G 2306 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS G 2306 : 1986は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS G 2306には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 国際規格によるフェロタングステン
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 2306 : 1998
フェロタングステン
Ferrotungsten
序文 今回の改正は,対応する国際規格との整合化を目的として行った。
この規格の附属書は,1980年に第1版として発行されたISO 5450 (Ferrotungsten−Specification and conditions
of delivery) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成したものであり,この規格の
本体の規定に代わり適用することができる。
なお,この附属書で点線の下線を施した“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,主として鉄鋼の製造に用いる合金成分添加剤であるフェロタングステンにつ
いて規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ分析方法の通則
JIS G 1316 フェロタングステン分析方法
JIS G 1351 フェロアロイの蛍光X線分析方法
JIS G 1501 フェロアロイのサンプリング方法通則
JIS G 1602 フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その2 フェロタングステン,フェロモ
リブデン,フェロバナジウム,フェロチタン及びフェロニオブ)
JIS G 1641 フェロアロイの粒度用試料のサンプリング方法及び粒度測定方法
3. 種類及び記号 種類及び記号は,フェロタングステン1号の1種類とし,その記号はFW1とする。
4. ロットの作り方
4.1
ロットの作り方は,区分ロット法,配合ロット法又はタップロット法のいずれかとする。
4.2
区分ロット法による場合,品位区分に採択する成分はタングステン分とし,品位区分の間隔は3%以
下とする。
4.3
ロットの大きさは,表1による。
表1 ロットの大きさ
ロットの作り方 区分ロット法 配合ロット法 タップロット法
ロットの大きさ 10トン以下
10トン以下
1タップ分
5. 品質
2
G 2306 : 1998
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5.1
化学成分 化学成分は,表2による。ただし,表3のように指定することができる。
表2 化学成分
種類
記号
化学成分 % (m/m)
W
C
以下
Si
以下
Mn
以下
P
以下
S
以下
Sn
以下
Cu
以下
As
以下
フェロタングステン 1号 FW1 75.0〜85.0 0.60 0.50 0.50 0.05 0.05 0.08 0.10 0.10
表3 指定化学成分
種類
化学成分 % (m/m)
Si
以下
Mn
以下
P
以下
S
以下
Sn
以下
Cu
以下
As
以下
Sb
以下
Bi
以下
フェロタングステン 1号 0.10 0.10 0.04
0.03
0.01 0.04
0.02
0.07
0.05
0.07
0.05
0.05
0.03
0.05
0.03
5.2
粒度 粒度は,表4による。
表4 粒度
種類
記号
粒度 mm
一般サイズ
g
1〜60
小サイズ
s
1〜30
6. 試験
6.1
サンプリング 1ロットの平均品位を決定するためのサンプリング方法及び試料調製方法は,次によ
る。
JIS G 1501, JIS G 1602
6.2
分析方法 分析方法は,次による。
JIS G 1301, JIS G 1316, JIS G 1351
6.3
粒度試験 粒度試験は,次による。
JIS G 1641
7. 検査 分析試験及び粒度試験の成績は,5.の規定に適合しなければならない。適合しない場合は,そ
の試料が代表するロットを不合格とする。
8. 表示 製品には,ばら積みの場合はその全量分をロット別に送り状に,容器詰めの場合は容器ごとに,
次の事項を表示しなければならない。
a) 種類又はその記号
b) 指定された場合は,化学成分とその含有率
c) 粒度又はその記号
d) ロット番号
e) 製造業者名又はその略号
3
G 2306 : 1998
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附属書(規定) 国際規格によるフェロタングステン
