2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 1324-1989
カルシウムシリコン分析方法
Methods for Chemical Analysis of Calcium−Silicon
1. 適用範囲 この規格は,カルシウムシリコン中のカルシウム,けい素,炭素及びりんの定量方法につ
いて規定する。
引用規格:
JIS G 1301 フェロアロイ分析方法の通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS Z 2615 金属材料の炭素定量方法通則
2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301(フェロアロイ分析方法の通則)による。
3. カルシウム定量方法
3.1
定量方法の区分 カルシウムの定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 鉄分離しゅう酸カルシウム沈殿分離過マンガン酸カリウム滴定法 この方法は,カルシウムシリコン
のカルシウム含有率の全範囲に適用する。
(2) 鉄分離エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム滴定法 この方法は,カルシウムシリコンのカルシウム
含有率の全範囲に適用する。
3.2
鉄分離しゅう酸カルシウム沈殿分離過マンガン酸カリウム滴定法
3.2.1
要旨 試料を硝酸とふっ化水素酸とで分解し,過塩素酸を加え,加熱して白煙を発生させる。塩酸
で塩類を溶解した後,アンモニア水で中和して鉄などを沈殿させて除去,しゅう酸アンモニウムを加えて
しゅう酸カルシウムを沈殿させる。この沈殿を硫酸で溶解して過マンガン酸カリウム標準溶液で滴定する。
3.2.2
試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸 (1+1,1+10)
(2) 硝酸 (1+1)
(3) 過塩素酸 (60wt%)
(4) ふっ化水素酸
(5) 硫酸 (1+4)
(6) アンモニア水 (1+1)
(7) 塩化アンモニウム
(8) 塩化アンモニウム溶液 塩化アンモニウム20gを水1lに溶解し,メチルレッド溶液を指示薬として加
え,アンモニア水 (1+1) を溶液が黄色を呈するまで滴下する。
(9) しゅう酸アンモニウム溶液(飽和,約40g/l)
(10) しゅう酸アンモニウム溶液(5g/l)
2
G 1324-1989
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(11) 0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液(3.161gKMnO4/l)調製,保存及び標定方法は,JIS K 8001
(試薬試験方法通則)の4.4(9)による。
(12) メチルレッド溶液 調製方法は,JIS K 8001の4.3(指示薬)による。
3.2.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.20gとする。
3.2.4
操作
3.2.4.1
試料の分解 試料をはかり取って白金皿(100番)に移し入れ,硝酸 (1+1) 10mlを加え,ポリ
エチレン又は白金の時計皿で覆い,ふっ化水素酸約5mlを滴下して分解する。このとき反応が激しくなっ
たときは,水で冷却しながら分解する。時計皿を水で洗って取り除き,過塩素酸5mlを加え,砂浴上で加
熱蒸発して過塩素酸の白煙を発生させ,ほとんど乾固する。放冷した後,温塩酸 (1+10) 30mlを加えて可
溶性塩類を溶解し,溶液をビーカー (300ml) に洗い移す。
3.2.4.2
鉄などの分離 3.2.4.1で得た溶液に塩化アンモニウム約2gとメチルレッド溶液 [3.2.2(12)] 数滴
を指示薬として加え,溶液が黄色になるまでかき混ぜながらアンモニア水 (1+1) を少量ずつ加える。約5
分間煮沸した後,ろ紙(5種A)を用いてろ過し,ろ液はビーカー (300ml) に受け,主液として保存する。
ろ紙上の沈殿は少量の温塩酸 (1+10) を用いて元のビーカーに洗い落とし,ろ紙は温塩酸 (1+10) で数回,
更に温水で数回洗浄し,洗液は沈殿の入っているビーカーに受ける。加熱して沈殿を溶解した後,メチル
レッド溶液 [3.2.2(12)] 数滴を指示薬として加え,前と同様に沈殿を生成させてろ過し,温塩化アンモニウ
ム溶液 [3.2.2(8)] で洗浄し,ろ液及び洗液は主液に合わせる。
3.2.4.3
沈殿の生成及びろ過洗浄 3.2.4.2で得た溶液に溶液が赤色を呈するまで塩酸 (1+1) を加え,加
熱蒸発して液量を約150mlとする。温しゅう酸アンモニウム溶液(飽和)20mlを加え,溶液が黄色を呈す
るまでかき混ぜながらアンモニア水 (1+1) を少量ずつ加えて沈殿を生成させ,水浴上で約2時間加熱し
た後,放冷する。沈殿をろ紙(5種B)を用いてこし分け,しゅう酸アンモニウム溶液(5g/l)で2,3回,
次に冷水で5,6回洗浄する。
3.2.4.4
滴定 3.2.4.3で得た沈殿を水で元のビーカーに洗い移し,ろ紙は温硫酸 (1+4) 25mlで,次に温
水で約5回洗浄し,洗液は元のビーカーに受ける。温水で液量を約250mlとした後,約80℃に加熱し,
0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液 [3.2.2(11)] で滴定し,溶液が微紅色となる点を終点とする。
3.2.5
空試験 試薬だけを用いて3.2.4.1〜3.2.4.4の手順に従って試料と並行して操作する。
3.2.6
計算 試料中のカルシウム含有率を,次の式によって算出する。
100
004
002
.0
)
(
%
wt
2
1
×
×
×
m
F
V
V−
=
カルシウム
ここに, V1: 3.2.4.4で得た0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液使用量
(ml)
V2: 3.2.5で得た0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液使用量
(ml)
F: 0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター
m: 試料はかり取り量 (g)
