G 2313 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS G 2313 : 1986は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS G 2313には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 国際規格による金属クロム
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 2313 : 1998
金属クロム
Chromium metal
序文 今回の改正は,対応する国際規格との整合化を目的として行った。
この規格の附属書は,1994年に第1版として発行されたISO 10387, Metal chrome−Specification and
conditions of deliveryを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成したものであり,こ
の規格の本体の規定に代わり適用することができる。
1. 適用範囲 この規格は,主として非鉄合金の製造に用いる合金成分添加剤である金属クロムについて
規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ分析方法の通則
JIS G 1323 金属クロム分析方法
JIS G 1351 フェロアロイの蛍光X線分析方法
JIS G 1501 フェロアロイのサンプリング方法通則
JIS G 1603 フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その3 フェロホスホル,金属マンガン,
金属けい素,金属クロム,カルシウムシリコン及びフェロボロン)
3. 種類及び記号 種類及び記号は,1種類とし,その記号はMCrとする。
4. ロットの作り方 ロットの大きさは,2トン以下とする。
5. 品質
5.1
化学成分 化学成分は,表1による。ただし,表2のように指定することができる。
表1 化学成分
種類記号
化学成分 % (m/m)
Cr
C
Si
P
S
Fe
Al
金属クロム MCr 99.0以上 0.04以下 0.2以下 0.05以下 0.05以下 0.5以下 0.3以下
表2 指定化学成分
種類
化学成分 % (m/m)
P
金属クロム
0.02以下
2
G 2313 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6. 試験
6.1
サンプリング 1ロットの平均品位を決定するためのサンプリング方法及び試料調製方法は,次によ
る。
JIS G 1501,JIS G 1603
6.2
分析方法 分析方法は,次による。
JIS G 1301,JIS G 1323,JIS G 1351
7. 検査 分析試験の成績は,5.の規定に適合しなければならない。適合しない場合は,その試料が代表
するロットを不合格とする。
8. 表示 製品には,ばら積みの場合はその全量分をロット別に送り状に,容器詰めの場合は容器ごとに,
次の事項を表示しなければならない。
a) 種類又はその記号
b) 指定された場合は,化学成分とその含有率
c) ロット番号
d) 製造業者名又はその略号
3
G 2313 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) 国際規格による金属クロム
参考 原国際規格の表題は“金属クロム−仕様及び受渡条件”であるが,この附属書の表題は,国際
整合化した規格であることを明確にするため“国際規格による金属クロム”とした。
1. 適用範囲 この附属書は,主として特殊鋼及び特殊合金用に供給される金属クロムの要求事項及び受
渡条件について規定する。
2. 引用規格
ISO 565 : 1990, Test sieves−Metal wire cloth, perforated metal plate and electroformed sheet−Nominal
sizes of openings
ISO 3713 : 1987, Ferroalloys−Sampling and preparation of samples−General rules
ISO 4551 : 1987, Ferroalloys−Sampling and sieves analysis
ISO 4552-2 : 1987, Ferroalloys−Sampling and sample preparation for chemical analysis−Part 2 :
Ferrotitanium, ferromolybdenum, ferrotungsten, ferroniobium, ferrovanadium
