G 1321-4:2009
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 還元蒸留分離メチレンブルー吸光光度法 ··············································································· 2
5.1 要旨 ···························································································································· 2
5.2 試薬 ···························································································································· 2
5.3 装置 ···························································································································· 2
5.4 試料はかりとり量 ·········································································································· 3
5.5 操作 ···························································································································· 3
5.6 空試験 ························································································································· 4
5.7 検量線の作成 ················································································································ 4
5.8 計算 ···························································································································· 4
6 燃焼−水酸化ナトリウム滴定法 ··························································································· 4
6.1 要旨 ···························································································································· 4
6.2 試薬 ···························································································································· 5
6.3 装置の組立て ················································································································ 5
6.4 試料はかりとり量及び助燃剤 ··························································································· 5
6.5 予備操作 ······················································································································ 5
6.6 定量操作 ······················································································································ 5
6.7 空試験 ························································································································· 5
6.8 計算 ···························································································································· 5
7 燃焼−赤外線吸収法(積分法) ··························································································· 5
7.1 要旨 ···························································································································· 5
7.2 装置の組立て ················································································································ 5
7.3 試料はかりとり量及び助燃剤 ··························································································· 5
7.4 予備操作 ······················································································································ 6
7.5 定量操作 ······················································································································ 6
7.6 空試験 ························································································································· 6