3.3
鉄分離エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム滴定法
3.3.1
要旨 試料を塩酸と硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して白煙を発生させる。塩酸で塩類を溶
解した後,アンモニア水で中和して鉄などを沈殿させて除去し,水酸化カリウムを加えてpHを調節し,1
−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3−カルボン酸(以下,NNという。)
を指示薬としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム標準溶液で滴定する。
3.3.2
試薬 試薬は,次による。
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 塩酸 (1+1,1+10)
(2) 硝酸 (1+1)
(3) 過塩素酸 (60wt%)
(4) ふっ化水素酸
(5) 水酸化カリウム溶液(450g/l)
(6) アンモニア水 (1+1)
(7) 水酸化マグネシウム乳 塩化マグネシウム六水和物5gを240mlの水に溶解し,水酸化ナトリウム溶
液(200g/l)10mlを加え,激しく振り混ぜて乳状とする。
(8) 塩化アンモニウム
(9) 塩化アンモニウム溶液(20g/l) 塩化アンモニウム20gを水1lに溶解し,メチルレッド溶液を指示薬
として加え,アンモニア水 (1+1) を溶液が黄色を呈するまで滴下する。
(10) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(60g/l)
(11) 0.01mol/lエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下,EDTAという。)標準溶液
(3.722gC10H14O8N2Na2・2H2O/l) 調製及び標定方法は,JIS K 8001の4.4(5.3)による。
(12) NN指示薬 NN0.2gと硝酸カリウム20gを混合してよくすり混ぜる。
(13) HNB指示薬 1−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1ナフチルアゾ)−2−ナフトール3,6−ジスルホン
酸ナトリウム塩0.2gと硝酸カリウム20gをよくすり混ぜる。
(14) メチルレッド溶液
3.3.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.20gとする。
3.3.4
操作
3.3.4.1
試料の分解 試料をはかり取って白金皿(100番)に移し入れ,硝酸 (1+1) 10mlを加え,ポリ
エチレン又は白金の時計皿で覆い,ふっ化水素酸約5mlを滴下して分解する。このとき反応が激しくなっ
たときは,水で冷却しながら分解する。時計皿を水で洗って取り除き,過塩素酸5mlを加え,砂浴上で加
熱蒸発して過塩素酸の白煙を発生させ,ほとんど乾固する。放冷した後,温塩酸 (1+10) 30mlを加えて可
溶性塩類を溶解し,ビーカー (300ml) に洗い移す。
3.3.4.2
鉄などの分離 3.3.4.1で得た溶液に塩化アンモニウム約2gとメチルレッド溶液 [3.3.2(14)] 数滴
を指示薬として加え,溶液が黄色になるまでかき混ぜながらアンモニア水 (1+1) を少量ずつ加える。約5
分間煮沸した後,ろ紙(5種A)を用いてろ過し,ろ液は250mlの全量フラスコに受け,主液として保存
する。ろ紙上の沈殿は少量の温塩酸 (1+10) を用いて元のビーカーに洗い落とし,ろ紙は温塩酸 (1+10)
で数回,更に温水で数回洗浄する。加熱して沈殿を溶解した後,メチルレッド溶液 [3.3.2(14)] 数滴を指示
薬として加え,前と同様に沈殿を生成させてろ過する。ろ液及び洗液は主液の入っている250mlの全量フ
ラスコに受け,ろ紙上の沈殿は温塩化アンモニウム溶液 [3.3.2(9)] で5,6回洗浄する。常温まで冷却した
後,水で標線まで薄める。
3.3.4.3
滴定 3.3.4.2で得た溶液から25mlを分取して三角フラスコ (300ml) に移し入れ,水を加えて約
50mlに薄め,水酸化カリウム溶液4mlを加えて振り混ぜた後,3,4分間放置する。塩化ヒドロキシルア
ンモニウム溶液5mlとNN指示薬 [3.3.2(12)] 又はHNB指示薬 [3.3.2(13)] 約0.1gを加え,0.01mol/lEDTA
標準溶液 [3.3.2(11)] で滴定し,溶液が赤紫色から黄色に変色し始めたときに水酸化マグネシウム乳
[3.3.2(7)] 約4mlを加え(1),更に滴定を続け,青色に変わった点を終点とする。
注(1) 水酸化マグネシウム乳を加えると滴定の終点の変色が明りょうになる。
3.3.5
空試験 試薬だけを用いて3.3.4.1〜3.3.4.3の手順に従って試料と並行して操作する。
4
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3.3.6
計算 試料中のカルシウム含有率を,次の式によって算出する。
100
8
400
000
.0
)
(
%
wt
2
1
×
×
×
×
B
m
F
V
V−
=
カルシウム
ここに, V1: 3.3.4.3で得た0.01mol/lEDTA標準溶液使用量 (ml)
V2: 3.3.5で得た0.01mol/lEDTA標準溶液使用量 (ml)
F: 0.01mol/lEDTA標準溶液のファクター
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液及び空試験液の分取比
4. けい素定量方法
4.1
定量方法の区分 けい素の定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 二酸化けい素重量法 この方法は,カルシウムシリコンのけい素含有率の全範囲に適用する。
(2) ヘキサフルオロけい酸カリウム沈殿分離水酸化ナトリウム滴定法 この方法は,カルシウムシリコン
のけい素含有率の全範囲に適用する。
4.2
二酸化けい素重量法
4.2.1
要旨 試料を融解合剤又は水酸化ナトリウムで融解し,塩酸と過塩素酸を加え,加熱蒸発してけい
素を不溶性けい酸とする。沈殿を強熱してその質量をはかった後,ふっ化水素酸処理を行って二酸化けい
素を揮散させ,その質量をはかる。