ISO 8954-1 : 1990, Ferroalloys−Vocabulary−Part 1 : Materials
3. 定義
3.1
金属クロム (Metalchrome) :最小クロム含有率98質量%の,還元又は電解法によって得られる合金。
4. 発注用情報 金属クロムの注文書は,次の情報を含まなければならない。
a) 数量
b) コンサインメントの作り方
c) 附属書表1に示す種類に対応した化学成分
d) 附属書表2に示す等級に対応した粒度
e) その他分析報告,包装などに必要な要求事項
5. 要求事項
5.1
コンサインメントの作り方 金属クロムは,次の二つの方法のいずれかによって構成したコンサイ
ンメントの形で受渡しを行う。
5.1.1
タップロット法 タップロット法によって構成したコンサインメントは,1タップから得られる又
は1バッチの陰極析出物から得られる金属クロムから成る。
5.1.2
区分ロット法 区分ロット法によって構成したコンサインメントは,一つの種類の金属クロムの複
数のタップから成る。
コンサインメントを構成するタップのクロム含有率は,互いに絶対値で4%を超える差があってはなら
ない。
参考 “互いに絶対値で4%を超える差”は,本規格ではあり得ないが,ISO規格の文面どおり,こ
こに記載した。
5.2
化学成分
4
G 2313 : 1998
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5.2.1
金属クロムの化学成分は,附属書表1による。
附属書表1 化学成分
種類1)
化学成分 % (m/m)
Cr
以上
Si
以下
Al
以下
Fe
以下
C
以下
S
以下
P
以下
Cu
以下
As
以下
RECr99.6
99.6
0.04
0.01
0.35
0.05
0.010
0.005
0.005
−
ECr99.2
99.2
0.01
0.005
0.20
0.02
0.030
0.005
0.005
0.005
RACr99
99.0
0.1
0.3
0.3
0.01
0.01
0.01
0.005
0.005
ACr98.5
98.5
0.3
0.5
0.5
0.03
0.02
0.02
0.01
0.01
ACr98
98.0
0.5
0.7
0.8
0.05
0.04
0.03
0.04
−
種類1)
化学成分 % (m/m)
Bi
以下
Sb
以下
Zn
以下
Pb
以下
Sn
以下
N
以下
O2
以下
H2
以下
RECr99.6
−
−
−
0.001
−
0.02
0.05
0.001
ECr99.2
0.003
0.005
0.005
0.003
0.001
0.03
0.55
0.1
RACr99
0.000 5
0.002
0.005
0.005
0.004
0.01
−
−
ACr98.5
0.001
0.008
0.01
0.001
0.006
0.05
−
−
ACr98
−
−
−
−
−
−
−
−
備考 ECrグレードの金属クロムは,N0.02以下,O20.05以下,H20.001
以下のガス成分含有率をもつ脱ガス品として供給してもよい。
種類1)の記号
E: 電解品
A: アルミテルミット品
R: 精製品
5.2.2
附属書表1に示す化学成分は,主成分及び通常の不純物だけを示すものである。購入者が主成分含
有率に対してより狭い範囲を,及び/又は規定された成分に対して異なる範囲を,及び/又は規定されて
いない成分に対して範囲を要求する場合は,供給者と購入者の間で合意しなければならない。
5.2.3
附属表表1に示す化学成分は,金属クロムのサンプリング方法及び分析方法の精度に基づくもので
ある(6.参照)。
5.3
粒度
5.3.1
金属クロムは,塊又は粉砕整粒品として供給される。粒度及び許容差は,附属書表2による。ふる
い下の値は,購入者への引渡地点1)における値が有効である。
規定された粒度は,ふるい目の形状が正方形の鋼板製ふるいによって測定されたものである(ISO 565
参照)。
注1) 引渡地点とは,コンサインメントに対する責任が供給者から購入者に移る地点である。供給者
も購入者も輸送に責任を負わない場合は,責任が有効になる地点について合意しなければなら
ない。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表2 粒度
等級 粒度 mm ふるい下 質量%
ふるい上 質量%
1
10〜100
10以下
10以下
2
2〜 50
10以下
2又は3方向について,規定された粒度の最大
値の1.15倍を超える粒子があってはならない。
3
2〜 20
10以下
4
2以下
−
5以下
5.3.2
購入者が,附属書表2に示す以外の粒度及び/又は許容差を要求する場合は,供給者と購入者の間
で合意しなければならない。
5.4
異物混入
製品には,可能な限り異物混入はないようにする。スラグ及び耐火物の量は,供給者と購入者の合意に
