G 1313-3:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 二酸化けい素重量法 ·········································································································· 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 試薬 ···························································································································· 1
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 空試験 ························································································································· 3
5.6 計算 ···························································································································· 3
6 ICP発光分光法 ················································································································ 3
6.1 要旨 ···························································································································· 3
6.2 試薬 ···························································································································· 3
6.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 4
6.4 操作 ···························································································································· 4
6.5 空試験 ························································································································· 5
6.6 検量線の作成 ················································································································ 5
6.7 計算 ···························································································································· 5
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS G 1313:2000は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS G 1313の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS G 1313-1 第1部:クロム定量方法
JIS G 1313-2 第2部:炭素定量方法
JIS G 1313-3 第3部:けい素定量方法
JIS G 1313-4 第4部:りん定量方法
JIS G 1313-5 第5部:硫黄定量方法
JIS G 1313-6 第6部:窒素定量方法
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日本工業規格 JIS
G 1313-3:2012
フェロクロム分析方法−第3部:けい素定量方法
Method for chemical analysis of ferrochromium-
Part 3: Determination of silicon content
1
適用範囲
この規格は,フェロクロム中のけい素の定量方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ−分析方法通則
JIS K 0050 化学分析方法通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301による。
4
定量方法の区分
けい素の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 二酸化けい素重量法 この方法は,けい素含有率0.1 %(質量分率)以上10.0 %(質量分率)以下の
試料に適用する。
b) ICP発光分光法 この方法は,けい素含有率0.05 %(質量分率)以上4.0 %(質量分率)以下の試料
に適用する。
5
二酸化けい素重量法
5.1
要旨
試料を塩酸で分解した後,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙を発生させてけい素を不溶性けい酸とした
後,水で可溶性塩類を溶解する。又は,過酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムで融解して塩酸に溶解した
後,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙を発生させてけい素を不溶性けい酸とした後,水で可溶性塩類を溶
解する。沈殿をこし分け,強熱して二酸化けい素とした後,その質量をはかる。ふっ化水素酸を加え,加
熱して二酸化けい素を四ふっ化けい素として揮散させ,強熱した後,その質量をはかる。
5.2
試薬
試薬は,次による。
5.2.1