4.2.2
試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 塩酸 (1+1,1+2,1+10)
(3) 過塩素酸 (60wt%)
(4) ふっ化水素酸
(5) 硫酸 (1+1,1+3)
(6) 水酸化ナトリウム
(7) 融解合剤[過酸化ナトリウム2,炭酸ナトリウム(無水)1]
(8) チオシアン酸カリウム溶液(100g/l)
4.2.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.20gとする。
4.2.4
操作
4.2.4.1
試料の分解 試料の分解は,次のいずれかによる。
(1) 融解合剤を用いて融解する場合 試料をはかり取ってニッケルるつぼ (30ml) 又はジルコニウムるつ
ぼ (30ml) に移し入れ,融解合剤5gを加えてよくかき混ぜ,その上を1gの融解合剤で覆い,ふたを
して初めは低温でるつぼを回転させながら内容物が溶け落ちるまで加熱する。次に,温度を上げ約
700℃(暗赤熱)で約5分間るつぼを揺り動かしながら加熱して完全に融解した後,放冷する。るつぼ
をふたと共に塩酸 (1+2) 60mlを入れてあるビーカー (500ml) 中に入れて融成物を溶解した後,るつ
ぼとふたを水で洗って取り出す。
(2) 水酸化ナトリウムを用いて融解する場合 試料をはかり取ってニッケルるつぼ (30ml) 又はジルコニ
ウムるつぼ (30ml) に移し入れ,水酸化ナトリウム5gを加えてよくかき混ぜ,熱板上で十分に脱水し
た後,ふたをして注意しながら徐々に温度を上げて融解する。放冷した後,るつぼとふたを温水約
100mlを入れてあるポリエチレンビーカー (300ml) 中に入れて融成物を溶解し,るつぼとふたを水で
洗って取り出す。この溶液を室温まで冷却した後,塩酸20mlを入れてあるビーカー (500ml) 中に水
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で洗い移す。
4.2.4.2
けい酸の脱水処理 4.2.4.1で得た溶液に過塩素酸40mlを加え,砂浴上で加熱蒸発して濃厚な白
煙が発生した後,時計皿でふたをする。過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態で約15
分間加熱を続ける。放冷した後,塩酸 (1+1) 20ml及び温水約100mlを加えて可溶性塩類を溶解する。時
計皿を水で洗って取り除き,直ちにろ紙(5種A)を用いてろ過する。ろ液は別のビーカー (500ml) に受
ける。ビーカー内壁及び時計皿に付着した沈殿は,ポリスマン(ゴム付ガラス棒)でこすって温塩酸 (1
+10) を用いてろ紙上に洗い移した後,温塩酸 (1+10) で5回,次に温水でろ液に鉄イオンの反応がなく
なるまで(2)洗浄する。沈殿はろ紙と共に主沈殿として保存する。
注(2) 洗液の少量を取り,チオシアン酸カリウム溶液を加えてとう(橙)赤色に呈色しなくなるまで
洗浄する。
4.2.4.3
二酸化けい素の回収 4.2.4.2で得たろ液及び洗液に過塩素酸10mlを加え,砂浴上で加熱蒸発し
て濃厚な白煙が発生した後,時計皿でふたをする。過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する
状態で約15分間加熱を続ける。放冷した後,塩酸 (1+1) 20ml及び温水約100mlを加えて可溶性塩類を溶
解する。時計皿を水で洗って取り除き,直ちにろ紙(5種B)を用いてこし分ける。ビーカーの内壁及び
時計皿に付着した沈殿は,ポリスマンでこすって温塩酸 (1+10) を用いてろ紙上に洗い移した後,温塩酸
(1+10) で5回,次に温水でろ液に鉄イオンの反応がなくなるまで(2)洗浄する。ろ液及び洗液は捨てる。
4.2.4.4
灰化及びひょう量 灰化及びひょう量は,次の手順によって行う。
(1) 4.2.4.2及び4.2.4.3で得た2回の沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移し入れる。乾燥した後,徐々
に加熱してろ紙を灰化する。
(2) 約1 100℃で約30分間強熱した後,デシケーター中で室温まで放冷してその質量をはかる。この操作
を恒量となるまで繰り返す。
4.2.4.5
ふっ化水素酸処理及びひょう量 ふっ化水素酸処理及びひょう量は,次の手順によって行う。
(1) 4.2.4.4で得た白金るつぼ中の沈殿に硫酸 (1+3) 2,3滴を加えて湿し,ふっ化水素酸3〜5mlを加え,
注意して加熱して二酸化けい素及び硫酸を揮散させる。
(2) 約1 100℃で約30分間強熱した後,デシケーター中で室温まで放冷してその質量をはかる。この操作
を恒量となるまで繰り返す。
4.2.5
空試験 試薬だけを用いて4.2.4.1〜4.2.4.5の手順に従って試料と並行して操作する。
4.2.6
計算 試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。
100
4
0.467
)]
(
)
[(
%
wt
0
4
3
2
1
×
×
m
m
m
m
m
−
−
−
=
けい素
ここに, m1: 試料について4.2.4.4(2)で得た質量 (g)
m2: 試料について4.2.4.5(2)で得た質量 (g)
m3: 空試験において4.2.4.4(2)で得た質量 (g)
m4: 空試験において4.2.4.5(2)で得た質量 (g)
m0: 試料はかり取り量 (g)
4.3
ヘキサフルオロけい酸カリウム沈殿分離水酸化ナトリウム滴定法
4.3.1
要旨 試料を融解合剤又は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで融解した後,硝酸に溶解し,ふ
っ化水素酸及び硝酸カリウムを加えてヘキサフルオロけい酸カリウムを沈殿させる。この沈殿をこし分け,
温水に溶解して水酸化ナトリウム標準溶液で滴定する。
4.3.2
試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
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(2) 硝酸 (1+1)
(3) ふっ化水素酸
(4) 水酸化ナトリウム
(5) 水酸化カリウム
(6) 融解合剤[過酸化ナトリウム1,炭酸カリウム(無水)5]
(7) 硝酸カリウム
