G 1318-1:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分················································································································ 1
5 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)目視滴定法 ·············································· 2
5.1 要旨 ···························································································································· 2
5.2 試薬 ···························································································································· 2
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 空試験 ························································································································· 3
5.6 計算 ···························································································································· 3
6 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)電位差滴定法 ··········································· 3
6.1 要旨 ···························································································································· 3
6.2 試薬 ···························································································································· 3
6.3 装置及び器具 ················································································································ 4
6.4 試料はかりとり量 ·········································································································· 4
6.5 操作 ···························································································································· 4
6.6 空試験 ························································································································· 4
6.7 計算 ···························································································································· 4
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
G 1318-1:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS G 1318:1998は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS G 1318の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS G 1318-1 第1部:バナジウム定量方法
JIS G 1318-2 第2部:炭素定量方法
JIS G 1318-3 第3部:けい素定量方法
JIS G 1318-4 第4部:りん定量方法
JIS G 1318-5 第5部:硫黄定量方法
JIS G 1318-6 第6部:アルミニウム定量方法
日本工業規格 JIS
G 1318-1:2019
フェロバナジウム分析方法−
第1部:バナジウム定量方法
Method for chemical analysis of ferrovanadium-
Part 1: Determination of vanadium content
序文
この規格は,2018年に第2版として発行されたISO 6467を基とし,国内の実情に合わせるため,技術
的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,フェロバナジウム中のバナジウムの定量方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6467:2018,Ferrovanadium−Determination of vanadium content−Potentiometric method(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ−分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301による。
4
定量方法の区分
バナジウムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)目視滴定法 この方法は,バナジウム含有率30 %
(質量分率)以上90 %(質量分率)以下の試料に適用する。
b) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)電位差滴定法 この方法は,バナジウム含有率
35 %(質量分率)以上85 %(質量分率)以下の試料に適用する。
2
G 1318-1:2019
5
過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)目視滴定法
5.1
要旨
試料を硝酸と塩酸とで分解し,硫酸とりん酸とを加え,加熱して白煙を発生させて塩酸と硝酸とを除去
する。過マンガン酸カリウムでバナジウムを酸化し,亜硝酸ナトリウムで過剰の過マンガン酸を分解し,
尿素で亜硝酸の過剰を分解する。さらに,生成した二クロム酸の妨害を亜ひ酸ナトリウムで抑制した後,
指示薬としてジフェニルアミンを用いて,硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で滴定する。
5.2
試薬
試薬は,次による。
5.2.1
塩酸
5.2.2
硝酸
5.2.3
混酸(硫酸3,りん酸13,水14)
5.2.4
亜硝酸ナトリウム溶液(30 g/L)
5.2.5
過マンガン酸カリウム溶液(3 g/L) この溶液は,褐色ガラス瓶に入れて保存する。
5.2.6
亜ひ酸ナトリウム溶液 炭酸ナトリウム3 gを水約150 mLに溶解し,これに三酸化二ひ素0.85 g
を溶解して水を加えて液量を約950 mLとし,二酸化炭素を約3分間通して飽和させた後,水を加えて液
量を1 000 mLとする。
警告 三酸化二ひ素及び亜ひ酸ナトリウム溶液は,有毒であるので,個人用保護具及び換気装置を使
用し,ばく露を避けなければならない。
5.2.7
尿素
5.2.8
0.1 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液 調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶
液の調製,標定及び計算)のz)による。
5.2.9
ジフェニルアミン溶液 ジフェニルアミン1.0 gをりん酸100 mLに溶解する。
5.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.20 gとする。
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって三角フラスコ(500 mL)に移し入れ,フラスコの口に漏斗を挿入する。
b) 硝酸5 mL及び塩酸15 mLを加え,穏やかに約60 ℃に加熱して試料を分解する。
c) 漏斗の脚部内面及び外側を水で洗って取り外す。
d) 混酸(5.2.3)30 mLを加え,硫酸の白煙が発生し始めるまで加熱して放冷する。
e) 水約150 mLを加え,加熱して可溶性塩類を溶解して放冷する。
5.4.2
バナジウムの酸化
バナジウムの酸化は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1 e)で得た溶液をかき混ぜながら,過マンガン酸カリウム溶液(5.2.5)を滴加して微紅色を呈させ,
更にその過剰0.5 mLを加え,かき混ぜた後,約10分間放置する。
b) 尿素5 gを加えて溶解し,溶液をかき混ぜながら,亜硝酸ナトリウム溶液(30 g/L)を1滴ずつ加えて
紅色を完全に消失させる。
c) 亜硝酸の分解による細かい泡立ちがなくなるまでかき混ぜた後,亜ひ酸ナトリウム溶液(5.2.6)5 mL
を加えて約1分間かき混ぜる。
3
G 1318-1:2019
なお,クロムが共存しない場合,亜ひ酸ナトリウム溶液は添加しなくてもよい。
5.4.3
滴定
滴定は,次の手順によって行う。
a) 5.4.2 c)で得た溶液に水を加えて液量を約200 mLとする。
b) ジフェニルアミン溶液(5.2.9)0.05 mLを指示薬として加えて振り混ぜた後,2〜3分間放置して,紫
を呈させる。
c) 0.1 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液(5.2.8)で滴定し,紫が消失した点を終点とし,0.1 mol/L硫
酸アンモニウム鉄(II)溶液の使用量を求める。
5.5
空試験
空試験は,行わない。
5.6
計算
試料中のバナジウム含有率を,次の式によって算出する。
100
094
0.005
1
1
1
×
×
×
=
m
V
f
V
ここに,
V: 試料中のバナジウム含有率[%(質量分率)]
V1: 試料溶液において,5.4.3 c)で得た0.1 mol/L硫酸アンモニウム
鉄(II)溶液の使用量(mL)
f1: 0.1 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター
m1: 試料はかりとり量(g)
6
過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)電位差滴定法
6.1
要旨
試料を硝酸と硫酸とで分解する。過マンガン酸カリウムを用いてバナジウム(IV)をバナジウム(V)
に酸化する。過剰の過マンガン酸を亜硝酸で分解し,過剰の亜硝酸を尿素で分解する。電位差計を用いて,
硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で滴定する。
6.2
試薬
試薬は,次による。
6.2.1
尿素
6.2.2
硝酸
6.2.3
りん酸
6.2.4
硫酸(1+1)
6.2.5
亜硝酸カリウム溶液(10 g/L)
6.2.6
過マンガン酸カリウム溶液(6.3 g/L) この溶液は,褐色ガラス瓶に入れて保存する。
6.2.7
0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液
6.2.7.1
調製 硫酸アンモニウム鉄(II)[FeSO4(NH4)2SO4・6H2O]78.4 gを,温水500 mLに溶解し,1 000
mLの全量フラスコに水を用いて移し入れる。硫酸(1+1)100 mLを加え,冷却した後,水で標線までう
すめる。
6.2.7.2
標定 認証標準物質の二クロム酸カリウムの必要量を認証書に記載の条件で,又は容量分析用標