参考 原国際規格の表題は,“フェロタングステン−仕様及び受渡条件”であるが,この附属書の表題
は,国際整合化した規格であることを明確にするため“国際規格によるフェロタングステン”
とした。
1. 適用範囲
この附属書は,主として鉄鋼の製造及び鋳物用に供給されるフェロタングステンの要求事項及び受渡条
件について規定する。
2. 引用規格
ISO 565 : 1990 Test sieves−Metal wire cloth, perforated metal plate and electroformed sheet−Nominal
sizes of openings
ISO 3713 : 1987 Ferroalloys−Sampling and preparation of samples−General rules
ISO 4551 : 1987 Ferroalloys−Sampling and sieve analysis
ISO 4552-2 : 1987 Ferroalloys−Sampling and sample preparation for chemical analysis−Part 2 :
Ferrotitanium, ferromolybdenum, ferrotungsten, ferroniobium, ferrovanadium
ISO 7693 : 1984 Ferrotungsten−Determination of tungsten content−Cinchonine gravimetric method
参考 原国際規格の発行後,ISO 3713, ISO 4551, ISO 4552-2及びISO 7693が発行されているので,こ
こに記載して関連箇所で引用した。
3. 定義
3.1
フェロタングステン (Ferrotungsten) 最小タングステン含有率70.0質量%,最大タングステン含有
率85.0質量%の,還元によって得られる鉄とタングステンの合金。
4. 発注用情報
フェロタングステンの注文書は,次の情報を含まなければならない。
a) 数量
b) コンサインメントの作り方
c) 附属書表1に示す種類に対応した化学成分
d) 附属書表2に示す等級に対応した粒度
e) その他分析報告,包装などに必要な要求事項
5. 要求事項
5.1
コンサインメントの作り方
フェロタングステンは,次のいずれかの方法によって構成したコンサインメントの形て受渡しを行う。
5.1.1
タップロット法
タップロット法によって構成したコンサインメントは,1タップ(又は連続タップの一部分)のフェロ
タングステンからなる。
4
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5.1.2
区分ロット法
区分ロット法によって構成したコンサインメントは,一つの種類のフェロタングステンの複数のタップ
(又は複数の連続タップの一部分)からなる。
コンサインメントを構成するタップ(又は連続タップの一部分)のタングステン含有率は,互いに絶対
値で3%を超える差があってはならない。
5.1.3
配合ロット法
配合ロット法によって構成したコンサインメントは,50mm未満の粒度に粉砕され,よく混合された一
つの種類のフェロタングステンの複数のタップ(又は複数の連続タップの一部分)からなる。
コンサインメントを構成するタップ(又は連続タップの一部分)の主成分含有率は,当該種類のフェロ
タングステンについて規定される最小値及び最大値の間を変動してもよい。
5.2
化学成分
5.2.1
フェロタングステンの化学成分は,附属書表1による。示される範囲は,附属書表2に示す等級1
〜4の粒度に適用される。
附属書表1 化学成分
種類
化学成分 % (m/m)
W
Si*
以下
C
以下
Mn
以下
Cu
以下
P
以下
S
以下
As
以下
Sb
以下
Al*
以下
Mo*
以下
Sn
以下
FeW80
70.0〜85.0 1.0
1.0 0.6 0.25 0.05 0.06 0.10 0.05 0.10 1.0 0.10
FeW80LC 70.0〜85.0 1.0 0.10 1.0 0.20 0.05 0.08 0.10 0.05 0.10 0.50 0.10
注*
供給者と購入者の合意によって,ここに示す以外の制限をしてもよい。
5.2.2
附属書表1に示す化学成分は,主成分及び通常の不純物だけを示すものである。購入者が主成分含
有率に対してより狭い範囲を,及び/又は規定された成分に対して異なる範囲を,及び/又は規定されて
いない成分に対して範囲を要求する場合は,供給者と購入者の間で合意しなければならない。
5.2.3
附属書表1に示す化学成分は,フェロタングステンのサンプリング方法及び分析方法の精度に基づ
くものである(6.参照)。
5.3
粒度
5.3.1
フェロタングステンは,塊又は粉砕整粒品として供給される。粒度及び許容差は,附属書表2によ