(8) 硝酸カリウム溶液(50g/l) アルカリ性を呈するものがあるから,この場合は,あらかじめ硝酸で中
和しておく。
(9) 0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液(20.0gNaOH/l) 調製及び標定方法は,JIS K 8001の4.4 (20.2)に
よる。
(10) フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン0.5gをエタノール(95)100mlに溶解する。
4.3.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.10gとする。
4.3.4
操作
4.3.4.1
試料の分解及び沈殿の生成 試料の分解及び沈殿の生成は,次のいずれかによる。
(1) 融解合剤を用いて融解する場合 試料をはかり取ってニッケルるつぼ (30ml) 又はジルコニウムるつ
ぼ (30ml) に移し入れ,融解合剤3gを加えてよくかき混ぜる。ふたをして初めは低温でるつぼを回転
させながら内容物が溶け落ちるまで加熱する。次に,温度を上げ約700℃(暗赤熱)で約5分間るつ
ぼを揺り動かしながら加熱して完全に融解する。放冷した後,るつぼに少量の温水を加えて静かに加
熱して融成物を溶解する。溶液を硝酸 (1+1) 50mlを入れてあるポリエチレンビーカー (300ml) に洗
い移す。るつぼに塩酸3mlを加えて内壁に付着している融成物を溶解し,るつぼをふたと共に更に水
でよく洗浄する。これを水浴上で加熱して完全に溶解し,水を加えて約80mlに薄めた後,ふっ化水
素酸10ml及び硝酸カリウム3gを加えてかき混ぜ,水浴上で約15分間加熱する。少量のろ紙パルプ
を加え,15℃以下に冷却しながら約30分間静置し,ヘキサフルオロけい酸カリウムの沈殿を完成させ
る。
(2) 水酸化アルカリを用いて融解する場合 試料をはかり取ってニッケルるつぼ (30ml) 又はジルコニウ
ムるつぼ (30ml) に移し入れ,水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム3gを加えてよくかき混ぜる。熱
板上で十分に脱水した後,ふたをして注意しながら徐々に温度を上げて融解する。放冷した後,るつ
ぼに少量の温水を加えて穏やかに加熱して融成物を溶解する。溶液を硝酸 (1+1) 50mlを入れてある
ポリエチレンビーカー (300ml) に洗い移す。るつぼに塩酸3mlを加えて内壁に付着している融成物を
溶解し,るつぼをふたと共に更に水でよく洗浄する。これを水浴上で加熱して融成物を完全に溶解し,
水を加えて約80mlに薄めた後,ふっ化水素酸10ml及び硝酸カリウム3gを加えてかき混ぜ,水浴上
で約15分間加熱する。少量のろ紙パルプを加え,15℃以下に冷却しながら約30分間静置し,ヘキサ
フルオロけい酸カリウムの沈殿を生成させる。
4.3.4.2
ろ過及び洗浄 4.3.4.1で得たヘキサフルオロけい酸カリウムの沈殿を,ポリエチレン漏斗でろ紙
(5種A)を用いて,溶液を15℃以下に冷却しながらこし分ける。次に,15℃以下に冷却した硝酸カリウ
ム溶液で青色リトマス試験紙が赤変しなくなるまで(約15回)洗浄する。沈殿をろ紙と共に三角フラスコ
(200ml) に移し入れ,温水約50mlを加え,よく振り混ぜてろ紙を破砕する。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.3.4.3
滴定 4.3.4.2で得た溶液を煮沸した後,直ちにフェノールフタレイン溶液 [4.3.2(10)] を指示薬と
して数滴加え,0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液 [4.3.2(9)] を終点近くまで一度に加える。さらにフェノ
ールフタレイン溶液 [4.3.2(10)] を数滴追加した後,再び0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液 [4.3.2(9)] で
滴定して,溶液が微紅色となる点を終点とする。
4.3.5
空試験 試薬だけを用いて4.3.4.1〜4.3.4.3の手順に従って試料と並行して操作する。
4.3.6
計算 試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。
100
511
003
.0
)
(
%
wt
2
1
×
×
×
m
F
V
V−
=
けい素
ここに, V1: 4.3.4.3で得た0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
V2: 4.3.5で得た0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
F: 0.5mol/l水酸化ナトリウム標準溶液のファクター
m: 試料はかり取り量 (g)
5. 炭素定量方法
5.1
定量方法の区分 炭素の定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 燃焼−ガス容量法 この方法は,炭素含有率0.05wt%以上の試料に適用する。
(2) 燃焼−導電率法 この方法は,燃焼装置に管状電気抵抗加熱炉を使用する場合は炭素含有率0.005wt%
以上,燃焼装置に高周波誘導加熱炉を使用する場合は炭素含有率0.01wt%以上の試料に適用する。
(3) 燃焼−電量法 この方法は,燃焼装置に管状電気抵抗加熱炉を使用する場合は炭素含有率0.005wt%以
上,燃焼装置に高周波誘導加熱炉を使用する場合は炭素含有率0.01wt%以上の試料に適用する。
(4) 燃焼−赤外線吸収法 この方法は,燃焼装置に管状電気抵抗加熱炉を使用する場合は炭素含有率
0.005wt%以上,燃焼装置に高周波誘導加熱炉を使用する場合は炭素含有率0.01wt%以上の試料に適用
する。
5.2
燃焼−ガス容量法
5.2.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共にビュ
レットに捕集してガス体積を測定し,次に,二酸化炭素をアルカリに吸収させて除き,残りのガス体積を
測定する。
5.2.2
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615(金属材料の炭素定量方法通則)の5.による。
5.2.3