7.7 計算 ···························································································································· 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び財団法人日
本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS G 1321:1987は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS G 1321の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS G 1321-1 第1部:炭素定量方法
JIS G 1321-2 第2部:けい素定量方法
JIS G 1321-3 第3部:りん定量方法
JIS G 1321-4 第4部:硫黄定量方法
JIS G 1321-5 第5部:鉄定量方法
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日本工業規格
JIS
G 1321-4:2009
金属マンガン分析方法−第4部:硫黄定量方法
Method for chemical analysis of manganese metal-
Part 4: Methods for determination of sulfur content
序文
金属マンガンの定量方法の規格は,1953年に制定され,その後4回の改正が行われた。前回の改正は1987
年に行われたが,その後の分析技術の進展に対応するために,今回は,JIS G 1321:1987を廃止し,その規
格の一部を分割して,硫黄定量方法として制定した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,金属マンガンに含まれる硫黄を,還元蒸留分離メチレンブルー吸光光度法,燃焼−水酸化
ナトリウム滴定法及び燃焼−赤外線吸収法(積分法)によって定量する方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ−分析方法通則
JIS Z 2616 金属材料の硫黄定量方法通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301及びJIS Z 2616による。
4
定量方法の区分
硫黄の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 還元蒸留分離メチレンブルー吸光光度法 この方法は,硫黄含有率0.001 %(質量分率)以上0.05 %
(質量分率)以下の試料に適用する。
b) 燃焼−水酸化ナトリウム滴定法 この方法は,硫黄含有率0.005 %(質量分率)以上0.05 %(質量分
率)以下の試料に適用する。
c) 燃焼−赤外線吸収法(積分法) この方法は,硫黄含有率0.005 %(質量分率)以上0.05 %(質量分
率)以下の試料に適用する。
2
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還元蒸留分離メチレンブルー吸光光度法
5.1
要旨
試料を塩酸と硝酸とで分解し,硫黄を硫酸とする。硝酸を除去するために過塩素酸の白煙処理を行い,
更に乾固して過塩素酸を除去した後,塩酸溶液とする。よう化水素酸及びホスフィン酸を加え,不活性ガ
ス気流中で加熱して硫酸を還元し,発生する硫化水素を酢酸亜鉛溶液に吸収させた後,ジメチル-p-フェニ
レンジアミン及び硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)を加えてメチレンブルーを生成させ,光度計を用いて,その
吸光度を測定する。
5.2
試薬
試薬は,次による。ただし,硫酸塩以外の試薬は,すべて硫黄含有率の低いものを使用する。
5.2.1
塩酸
5.2.2
硝酸
5.2.3
過塩素酸
5.2.4
不活性ガス 純度の高い窒素又はアルゴンを使用する。
5.2.5
還元混液 よう化水素酸(55〜58 %)4及びホスフィン酸(45〜55 %)1の割合で混合し,不活
性ガスを流しながら穏やかに沸騰させる。約30分間加熱した後,室温まで放冷する。この溶液は,褐色瓶
に入れて保存する。
5.2.6
鉄溶液 できるだけ硫黄含有率の低い金属鉄5.000 gをはかりとり,ビーカー(300 mL)に移し入
れて時計皿で覆い,塩酸40 mLを加えて分解し,穏やかに約10分間煮沸する。次に,硝酸5 mLを少量ず
つ加えて鉄(Ⅱ)を鉄(Ⅲ)に酸化し,煮沸して酸化窒素ガスを追い出す。常温まで冷却した後,溶液を
100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
5.2.7
硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)溶液 硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)12水和物30 gを水に溶解し,液量を
250 mLとする。
5.2.8
洗浄液 塩酸(1+60)3及び塩化ヒドラジニウム溶液(5 g/L)1の割合で,使用の都度混合する。
5.2.9
吸収液 酢酸亜鉛二水和物55 g及び酢酸ナトリウム三水和物14 gを水に溶解し,酢酸2 mLを加
え,水で液量を1 000 mLとして原液とする。この原液を使用の都度必要量だけ,水で5倍に薄めて吸収液
とする。
5.2.10 ジメチル-p-フェニレンジアミン溶液 硫酸180 mLを水約500 mL中に少量ずつかき混ぜながら加
え,室温まで冷却した後,これにN,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩1.0 gを加えて溶解し,水
で液量を1 000 mLとする。
5.2.11 硫黄標準液(S:10 μg/mL) 110 ℃で2時間乾燥した硫酸カリウム5.435 gを水に溶解し,溶液を
1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液(S:1 mg/mL)とする。この原
液を使用の都度,水で正確に100倍に薄めて硫黄標準液とする。
5.3
装置
装置は,通常,次の器具を連結して構成する。各器具の連結部分は,すべてすり合わせとする。図1に
装置の例を示す。
なお,装置は,新しく使用するとき又は長時間使用しなかった後に使用するときは,空試験操作を繰り
返し行って空試験値が安定してから試験に使用する。
5.3.1
分解フラスコ 容積約300 mLのもの。
5.3.2
還流冷却管 長さ約150 mmのもの。
5.3.3
洗浄瓶 容積約150 mLのもの。
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5.3.4
吸収容器 容積約150 mLのもの。
図1−還元蒸留装置の例
5.4
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,表1によるものとし,0.1 mgのけたまではかりとる。
表1−試料はかりとり量
硫黄含有率
%(質量分率)
試料はかりとり量
g
0.001以上 0.010未満
0.50
0.010以上 0.025未満
0.20
0.025以上 0.050以下
0.10
5.5
操作
5.5.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって分解フラスコ(5.3.1)に移し入れる。
