G 1312-3:2011
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 モリブドりん酸青吸光光度法 ······························································································ 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 試薬 ···························································································································· 2
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 バックグラウンドの測定 ································································································· 3
5.6 空試験 ························································································································· 3
5.7 検量線の作成 ················································································································ 3
5.8 計算 ···························································································································· 3
6 ICP発光分光法 ················································································································ 4
6.1 要旨 ···························································································································· 4
6.2 試薬 ···························································································································· 4
6.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 4
6.4 操作 ···························································································································· 4
6.5 空試験 ························································································································· 4
6.6 検量線の作成 ················································································································ 4
6.7 計算 ···························································································································· 5
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS G 1312:1998は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS G 1312の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS G 1312-1 第1部:けい素定量方法
JIS G 1312-2 第2部:炭素定量方法
JIS G 1312-3 第3部:りん定量方法
JIS G 1312-4 第4部:硫黄定量方法
JIS G 1312-5 第5部:アルミニウム定量方法
JIS G 1312-6 第6部:チタン定量方法
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日本工業規格 JIS
G 1312-3:2011
フェロシリコン分析方法−第3部:りん定量方法
Method for chemical analysis of ferrosilicon-
Part 3: Methods for determination of phosphorus content
序文
JIS G 1312は,1953年に制定され,その後1998年に5回目の改正が行われた。今回,分析技術の進展
に対応するために,JIS G 1312:1998を廃止し,その規格の一部を分割して,りん定量方法として制定した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,フェロシリコン中のりんの定量方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 1301 フェロアロイ−分析方法通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301による。
4
定量方法の区分
りん定量方法は,次のいずれかによる。
a) モリブドりん酸青吸光光度法 この方法は,りん含有率0.005 %(質量分率)以上0.08 %(質量分率)
以下の試料に適用する。
b) ICP発光分光法 この方法は,りん含有率0.005 %(質量分率)以上0.15 %(質量分率)以下の試料
に適用する。
5
モリブドりん酸青吸光光度法
5.1
要旨
試料を硝酸及びふっ化水素酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させてりんを
酸化する。亜硫酸水素ナトリウムを加えて鉄などを還元した後,七モリブデン酸六アンモニウム及び硫酸
ヒドラジニウムを加え,加熱してモリブドりん酸青を生成させ,その吸光度を分光光度計を用いて測定す
る。
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5.2
試薬
試薬は,次による。
5.2.1
硝酸
5.2.2
過塩素酸
5.2.3
ふっ化水素酸
5.2.4
亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L)
5.2.5
呈色試薬溶液 あらかじめ,次の二つの溶液を調製しておき,使用の都度,a)のA液5,b)のB液
2及び水13の割合で混合する。
a) A液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物20 gを水300 mLに溶解し,かきまぜながら硫酸(1
+1)650 mLを加えて常温まで冷却した後,水で1 000 mLに薄める。
b) B液 硫酸ヒドラジニウム1.5 gを水に溶解して,水で1 000 mLに薄める。
5.2.6
硫酸ヒドラジニウム硫酸溶液 5.2.5 b)のB液(硫酸ヒドラジニウム溶液)10 mLに硫酸(13+27)
25 mL及び水65 mLを加えて混合する。
5.2.7
りん標準液(P:100 μg/mL) りん酸二水素カリウム約2 gを110 ℃で乾燥し,デシケーター中で
常温まで放冷して,質量を測定する操作を恒量(乾燥前後の質量差が0.3 mg以下)となるまで繰り返した
後,その0.439 4 gをはかりとり,水に溶解する。溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線まで薄める。
5.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
5.4
操作
警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険がある。蒸気は,
過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で処理しなければならない。
