は A 類とする。
試験片は,次による。
6
G 3112
:2010
a)
引張試験片及び曲げ試験片の数は,同一溶鋼に属し,径又は公称直径の差 10 mm 未満のものを一括し
てそれぞれ 1 個とする。ただし,50 t を超えるときは,それぞれ 2 個とする。
b)
試験片はいずれも製品のままとし,機械仕上げを行ってはならない。
9.2.2
引張試験
引張試験は,次による。
a)
引張試験片は,JIS Z 2201 の 2 号(異形棒鋼の場合は,寸法が呼び名 D25 未満)又は 14A 号試験片(異
形棒鋼の場合は,寸法が呼び名 D25 以上)とし,異形棒鋼の標点距離及び平行部の長さの決定は,公
称直径による。
b)
引張試験の方法は JIS Z 2241 による。ただし,異形棒鋼の降伏点又は耐力及び引張強さを求める場合
の断面積は,
表 4 に示す公称断面積を用いる。
9.2.3
曲げ試験
曲げ試験は,次による。
a)
曲げ試験片は,JIS Z 2248 の 2 号試験片とする。
b)
曲げ試験の方法は,JIS Z 2248 による。
9.2.4
曲げ戻し試験
SD295B
及び SD345 の寸法の呼び名 D32 以下の異形棒鋼について,注文者は,特に必要がある場合,曲
げ試験の代わりに曲げ戻し試験を指定してもよい。この場合,事前に試験片の採り方,試験方法,判定基
準などについて,受渡当事者間で協定する。
注記 ここでいう曲げ戻し試験は,曲げ加工を行った棒鋼の時効特性を評価するもの。所定の角度に
曲げ加工を行った試験片を加熱し,人工的に時効を発生させた後に,試験片を所定の角度まで
曲げ戻して,その表面にき裂の有無を調べて評価する。
9.3
形状,寸法及び質量の測定
9.3.1
丸鋼の形状,寸法及び質量の測定における供試材の採り方
供試材は,同一形状・同一寸法のもの 1 ロールごとに長さ 0.5 m 以上のもの 1 個を採取する。ただし,
コイルの場合は,常温で矯正してから採取する。
9.3.2
異形棒鋼の形状,寸法及び質量の測定における供試材の採り方及び測定方法
異形棒鋼の形状,寸法及び質量の測定における供試材の採り方及び測定方法は,次による。
a)
異形棒鋼の節の形状及び寸法の測定方法並びに供試材の採り方は,次による。
1)
供試材は,同一形状・同一寸法のもの 1 ロールごとに長さ 0.5 m 以上のもの 1 個を採取する。ただ
し,コイルの場合は,常温で矯正してから供試する。
2)
節と異形棒鋼の軸線との角度は,異形棒鋼の表面の展開図
2)
で測定する。ただし,節が軸線に対し
て 90°で設計されている場合は,展開図での測定を除いてもよい。
注
2)
展開図は,例えば,異形棒鋼を油粘土上に転がして求める。
3)
節の平均間隔は,連続する 10 個の節間隔の平均値とし,節の中央線上で測定した値,又はこれに相
当する長さを軸線方向の他の線上で測定した値のいずれかに
10
1
を乗じて求める。
4) 1
個の節の高さは,その節の 4 等分点で測定した三つの高さの値を平均して求める。
5)
節のすき間は,相対する節の終端線の隔たりをキャリパなどを用いて,終端線に直角に実物を測定
するか,異形棒鋼の表面の展開図
2)
で測定して求める。ただし,その隔たりが一様でない場合は,
連続する 10 個の節について測定して平均値を求める。
7
G 3112
:2010
b)
異形棒鋼の質量の測定における供試材の採り方及び質量許容差の算出方法は,次による。
1) 1
本の質量を測定する場合の供試材の採り方は,9.3.2 a) 1)による。また,この場合の質量許容差の
算出方法は,
表 4 の単位質量に長さを乗じて求めた計算質量と,計量による実測質量との差を計算
質量で除して百分率で表す。
2)
一組の質量を測定する場合の供試材は,同一形状・同一寸法のもの 1 t 以上を一組として採取する。
ただし,1 t に相当する本数が 10 本に満たない場合は,10 本以上採取し一組とする。また,この場
合の質量許容差の算出方法は,