塩酸(1+2,1+5,1+10)
5.2.2
過塩素酸
2
G 1313-3:2012
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5.2.3
ふっ化水素酸
5.2.4
硫酸(1+1)
5.2.5
過酸化水素
5.2.6
融解合剤(過酸化ナトリウム7,炭酸ナトリウム3)
5.2.7
チオシアン酸カリウム溶液(100 g/L)
5.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,表1に従って,0.1 mgの桁まではかる。
表1−試料はかりとり量
けい素含有率
%(質量分率)
試料はかりとり量
g
0.1以上 1.5未満
1.00
1.5以上 3.5未満
0.50
3.5以上 10.0以下
0.20
5.4
操作
警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険がある。蒸
気は,過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で処理しなければならない。
5.4.1
試料の分解及びけい酸の脱水処理
試料の分解及びけい酸の脱水処理は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 酸分解による場合
1) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。
2) 塩酸(1+5)60 mLを加え,加熱して分解する。
3) 過塩素酸20 mLを加え,加熱濃縮して白煙を発生させ,引き続き,過塩素酸の蒸気がビーカーの内
壁を伝わって還流する状態で約15分間加熱した後,放冷する。
b) アルカリ融解による場合
1) 試料をはかりとってニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)に移し
入れる。
2) 融解合剤(5.2.6)10 gを加えてよくかき混ぜ,その上を融解合剤1 gで覆う。
3) ニッケル又はジルコニウム製の蓋をし,初めは低温で穏やかにるつぼを回転させながら内容物が融
解するまで加熱する。
4) 温度を上げ,約700 ℃(暗赤熱状態)で約5分間るつぼを揺り動かしながら加熱して完全に融解し
た後,放冷する。
5) るつぼ及び蓋を塩酸(1+2)60 mLを入れたビーカー(300 mL又は500 mL)中に入れて融成物を
溶解し,るつぼ及び蓋を水で洗って取り出す。
6) 過塩素酸60 mLを加え,熱板又は砂浴上で加熱して蒸発させて過塩素酸の濃厚な白煙を発生させる。
時計皿で覆い過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって流れる状態で約15分間加熱した後,放冷
する。
5.4.2
ろ過及び洗浄
ろ過及び洗浄は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1 a) 3)又は5.4.1 b) 6)で得た溶液に温水約200 mLを加えて可溶性塩類を溶解する。
3
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b) 過酸化水素10 mLを少量ずつ加えて二クロム酸を還元し,加熱して約1分間沸騰させる。
c) 時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,直ちに溶液をろ紙(5種B)を用いてこし分ける。
d) ビーカーの内壁及び時計皿に付着した沈殿は,ポリスマンでこすって約40〜60 ℃に加熱した塩酸
(1+10)を用いてろ紙上に洗い移し,約40〜60 ℃に加熱した塩酸(1+10)で5回洗浄し,次に温
水で,洗液に鉄(III)イオンが認められなくなるまで洗浄する。洗液及びろ液は捨てる。
なお,洗液の一部を取り,チオシアン酸カリウム溶液(100 g/L)を滴加したとき,洗液がとう(橙)
赤色を呈さなくなることによって確認することができる。
5.4.3
ろ紙の灰化及び沈殿のひょう量
ろ紙の灰化及び沈殿のひょう量は,次の手順によって行う。
a) 5.4.2 d)で得た沈殿及びろ紙を白金るつぼ(30番)に移し入れる。
b) 100〜250 ℃で加熱してろ紙を乾燥した後,強熱してろ紙を灰化する。
c) 約1 100 ℃で約30分間強熱し,デシケーター中で常温まで放冷した後,白金るつぼの質量をはかる。
d) c)の操作を恒量(強熱前後の質量差が0.3 mg以下)になるまで繰り返す。
5.4.4
沈殿のふっ化水素酸処理及びひょう量
沈殿のふっ化水素酸処理及びひょう量は,次の手順によって行う。
a) 5.4.3 d)で得た白金るつぼ中の残さを硫酸(1+1)2,3滴を加えて湿らせ,ふっ化水素酸3〜5 mLを
加え,加熱して二酸化けい素及び硫酸を揮散させる。
b) 約1 100 ℃で約30分間強熱し,デシケーター中で常温まで放冷した後,白金るつぼの質量をはかる。
c) b)の操作を恒量(強熱前後の質量差が0.3 mg以下)になるまで繰り返す。
5.5
空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
5.6
計算
5.4.3 d)で得た質量,5.4.4 c)で得た質量及び5.5で得た質量から,試料中のけい素含有率を算出する。
(
)(
)
[
]
100
4
467
.0
1
5
4
3
2
×
×
−
−
−
=
m
m
m
m
m
Si
ここに,
Si: 試料中のけい素含有率[%(質量分率)]
m1: 試料はかりとり量(g)
m2: 試料について5.4.3 d)で得た質量(g)
m3: 試料について5.4.4 c)で得た質量(g)
m4: 空試験における5.4.3 d)で得た質量(g)
m5: 空試験における5.4.4 c)で得た質量(g)
6
ICP発光分光法
6.1
要旨
試料を過酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムで融解し,塩酸及び温水を加えて溶解する。この溶液をICP
発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,けい素の発光強度を測定する。
6.2
試薬
試薬は,次による。
なお,使用する水は,けい素含有率の低い蒸留水又はJIS K 0050の附属書D(化学分析に用いる水)に
規定する,種別又は質のA3以上のものを使用する。
6.2.1
塩酸(1+2)
4
G 1313-3:2012
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6.2.2
過酸化水素
6.2.3