よって規定される。
6. 試験
6.1
日常試験
6.1.1
金属クロムには,供給者が作成し,発注書に従ってコンサインメントの化学成分及び粒度を記載し
た分析証明書を添付しなければならない。購入者の要求があれば,金属クロムのコンサインメントは,供
給者が採取した試料を添付して供給される。
6.1.2
化学分析用試料のサンプリングは,JIS G 1501及びISO 126992)に規定された方法によって行うが,
同等の精度をもつその他のサンプリング方法を用いてもよい。
注2) ISO 12699 Metal chrome−Sampling and sample preparation for chemical analysis(草案段階)
6.1.3
粒度測定用試料のサンプリングは,供給者と購入者が相互の合意によって選定した方法によって行
う。
6.1.4
サンプリングは,別途合意しない限りは,通常は供給者側の置場で行う。どこでサンプリングが行
われる場合も,発注の時点で合意のある限りは,供給者及び購入者の両方の代表者が立ち会うことができ
る。
6.1.5
金属クロムの化学分析は,JIS G 1323に規定された方法によって行うことが望ましいが,同等な精
確さをもつその他の化学分析方法を用いてもよい。
6.1.6
金属クロムの粒度測定は,供給者と購入者が相互の合意によって選定した方法によって行う。
6.2
チェック試験
6.2.1
希望する場合は,購入者は次の方法のいずれかによって,金属クロムの化学成分及び粒度のチェッ
ク試験を行う。
a) 供給者が採取し,コンサインメントと共に送付したサンプルを,購入者が分析する。
b) サンプリング及び化学分析を,6.1に従って購入者が繰り返す。
6.2.2
チェック試験の1番目の方法を用いる場合は,次の条件を調べる。
|x1−x2|≦2.8σM ·········································································· (1)
ここに,
x1は,供給者のデータに基づく品質特性値
x2は,購入者によるチェック試験の結果
σMは,分析方法の再現性を特性づける標準偏差
6.2.3
チェック試験の2番目の方法を用いる場合は,次の条件を調べる。
6
G 2313 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
|x1−x2|≦1.4βSDM ········································································ (2)
ここに,
βSDMは,フェロアロイのサンプリング方法の関連国際規格に示さ
れる,品質管理の総合精度
6.2.4
チェック分析の結果が,条件(1)又は(2)のいずれかを満たす場合は,コンサインメントの品質は,
供給者が作成した添付文書に合致していると見なされる。
品質特性値Xの値は,次の式によって決めてもよい。
2
2
1
x
x
X
+
=
·············································································· (3)
6.2.5
チェック分析の結果が,条件(1)及び(2)のいずれも満たさない場合は,別途合意しない限り,購入
者が審判分析によるチェックを繰り返す。
6.3
審判分析
6.3.1
審判分析は,供給者と購入者が相互の合意で選任した仲裁人が行う。
6.3.2
サンプリング及び化学分析は,関連国際規格(6.1.2参照)に従って,又は供給者,購入者及び仲
裁人の相互合意で選定した方法によって行う。
6.3.3
仲裁人の分析結果は,別途合意しない限り,確定値とする。
7. 出荷及び保管 金属クロムは,国際的な規制3)に従って,包装,保管及び輸送を行う。
注3) 該当する国際的な規制の例
a) RID:鉄道による危険物の輸送に関する国際規格,附属書C
b) 国際海事危険物コード
JIS G 2313(金属クロム)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
佐 伯 毅
日本電工株式会社
(委員)
鎌 田 遼
日本電工株式会社
藤 田 卓 三
粟村金属工業株式会社
高 木 宣 勝
昭和電工株式会社
高 橋 昌 春
日本重化学工業株式会社
川 口 外 秋
日本鋼管株式会社
吉 田 文 夫
中央電気工業株式会社
藤 原 義 隆
水島合金鉄株式会社
山 室 昌 久
大平洋金属株式会社
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
(関係者)
増 田 正 純
通商産業省工業技術院標準部材料規格課
(事務局)
奥 山 満 之
日本フェロアロイ協会
今 野 尚 雄
前日本フェロアロイ協会