装置 装置は,JIS Z 2615の6.3.2による。
5.2.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,原則として表による。助燃剤は,JIS Z
2615の5.(13)に示したものから最も適したものを選び,試料はかり取り量及び燃焼装置に最も適した量を
添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
表 試料はかり取り量
炭素含有率 wt%
試料はかり取り量 g
0.05以上0.3未満
2.0
0.3以上
1.0
5.2.5
操作
5.2.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.3.3による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 300〜1 450℃(3)に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(4)を設定する。
注(3) 高温計の温度指示と燃焼管内温度との差に注意して補正する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(4) 高周波発振機の陽極電流及び格子電流など,使用する装置の仕様に応じて決められた条件のこ
とである。
5.2.5.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.3.4による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.3の備考による。
5.2.6
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.3.5による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて,5.2.5.2(2)の操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを0.5〜1.0g添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
5.2.7
計算 計算は,JIS Z 2615の6.3.6による。
5.3
燃焼−導電率法
5.3.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,一定量のアルカリ溶液
に吸収させ,吸収前後のアルカリ溶液の導電率の変化を測定する。
5.3.2
試薬 試薬は,JIS Z 2615の6.6.2による。
5.3.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615の5.による。
5.3.4
装置 装置は,JIS Z 2615の6.6.3による(5)。
注(5) 管状電気抵抗加熱炉の代わりに,高周波誘導加熱炉を使用することができる。高周波誘導加熱
炉を使用する場合は,例えば,ボート及びボートカバーは,るつぼ及びふたに読み替える。
5.3.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.2〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615の5.(13)に示したものから最も適したものを選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量(6)を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
注(6) 例えば,管状電気抵抗加熱炉の場合は炭素含有率のできるだけ低い鉄(粉状)1.0gとすず(粒
状)1.5gを試料と混合する。
また,高周波誘導加熱炉の場合は鉄(粉状)1.0gを試料と混合し,その上をタングステン(粒
状)1.0gとすず(粒状)0.5gの混合物で覆う。
5.3.6
操作
5.3.6.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.6.4(1)及び(2)による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 300〜1 450℃(3)に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(4)を設定する。
5.3.6.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.6.5による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合
(a) 試料と助燃剤とを入れたるつぼを受け台に置き,燃焼管を閉じる。指定された流量で酸素を送入し
て管内の空気を置換した後,高周波誘導加熱炉を作動させる。
(b) 記録計又は指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したとき指示値を読み取り,高周波スイッ
チを切ってるつぼを取り出す。
5.3.7
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.6.6による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて5.3.6.2(2)の操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを0.5〜1.0g添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
5.3.8
検量線の作成 分析試料と組成類似で,分析試料の炭素含有率を包含できる範囲の標準試料を複数
個(3個以上)選び,5.3.6.2の手順に従って操作し,指示値を求める。この指示値を空試験値で補正し,
補正した指示値と使用した標準試料中の炭素含有率 (g) との関係線を作成して検量線とする。
また,分析試料と組成類似の標準試料が1個又は2個しか求められない場合は,最も炭素含有率の低い
組成類似の標準試料に,適切な炭素含有率の鋼の標準試料を選んで,助燃剤として加える鉄の代わりに又
はその一部として加え,5.3.6.2の手順に従って操作する。この場合,炭素含有量は両者の合量とする。