融解合剤(過酸化ナトリウム7,炭酸ナトリウム3)
6.2.4
クロム溶液(Cr:20 mg/mL) けい素含有率が0.000 5 %(質量分率)以下の二クロム酸ナトリウ
ム二水和物5.7 gをはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れ,水を加えて溶解し,常温まで冷却した
後,100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.2.5
鉄溶液(Fe:20 mg/mL) けい素含有率が0.001 %(質量分率)以下の鉄2.0 gをはかりとってビー
カー(300 mL)に移し入れ,塩酸(1+1)40 mLを加え,加熱して鉄を分解する。常温まで冷却した後,
100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.2.6
けい素標準液(Si:1.00 mg/mL) あらかじめ900〜1 000 ℃で強熱し,デシケーター中で常温まで
放冷して,その質量をはかり,この操作を恒量(質量差が0.3 mg以下)となるまで繰り返した二酸化けい
素[99.9 %(質量分率)以上]0.214 gを白金るつぼ(30番)にとり,炭酸ナトリウム1 gを混合して加熱
融解し,冷却した後,水に溶解して100 mLのポリエチレン(以下,PEという。)製全量フラスコに移し,
水で標線まで薄める。
6.2.7
けい素標準液(Si:100 μg /mL) けい素標準液(Si:1.00 mg/mL)(6.2.6)を10 mL分取して100 mL
のPE製全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
6.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は0.5 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
6.4
操作
6.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)に移し入
れる。
b) 融解合剤(6.2.3)5 gを加えてよくかき混ぜ,その上を融解合剤1 gで覆う。
c) ニッケル又はジルコニウム製の蓋をし,初めは低温で穏やかにるつぼを回転させながら内容物が融解
するまで加熱する。
d) 温度を上げ,約700 ℃(暗赤熱状態)で約5分間るつぼを揺り動かしながら加熱して完全に融解した
後,放冷する。
e) るつぼ及び蓋を塩酸(1+2)60 mLを入れたポリテトラフルオロエチレン製ビーカー(300 mL又は
500 mL)中に入れて融成物を溶解し,るつぼ及び蓋を水で洗って取り出す。
f)
この溶液に過酸化水素を滴加し,二クロム酸などを還元して溶解後,時計皿で覆い,約10分間煮沸す
る。
g) 放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。
h) 常温まで冷却した後,250 mLの全量フラスコに,水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.4.2
測定溶液の調製
測定溶液の調製は,次のいずれかによる。
a) 試料中のけい素含有率が0.2 %(質量分率)未満の場合は,6.4.1 h)で得た溶液を用いる。
b) 試料中のけい素含有率が0.2以上1.0 %(質量分率)未満の場合は,6.4.1 h)で得た溶液を50.0 mL分取
して250 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
c) 試料中のけい素含有率が1.0以上4.0 %(質量分率)以下の場合は,6.4.1 h)で得た溶液を25.0 mL分取
して250 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
5
G 1313-3:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.4.3
発光強度の測定
6.4.2のa)〜c)で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長212.41 nm
又は251.61 nmにおけるいずれかの波長のけい素の発光強度を測定する。
6.5
空試験
空試験は,次の手順に従って,試料と並行して行う。
a) ニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)を準備し,6.4.1のb)〜e)の
手順に従って操作を行う。これに,試料中に含まれるクロム及び鉄と同量のクロム溶液(6.2.4)及び
鉄溶液(6.2.5)を加える。
b) 次に,6.4.1 f)〜6.4.3の手順に従って操作し,試料の測定で用いた波長におけるけい素の発光強度を測
定する。
6.6
検量線の作成
検量線の作成は,試料と並行して,次の手順によって行う。
a) 数個のニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)を準備し,6.4.1のb)
〜e)の手順に従って操作を行う。これに,試料中に含まれるクロム及び鉄と同量のクロム溶液(6.2.4)
及び鉄溶液(6.2.5)を加える。さらに,けい素含有率が1.0 %(質量分率)未満の場合は,けい素標
準液(Si:100 μg /mL)(6.2.7)を段階的に0〜50.0 mL(けい素として0〜5.0 mg)を正確に加え,け
い素含有率1.0以上4.0 %(質量分率)の場合はけい素標準液(Si:1.00 mg /mL)(6.2.6)を段階的に
0〜20.0 mL(けい素として0〜20.0 mg)を加える。以下,6.4.1のf)〜h)の手順に従って操作を行う。
b) この溶液を試料溶液と同量分取し,250 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
c) 溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,試料の測定で用いた波長と同じ
波長におけるけい素の発光強度を測定し,その発光強度とけい素量との関係線を作成して検量線とす
る。
6.7
計算
6.6で作成した検量線に6.4.3及び6.5で得た発光強度を挿入してけい素量を求め,試料中のけい素含有
率を次の式によって算出する。
100
6
2
1
×
−
=
m
A
A
Si
ここに,
Si: 試料中のけい素含有率[%(質量分率)]
A1: 試料溶液中のけい素検出量(g)
A2: 空試験で得られたけい素検出量(g)
m6: 試料はかりとり量(g)