b) 硝酸5 mL及び塩酸5 mLを加え,室温で5〜20分間放置して大部分の試料を分解した後,加熱して完
全に分解する。これに過塩素酸3 mL及び鉄溶液(5.2.6)を正確に1.0 mL加え,加熱して濃縮し,過
塩素酸白煙を発生させる。
c) 放冷した後,塩酸5 mLを加え,再び加熱して濃厚な白煙を発生させ,引き続き250〜300 ℃の熱板上
に移して加熱し,過塩素酸の白煙が出なくなるまで蒸発させる。
d) 熱板から下ろし,放冷した後,塩酸10 mLを加え,加熱して塩類を溶解し,室温まで冷却する。
5.5.2
還元蒸留
還元蒸留は,次の手順によって行う。
a) 5.5.1 d)で得た試料溶液に還元混液(5.2.5)15 mLを加え,10分間放置して鉄(Ⅲ)などを還元した後,
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更に還元混液5 mLを分解フラスコの内壁を洗浄するようにして加える。
b) 装置を図1のように組み立てた後,洗浄瓶(5.3.3)に洗浄液(5.2.8)を30〜80 mL及び吸収容器(5.3.4)
に吸収液(5.2.9)を50 mLを入れ,還流冷却管(5.3.2)に水道水を流す。
なお,洗浄液の量は,洗浄瓶の内径によって異なるので,液層の高さが30〜50 mm程度になるよう
に入れる。蒸留の都度,洗浄液は新しいものと入れ換える。
c) 装置に不活性ガス(5.2.4)を毎分100 mLの流量1) で送入し,あらかじめ約250 ℃に加熱してある熱
板上で分解フラスコ内の試料溶液を約30分間1) 加熱し,発生するガスを不活性ガスとともに洗浄瓶
を経由して吸収液中に導いて吸収させる。
注1) 不活性ガスの流量と溶液の加熱時間とは相互に関係があり,装置内の全容積によって,最適
な流量は若干異なるため,使用する装置によって適切な条件をあらかじめ求めておくとよい。
5.5.3
呈色
吸収容器を装置から外し,吸収液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れる。液温を20 ℃以下
にしてジメチル-p-フェニレンジアミン溶液(5.2.10)を10 mL加え,穏やかに振り混ぜた後,直ちに硫酸
アンモニウム鉄(Ⅲ)溶液(5.2.7)を正確に2.0 mL加えて1分間激しく振り混ぜ,水で標線まで薄める。
なお,この呈色反応は,化学量論的ではないため,使用する装置及び試薬によって再現性の良い値が得
られる条件をあらかじめ求めておき,その条件を厳守する。特に呈色時の液温は,できるだけ一定とし,
振り混ぜ条件は,なるべく一定になるようにしなければならない。
5.5.4
吸光度の測定
5.5.3で得た呈色溶液を15分間放置した後,その一部を光度計の吸収セル(10 mm)に取り,空試験液
を対照液として665 nm付近の吸光度を測定する。
5.6
空試験
5.7の検量線の作成操作で得られる硫黄標準液(5.2.11)を添加しない溶液を空試験液とする。
5.7
検量線の作成
硫黄標準液を0〜5 mL(硫黄として0〜50 μg)を段階的に分解フラスコに取り,5.5.1 b)〜5.5.4の手順に
従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度と硫黄量との関係線を作成し,その関係線を原
点を通るように平行移動して検量線とする。
5.8
計算
5.7で作成した検量線から5.5.4で得た吸光度に対応する硫黄量(A)を求め,試料中の硫黄含有率(S)
を,次の式によって算出する。
100
×
m
A
S=
ここに,
S: 試料中の硫黄含有率[%(質量分率)]
A: 試料中の硫黄量(g)
m: 試料はかりとり量(g)
6
燃焼−水酸化ナトリウム滴定法
6.1
要旨
試料を酸素気流中で燃焼させ,発生した硫黄酸化物を過酸化水素に吸収させて硫酸とし,これを水酸化
ナトリウム標準液で滴定する。
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6.2
試薬
試薬は,JIS Z 2616の9.1.2(試薬)による。
6.3
装置の組立て
装置の組立ては,JIS Z 2616の9.1.3(装置の組立て)による。
6.4
試料はかりとり量及び助燃剤
6.4.1
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,使用する装置に最も適した量(通常は,0.5〜1.0 g)とし,0.1 mgのけたまではか
り,助燃剤を添加する。
6.4.2
助燃剤
助燃剤は,JIS Z 2616の8.12(助燃剤)に規定するものから最も適したものを選び,使用する装置に最
も適した量を添加する。
6.5
予備操作
予備操作は,JIS Z 2616の9.1.4(予備操作)による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を1 450 ℃ 2) に保つ。また,高周波誘導加熱
炉を用いる場合は,高周波誘導加熱に関する条件3) を設定する。
注2) 高温計の指示温度と燃焼管内温度との差に注意して補正する。
3) 高周波発振機の陽極電流,格子電流など,使用する装置の仕様に応じて決められた条件のこと
である。
6.6
定量操作
定量操作は,JIS Z 2616の9.1.5(定量操作)による。
警告 燃焼操作においては,高温に加熱された磁器燃焼ボート又は磁器燃焼るつぼの取り扱いには,
必ずるつぼ挟みなどを使用して,やけどをしないように注意しなければならない。さらに,過
剰な酸素排気の取り扱いに留意して火災発生の防止に努めなければならない。
6.7
空試験
空試験は,JIS Z 2616の9.1.6(空試験)による。
6.8
計算
計算は,JIS Z 2616の9.1.7(計算)による。
7
燃焼−赤外線吸収法(積分法)
7.1
要旨
試料を酸素気流中で高温に加熱し,硫黄を酸化して二酸化硫黄とし,これを酸素とともに赤外線吸収検
出器に送り,赤外線吸収量を測定する。
7.2
装置の組立て
装置の組立ては,JIS Z 2616の9.5.2(装置の組立て)による。
7.3
試料はかりとり量及び助燃剤
7.3.1
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,使用する装置に最も適した量(通常は,0.5〜1.0 g)とし,0.1 mgのけたまではか
り,助燃剤を添加する。
7.3.2
助燃剤
助燃剤は,JIS Z 2616の8.12(助燃剤)に規定するものから最も適したものを選び,使用する装置に最
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
も適した量を添加する。
7.4
予備操作
予備操作は,JIS Z 2616の9.5.3(予備操作)による。
7.5
定量操作
定量操作は,JIS Z 2616の9.5.4(定量操作)による。
7.6
空試験
空試験は,JIS Z 2616の9.5.5(空試験)による。
7.7
計算
計算は,JIS Z 2616の9.5.6(計算)による。
注記 市販の装置には,炭素との同時定量ができるものがある。硫黄定量用の赤外線吸収検出器の後
部に,JIS Z 2615の9.7.2.1(酸素精製部)及び9.7.2.3(燃焼ガス精製部)の酸化管,硫黄酸化
物捕集管及び脱水管,並びに炭素定量用の赤外線吸収検出器及び指示計を併置したもので,JIS
Z 2615の9.7.4(定量操作)に準じて,炭素及び硫黄の指示値を読み取る。
参考文献 JIS Z 2615 金属材料の炭素定量方法通則