表 4 の単位質量に長さ及び本数を乗じて求めた計算質量と,計量に
よる実測質量との差を計算質量で除して百分率で表す。
10
検査
10.1
検査
検査は,次による。
a)
検査の一般事項は,JIS G 0404 による。
b)
化学成分は,箇条 5 に適合しなければならない。
c)
機械的性質は,箇条 6 に適合しなければならない。
d)
形状,寸法,質量及び許容差は,箇条 7 に適合しなければならない。
e)
外観は,箇条 8 に適合しなければならない。
f)
受渡当事者間の協定によって,
附属書 JA の特別品質規定の適用がある場合には,JA.1 に適合しなけ
ればならない。
10.2
再検査
再検査は,次による。
a)
引張試験及び曲げ試験で合格にならなかった丸鋼及び異形棒鋼は,JIS G 0404 の 9.8(再試験)によっ
て再試験を行い,合否を決定することができる。
b)
抜取りによる異形棒鋼 1 本の質量が 7.2.2 d)に適合しなかった場合には,改めて供試材 2 本を採取して
測定し,2 本とも合格したときは,そのロットを合格とする。
11
表示
11.1 1
本ごとの表示
丸鋼及び異形棒鋼の 1 本ごとの表示は,次による。ただし,丸鋼のコイル及び寸法が呼び名 D4,D5,
D6
,D8 の異形棒鋼のコイルの表示は,1 結束ごとの表示とし,11.2 による。
a)
丸鋼及び異形棒鋼は,
表 10 によって種類を区別する表示を行う。ただし,異形棒鋼の種類を区別する
表示は,SD295A を除き圧延マークによることとし,寸法が呼び名 D4,D5,D6,D8 の異形棒鋼及び
ねじ状の節をもった異形棒鋼は,色別塗色としてもよい。
b)
異形棒鋼は,圧延マークによって製造業者名又はその略号による表示を行う。ただし,寸法が呼び名
D4
,D5,D6,D8(コイルを除く。
)の異形棒鋼及び異形表面の形状によって製造業者名が明確な異形
棒鋼に限り,この表示を省略してもよい。
8
G 3112
:2010
表 10−種類を区別する表示方法
種類を区別する表示方法
種類の記号
圧延マークによる表示
色別塗色による表示
SR235
赤(片断面)
SR295
適用しない
白(片断面)
SD295A
圧延マークなし
適用しない
SD295B 1
又は |
白(片断面)
SD345
突起の数 1 個(・)
黄(片断面)
SD390
突起の数 2 個(・・)
緑(片断面)
SD490
突起の数 3 個(・・・)
青(片断面)
11.2 1
結束ごとの表示
丸鋼及び異形棒鋼の 1 結束ごとの表示は,次の項目を適切な方法で行う。
a)
種類の記号
b)
溶鋼番号又は検査番号
c)
径,公称直径又は呼び名
d)
製造業者名又はその略号
12
報告
JIS G 0404
の 13.(報告)による。ただし,注文時に特に指定がない場合は,検査文書の種類は JIS G 0415
の
表 1(検査文書の総括表)の記号の 2.3(受渡試験報告書)又は 3.1.B(検査証明書 3.1.B)とする。
なお,化学成分は,
表 2 の注
a)
によった場合は,添加した元素の含有率を成績表に付記する。
9
G 3112
:2010
附属書 JA
(
規定)
特別品質規定
この附属書は,特別品質規定について規定する。この特別品質規定は,受渡当事者間の協定によって適
用することができる。
JA.1
降伏比
受渡当事者間の協定によって,丸鋼及び異形棒鋼に,次の降伏比
1)
の適用を指定することができる。た
だし,SD490 を除く。
降伏比≦0.80
注
1)
降伏比は,降伏点又は耐力と引張強さとの比(降伏点又は耐力を,引張強さで除したもの)で
表す。
附属書 JB
(
参考)
JIS
と対応国際規格との対比表
JIS G 3112:2010
鉄筋コンクリート用棒鋼
ISO 6935-1:2007
,Steel for the reinforcement of concrete−Part 1: Plain bars
ISO 6935-2:2007