準物質の二クロム酸カリウムの必要量を試験成績書若しくは添付文書に記載された乾燥条件で,乾燥する。
ビーカー(500 mL)に,この乾燥した二クロム酸カリウム0.392 2 gをはかりとり,水280 mLを加えて溶
かし,更に硫酸(1+1)10 mL及びりん酸10 mLを加える。0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で電
4
G 1318-1:2019
位差滴定する。電位差計の指示が急激に変化する点を終点とする。標定は,使用の都度行う。
0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクターは,次の式によって算出する。
2
2
40
V
f=
ここに,
f2: 0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター
V2: 0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液の使用量(mL)
6.3
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
6.3.1
電位差計 電位差滴定に用いる装置は,JIS K 0113の5.1(装置)による。pH計にmV表示のある
ものを使用してもよい。
6.3.2
電極 電極は,白金−飽和カロメル,白金−タングステン又は白金−白金のいずれかの組合せを用
いる。
6.4
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとする。
6.5
操作
6.5.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れる。
b) 水10 mL,硝酸10 mL及び硫酸(1+1)50 mLを加えて溶解し,硫酸の白煙が発生するまで加熱する。
その後,放冷する。
c) 水100 mLをビーカーの内壁を伝わらせながら徐々に流し込み,加熱して塩類を溶解する。放冷した
後,水で液量を約200 mLとする。
6.5.2
バナジウムの酸化
バナジウムの酸化は,次の手順によって行う。
a) ビーカーをマグネチックスターラーの上に置き,電極を浸し,かくはんを開始する。
b) 過マンガン酸カリウム溶液(6.2.6)を最高電位に達するまで滴加した後,15分間放置する。
c) 亜硝酸カリウム溶液(10 g/L)を30秒ごとに滴加して紅色を完全に消失させる。尿素約0.2 gを素早
く加え,次にりん酸10 mLを加える。電位が安定するまで約5分間放置する。
6.5.3
滴定
滴定は,次の手順によって行う。
a) ビュレットを用いて,電位の最大下降が観測されるまで0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液(6.2.7)
で滴定する。
b) 電位差計の指示が急激に変化する点を終点とし,0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液の使用量を
求める。
6.6
空試験
試薬だけを用いて,試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6.7
計算
試料中のバナジウム含有率を,次の式によって算出する。
(
)
100
19
010
.0
2
4
3
2
×
×
−
×
=
m
V
V
f
V
5
G 1318-1:2019
ここに,
V: 試料中のバナジウム含有率[%(質量分率)]
f2: 0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター
V3: 試料溶液において,6.5.3 b)で得た0.2 mol/L硫酸アンモニウム
鉄(II)溶液の使用量(mL)
V4: 空試験において,6.6で得た0.2 mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)
溶液の使用量(mL)
m2: 試料はかりとり量(g)
6
G 1318-1:2019
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS G 1318-1:2019 フェロバナジウム分析方法−第1部:バナジウム定量方法
ISO 6467:2018,Ferrovanadium−Determination of vanadium content−Potentiometric
method
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
適用範囲
一致
−
−
2 引用規格
3 一般事項
−
−
追加
JISは,一般事項を追加している。
ISO規格への提案を検討する。
4 定量方法の区分
1
適用範囲
追加
ISO規格は,電位差滴定法だけを規定
している。JISでは目視滴定法を追加
している。
目視滴定法については,ISO
への提案を検討している。
5 過マンガン酸カ
リウム酸化硫酸ア
ンモニウム鉄(II)
目視滴定法
−
規定していない
追加
ISO規格は,電位差滴定法だけを規定
している。JISは,目視滴定法を追加
している。
目視滴定法については,ISO
への提案を検討している。
6 過マンガン酸カ
リウム酸化硫酸ア
ンモニウム鉄(II)
電位差滴定法
6.1 要旨
3
要旨
一致
−
−
6.2 試薬
4
試薬
変更
ISO規格では,105 ℃乾燥となってい
るが,JISは,JIS K 8001の二クロム
酸カリウム乾燥条件としている。
日本ではJIS品しか入手がで
きないため変更している。ISO
への提案を検討している。
6.3 装置及び器具
5
装置
追加
電極に白金−タングステン及び白金
−白金を追加している。
ISO規格への提案を検討する。
6.4 試料はかりとり量
7.1
試料はかりとり量
一致
−
−
6.5 操作
7.4
操作
一致
−
−
6.6 空試験
7.2
空試験
一致
−
−
6.7 計算
8
計算式
一致
−
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6467:2018,MOD
2
G
1
3
1
8
-1
:
2
0
1
9
7
G 1318-1:2019
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
G
1
3
1
8
-1
:
2
0
1
9