5.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって白金皿(100番)又はポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFEという。)製ビ
ーカー(200 mL)に移し入れ,白金又はPTFE製の蓋で覆う。
b) 蓋を少しずらして硝酸10 mLを加え,ふっ化水素酸10 mLを滴加して分解する。反応が激しい場合は,
容器の外側を水で冷却しながら分解する。蓋の下面を水で洗って蓋を取り除き,過塩素酸10 mLを加
え,加熱蒸発させて過塩素酸の白煙を約5分間発生させた後,放冷する。
c) 溶液を温水を用いてビーカー(200 mL)に洗い移し,洗液を同じビーカーに入れる。ビーカーを時計
皿で覆い,加熱して再び過塩素酸の白煙を発生させ,ビーカー内部が透明になり,過塩素酸の蒸気が
ビーカーの内壁を伝わって還流する状態で約10分間加熱を継続する。
d) 放冷した後,温水約30 mLを加えて可溶性塩類を溶解し,時計皿の下面を少量の水で洗って時計皿を
取り除く。
e) 溶液をろ紙(5種B)を用いて100 mLの全量フラスコにろ過し,ビーカーの内壁及びろ紙を温水で4,
5回洗浄し,洗液をろ液と合わせる。常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
5.4.2
呈色
呈色は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1 e)で得た試料溶液から100 mLの全量フラスコに10 mL 1) を分取する。
なお,新しい全量フラスコを使用する場合は,水を標線まで加えて沸騰水浴中で約10分間加熱した
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後,流水中に全量フラスコを浸して冷却する。この操作を数回繰り返し,容量変化が僅かになってか
ら使用する。
b) 亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L)10 mLを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で溶液が無色になるまで
加熱する。
c) 次に呈色試薬溶液(5.2.5)25 mLを加えて振り混ぜ,再び沸騰水浴中で20分間加熱した後,流水中で
常温まで冷却する。
d) この溶液を,水で標線まで薄める。
注1) 呈色溶液中にニッケル5 mg,モリブデン4 mg,バナジウム1 mg及びチタン2 mgがそれぞれ
単独に存在しても,りんの定量には影響がない。
5.4.3
吸光度の測定
5.4.2 d)で得た溶液の一部を分光光度計の吸収セル(10 mm)にとり,水を対照液として波長825 nm付近
の吸光度を測定する。
5.5
バックグラウンドの測定
バックグラウンドの測定は,試料溶液と並行して,次の手順によって行う。
a) 5.4.2 a)及びb)の手順に従って操作する。
b) 硫酸ヒドラジニウム硫酸溶液(5.2.6)25 mLを加えて振り混ぜ,再び沸騰水浴中で20分間加熱した後,
流水中で常温まで冷却する。
c) 5.4.2 d)及び5.4.3の手順に従って,吸光度を測定する。
5.6
空試験
試薬だけを用いて,5.4.1〜5.5の手順に従って試料と並行して行う。
5.7
検量線の作成
検量線の作成は,試料と並行して,次の手順によって行う。
a) 数個の白金皿(100番)又はPTFE製ビーカー(200 mL)を準備し,これにりん標準液(5.2.7)0〜8.0
mL(りんとして0〜800 μg)を段階的にとり,白金又はPTFE製蓋で覆った後,5.4.1 b)〜5.4.3の手順
に従って行う。
b) 得た吸光度とりん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
5.8
計算
試料溶液における5.4.3で得た吸光度から5.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度及び空試験にお
ける5.4.3で得た吸光度から5.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,5.7で作成した検量線とか
ら,りん量を求め,試料中のりん含有率を次の式によって算出する。
100
10
1
1
2
1
×
×
−
=
m
A
A
P
ここに,
P: 試料中のりん含有率[%(質量分率)]
A1: 分取した試料溶液中のりん検出量(g)
A2: 分取した空試験液中のりん検出量(g)
m1: 試料はかりとり量(g)
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ICP発光分光法
6.1
要旨
試料を硝酸及びふっ化水素酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させた後,溶
液をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,りんの発光強度を測定する。
6.2
試薬
試薬は,次による。
6.2.1
塩酸(1+3)
6.2.2
硝酸
6.2.3
過塩素酸
6.2.4
ふっ化水素酸
6.2.5
鉄溶液(Fe:25 mg/mL) りん含有率0.001 %(質量分率)以下の鉄2.5 gをはかりとってビーカー
(300 mL)に移し,過塩素酸20 mLを加え,加熱して鉄を分解した後,引き続き加熱して過塩素酸の白煙
を発生させる。放冷した後,温水約50 mLを加え,加熱して塩類を溶解し,常温まで冷却した後,100 mL
の全量フラスコに移し,水で標線まで薄める。
6.2.6
りん標準液(P:100 μg/mL) 調製は,5.2.7による。
6.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
6.4
操作
警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険がある。蒸気は,
過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で処理しなければならない。
6.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって白金皿(100番)又はPTFE製ビーカー(200 mL)に移し入れ,白金又はPTFE
製の蓋で覆う。
b) 蓋を少しずらして硝酸10 mLを加え,ふっ化水素酸10 mLを滴加して分解する。反応が激しい場合は,
容器の外側を水で冷却しながら分解する。過塩素酸15 mLを加え,蓋の下面を水で洗って取り除き,
加熱して過塩素酸の濃厚な白煙を約10分間発生させる。
c) 放冷した後,塩酸(1+3)20 mLを加え,蓋で覆い,加熱して可溶性塩類を溶解する。
d) 蓋の下面を温水で洗って蓋を取り除き,100 mL全量フラスコに溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,
温水で数回洗浄する。常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
6.4.2
発光強度の測定
6.4.1 d)で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,178.29 nm又は213.62
nmにおけるりんの発光強度を測定する。
6.5
空試験
試料の代わりに,試料中に含まれる鉄の量と同量の鉄溶液(6.2.5)を白金皿(100番)又はPTFE製ビ
ーカー(200 mL)に取り,白金又はPTFE製の蓋で覆う。以下,6.4.1 b)〜6.4.2の手順に従って試料と並行
して行う。
6.6
検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 数個の白金皿(100番)又はPTFE製ビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに試料中に含まれる鉄
5
G 1312-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の量と同量の鉄溶液(6.2.5)を加える。これにりん標準液(6.2.6)0〜15.0 mL(りんとして0〜1 500 μg)
を段階的にとり,白金又はPTFE製蓋で覆った後,6.4.1 b)〜6.4.2の手順に従って行う。
b) 得た発光強度とりん量との関係線を作成して検量線とする。
6.7
計算
6.4.2及び6.5で得た発光強度と6.6で作成した検量線とから,りん量を求め,試料中のりん含有率を,
次の式によって算出する。
100
2
4
3
×
−
m
A
A
P=
ここに,
P: 試料中のりん含有率[%(質量分率)]
A3: 試料溶液中のりん検出量(g)
A4: 空試験液中のりん検出量(g)
m2: 試料はかりとり量(g)