,Steel for the reinforcement of concrete−Part 2: Ribbed bars
(Ⅰ)JIS の規定
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
箇条番号及び
題名
内容
(Ⅱ)
国 際 規 格 番
号
箇条
番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
1
適用範囲
コンクリート補強に
使用する熱間圧延に
よって製造された丸
鋼及び異形棒鋼
ISO 6935-1
ISO 6935-2
1
コンクリート補強に使
用する熱間圧延によっ
て製造された丸鋼及び
異形棒鋼。ただし,異
形棒鋼は冷間加工材も
含む。
変更
JIS
は,すべて熱間加工材だ
け。
ISO
規格の異形棒鋼は,冷
間加工も含まれる。
ISO
規格では異形棒鋼に冷間加
工 材 を 許 容 し て い る た め ,
TS/YP
が 1.1 以上と熱間圧延材
の TS/YP に比べ低く,JIS の設
計基準と異なるため,地震国仕
様である JIS 鋼種を,ISO 規格
に追加するよう提案し採用され
た。そのため JIS,ASTM の低
降伏比タイプと EN の高降伏比
タイプの鋼材とが共存する ISO
規格となった。
2
引用規格
3
種類及び記号
丸鋼 2 種類
異形棒鋼 5 種類
1
,7
1
,8
丸鋼 10 種類
(降伏点強度 3 種類を
Ductility class
で A〜D
の 4 種類に区分)
異形棒鋼 21 種類
(降伏点強度 5 種類を
Ductility class
で A〜D
の 4 種類に区分)
削除
丸鋼は JIS の 2 種類に対し,
ISO
規格は Ductility class
(降
伏比の逆数で表示)で A〜D
に分類し,10 種類となって
いる。同様に異形棒鋼は JIS
の 5 種類に対し,ISO 規格
は Ductility class で 4 分類し,
21
種類となっている。
JIS
の高 TS/YP 材を ISO 規格に
採用するよう提案し,その結果,
Ductility class
を A〜D の 4 種類
に分け,そのクラス D(降伏比
0.80
以下)に JIS G 3112 及び
ASTM A 706
の鋼種が追加され
た。
4
製造方法
鋼塊から,熱間圧延
によって製造する。
1
1
適用範囲に記載
変更
ISO
規格の異形棒鋼は,冷
間加工を含んでいる。
1
適用範囲を参照
10
G 3
1
1
2
:
20
10
(I)JIS の規定
(III)国際規格の規定
(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
箇条番号及び
題名
内容
(II)
国 際 規 格 番
号
箇条
番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(V)JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
5
化学成分
丸鋼:P,S を規定
異形棒鋼:種類によ
って P,S だけ,5 元
素及び 5 元素+炭素
当量を規定
6
7
丸鋼,異形棒鋼とも溶
接 性 を 保 証 す る
Ductility class D
は 5 元
素+N+炭素当量(溶接
用)を規定。それ以外
は P,S を規定
削除
化学成分的にはほぼ同じで
ある。ただし,ISO 規格の
異形棒鋼の高強度材は,N
の上限値を規定している。
Ductility class D
の鋼種の化学成
分は JIS G 3112 及び ASTM A
706
の鋼種と同一である。
N
の上限規制は時効対策であ
る。我が国での N の実績値は,
ISO
規格の上限値までに収まっ
ている。
6
機械的性質
引張試験(引張強さ,
降伏点,伸び)及び
曲げ性について規定
7
8
丸鋼:引張試験,曲げ
試験
異形棒鋼:引張試験,