さらに,分析試料と組成類似の標準試料が全くない場合は,適切な炭素含有率の鋼の標準試料だけでも
よい。この場合は,助燃剤として鉄を添加しない。
5.3.9
計算 5.3.6.2及び5.3.7で得た指示値と,5.3.8で作成した検量線とから炭素量を求め,試料中の炭
素含有率を,次の式によって算出する。
100
%
wt
2
1
×
m
A
A−
=
炭素
ここに, A1: 5.3.6.2で得た指示値から求めた炭素量 (g)
A2: 5.3.7で得た指示値から求めた炭素量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
5.4
燃焼−電量法
5.4.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,一定のpHにした弱ア
ルカリ性のバリウム塩溶液に吸収させ,吸収によって減少したpHをバリウム塩溶液の電解によって元の
pHに戻すために要した電気量を測定する。
5.4.2
試薬 試薬は,JIS Z 2615の6.7.2による。
5.4.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615の5.による。
5.4.4
装置 装置は,JIS Z 2615の6.7.3による(5)。
5.4.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.2〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615の5.(13)に示したものから最も適したものを選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量(6)を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
5.4.6
操作
5.4.6.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.7.4(1),(2)及び(3)による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 300〜1 450℃(3)に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(4)を設定する。
5.4.6.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.7.5による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合
(a) 試料と助燃剤とを入れたるつぼを受け台に置き,燃焼管を閉じる。指定された流量で酸素を送入し
て管内の空気を置換した後,高周波誘導加熱炉を作動させ,同時に指示値を零に戻す。
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(b) 指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したとき指示値を読み取り,高周波スイッチを切って
るつぼを取り出す。
5.4.7
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.7.6による。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて5.4.6.2(2)の操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを0.5〜1.0g添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
5.4.8
検量線の作成 分析試料と組成類似で,分析試料の炭素含有率を包含できる範囲の標準試料を複数
個(3個以上)選び,5.4.6.2の手順に従って操作し,指示値を求める。この指示値を空試験値で補正し,
補正した指示値と使用した標準試料中の炭素含有量 (g) との関係線を作成して検量線とする。
また,分析試料と組成類似の標準試料が1個又は2個しか求められない場合は,最も炭素含有率の低い
組成類似の標準試料に,適切な炭素含有率の鋼の標準試料を選んで,助燃剤として加える鉄の代わりに又
はその一部として加え,5.4.6.2の手順に従って操作する。この場合,炭素含有量は両者の合量とする。
さらに,分析試料と組成類似の標準試料が全くない場合は,適切な炭素含有率の鋼の標準試料だけでも
よい。この場合は,助燃剤として鉄を添加しない。
5.4.9
計算 5.4.6.2及び5.4.7で得た指示値と,5.4.8で作成した検量線とから炭素量を求め,試料中の炭
素含有率を,次の式によって算出する。
100
%
wt
2
1
×
m
A
A−
=
炭素
ここに, A1: 5.4.6.2で得た指示値から求めた炭素量 (g)
A2: 5.4.7で得た指示値から求めた炭素量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
5.5
燃焼−赤外線吸収法(積分法)
5.5.1
要旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共に赤外
線吸収セルに送り,二酸化炭素による赤外線吸収量を測定する。
5.5.2
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615の5.及び6.9.2による。
5.5.3
装置 装置は,JIS Z 2615の6.9.3による(7)。
注(7) 管状電気抵抗加熱炉を用いることができる。
5.5.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.2〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615の5.(13)に示したものから最も適したものを選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量(6)を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
5.5.5
操作