る。ふるい下の値は,購入者への引渡地点1)における値が有効である。
規定された粒度は,ふるい目の形状が正方形の鋼板製ふるいによって測定されたものである(ISO 565
参照)。
注1) 引渡地点とは,コンサインメントに対する責任が供給者から購入者に移る地点である。供給者も
購入者も輸送に責任を負わない場合は,責任が有効になる地点について合意しなければならない。
附属書表2 粒度
等級 粒度 mm ふるい下 %
ふるい上 %
1
2
3
4
2〜100
2〜 50
2〜 25
2以下
3以下
3以下
5以下
−
10以下
2又は3方向について,規定され
た粒度の最大値の1.15倍を超え
る粒子があってはならない。
5.3.2
購入者が,附属書表2に示す以外の粒度及び/又は許容差を要求する場合は,供給者と購入者の間
で合意しなければならない。
5.4
異物混入
5
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製品には,可能な限り異物混入はないようにする。
6. 試験
6.1
化学分析用及び粒度測定用試料のサンプリング
6.1.1
化学分析用及び粒度測定用試料のサンプリングは,JIS G 1501, JIS G 1602及びJIS G 1641に規定
された方法によって行うのが望ましいが,同等の精度をもつその他のサンプリング方法を用いてもよい。
6.1.2
サンプリングは,別途合意しない限りは,通常は供給者側の置場で行う。どこでサンプリングが行
われる場合も,供給者及び購入者の両方の代表者が立ち会うことができる。
6.1.3
要求がある場合は,供給者と購入者の相互合意によって選任した仲裁人による仲裁サンプリングを
行う。サンプリングは,JIS G 1501, JIS G 1602及びJIS G 1641に規定された方法によって行うが,供給者,
購入者,仲裁人の間の合意があれば,同等の精度をもつその他のサンプリング方法を用いてもよい。
仲裁によって得た試料は,両当事者が受け入れなければならない。
6.2
分析
6.2.1
フェロタングステンの化学分析は,JIS G 1316に規定された方法によって行うことが望ましいが,
同等な精確さをもつその他の化学分析方法を用いてもよい。
6.2.2
フェロタングステンには,供給者が作成するタングステン含有率を記載した分析証明書を添付しな
ければならない。合意のある場合は,附属書表1に規定された成分含有率及び追加合意された成分含有率
を記載する。購入者の要求があれば,コンサインメントの代表試料を添付する。
6.2.3
論争が生じた場合は,次の二つの手順のいずれかを用いることができる。
6.2.3.1
相互分析
同一の試料について,望ましくはJIS G 1316に規定された方法によって,化学分析を行う。同等な精確
さをもつその他の化学分析方法を用いてもよいが,供給者と購入者の間で合意しなければならない。
二つの分析値の差がX %2)以内の場合は,平均値を適用する。差がX %を超え,別途合意に達しないとき
は,供給者と購入者の相互合意によって選任された仲裁人による審判分析を行う。
注2) Xの値は将来に規定する。その間は,購入者と供給者の間で値について合意することが望ましい。
6.2.3.2
審判分析
審判分析は,JIS G 1316に規定された方法によって行うことが望ましい。同等な精確さをもつその他の
化学分析方法を用いてもよいが,この場合は,供給者,購入者,仲裁人の間で合意しなければならない。
審判分析値が,二つの論争値の内側であれば,又は外側であってもいずれかの値からY %3)以内であれば,
これを確定値とする。
注3) 総合精度としてのこの値は,βSDMとして将来に規定される。
7. 出荷及び保管
フェロタングステンは,国際的な規制4)に従って,包装,保管及び輸送を行う。
注4)
該当する国際的な規制の例
a) RID:鉄道による危険物の輸送に関する国際規格,附属書C
b) 国際海事危険物コード
6
G 2306 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS G 2306フェロタングステン 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
佐 伯 毅
日本電工株式会社
(委員)
鎌 田 遼
日本電工株式会社
藤 田 卓 三
粟村金属工業株式会社
高 木 宣 勝
昭和電工株式会社
高 橋 昌 春
日本重化学工業株式会社
川 口 外 秋
日本鋼管株式会社
吉 田 文 夫
中央電気工業株式会社
藤 原 義 隆
水島合金鉄株式会社
山 室 昌 久
大平洋金属株式会社
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
(関係者)
増 田 正 純
通商産業省工業技術院
(事務局)
奥 山 満 之
日本フェロアロイ協会
今 野 尚 雄
前日本フェロアロイ協会