曲げ試験+曲げ戻し試
験(高強度材)
(+要求
があれば疲労特性)
変更
ISO
規格の異形棒鋼の降伏
点が 400 N/mm
2
以上では,
曲げ戻し試験を規定してい
る。JIS では SD295B 及び
SD345
の寸法 D32 以下の異
形棒鋼について,注文者は
曲げ試験の代わりに曲げ戻
し試験を指定できるとして
いる。
JIS
で時効は大きな問題になっ
ていないが,左記の条件で時効
に対応した曲げ戻し試験もでき
るようにしており,ISO 規格と
ほぼ整合している。
7
形状,寸法,
質量及び許容差
7.1
丸鋼の形状,寸
法,質量及び許容差
7.2
異形棒鋼の形状,
寸法,質量及び許容
差(含むリブ形状)
5
5
6
丸鋼:形状,寸法,質
量及び許容差
異形棒鋼:形状,寸法,
質量及び許容差
異形棒鋼:リブ形状
変更
寸法 mm JIS ISO
丸鋼: 5.5 - 50 6 - 22
異形棒鋼:4 - 51
6 - 50
ISO
規格と JIS とで異形棒鋼の
リブ形状が異なる。このリブ形
状を変更し ISO 規格に合わせる
ことは困難であり,ISO 規格に
受渡当事者間の協定によって
リブパラメーターを規定してよ
い。 を提案し採用された。
8
外観
使用上有害なきずが
あってはならない。
−
規定していない。
追加
規定は必要
ISO
規格に追加するよう提案す
る。
11
G 3
1
1
2
:
20
10
(I)JIS の規定
(III)国際規格の規定
(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
箇条番号及び
題名
内容
(II)
国 際 規 格 番
号
箇条
番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(V)JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
9
試験 9.1 分析試験
9.2
機械試験
9.3
形状,寸法及び質
量の測定
8
11.3
9
12.3
機械試験
特性値の証明−化学成
分
機械試験
特性値の証明−化学成
分
変更
ISO
規格では,形状寸法に
つ い て 触 れ て い な い が ,
Table 1
で単位質量及び許容
差 を 規 定 し て お り 問 題 な
い。引張試験では,ISO 規
格と JIS とで同一 YP(降伏
点)でも TS(引張強さ)に
差がある。曲げ試験の曲げ
半径が JIS と ISO 規格とで
異なる。
ISO
規格の Ductility class D は,
JIS
をベースに規定しており,
引張試験の規定値は JIS と同じ
である。曲げ試験についても試
験条件は,ほぼ同等である。
10
検査
検査及び再検査条件
について規定
11
12
認証及び検査
認証及び検査
削除
ISO
規格では認証試験の方
法も規定している。
検査条件についてはほぼ同じで
ある。
附属書 JA
特別品質規定として
降伏比 0.80 以下を規
定
7
8
機械的性質
機械的性質
変更
ISO
規格は冷間加工材を認
めているため,降伏比は高
いものが多い。一方 JIS の鋼
材は,地震国仕様であり,
低 降 伏 比 ( ISO 規 格 の
Ductility class D
に相当)の
鋼材となっている。
ISO
規格に JIS に相当する鋼種
が 採 用 さ れ た た め , Ductility
class D
に相当する鋼材として
降伏比 0.80 以下を規定する特別
品質規定を追加した。これによ
り,ISO 規格の Ductility class D
と JIS の鋼種はほぼ同等となっ
た。
JIS
と国際規格との対応の程度の全体評価:
(ISO 6935-1:2007,ISO 6935-2:2007,MOD)
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
12
G 3
1
1
2
:
20
10