5.5.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.9.4(1)及び(2)による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 300〜1 450℃(3)に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(4)を設定する。
5.5.5.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a) 試料と助燃剤を入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素を
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送る。
(b) 指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.9.5による。
5.5.6
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れ
たボートを用いて5.5.5.2(1)の操作を行う。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.9.6による。
5.5.7
検量線の作成 分析試料と組成類似で,分析試料の炭素含有率を包含できる範囲の標準試料を複数
個(3個以上)選び,5.5.5.2の手順に従って操作し,指示値を求める。この指示値を空試験値で補正し,
補正した指示値と使用した標準試料中の炭素含有量 (g) との関係線を作成して検量線とする。
また,分析試料と組成類似の標準試料が1個又は2個しか求められない場合は,最も炭素含有率の低い
組成類似の標準試料に,適切な炭素含有率の鋼の標準試料を選んで,助燃剤として加える鉄の代わりに又
はその一部として加え,5.5.5.2の手順に従って操作する。この場合,炭素含有量は両者の合量とする。
さらに,分析試料と組成類似の標準試料が全くない場合は,適切な炭素含有率の鋼の標準試料だけでも
よい。この場合は,助燃剤として鉄を添加しない。
5.5.8
計算 5.5.5.2及び5.5.6で得た指示値と,5.5.7で作成した検量線とから炭素量を求め,試料中の炭
素含有率を,次の式によって算出する。
100
%
wt
2
1
×
m
A
A−
=
炭素
ここに, A1: 5.5.5.2で得た指示値から求めた炭素量 (g)
A2: 5.5.6で得た指示値から求めた炭素量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
5.6
燃焼−赤外線吸収法(循環法)
5.6.1
要旨 試料を一定体積内の一定圧力下の循環酸素気流中で加熱し,炭素を二酸化炭素及び一酸化炭
素に酸化し,過剰の酸素と共に循環ループの赤外線吸収セルに送り,二酸化炭素及び一酸化炭素の赤外線
吸収量をそれぞれ測定する。
5.6.2
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615の5.及び6.9.2.による。
5.6.3
装置 装置は,JIS Z 2615の6.10.2による(7)。
5.6.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.2〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615の5.(13)に示したものから最も適したものを選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量(6)を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
5.6.5
操作
5.6.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615の6.10.3(1)及び(2)による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 300〜1 450℃(3)に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(4)を設定する。
5.6.5.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a) 試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b) 指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
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(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.10.4による。
5.6.6
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1) 管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れ
たボートを用いて5.6.5.2(1)の操作を行う。
(2) 高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615の6.10.5による。
5.6.7
検量線の作成 分析試料と組成類似で,分析試料の炭素含有率を包含できる範囲の標準試料を複数
個(3個以上)選び,5.6.5.2の手順に従って操作し,指示値を求める。この指示値を空試験値で補正し,
補正した指示値と使用した標準試料中の炭素含有量 (g) との関係線を作成して検量線とする。
また,分析試料と組成類似の標準試料が1個又は2個しか求められない場合は,最も炭素含有率の低い
組成類似の標準試料に,適切な炭素含有率の鋼の標準試料を選んで,助燃剤として加える鉄の代わりに又
はその一部として加え,5.6.5.2の手順に従って操作する。この場合,炭素含有量は両者の合量とする。
さらに,分析試料と組成類似の標準試料が全くない場合は,適切な炭素含有率の鋼の標準試料だけでも
よい。この場合は,助燃剤として鉄を添加しない。
5.6.8
計算 5.6.5.2及び5.6.6で得た指示値と,5.6.7で作成した検量線とから炭素量を求め,試料中の炭
素含有率を,次の式によって算出する。
100
%
wt
2
1
×
m
A
A−
=
炭素
ここに, A1: 5.6.5.2で得た指示値から求めた炭素量 (g)
A2: 5.6.6で得た指示値から求めた炭素量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
6. りん定量方法
6.1
定量方法 りんの定量方法は,モリブデン青吸光光度法による。この方法は,りん含有率0.08wt%
未満の試料に適用する。
6.2
モリブデン青吸光光度法
6.2.1
要旨 試料を硝酸とふっ化水素酸で分解し,過塩素酸を加えて白煙を発生させ,りんを正りん酸に
酸化し,亜硫酸水素ナトリウムを加えて鉄などを還元した後,七モリブデン酸六アンモニウムと硫酸ヒド
ラジニウム (2+) を含む呈色試薬を加え,加熱してモリブデン青を生成させ,その吸光度を測定する。
6.2.2
試薬 試薬は,次による。
(1) 硝酸
(2) 過塩素酸 (60wt%)
(3) ふっ化水素酸
(4) 亜硫酸水素ナトリウム(100g/l)
(5) 呈色試薬溶液 次のA液25ml,B液10ml及び水65mlを使用時に混合する。
A液:七モリブデン酸六アンモニウム四水和物20gを水300mlに溶解し,これに硫酸 (1+1) 650ml
を加え,冷却した後,水で1lに薄める。
B液:硫酸ヒドラジニウム (2+) 溶液(1.5g/l)
(6) 標準りん溶液 (100μgP/ml) りん酸二水素カリウム (KH2PO4) を110℃で乾燥して恒量とした後,デ
シケーター中で室温まで冷却したもの0.439 4gをはかり取り,水に溶解する。溶液を1 000mlの全量
フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
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6.2.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとする。
6.2.4
操作
6.2.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり取って,白金皿(100番)又はポリ四ふっ化エチレン製ビーカー (200ml) に移し入れ,
硝酸20mlを加え,ふっ化水素酸約5mlを滴下して分解する。このとき反応が激しくなったら,水で
冷却しながら分解する。過塩素酸10mlを加えて加熱蒸発し,過塩素酸の白煙を約5分間発生させて,
ふっ化水素酸を追い出す。放冷した後,温水を用いてビーカー (200ml) に洗い移す。時計皿で覆い,
加熱して再び白煙を発生させ,ビーカー内部が透明になり過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わっ
て逆流する状態で約10分間加熱する。放冷した後,温水約30mlを加えて可溶性塩類を溶解する。時
計皿を除いて,その下側を水で洗って試料溶液に加えた後,溶液をろ紙(5種A)を用いて100mlの
全量フラスコにろ過し,温水で4,5回洗浄する。
(2) 常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
6.2.4.2
呈色 6.2.4.1で得た溶液から正確に10mlを100mlの全量フラスコに分取し,亜硫酸水素ナトリ
ウム溶液10mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で溶液が無色になるまで加熱する。次に,呈色試薬溶液 [6.2.2
(5)] 25mlを加えて振り混ぜ,再び沸騰水浴中で20分間加熱する。流水中で常温まで冷却した後,水で標
線まで薄める。
6.2.4.3
吸光度の測定 6.2.4.2で得た溶液一部を光度計の吸収セル(10mm,ガラス製)に取り,水を対
照液として波長825nm付近の吸光度を測定する。
6.2.5
空試験 試薬だけを用いて,6.2.4.1〜6.2.4.3の手順に従って試料と並行して操作する。
6.2.6
検量線の作成 標準りん溶液 [6.2.2(6)] 0〜8.0ml(りんとして0〜800μg)を段階的に数個のビーカ
ー (200ml) に取り,時計皿で覆う。それぞれに過塩素酸5mlを加えて加熱し白煙を発生させ,ビーカーの
内壁が透明になり過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態で約10分間加熱する。放冷し
た後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約50mlを加え,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移
し入れる。以下,6.2.4.1(2)〜6.2.4.3の手順に従って操作し,得た吸光度とりん量との関係線を作成し,そ
の関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
6.2.7
計算 6.2.4.3で得た吸光度から,6.2.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,6.2.6で作成
した検量線とからりん量を求め,試料中のりん含有率を次の式によって算出する。
100
%
wt
×
×B
m
A
=
りん
ここに, A: 分取した試料溶液中のりん検出量 (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液及び空試験液の分取比
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JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
嶋 貫 孝
日本重化学工業株式会社
(幹事)
今 井 康 夫
社団法人日本海事検定協会
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
片 柳 哲
株式会社神戸製鋼所
唐 島 英 夫
日本電工株式会社
見 持 洋 司
日本重化学工業株式会社
斉 藤 勝 衛
日本鋼管株式会社
志 原 長 男
中央電気工業株式会社
杉 山 鉄 男
大平洋金属株式会社
針間矢 宣 一
川鉄テクノリサーチ株式会社
吉 永 康 男
昭和電工株式会社
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
加 藤 康 弘
工業技術院標準部
(事務局)
奥 孝 一
日本フエロアロイ協会